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キングゲイナーでヤッサバとゲイナーが大声張り上げている。こいつらの台詞は互いに聞こえているのか? 一感、どうでもいい・どちらでもいい問題だが、さて考えてみると、連中の台詞はもし相手に聞こえていたとしても相手の行動思考になんら影響を与えないであろう。だから物語世界内の人物間のコミュニケーション手段の役割を果たしていないといえる。富野ロボアニメのパイロット連中は独り言を絶叫しているだけだという言い方も間違ってはいない。あれらのコクピット内台詞は登場人物から鑑賞者へのコミュニケーション手段である。
鑑賞者
↑コクピット内台詞
登場人物←通常の台詞→登場人物
これは漫画ならば、集中線の中にある台詞(心の中で言う独白)が全部トゲトゲの吹き出しの中に移されること、小説ならば地の文にある独白が鍵括弧で囲まれることに相当する。
小説は人物の過去の履歴や心理動機などを地の文でもってごく短く説明することができる。侠客行(金庸)など読んでいるとアニメ26時間分のプロットが半ページの説明で済まされたりしていて目が回る楽しさである。アニメ制作者らは人物を独白絶叫野郎にすることでこの速度差をいくぶんか埋めているのであろう。