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4. サロン:ゲーム理論
発言日時: 00/01/12 17:55
伊藤 悠 (FZR02073)
RE:オーバーキル (541/541)
伊藤です。

>  トップ叩き、及びオーバーキルが起こりやすいゲームには、ある属性が強
> いと僕は感じます。
>  それは、強きを助く「正」のフィードバックが強い、という属性です。
>  特に狭義のマルチゲームに多いと思いますが、つまり、今がいい状態なら、
> 次はもっとよくなるだろう、という予測が成り立つわけです。
>  だから、トップをほっとけばますます逃げるので、叩かざるを得ないので
> すね。
これは以前のツリーであった、「形勢のフィードバック」のことですね。
私が
> Aに対する集中攻撃がAの「有利さ」を減らしていくとすると、やがてA
>の有利さと2位の有利さが等しくなる、同点2位の状態が来るはずです
と書いた「有利さ」は、フィードバックをしない、と定義したいと思います。
「有利さ」では、今がいい状態なら次はもっとよくなるだろう、あるいはそ
の逆、といった効果は、今の時点でもう計算に入れてしまいます。
「有利さ」は、ランダム要素の統計的偏りやプレイヤーの技術・戦略によっ
てのみ変動します。つまり、サイコロの出目が特定のプレイヤーに都合よく
偏ったり、すばらしい一手・ひどいポカが出ない限り上下しません*1。
これと迷子の雄猫さんのご指摘を受けて、オーバーキルを定義しなおします。

・対象プレイヤーの有利さを減少させることを、そのプレイヤーを攻撃する
という*5*10。
・有利さにプレイヤーの技術を加えたものを、技術を含む有利さと呼ぶ。
・1位を口実にしたオーバーキルとは、最初に技術を含む有利さが1位になっ
たプレイヤーをその他のプレイヤーが攻撃し、その技術を含む有利さが他の
任意のプレイヤーと同等になっても、さらにそれ未満になってもそれを続け
ることである。

*1:有利さ……
有利さは、プレイヤーの技術、戦略、ランダム要素を含まない。それらは有
利さを上下させる要因である。有利さはそれら以外のすべての要素から成る
*13。
有利さは、そのプレイヤーがその時点で立っている<傍点>ゲームのシステ
ムの中での</傍点>立場、置かれている環境、状況である。
有利さには、そのプレイヤーのプレイヤーの関係の中での立場、置かれてい
る環境、状況は含めない。それは戦略に含める。
有利さは、プレイ中の任意の時点でやってきた悪魔*4が「ははん、そうなっ
てるわけね。じゃあこれから先のプレイ展開を全部まとめて──ただし君た
ち2人は「平均的なプレイヤー*2」であるとして──どっちが勝つかパーセ
ンテージダイスの1度振りで決めてやるよ。ええと、A君が52%、B君が21%、
それと引き分けが27%だ」と言うときの数字である。
全プレイヤーの有利さの総計は1である。

*2:平均的なプレイヤー……
正確には、平均的でなくてもよい。「真面目な神様(#456)」やそれに近い
人間でもよいし、考えうるかぎりの馬鹿に近い人間でもよい。
「真面目な神様」に近い人間だとすれば「すばらしい一手」は存在しなくな
り、あるのは「ひどいポカ」だけである。考えうるかぎりの馬鹿に近い人間
だとすれば、すばらしい一手しかなくなり、ひどいポカは存在しなくなる。

