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「指輪世界 - [時系列で並べてタグをつけた文章]」
2000/09 その1

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2000/09/01 (金)

[人狼の写経。(movie)]

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 暇に任せて8月末頃に録音しておいた人狼の台詞を打ち込む。もののけ姫も映画館で採音したけれど、打ち込んだのは結局中古のビデオを買ってからだったから、音楽カセットテープから起こすのは初めてか。しかし、それなりにちゃんと録れていた。
 実家のパソコンが壊れていたのでワープロを使ったが、文豪からのMS-DOSフォーマットの経路でごたごたして少し苦労した。


2000/09/02 (土)


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2000/09/08 (金)

[季節、麻雀、2位以下はクズ、上の広さ、レナガ。(game)]

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2000/10/21/01aに補足あり。
1999/09/05/01bからの続き。
「暑いな、昭洋君」
「暑いですね、先輩」
「こう暑いと、何をする気力も起きんな」
「僕はでも、悪態をつきつつも嬉しいですがね、夏の暑さは」
「君は痩せてるからな」
「外燃機関って言うのかな、言わないのだろうけれど、体の外側から勝手に熱量を流し込んできてくれるから助かります。その勢いのおかげで動ける。やっぱり言うのかも」
「冬は暖かくすればいいのだが、暑さはどうもならん」
「暑さなんて水風呂浴びて薄着をすればいい。寒いのはいくら厚着しても寒いです」
「季節ネタは各人の出身地・皮下脂肪層厚を確認するのみにとどまりがちだな」
「我々の詩的能力の欠如を確認しているのではないですか?」
「冬、炬燵から硝子窓越しに眺める雨と薄灰色の空の寂しさと安心とについて語るかね」
「どこまでも歩いていける夏の夜の無敵な空気についてですか」
「何それ」
「麻雀は点数を競うゲームだ、という話はしましたっけ」
「何故だね」
「では、ノーレートで順位を争う麻雀をしているとしましょう。するとオーラスで」
「2位を狙うべきか1位を狙うべきかという問題が生じる、と言うんだろう。つまり……」
「あー、そんな手俺から当たるなよ。ツモるかこいつから直撃すればトップになれるじゃん」
「でもこれで2着だから」
「……となる訳です。こういった状況でどうするべきかが定義できない。定義できないのは困ります」
「では、トップのみが勝者、『2位以下はクズ』という麻雀はどうかね。今の例で言えば、ツモるか直撃するかを狙って見逃すべしと定義ができるぞ」
「そういった麻雀では、どうにもならない状況が頻繁に生じます。たとえばトップと5万点差の、親番の流れた南2局」
「役満直撃か、倍満ツモ1回とハネ満ツモ2回すればいい」
「あと最低3局、非常に楽しみのない麻雀をすることになると思いませんか。さらに大抵の場合ハネ満はアガれないでしょうから、1局進めば、次の局ではもっと辛い麻雀をすることになります」
「それはそうかもしれないね。が、5万点差という状況設定が厳しいんじゃないの」
「例えばモノポリーは『2位以下はクズ』ですが、あのゲームは負け抜け残り勝ちのラストマンスタンディングなシステムなので、負けたプレイヤーは部屋の隅で漫画でも読んでいればいい。しかし麻雀は負け抜けではないので、勝ち目の極めて薄くなったプレイヤーも辛いまま上位陣のトップ争いに付き合わなくてはなりません」
「ふむ。まあ実際のところ、親番のなくなった3万点差の南3局なんかも十分嫌だね」
「さらにモノポリーが『2位以下はクズ』に適していることには、同時に麻雀が適していないことには、モノポリーでは負けそうなプレイヤーは『5・6・8以外!』とでも叫びながらサイコロを振るしかない、ということです。現金も物件も失って生きているだけの没落プレイヤーには、もう取引という道がありません。これはゲームを楽しむという観点からは幸いなことです」
「というと」
「ゲーム中の各時点でプレイヤーに与えられる選択肢は、勝つ見込みの非常に少なくなったプレイヤーにとっては苦痛となります。つまり……」
「コロッサスの3匹目なんて取ってんじゃねーよ! テレポートして殺しに来い!」
「でもタイタン部隊だし、部隊の数はそっちが上だろ」
「タイタン部隊だから勝てないんだってば! 10部隊もプレイン入ってライオン取るかケンタ取るかなんて悩みたくねー! もーやっとれん!」
「……ということです。殺すならさっさと殺せ、でなければ──ここで『帰れ』と言うのは古いですよ──せめて部隊が少なくて、さっさと移動を済ませてしまえたらいいというのが親心なのです」
「親心?」
