bでも十分上にソートされるはず日記
2003/03 その1

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2003/03/02 (日)

[PvP Quest。(game)]

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2003/02/18/01aからの続き。
 まだAC2のPlayer versus Playerをちゃんと遊んでないし、Realm versus Realmの出来はDAoCのほうがはるかにいいとも聞くので、おそらくヘボい文章になるが、
 PvP的クエストを考案せよ。(2点)

・特定地域A.0(かなり広い)に湧くmobQ.0を殺した際にQuest Received。パーティ構成員全員にフラグQ=0とQK=0をセット。
・Q=0状態で特定地域A.1(やはり広い)に湧くmobQ.1を倒すと、Q=1になる。
・以下、A.4とかmobQ.4程度まで用意。
・他RealmのPCを殺すと、両者のQが0以上だった場合、パーティ構成員全員のフラグQKが++される。
・他RealmのPCに殺されると、両者のQが0以上だった場合、殺されたPCにQ=-1をセット(QKの値は保持)。そのPCのQuestはFailedして、リセットタイマー(再挑戦できるようになるまでの時間)は24hours。
・Q==4&&QK>2となった瞬間にQuest Completedとなり、経験値を得る。Q=-1、QK=0をセット。リセットタイマーは24hours。
・この形態のクエストを、Quest受領条件レベルが50~46、45~41、40~36、というふうにレベル帯ごとに用意し、AやmobQをそれぞれ重ならないように配置する。
・Qが0以上のPCのレーダー上では、Qが0以上の他RealmのPCは特殊なドットとして表示される。

基本方針
・見人即誘、かなり野良invite推奨の仕様で。ただし後述の問題点を考慮する必要はある。

問題点
・適度な馴れ合い具合を達成しなくてはならない。参加者はたくさんほしいが、今日は殺されてあげるから、明日は殺させてね、というような仲良し度数100な状況ができてはよろしくない。同一人物を連続して殺してもQKは得られない、という仕様もありかもしれない。
・適度な集団性を達成しなくてはならない。クラン内、Realm内での横の協力関係は社会的快楽を生むので望ましいが、7人のレベル20+3人のレベル50、というパーティがレベル16~20のAを席捲していく、というのはよろしくない。
・逃亡と抗戦とのバランス取り(劣勢パーティがすぐ逃げるのか抵抗するのか)だが、殺された際のQKの処理(保持かデクリメントかリセットか)、必要QK数などで調整することになると思う。


2003/03/05 (水)

[二度うまいミカン。(philosophy)]

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 私とはなにか。
 身体複製機を使って僕の身体をもう一つ作ることにしよう。精神を司る器官たる脳も健全そのものである*1。コピー元をA、コピー先をBと呼ぶ*2
 AとBとの利得は、遺伝子の視点からはまったく一致する。ミームの視点からも一致する。では彼らの行動はまったく一致するか、まったく同じ行動を採るかというと、そうはいかない。
 具体的には、一方を殴れば痛がるのはそいつだけだし、片方だけ誉めればもう片方が嫉妬したりする。ドラえもんのコピーロボットも、「なんで僕が宿題やらなきゃいけないんだ? むしろ僕が怠けるから君が宿題をやれ」と言い出したりする*3
 さて、しかし、実は、この問題にはたやすい解決策があるのである。それはこのAとBとの、本体とコピーロボットとの、感覚入力と操作権をリンクさせてしてしまうことだ*5|*6
 たとえAが地球、Bが火星にいたとしても、Bが殴られたときにAも痛く、Bがミカンを食べたときにAもウマ(゜∀゜)ーければ、AはBの友達づきあいに留意して人から好かれるように振る舞うし、Bが縛り首になるようなことも避けるし、ミカンも送る。
 あとは、痛覚だけ共有するのか五感すべてか、どれだけタイムラグがあるか、互いが「寝る夜中だけ入れ替わる」のか、任意の時に「割り込めるスイッチ」を持つのか、といった量的な問題である。これを推し進めると、2つの身体を同時に操作する状態になる("コツをつかめば案外簡単なもんだよ")*7

* 1:
 僕は健全そのものだからな。
 余談だが、タイムパラドクスもののSFなんかで、自分自身に出会ってはいけない、とかいう設定をときどき見て、何それ? 意味不明だ、と思ったものだったが、つまり「ある人間の魂は一つしかない」という視点から生じてる考えなのだな。

* 2:
 永井均『転校生とブラック・ジャック』で読んだ状況設定。さらに遡るとパーフィット『理由と人格』で書かれた話らしい。
 本稿『二度うまいミカン』の文章はしかし、『転校生とブラック・ジャック』でされている議論とあまりかみ合ってない。