*3:勝つ確率……
勝つ確率は、ランダム要素は含まない。それは勝つ確率を上下させる要因で
ある。勝つ確率はそれ以外のすべての要素から成る。つまり、有利さにプレ
イヤーの技術、および戦略を加えたものが勝つ確率である。
勝つ確率は、プレイ中の任意の時点でやってきた悪魔*4が「ははん、そうな
ってるわけね。じゃあこれから先のプレイ展開を全部まとめて──ただし君
たち2人の技術・戦略を正しく評価して──どっちが勝つかパーセンテージ
ダイスの1度振りで決めてやるよ。ええと、A君が37%、B君が35%、それと
引き分けが38%だ」と言うときの数字である。
全プレイヤーの勝つ確率の総計は1である。
本当は「勝つ」よりも「1位になる」というような言葉を使ったほうがいい
と思う。
戦略を定義に用いてしまっているので、この概念を戦略を定義するのに用い
るとぐるぐる回りはじめて厄介なことになると思う。「技術を含む有利さ」
を用いたほうが、議論は安全になるだろう。……*6

*4:プレイ中にやってきた悪魔……
どんな状況でもそこから起こりうる事象のすべてについてその起こる確率を
知ることができる悪魔。実際に起こる事象1つを特定することは、確率が100
%のものについてしかできない。ラプラスの悪魔の見習い。

*5:攻撃……
有利さの総計は1であり、他のプレイヤーの有利さの減少には自分の有利さの
増加が伴う場合が多い。勝利を目指すプレイヤーが攻撃を行うとしたら、そ
の攻撃の動機は自分の勝つ確率の増加である。その場合、
>  それはつまり、叩く者も叩かれる者も、関係しない者より損、という属性
> です。
という事態は起きないように思える。
ではなぜ、叩く者も叩かれる者もそれに関係しない者より損、という状況が
あるのだろうか。
仮説を思いついたので書く。
ここで叩き叩かれているのは有利さであり、それに関して叩く者と関係しな
い者との間に、囚人のジレンマ関係が成立しているのではないか。
別の言い方をすると、見かけ上叩く方も損をしているのは戦略を計算に入れ
ていないからで、それを計算に含めて勝つ確率で考えればやはり叩く者は得
をしているのではないか。
3人プレイのゲームをプレイヤーx,y,zでしているとして、自分の有利さ-0.
01、対象プレイヤーの有利さ-0.1という選択肢があった場合──それはつま
り3人目のプレイヤーの有利さを+1.1するということである──例えば、

時点1
xの有利さ 0.33
yの有利さ 0.33
zの有利さ 0.33

時点2 xの行動
xの有利さ 0.32
yの有利さ 0.44
zの有利さ 0.23

時点3 yの行動
xの有利さ 0.43
yの有利さ 0.43
zの有利さ 0.23

というように、xとyが互いを利し合い、zがそのとばっちりを食うという現
象がありうる。これはxとyが囚人のジレンマゲームにおいてCC、協力-協力
を出し合ったと解釈することができる。
ここでは、時点2でxとzが「叩き叩かれ、どちらも関係しない者より損」で
ある。しかしそれは有利さについての損なのであって、プレイヤーの戦略を
計算に含めて「勝つ確率」について言えば、xはそれによってyが自分に「お
返しをしてくれる」可能性が十分に高いと信じてこの行動をとったのであり、
その可能性が実際に高いとすれば、彼は時点2でちゃんと勝つ確率を増加さ
せていることになる。*8

*6:有利さと勝つ確率……
こうして有利さと勝つ確率を定義したわけだが、すると形勢とは何だろうか。
それは、人間が任意の目安で定めた物差しではかった、有利さ(あるいは勝つ
確率)の粗い近似だということになる。
一般にゲームは複雑で、悪魔*4ならぬ人間には有利さを正確に計算することは
非常に、勝つ確率ならばなおさら*7、難しい。だから人間が「これまで将棋を
やってて気がついたけれど、勝ち将棋の多くには持ち駒が多くて相手陣に攻め
込んでて自陣の防備が堅いっていう共通項があったよな」などと思って、それ
にしたがって任意の局面を「持ち駒がこれこれで駒の配置がこんなだからこっ
ちが勝ちそうだ」などと評価したとしても、その近似は粗いし、人によってま
ちまちである。
例えばバックギャモンが形勢の逆転しやすいゲームだというなら、それはバッ
クギャモンの局面を評価したときに、有利さの差が実際よりも大きく見えると
いうことである。実際の有利さには見かけほどの差がないので、逆転は起こり
やすいのである。
「勝利条件:保持しているユニットPが3点、ユニットQは2点……として、総得
点の大きいプレイヤーが勝者である」など、いわばゲームのシステムが公認し
ている形勢もあるが、それらもやはり形勢であって有利さではない。