「モノポリーでは、死にかけのプレイヤーはサイコロを振るしかない、振るだけでいい。もし彼にそれ以外の選択肢があっても、嫌な気がするだけでしょう」
「逆に勝てそうなプレイヤーほど選択肢を楽しめるというわけね。モノポリーでは優勢なプレイヤーは物件を多く持つから、宅建や取引の面での選択肢も多くなる。なるほど」
「モノポリーは『上の広い』ゲームと言えます」
「麻雀は?」
「麻雀は『幅の変わらない』ゲームです。麻雀では優勢なプレイヤーも劣勢なプレイヤーも、与えられる選択肢にほとんど違いがありません。どの牌を切るか、鳴くか鳴かぬか、行くかオリるか、行くならどんな手役を狙うか。統計がとれたらいいのでしょうが、トップへの望みのほぼなくなったプレイヤーにこれらの選択をプレイ時間の結構な割合で強いる麻雀というゲームは」
「順位を争ったり、『2位以下はクズ』だったりするのに向かん、と。統計ねえ。東風荘とかでとれないかな。n点差からの逆転確率と、n点差状態のプレイ時間全体に対する割合、いや、逆転確率a%以下の状態がプレイ時間全体に対してどれだけの割合か、がいいかな」
「それでモノポリーのデータと比べたりしてみたいですね。まあそういうわけで、麻雀は点数を競うのに適したゲームなのですよ」
「だとするとどうなる」
「どうなるって、そう、点数の記録をつけると面白いですよ。半荘ごとのプラスマイナスと順位、あるならチップ、簡単なルールのメモ。対戦相手のデータをとりはじめると一気に複雑になるから、そこから先には気合が必要になります」
「東風荘のレーティングとかか。あの計算式って具体的にはどうなっているんだろうな」
「レーティングって対戦をAリーグBリーグCリーグとかにレベル分けしなくて済むから、4人ゲームである麻雀には適しているのでしょうが、少し気持ち悪いですね」
「ABCリーグ制だってすっきりしたものでもないだろう。時に片山まさゆきの新連載は読んだ? オカルトシステムのやつ」
「ちらちらと」
「レナガの話をしよう。麻雀漫画描きの多くはレナガ売りだ。レナガとは実証されていない原理、格好良く根拠のない言切り、非合理的なセオリーだ」
「流れのアナグラムでレナガね」
「麻雀は面白い。しかし漫画を描くとして、合理的に解析するアプローチだけではネタが不足する。だからレナガを作る。その作品世界の中では通用する原理、現象だ。爆岡の手牌看破、鉄壁の色の支配、理想雀士のイケテル・ヤバゾー。それがあるとしたらゲームはどうなるのか、どんな戦いがされるのか。シミュレーションに変なルールを放り込んでその挙動を楽しむんだ」
「麻雀漫画に限った話ではないんでしょう」
「現実に変なものを混ぜてシミュレーションしてみる、と言ったらほぼすべての物語に当てはめることができるわけだが、麻雀漫画は変な現実の中で変なゲームをするという2重構造が明確で云々とかいうようなことが言いたい」
「なるほど。で?」
「まさゆき先生のオカルトシステムはまさにこのレナガなのではないかと思っていて、どんな話になるのか楽しみなのが一つ。あとね、レナガというのは現実に適用することもできる。プレイヤーが皆流れがあるものとしてプレイする、そういうゲームもできる」
「それ、何だか嫌な気がします。そこからできるだけ離れることが、我々のするべきことなのでは?」
「ゲームには2つのアプローチがある。勝利と、技術だ。勝利のためにできるだけ合理的な選択をすること、この姿勢が前者だ。これを根本におくとき、後者はそのための手段だ。勝つために技術を身につける」
「ザッツライ」
「だが技術を身につけ、あるいは語ることは、それ自体楽しいことだ。時に勝つことに匹敵するだけのね。理想としては勝利追求の結果として技術による楽しみを得る、これが君の主張でもあろう。しかし人によっては技術が勝利と並立してしまう、さらに技術が勝利よりも根本におかれてしまうことがある。レナガを現実のゲームに適用するというのは、そういうことだ」
「論を楽しむあまり、空理を使うに至る。愚かしいですね、それは」
「勝利を技術より根本におく人間にはね。ゲームを、語るためのネタ、他人とのコミュニケーションの話題として扱うなら……」
「それも勝利追求の結果としての技術で足ります。それでは話のネタの量が不十分だというなら、その人は怠慢、力不足なのです。ネタはまだいくらでもあります。オカルトは物語の世界にとどめるべきです」
「だろうね。現実についても同じ型の議論ができそうだな。現実には2つのアプローチがある」
「現実はネタとして不足だから、非科学的な要素を持ち込んで楽しもうというという人達がいる、ですか。そういう話をするなら、現実の勝利条件を定義する必要がありますね」
「勝利を根本におく人にはな。勝利条件などいらない、という人は、そうでない人なんだろう。抽象的な話になってきたし、天気の話でもするかね」
「ここ数日寒いですね、夏も終わりだな。太平記しません?」
「ふむ。では、奇数で僕が公家ってことで……」


2000/09/09 (土)


2000/09/10 (日)


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