* 3:
 なぜなら、脳は遺伝子の利益代行者ではあるけれどこういう状況を想定してつくられていないし、そもそも利益代行者としてもちゃんと仕事していないからだ。
 脳は、RNAを通じて蛋白質経由で自分をつくりあげたスポンサーたる生殖系列が、2つの身体に入っているなどという状況には対応しておりません。またそもそも脳は、クロックの遅い処理系(RNA&蛋白質アーキテクチャ)に被せるためのハイクロック処理系(神経細胞アーキテクチャ)であり、これがきれいな設計なわけはなく、ミームなどという別のスポンサーに株式を持たれている*4し、遺伝子の利得計算も感覚細胞の入力を脳内快感物質という怪しげな評価関数に投げて行っている。

* 4:
 なお、ドーキンスの利己的遺伝子論に「個体は重要な単位だ」と待ったをかける人々が言っているのは、個体を脳というハイクロックな利益代行者が制御しているひとつの単位と考えるからであろう。つまり個体を、一つの神経系が制御する肉体と定義するわけである。

* 5:
 あれ? でも、それでもAとBが口喧嘩する状況は考えられるな。
 まあ二重人格というのもあるし、人格の統一性も定量的なものだからいいか。

* 6:
 感覚と操作という、神経系レベルでのSF外科手術的「速い」想定例のほかに、進化的「遅い」想定例もある。人間が必ず一卵性双生児で生まれるようにして、100万年ほど放っておくのである。このとき、テレパシー能力が進化的に獲得できると仮定しておく(ここがムリ)。

* 7:
 感覚・操作共有の推し進めた先は永井均のいう「ツイン・マン」状態だが、半端な状態のほうを考えてみよう。たとえば、ワイヤとジャックをつなげていって数人で痛感・快感の共有を行うと想定してみる。すると、「他の身体を殴られても痛くもかゆくもないのに、その体を殴られるととにかく痛い体がなぜか一つだけあって、一つしかない」のは、なぜというより、ハードウェア技術が足りていないからだとわかる。だからいくらでも増やせばいい。2でも1億5千万でも50億でも、ワイヤとジャックで*8。ぼくを特別扱いしているのは神経系の構造であって、麻酔がかかれば痛覚に関する≪私≫はいなくなっちゃうし、寝れば98%いない。感覚を鋭敏にする薬を飲めば150%だ。
 いま現在であっても、権力のある人は、このワイヤとジャックをいわば張り巡らしているので、部下が怪我すれば痛いし、ツレが笑っていると嬉しい。どこまでを私扱いするか、線を引くかは任意である。

* 8:
 『転校生とブラック・ジャック』94ページで、体Xが動かせて体Yに痛痒を感じ体Zの眼の視覚がある人X、体Yが動かせて体Zに痛痒を感じ体Xの眼の視覚がある人Y、というXYZの三人について言及がある。ここで

学生J──どうなりますかね、そういう場合?
先生──どうって、三人が協力して生きていくほかはないだろうね。
学生K──それでもやっぱり、≪私≫はそのうちの一人だけなんですよね?
先生──そうだよ。その点では、状況はまったく変わってないからね。「私はなぜ(XやYではなく)Zなのか?」って切実に思うだろうね。

と済ませているが、もっと先を考えられる。XYZ三人組じゃなくて、ABC三人組と呼ぶべきだと思うし、この設定では三人が対称だからみえにくいけれど、四人にしてピラミッド型にしたり、三人の権力関係のバランスを崩していってやれば、ある閾値の先では≪私≫が一人扱いできるようになる。
 関連概念:恐竜の肩と腰にあった神経節、このまえマーヴィン・ミンスキーが売っていった『心の社会』。

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 一般化して考えれば、「複製機で完全コピーしたのに」なぜ僕の意識は一方にのみ留まるのか、という問いは、「まったく分子構成の同じレンガが二つあるのに」という問いに相当する。その場合、レンガの位置が異なるのだから、地球で路装をしているか火星のアーチで橋を支えているのかでぜんぜん*9違うものだと言える。ものには他のすべてのものとの関係性があるので(この場合相対位置)、まったく同じものというのは実はなく、むしろ特定の性質を定義してそこが共通しているから同じものだと呼ぶ視点があるのだといえる。
 人格や意識は、われわれ人間がコミュニケーション対象として扱えるように定義された性質なので、殴れば逃げるし、飯をおごればなつかれる。それは通常、ある肉体に貼り付けられており、ひとつの神経系に制御されており、ある程度の合理性(遺伝的利益という目的)のもとに統一された現象をおこす。この3つの事柄が揃っている必然性はないのだがふつう揃っているので、「完全コピーしたのになぜ」という疑問に面白みがあるのだろう。

* 9:
 ぜんぜんかどうかはあやしい。すくなくとも交換できるから、互換性はある。

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メール[管理人伊藤悠 / ITO Yu / FZR02073---a---t---nifty.ne.jp]

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