*7:勝つ確率は有利さより計算が難しい……
正確には、プレイヤーの技術・戦略の持つ意味がきわめて大きければ有利さの
大小を無視できることになるから、「局面の判断は非常に難しいが、Aさんは
無茶苦茶強いからほぼAさんが勝つだろう」と、計算が簡単になることもあり
える。

*8:囚人のジレンマとしての多人数ゲーム……
*5で例に挙げたゲームのように、攻撃を行ったプレイヤーとその対象になった
プレイヤーの双方が有利さを減ずるゲームは、囚人のジレンマで解釈すること
ができる。その場合非常に話が早くなる。
囚人のジレンマでは信頼・相互協力関係を成立させ、安定させることが重要で
ある。ゲームのさまざまな性質によってその成立のしやすさや安定の度合いは
変わるだろうが*9、ここで言えるのが、信頼・相互協力関係は長続きしてこそ
価値があるということだ(うまく言えない。本当はもっとちゃんとした言い方
があるのだと思う)。
したがっていったんトップを攻撃対象として成立したその他のプレイヤーたち
の信頼・相互協力関係は、オーバーキルを起こすのである。
おお、これは面白い。
ゲーム開始後最初に技術を含む有利さが1位になったプレイヤーは、攻撃対象
として価値が高い*10がために他のプレイヤーたちに信頼・相互協力関係を結
ばれてしまい、その関係の働きすなわち集中攻撃によって凋落し、技術を含む
有利さが同点2位状態になっても「信頼・相互協力関係の目標としての価値」
が高まっているために、オーバーキルされてしまう、というわけだ。
いや、「技術を含む有利さ」という言葉ではなしに、「攻撃対象としての価値」
という言葉を使ったほうがいい。だから、
・オーバーキルとは、序盤に攻撃対象としての価値を高めてしまったプレイヤ
ーが他のプレイヤーに囚人のジレンマゲームにおける信頼・相互協力関係を結
ばれてしまい、信頼・相互協力関係の目標としての価値を生じてしまうために、
攻撃対象としての価値を減じたのちも集中攻撃されることである。

*9:ゲームのさまざまな性質を囚人のジレンマゲームとして信頼・相互協力が
どれだけ成立しやすく、安定するか(あるいはその逆)として見る……
これも面白い。が、今は措く。

*10:攻撃……
攻撃がそれを行うプレイヤーとその対象となったプレイヤーとの有利さに及ぼ
す増減は、ゲームのシステムのさまざまな点や、その時の状況のさまざまな性
質によって、さまざまである。
たとえばある時点でプレイヤーSが攻撃の権利を得、それをプレイヤーTに用い
ればSの有利さ+0.01、Tの有利さ-0.03。プレイヤーUに用いればSの有利さ+0.
02、Uの有利さ-0.04。というのも、Uの戦力の配置がその攻撃に弱いようにな
っていたためである。など。
一般には、ある時点である攻撃手段を採るとして、その対象となるプレイヤー
を自由に選べるとしたら、攻撃者の有利さを最も増す、あるいはその減少の度
合いが少ないのは、対象にその時点で最も有利さの高いプレイヤーを選ぶこと
である場合は多いだろう*11。
しかしそれは結果としてそうである場合が多いのであって、直接の帰結ではな
い。
だから「トップを叩いた方が自分がトップになりやすい」などの表現より、「
攻撃対象としての価値」という概念を用いたほうが安全だろう。

