bでも十分上にソートされるはず日記
2002/04 その1

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2002/04/09 (火)

[ICOの話、つづき。霧、鳥、目。(game)]

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2002/11/29/01aに続く。
2002/01/09/01aからの続き。
 早川氏、茂内氏とガスト駄弁り。早川氏がICOをクリアしたのでその話題。早川氏はアウターワールド者かつセプテントリオン者ゆえ、絶賛。
 以下イコについて追記メモ。
 霧──霧は重要で便利。空気遠近法による距離感や空間の演出ができる*1し、遠くの風景を隠してポリゴン描画的に助かる。静止画のMYST、リアルタイムのサイレントヒルなども参照のこと。サイレントヒルの霧は綺麗で怖いんだよなあ。
 鳥──距離を感じるには、近くで見たものが遠くに見えると良い。鳩やカモメがそのために利用されている。間近で見た鳩があんなに小さく見えるぞ、なんて遠いんだ……というわけだ。でもその伝でいうと、ICOにおいて鳩が近景に、鳩より大きな鳥であるカモメが遠景に使われる傾向があるのはうまくないな。
 明暗──画面の明暗のリズムが、屋内屋外(短周期)、太陽高度と天気(長周期)。といった感じに変化して飽きさせない。
 世界観の変化──魔法の古城からスチームパンクSF気味へ、徐々に移行する。これはバイオハザード1の、ゴシックホラーからSFスリラーへの移行に相当する。飽きさせない。
 カメラ──マップをエリアに分け、カメラにルートを用意。少年*2の位置によってカメラを動かす。また、地形の高台に乗った場合は高度上げて引き、淵から落ちそうになった場合にはズーム&寄り&見下ろし(だったかな?)という処理が加わる。高さによるクリフハンガーなスリル、断崖絶壁の心地よさは、このカメラの動作あってこそ。主人公後上方カメラでは、周囲の状況(この場合、特に足元のはるか下方)が十分把握できない。
 謎との連携──シャンデリアの場面など、トリックを解かせるためにもカメラワークが利用されている。わざとらしさがなんとも楽しい。制作者の存在を感じる。うひひ。
 見晴らし──高台から遠景を見晴らす心地よさは、カメラの動作仕様によって少々損なわれている。360度を自由に見回せないのは辛い。
 崩壊──構造物が主役の作品では、それは壊れなくてはならない。城→崩れる(カリオストロ、ラピュタ)。街→壊れる(アキラ、メトロポリス)。その際、鳥が飛ぶとなおよろしい(パトレイバー1)。

 あ、そうそう、ゲド戦記の二作目、「こわれた腕輪」です。でしょう?>読んでる人。ICOやってから読め>読んでない人。
 アチュアンの墓所の、闇の迷路は素晴らしい。巫女テナー萌え萌え……とか茶化すのもはばかられる。ファンタジーの傑作です。
 ゲド戦記は、宮崎駿がアニメ化したいとオファーしてル・グウィンに断られた、とアニメージュか何かで読んだ記憶がある。なんてこった!! 信用してくれよグウィン。どんなに素敵な映画になったことか……

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 ズームアウトボタンがほしかったなあ。右スティックによるリアルタイム描画イベント中のカメラ可動は、素敵。操作によるプレイヤーのゲームへの参加が、イベント中も維持される。意識が中断しない。これは、メタルギアソリッド2の無線会話中茶々入れ機能と似ている。今後、標準になってほしい機能。
 影は、倒すのもいいけど、ねーやんをゴールに連れて行って消した時のほうが嬉しい。「安全地帯」というか結界があって、そこには影が入れない、そしてそこにたどり着ければ、影はその外でしばらく口惜しそうにうろついてから消えてしまう……てな仕様だったらどうかな。影は日の光に弱いので日向にたどり着ければセーフ、とか……

