もののけ姫テキスト

管理人
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(字幕)
むかし、この国は深い森に
おおわれ、そこには太古から
の神々がすんでいた。
(字幕終わり)
ヤックル
兄さま
ちょうどよかった
ヒイさまが、みな村へ戻れと
ジイジもそう言うの
ジイジが
山がおかしいって
鳥たちがいないの
獣たちも
そうか。ジイジの所へ行ってみよう。みんなは早く戻りなさい
はい
何か来る
ジイジ、何だろう
わからん。人ではない
村の方は、ヒイさまがみなを呼び戻している
来よった
タタリ神だ
タタリ神
ヤックル、逃げろ
村の方へ行く。襲う気だ
アシタカ、タタリ神に手を出すな。呪いを貰うぞ
ヤックル
鎮まれ、鎮まりたまえ。さぞかし名のある山の主と見受けたが、なぜそのように荒ぶるのか
お化け
村へ
止まれ、なぜわが村を襲う、やめろ。鎮まれ
しっかり
倒した
兄さま
ヒイさまを早く
火を絶やすな
兄さま
カヤ、触れるな。ただの傷ではない
アシタカが手傷を負った
ヒイさまは
みな、それ以上近づいてはならぬぞ
ヒイさま
この水をゆっくりかけておやり
はい
いずこよりいまし荒ぶる神とは存ぜぬも、かしこみかしこみあおす
この地に塚を築き、あなたの御霊をお祭りします。恨みを忘れ、鎮まりたまえ
汚らわしい人間どもめ。わが苦しみと憎しみを知るがいい
さて困った事になった。かの猪は、はるか西の国からやって来た。深手の毒に気触れ、体は腐り、走り走るうちに呪いを集め、タタリ神になってしまったのだ。
アシタカ彦や、みなに右腕を見せなさい
ヒイさま
アシタカ彦や、そなたには自分の定めを見据える覚悟があるかい
はい。タタリ神に矢を射る時、心を決めました
その痣はやがて骨まで届いて、そなたを殺すだろう
ヒイさま、何とかなりませんぬか
アシタカは村を守り、乙女らを守ったのですぞ
ただ死を待つしかないというのは
誰にも定めは変えられない。だがただ待つか自ら赴くかは決められる。見なさい
あの猪の体に食い込んでいたものだよ。骨を砕き、はらわたを引き裂き、むごい苦しみを与えたのだ。さもなくば猪がタタリ神などになろうか
西の国で何か不吉な事が起こっているのだよ。その地に赴き、曇りのない眼で物事を見定めるなら、あるいはその呪いを絶つ道が見つかるかもしれん
はい
ヤマトとの戦に破れ、この地に潜んでから五百有余年。いまやヤマトの王の力はない。将軍どもの牙も折れたと聞く。だが、わが一族の血もまた衰えた。この時に一族の長となるべき若者が西へ旅立つのは定めかもしれぬ
掟に従い見送らぬ。健やかにあれ
兄さま
カヤ。見送りは禁じられているのに
お仕置きは受けます。どうかこれを、私のかわりにお供させてください
大切な玉の小刀じゃないか
お守りするよう息を吹き込めました。いつもいつも、カヤは兄さまを思っています。きっと、きっと
私もだ。いつもカヤを思おう

来るな
回り込め
野郎、兜首だ
勝負、勝負
やめろ
何だこの腕は
逃がさぬぞ、見参
押し通る。邪魔するな
鬼だ
痣が濃くなっている
なんとも、白湯みたいな飯だな
お、いたいた
これでよいか
何だいこりゃ。御足じゃないじゃないか。御足がなきゃ米を返しな
待て待て。拙僧が見てやろう
お、これは
女。これは砂金の大粒だぞ
そうだ銭がいいなら代金はわしが払おう。これを譲ってくれ
皆の衆、この近くに両替屋はおらんかの。ああ、おらんか。拙僧の見るところ、米一俵か、いや三俵か
ああ、ちょっと待ちなさい
返しとくれ。あたしんだから
おい、そう急がれるな
いや、礼などと申す気はない。礼を言いたいのは拙僧の方でな。田舎侍の小競り合いに巻き込まれた折り、そなたのおかげで助かったのだ。いや、鬼神の如きとはまさにあれだな
ほほう、気づいたか。人前で砂金など見せるとな、まことに人の心のすさむ事、麻のごとしだ。寝込みを襲われてもつまらぬ。走るか。え
ほう。猪がタタリ神になったか
足跡を辿ってきたのですが、里に降りたとたんわからなくなりました
そりゃあそうだろう。そこらを見なさい
