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アイズワイドシャット

アイズワイドシャット
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予告編(MOV)9538KBへ

そこにあるのは、見てはいけない愛。天才監督キューブリックが眠っている欲望をつきつける---

「この作品が自分の最高傑作だ」---スタンリー・キューブリックが自らそう語った「アイズ ワイド シャット」が、ついに公開される。撮影に18か月、編集に約1年をかけたこの作品は、「フルメタル・ジャケット」以来12年ぶりの新作。完成直後の99年3月7日、キューブリックはイギリスで死去した。「2001年宇宙の旅」「時計じかけのオレンジ」「シャイニング」「フルメタル・ジャケット」磁磁磁時代を予見していたのか、それとも彼が時代を創ったのか、キューブリックが掲示したテーマは、つねに模倣され、追従され、無数のバリエーションを生み出してきた。そのキューブリックが、最後の作品で選んだテーマは愛。トム・クルーズとニコール・キッドマンという、もっともハリウッド的なカップルを夫婦役で主演に据え、濃厚なセックスシーンを演じさせたことでも話題を呼んだ。
 撮影・編集は異常なまでの秘密主義で進められ、99年3月2日、キューブリック死去のわずか5日前にニューヨークで行われた初試写を見たのはクルーズとキッドマン、そしてワーナー・ブラザースの2人の会長テリー・セメルとロバート・ディリーの4人のみ。映写技師もフィルムをセッティングした後は映写室を出されるという極秘試写だったという。

クルーズとキッドマンが加担したキューブリック最後の悪だくみ---

 「アイス ワイド シャット」は、キューブリックがこの世に残した最後の罠。クルーズとキッドマンという、キューブリックの作品でなければ決して共演が実現することはなかったであろう二人が、18か月の歳月を費やして加担した、世にも贅沢で危険な悪だくみだ。「あの二人が、何か悪いことをしようとしている。とてつもなく妖しい出来事が起きようとしている磁磁磁」。世界一有名なカップルの扇情的なラブ・シーンを身に来たつもりの観客は、みずからの奥底に眠る欲望と妄想を見せつけられ、セックスの深淵を覗かされることになる。
クルーズとキッドマンが演じるのは、ニューヨークに住む医者とその妻。お互いが、相手に言えない性的な欲求あるいは妄想を持っているという、大まかなストーリーラインしか、関係者にも明かされていない。「幸福なカップルに存在するセックスについての矛盾した精神状態を探り、性的な妄想や実現しなかった夢を現実と同じくらい重要なものとして扱おうとした」というのがこの映画に関するキューブリックの公式コメントで、嫉妬や妄想が重要なテーマになっているという。

もっと深く、もっと奥へ---セックスは、入り口にすぎない---

クルーズとキッドマンが鏡の前で抱き合い、激しくキスをかわす様子が延々と映し出されるだけの、ナレーションも台詞も一切ない劇場用の予告編はセンセーションを巻き起こし、過激なセックス描写が公開前から世界中で話題の的となった。しかし、セックスそのものは単なる入り口にすぎない。映画を見ることによって、自分の奥に眠っている何かが暴かれ、犯される---「アイズ ワイド シャット」の観客が否応なしにさらされるのは、そんな体験だ。
 映画館に入る前と出た後で、同じ自分でいることを観客に許さない磁磁磁。そんな映画を作ってこれたのはキューブリックだけであり、だからこそ彼の映画は時代を超えて人々を魅きつけ、さまざまな分野に影響を与え続けてきた。
死因も遺言もいっさい明かされていない巨匠の死。しかし、キューブリックは世界中の観客に遺してくれた。彼が最後に仕掛けたショッキングで妖しい罠に堕ちるという、もう二度と味わうことのできない悦びを磁磁磁。