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 ところで、アウターワールド*5やMYSTは世界を作り、謎は多彩で毎回違う。プリンスオブペルシャは城を作り、同じ謎が続く。ICOも城であり、謎の多様性は低い。
 だから、次は、ICOの技術でもって、独自の世界を作って、そこを舞台にすればいい。色々のオブジェクトが溢れ、多彩な謎・トリックのありうる世界だ。高さを利用したトリックはもちろんだが、広さを利用したトリックが何かないかな……もっとも、ダンジョンアクションパズルと広さの相性は悪いんだけれども(参照:プロレスにおけるロールプレイングとネットゲーム(2)謎の範囲の提示)。考え疑う範囲が広いと、謎が解けなくなるからね。
 ギャビン・ライアル「深夜プラス1」で、私はフランスの高原地帯のよく澄んだ空気が好きだ。そこでは、ライフルの射程距離に入る前に、人の顔を見分けることができる。というのがあってかっこよかったが、そういうふうに「人の顔や装備や仕草を見分ける」ゲームってどうかな。

* 1:
 リドリー・スコットが蒸気を吹かし煙を焚き埃を立てるのに命を賭けるのと一緒。

* 2:
 少年の名はイコ、少女の名はヨルダとされているが、僕の心の中では両者とも名無しさんである。少年は少年であり、ねーやんはねーやんである。
 ちなみにねーやんが腕を調べるさまを見ると(開発途中では腕の刺青を調べるモーションだったのだが、刺青が消えてモーションだけ残ったらしい)、「掴んだ後はあんまり急に走り出したりせずに、できるだけ歩こう」と思う。椅子に座る仕草など、ポリゴン人形動作には一点豪華的な労力投入がなされているゲームだ。素敵だ。
 これはdotimpactさんの言葉だが、眼前の敵を倒してから、これで終わりか? と耳をすます感じとか、ねーやんのいない部屋からねーやんを呼んだときの、壁を見てしまう感じとか、とても情緒がある。その伝でいくと、石を投げて水面に波紋を広げたり、あるいは谷間に落ちた石の音が聞こえたりするとなお良しだな。で、そのギミックをトリックに応用するとすると……
 あ、そうそう、爆弾が爆弾の形をしているのはちょいミスだと思う。なんかよくわからない謎の物体・部品で、本来の用途ではないのだけれど、爆弾として使える。というのがいいんじゃないかな。

参考:

* 3:
 従来のエイブアゴーゴー、メタルギアソリッドなどの潜入アクションでは、敵に発見されないことが重要だったわけで、01のデジタルだった。これを改善して、NPCがPCを注視している時間と注視していない時間(注視時間にもアナログに濃淡をつけるか?)を作って、注視中にPCのとった行動が、即座にあるいは後に、NPCの行動に反映されればいいわけだ。

* 4:
 こっちが敵を索敵・視認すれば支援砲撃でボコボコにできる。敵がこっちを索敵・視認するとミサイルが飛んできてボコボコにされる。

* 5:
 アウターワールドが、同じジャガイモポリゴン異星人であっても、鉱山内の奴隷、その監守、戦士、女官など、さまざまな登場のさせ方によって広い世界を感じさせていたのに対して、エイブアゴーゴーでは仲間が、救出対象、同志、長老という立場でしかおらず、多彩さに劣った。ちょっと惜しい。

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2000/06/27/01aの続き。
 余談メモ。われわれ人間は、真に3Dなゲーム、立体空間の把握が必要なゲームを遊ぶことができない。人間には平面しか理解できない。一見立体的なアクションパズルも、実は一度に使っているのは2軸だけである。真に3Dなゲームは、サル<傍点>にしか</傍点>できない。HOMEWORLD(SFの宇宙戦闘なAOE式リアルタイムストラテジィ)の失敗はそこにある。銀河英雄伝説の戦闘はぜんぜん宇宙戦闘じゃなくて、地上戦を宇宙に持っていったものだとけなされるが、一因はここにある。星界の紋章での平面宇宙戦闘の設定が巧みだというのもそれだ。サルを訓練すれば優秀な戦闘機パイロットになるかも……まあ鳥が正道なのだが、イルカを宇宙船に埋めるSFもあった。


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