この前来た時は、ここにもそれなりの村があったのだがな、洪水か地滑りか、さぞたくさん死んだろうに
戦、行き倒れ、病に飢え。人界は恨みを呑んで死んだ亡者でひしめいとる。崇りというなら、この世は崇りそのもの。うん、旨い
里へ下りたのは間違いでした。二人も殺めてしまった
いや、おかげで拙僧は助かった。椀を出しなさい。まず、食わねば
人はいずれ死ぬ。遅いか早いかだけだ。ほう、雅な椀だな
そなたを見ていると古い書に伝わる古の民を思い出す。東の果てに赤鹿に跨り石の蕚を使う勇壮なるエミシの一族あり、とな
肝心な事は死に食われぬ事だ。いや、これは師匠の受け売りだがな、さ、そなたの米だ。どんどん食え
このようなものを見た事はありませんか
これは
猪の体から出てきました。巨大な猪に瀕死の傷を与えたものです
これよりさらに西へ西へ進むと、山の奥のまた山奥に人を寄せ付けぬ深い森がある。シシ神の森だ
シシ神の森
そこでは獣はみな大きく、太古のままに生きていると聞いた
やはり行くか
みな、あと僅かだ。油断すまいぞ
出たぞ
犬神だ
牛を落ち着かせろ。焦らずに陣を組め
急いて火薬を濡らすな。十分に引き寄せよ
一番。放て
二番。放て
化け物め。口程にもない
あれは子供だ。母親がなぜ来ぬ
モロだ
モロ、来い
やりました
彼奴は不死身だ。このぐらいでは死なん
すぐ出発しよう
谷に落ちた者はどうします
隊列を組み直せ
息がある
しっかりしろ
わが名はアシタカ、東の果てよりこの地へ来た。そなたたちはシシ神の森に住むと聞く古い神か
去れ
コダマ。ここにもコダマがいるのか
静かに。動くと傷に障るぞ。好きにさせておけば悪さはしない。森が豊かなしるしだ
こいつらシシ神を呼ぶんだ
シシ神? 大きな山犬か
違う。もっとおっかねえ、化け物の親玉だ
ヤックルが平気でいる。危険なものは近くにはいない
すまぬが、そなたたちの森を通らせてもらうぞ
お願えです、戻りましょうよ。向こう岸なら道がありやす。この森を抜けるなんて無茶だ
流れが強すぎて渡れない。それに、この怪我人は早くしないと手遅れになるぞ
道案内をしてくれてるのか、迷い込ませる気なのか
旦那、こいつらわしらを帰さねえ気なんですよ。どんどん、増えてやすぜ
お前たちの母親か。立派な木だ
あの少女と山犬の足跡だ。ここは彼らの縄張りか
旦那。今度こそやばいですよ。ここはあの世の入り口だ
そうだな。ちょっと休もう
足跡
蹄が三つ。まだ新しい
だ、旦那。どうしたんで
旦那、大丈夫ですかい。顔色が真っ青ですぜ
だからやばいって
お前、何か見たか

いや、いい
もうちょっとの辛抱だ。しっかりしろ
すまねえ
行ってしまった
なぜだ。あれから急に体が軽くなった
あれ、痛くねえ
治った
あ、やっぱり折れてる
旦那すげえ、どんぴしゃだ。タタラに着いた
まるで城だな
エボシさまの大タタラでさあ。砂鉄を沸かして鉄を造ってるんです
おーい
おーい
森から人が来る
もののけか
おーい。俺だ、牛飼いの甲六だ
何、甲六が
幽霊か
まさか
嘘じゃない、今舟でこっちに来る
顔もしかと見たのか
ええい、何事か。俺が字を書いてる時は静かにしろ
死んだ筈の甲六が向こう岸に出たんでさあ
なにい
幽霊じゃねえな
他の奴はどうした
あと二人落ちたんだ
助けられたのは俺達だけだ
死ぬのは牛飼いばかりさ
あけろ
ゴンザさま。あの赤頭巾の者、何者でしょう
見慣れぬ姿だな
石火矢の衆よ、この旦那がずっと負ぶってくださったんだ。礼を言っとけ
そこ持つなって
そこの者、待て
怪我人を届けてくれた事、まず礼を言う。だが得心がいかぬ。われらがここへ着いて半時もせぬうちにお前は来た。しかも谷底から大の大人を担ぎ、シシ神の森を抜けてだと
甲六、生きとったんか
おトキ
ああ、この愚図。牛飼いが足を挫いて、どうやっておまんま食ってくんだよ
んなこと言ったって
心配ばかりかけやがって。いっそ山犬に食われちまえばよかったんだ。そうすりゃあたいはもっといい男を見つけてやる
おトキ。堪忍してくれよ
トキ。夫婦喧嘩は余所でやらんかい
