人狼/邪推妄推の類


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2000.9.27 ver1.0
2000.11.9 ver1.1


 今回はかなり短時間で書写することができた。約5時間。聞き取りづらい単語に拘らなかったためか、相当楽だった。仮名/漢字の割振りを漢字寄りにしてみたのだが、いったん始めると止まらなくなってしまいやや困惑。

 僕は参考図書としてジョン・ル・カレをお勧めする。「寒い国から帰ってきたスパイ」等。

 「あの子はとっても純粋で真直ぐな所があって、その癖強情で言う事聞かない所もあって」この台詞は圭のホラというか嘘、ツクリであるが、圭にとって七生は、そうなっていた(逮捕を拒んで死んでいた)かもしれない(しかしそうはしなかった)自分であって、その意味で二人は姉妹とも言えて、どうのこうの。

 地下水道でセクトの兵站部隊は降伏しなかった。これを包囲した第一中隊も一度しか降伏を呼び掛けず、本心からの勧告でないように聞こえる。辺見と公安部作戦課の前に立ち塞がった伏が先に撃たないのも、無言の内に降伏を勧告しているのだろうが、彼等は脅えながらもそれを拒否し交戦する。辺見もまた。そもそも、七生も逡巡する伏の前で自爆している。
 この映画で降伏するのは屋内訓練中の二人だけであり、教官に怒られている。いやもう一人、圭が生きさらばえて公安に下っている。

 「判っているなら何故やらん」は、「判っているなら何故撃たん」つまりこれも「何故撃たなかった」の一変形か。

 伏-圭の「好いた相手を殺す」ラインと、塔部-辺見の「教え子を殺す」ラインとを比べること。
 「女でも出来たかな」の時点で塔部は圭の身辺を洗わせているのだから、「何か聞いているか」は辺見に対する鎌掛けだ。そこで煙草を点けて自分の表情を隠すあたりが塔部の巧みなところで、思わず塔部を見てしまう辺見は若い。
 「彼奴がそうだと」俺はそうじゃなかったんですか、教官。「何が違うと言うのだ。俺と、何が」

 辺見-伏の「特機の友人を裏切るのは」ラインでは、「話しませんでしたっけ」のちょっと自慢気なところが可愛い。そう、彼奴は首都警の下らん連中でやれるような奴じゃないぜ。
 「気をつけろ」は、あわよくば自治警を失敗させ、自らの手で伏および圭を押さえようという辺見の小技か。だがそれも人狼側の「先の先」による優位に対しては、釈迦の掌の上の孫悟空なのだが。
 辺見LOVE。

 ドイツに占領された日本。「メンバー」「チャンス」「ダイヤシャツ」「ミルキー」「キャラメル」「ストーブ」「トースター」「レストラン」「ゲームコーナー」「ジュース」「パラダイス」等の英語が気になったのだが、ニフティfjmovie人狼特設会議室で花關索/永瀬唯さんの言うには、戦前に定着していなかった単語は「ゲームコーナー」くらいのもの、とのこと。
 怪しいのは「ストーキング」"stalking"が"das Pirschen"または"die Pirschjagd"かな。
 でももっと独語の台詞や看板があっていいと思うが。
 余談だが、漫画の犬狼伝説完結編には「(パン)サータンク」のプラモデルの箱が出てきたけれど、いいのかしらん。

 自宅で寝転がる圭。町並の窓の灯りが、目のようだ。もっと言えば、圭を見張る(公安部か人狼の)目。さらに言えば、伏の夢の中で二人を取り囲んでいたプロテクトギアの目。

 月チェック。絵本を繰る伏。「寒いね」。窓際に立つ室戸。地下水道入口に立つ辺見。埋立地の伏。

 埋立地に立つ室戸と辺見を、ゴミの山を舐めて写すカットは、人狼の(写真を撮った)メンバーの視点なのだろう。公園を出る伏と圭のカットに同じ。

 負傷した辺見の呼吸(呻き)のリズムが、グランドを走る伏のそれと同じ……に聞こえないこともないこともない。

 「奪還されるリスクを冒さず、しかもその死亡を敵に確認させない為にも、取るべき方法は一つしかない」しかしこれは間違っている。圭は、死ななくてもいいのだ。
 取るべき方法が一つしかないのだとしたら、同じ論理により、相手は圭の死亡を確信することができる。本当はサイコロを振って、ある(低い)確率で圭を生かし匿っておくべきなのだ。そして相手つまり公安部もサイコロを振り、ある確率で、圭の生死を確認できていなくても、特機隊に手出しをしなくてはならない。これはゲーム理論の問題である。

 絵本では「そして狼は、女の子を食べた」であるはず。「赤頭巾を食べた」としているのにはなにかしら含みがあるのかもしれない。


人狼関係のうちの日記
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よそへのリンク
野良犬の塒の人狼のページ ここで大安定。もっとも、ここを知らずにうちへ来る人のどれだけいることか。
プロダクションI.G.の人狼制作日誌 人狼制作担当堀川憲司氏によるもの。非常に面白いから読むべし。


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