*11:有利さが1位のプレイヤーを対象にする……
そのプレイヤーが「1位だけが勝ち、2位以下は等しくクズ」という判断基準に
従っているとして。「自分の順位をできるだけ高くする」などの判断基準を用
いているとすると、話が難しくなる。#538の(a)参照。

*13:有利さは、プレイヤーの技術、戦略、ランダム要素を含まない……
#450などでの「心理戦要素」については、とりあえず考えないでおく。いつか
どこかに嵌まるかもしれないパズルのピース。


>  こういうゲームの場合、トップが同点2位にまで落ちてきても、依然とし
……
>  それはつまり、叩く者も叩かれる者も、関係しない者より損、という属性
……
>  叩くと損だけど、叩かないと話にならないから「お仕事として」叩かなきゃ
> ならないわけですね。
ここまでは、よくわかります。


>  で、この場合、「トップを叩くべし」という言葉では足りなくて、本当は
> 「2位以下はその状態に比例して、いい者ほど一生懸命トップを叩くべし」
> でなければならないのではないか、と思います。
……
>  「マルチゲームは、トップのプレイヤーvs他のプレイヤーの形を取る」
> 
>  ベベの人を叩けば本物のイジメですから、誰に有利で誰に不利か、を考え
> た時、これが一番安定する状態なのかもしれません。
この部分が、よくわかりません。


>  そうであれば、次の均衡点に移るために、トップが明らかにトップでなく
> なる(次のトップが誰かが分かる)までトップを叩く必然性があることにな
> るのかも。
……
>  でまあ、プレイヤーがそれを解決しようとするなら、そのゲームに熟練し
> て、トップがどのぐらい勝っててどのぐらい叩くべきか、をなるべく正確に
> 把握できるように精進するのでしょう。
……
>  また、デザインの側からこれをクリアするとすれば、
……
>  などが考えられますね。
ここも、わかります。


>  正直、僕はこういう、マルチ模様にならない方のが好きです。
私は多人数ゲームには何か気持ちの悪いものがある気がするのですが、それを
うまく言葉にできません。
言葉にできないから、気持ち悪いのかな?
まあそれで、言葉にしようとしてみているわけですが……書いていて自分は盛
り上がったりするのですが、読みづらかったり分かりにくかったりしたらすみ
ません。

>  「男子が一生を賭けるもの」として、目の前のパワーゲームに勝利を収め
> ることほど、一般的な価値基準からしてふさわしいものもない気はしますが、
知り合いは「だからやっぱり2人ゼロサムゲームだよ」と言うのですが……
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オーバーキル 伊藤 悠 FZR02073 00/01/07 18:58 (00528)RE:オーバーキル 草場 純 GCF01014 00/01/08 01:17 (00529)
  ┃┗RE:オーバーキル 伊藤 悠 FZR02073 00/01/08 18:04 (00530)
  ┃  ┗RE:オーバーキル 草場 純 GCF01014 00/01/09 01:25 (00532)
  ┃    ┗RE:オーバーキル 伊藤 悠 FZR02073 00/01/11 07:56 (00538)
  ┃      ┗RE:オーバーキル 草場 純 GCF01014 00/01/11 23:06 (00539)RE:オーバーキル 迷子の雄猫 FZN03677 00/01/08 22:18 (00531)RE:オーバーキル ぺいるG CQE00452 00/01/09 01:35 (00533)RE:オーバーキルのデザインからの回避 迷子の雄猫 FZN03677 00/01/09 20:04 (00534)
    ┃┗RE:オーバーキルのデザインからの回避 ぺいるG CQE00452 00/01/10 00:08 (00535)RE^2:オーバーキル Cr JCF12623 00/01/10 02:51 (00536)
    ┃┗RE:RE^2:オーバーキル ぺいるG CQE00452 00/01/10 23:02 (00537)
    ┃  ┗RE^4:オーバーキル Cr JCF12623 00/01/12 01:59 (00540)RE:オーバーキル 伊藤 悠 FZR02073 00/01/12 17:55 (00541)
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