何さ偉そうに、怪我人を捨ててきやがって。何のための護衛なのさ。普段タタラの一つも踏まないんだ。いざという時は命を張りやがれ
仕方なかろう
ありがとう。あんな亭主でも助けてくれて嬉しいよ
よかった。連れてきてはいけなかったのかと心配してしまった

へえ、いい男じゃないか。ちょっと顔を見せておくれよ
ゴンザ。後で礼を言いたい。客人を案内しなさい
甲六
へい
よく帰ってきてくれた。すまなかったな
へ、へい
そんな滅相もない、エボシさま。馬鹿がつけあがるだけですよ
トキも堪忍しておくれ。私がついていたのに、ざまあなかった
いいえ、男たちだけだったら今頃みんな仲良く山犬の腹ん中に納まってますよ
本当
違いない
旅の方
ゆるりと休まれよ
あら、やっぱりいい男じゃない
モロをやっつけて運んだ米だ。ありがたく食えよ
え、どの人
あの人
本当、トキの言った通りじゃん
いい男ね
ちょっと若すぎる
年なんか平気なくせに
静かにしねえか。通夜やってんだぞ
いい男ならここにもいるぞ
やなこった。牛飼いなんて
ねえ旅のお方、あたいたちの所へ来なよ。こんな臭い小屋はやめてさ
何でい、俺たちが命懸けで運んだ米を食らってよ。口が腐るぜ
ふん。その米を買う鉄は誰が作ってんのさ
あたいたちは夜っぴてタタラを踏んでるんだ
もしよかったら、あなたたちの働くところをぜひ見せてください
本当かい。じゃ白粉塗ってタタラを踏まなきゃ
紅もさす?
本当だよ
待ってるからね
旦那、気を悪くしねえでくだせえ
大体エボシさまが甘やかしすぎるんで
いい村は女が元気だと聞いています
でもな、タタラ場に女がいるなんてな
普通は鉄を汚すって、そりゃあ嫌がるもんだ
エボシさまときたら売られた娘を見るとみんな引き取っちまうんだ
優しい方なんだよ
爺さん口から飯が出てるよ
そのくせよ、掟も崇りもへいっちゃらな恐い人よ
そうそう、山犬なんぞ目じゃねえさ。名護の守をやったときなんか見せたかったぜ。なあ
名護の守?
すげえでかい猪でよ。この辺りの主だったのよ。でよ、誰も山に近よれねえ。お宝の山を見ながら、人間さま指をくわえてたのよ
この下じゃ砂鉄を採り尽くしちまったからな
何人ものタタラ師がここを狙ってよ。みんなやられちまったんだ
俺たちの稼業は山を削るし、木を切るからな。山の主は怒ってな
お、始めたな
そこへエボシさまが石火矢衆を連れてあらわれたってわけだ
どうしたんで
腕が痛むんで
いや、その猪の事を考えていた。いづくで果てたか、さぞ恨みは深かろう
アシタカとやら、待たしてすまぬな。いい鋼だ。明日の送りの仕度に手間取ってね
ちょっと休もう。みなにそう言っておくれ
はい
そなたを侍どもかもののけの手先と疑う者がいるのだ。このタタラ場を狙う者はたくさんいてね
旅のわけを聞かせてくれぬか
このつぶてに覚えがある筈。巨大な猪神の骨を砕き肉を腐らせ、タタリ神にしたつぶてです。この痣はその猪にとどめをさしたときに受けたもの。死に至る呪いです
そなたの国は。見慣れぬ鹿に乗っていたな
東と北の間より。それ以上は言えない
貴様。正直に答えぬと叩き切るぞ
そのつぶての秘密を知ってなんとする
曇りなき眼で見定め、決める
曇りなき眼
わかった。私の秘密を見せよう。来なさい
エボシさま
ゴンザ。後を頼むよ
ここはみな恐れて近よらぬ私の庭だ。秘密を知りたければ、来なさい
邪魔するよ
ちょうど組みあがったところですよ
まだちょっと重いな
そのように軽々と持たれて
あまり削ると胴金が弾けます
私だけが使うのではない。ここの女たちに持たせるのだ
さぞ見物でしょうね
この者たちが考案した新しい石火矢だ。明国のものは重くて使いにくい。この石火矢なら化け物も侍の鎧も撃ち砕けよう
恐や恐や。エボシさまは国崩しをなさる気じゃ
急がせてすまぬな。後で酒など届けよう
そりゃあ豪気じゃ
あなたは山の神の森を奪いタタリ神にしても飽き足らず、その石火矢でさらに新たな恨みと呪いを生み出そうというのか
そなたには気の毒だった。あのつぶて、確かに私の放ったもの。愚かな猪め。呪うなら私を呪えばいいものを
その右腕は私を殺そうとしているのか
