bでも十分上にソートされるはず日記
2003/03 その3

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2003/03/22 (土)

[クロックタワー3。緊張から弛緩へ、被虐から支配へ。(game)]

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 スキーしに行った。で、夜の場つなぎにとクロックタワー3を買ってったんですが、これはいかん。
 主人公側に超能力と背景説明がついて萎え萎え*1だったり、バイオハザード的ボス戦に開発の労力を浪費したりしていてがっかり。イギリス女子高生もハーマイオニーたんとぜんぜん違うし。しかし、それが本筋ではない。
 一言でいえば「オープニングのイベントも終わり、操作できるようになったが、この食堂の机の下にはとうぜん隠れられるよなあ? ……入れないじゃん Σ(゜Д゜)!!」ということなのだが、もっと詳しく話そう。
 クロックタワー3では、聖水の使用回数制限とか、目の前で隠れてもバレるとか、逃亡システムの自由度が低すぎる。逃亡過程が最後まで高難度なのだ。敵の出現から逃げ切るまでずっと緊張していなければならないし、また同じ隠れ場所が繰り返し使えないために館探索においても時間に追い立てられ、緊張しつづけなければならない。道がどこまでも狭いままだ。
 クロックタワーの本来の構造は、

・館をうろついているときに「ここは隠れられるポイントでしょ」を発見。平常心
・鋏男出現。ビビる
・さっきみつけておいたポイントへ移動。ビビりが落着いてくる
・隠れて鋏男をやりすごす。嘲笑
・また館をうろつく。平常心

という転結にある。ビビりが徐々に嘲笑へと転回していくところが重要で、鋏男出現による恐怖とパニックとを、状況を把握し自分の制御下にとりもどしていく過程が面白いわけである。館の探索においてもこの構造は同じで、隠れ場所を発見してストックを増やしていくことで、この位置なら敵が出てもここで捌けばいい、という要領が広がっていき、マップが徐々に自分のものになっていく。そして完全に楽勝になる少し前に、次のマップに移る。
 つまり、勝手のわからない敵や建物を、徐々に制御下に収めていき、やがて自在にコントロールできるようになる*2、という過程を繰り返す構造である。緊張から弛緩へ、被虐から支配へ。
 クロックタワーがつくるべき道は、細くなり広くなりを繰り返す道であって、おつかいADV+時間制限+高ストレスアクションなどという細さ一辺倒な道ではない。そういうようなことを言わせてもらってまとめとさせてもらう。

* 1:
 いにしえのデーモンハンターな家系の血が……ひそかに果たしてきた使命が……うんぬん、やる気がありすぎ。無印の一般市民がなぜかしら殺人鬼に追われはじめる、という不条理な状況だからこそ無力感が生まれ、逃亡という展開が自然になるのに。反撃も反撃で、知恵と勇気でやってこそ燃える。謎聖水や謎オーラアローで敵を撃つのは東京魔人学園的B級伝奇の世界でやってください。

* 2:
 自分のアクション性能に習熟し、線形の環境に対処していくゼルダの伝説やトゥームレイダー的アクションゲームとの違いがここにある。クロックタワーは、環境に習熟してその内部の敵をさばいていくゲームなのだ。ゼルダではマップは一過性のもの、通り過ぎるものであり、プレイヤーが身につけていくのはプレイヤーキャラクターたるリンクやリンクの得たアイテムの使い方である。クロックタワーでは、プレイヤーが身につけていくのはマップの利用法である。イメージとしては、箱を傾けてビー玉をころがして迷路を脱出させる玩具だ。
 刻命館というのもあるが、あれは環境を作ってそれによって敵を捌くゲームなのでクロックタワーとはまたちょっと違う。

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