呪いが消えるものなら私もそうしよう。だがこの右腕、それだけでは止まらぬ
ここの者全てを殺すまで鎮まらぬか
エボシさま、長が何か申しております
エボシさま、その若者の力を侮ってはなりませぬ
お若い方。私も呪われた身ゆえ、あなたの怒りや悲しみがよくわかる。わかるが、どうかその人を殺さないでおくれ。その人はわしらを人として扱ってくださったたった一人の人だ。わしらの病を恐れず、わしの腐った肉を洗い、布を巻いてくれた

生きる事はまことに苦しく辛い。世を呪い人を呪い、それでも生きたい。どうか愚かなわしに免じて
また来ていたか
夜になるとああして戻ってくるのだ。山を取り戻そうと木を植えに来る
アシタカ、ここに留まり力を尽くさぬか
あなたはシシ神の森まで奪うつもりか
古い神がいなくなれば、もののけたちもただの獣になろう。森に光が入り山犬どもが鎮まればここは豊かな国になる。もののけ姫も人間に戻ろう
もののけ姫
山犬に心を奪われた哀れな娘だ。私を殺そうと狙いつづけている
シシ神の血はあらゆる病を癒すと聞いている。業病に苦しむあの者たちを癒し、そなたの痣を消す力もあるかもしれぬぞ
エボシさま。首尾はいかがでしょうや
上出来だ。まさに国崩しにふさわしい。が、やはりちょっと重いな
恐や恐や
あんた
トキさん。私も踏ませてくれ
え、ちょっとあんた
替わってくれないか

折角だから替わってもらいな
あ、うん
すごい力
本当に来てくれたんだね
ね、いい男だろ
あらあらこの人、裾を気にしてるよ
そんなに力むと続かないよ、旅人さん
厳しい仕事だな
そうさ。四日五晩踏み抜くんだ
ここの暮らしは、辛いか
そりゃさ。でも下界に比べりゃずっといいよ。ねえ
うん
お腹一杯食べられるし、男が威張らないしさ
そうか
明日行っちゃうの
もっといればいいのに
ここで働きなよ
ありがとう。どうしても会わなければならない者がいるんです
来る
もののけ姫だ
もののけ姫だ
やめろ
そなたと戦いたくない
この野郎
上だ、跳んだぞ
屋根の上だ
御殿の方へ行くぞ(?)
入ってきたのは姫一人だ
おのれ(?)
かがり火を増やせ。石火矢衆は柵を固めて外へ逃がすな。持ち場を離れるな。うろたえるんじゃねえぞ
この屋根の上にいるらしいよ
騒ぐんじゃない。休まず踏みな。火を落とすと取り返しがつかないよ
一人か
ああ。余程追いつめられたと見えます。エボシさまを狙ってのことでしょう
仕方がない。来なさい
止まれ、止まれ
どこどこ
もののけ姫、聞こえるか。私はここにいるぞ
お前が一族の仇を討とうというなら、こちらにも山犬に食い殺された夫の無念を晴らそうと、心に決めた者たちがいる
出ておいで、今夜こそけりをつけてやる
出た
いたぞ
あんなところにいやがる
もののけ姫か
降りて来やがれ
前を開けろ。流れ弾にあたるぞ
前を開けろ
前を開けろ
罠だ
やめろ
山犬の姫、森へ帰れ。みすみす死ぬな
退くも勇気だ。森へ帰れ
あいつ、やはり
好きなようにさせておけ
やった、落ちるぞ
動くな
首だけになっても食らいつくのが山犬だ
落ちたところを狙いな
はい
放て
動くな
しっかりしろ
やめろ
やっちまえ
(?)
逃がしちゃ駄目だよ
殺せ
ゴンザさま、お気を確かに
俺に構うな。行け
うぬは
やはりもののけの類か
止まれ
退いてくれ
何の真似だ、アシタカ
この娘の命、私が貰う
その山犬を嫁にでもする気か
そなたの中には夜叉がいる。この娘の中にもだ
みんな見ろ。これが身のうちに巣食う憎しみと恨みの姿だ。肉を腐らせ、死を呼び寄せる呪いだ。これ以上憎しみに身を委ねるな
賢しらに僅かな不運を見せびらかすな。その右腕、切り落としてやる
エボシさま
誰か、手を貸してくれ
心配するな。じきに気がつく
早く水を持っといで
この娘私が貰い受ける
お待ち。逃がしゃしないよ。よくもエボシさまを
う、動くんじゃない
キヨ、やめな
当たったのに歩いとる
エボシさまは
ご、ご無事です
俺の石火矢を持ってこい。石火矢衆はここに集まれ。このまま逃がしてなるか
おトキ、早く
あんた
旦那、ここは通れねえ。許しがなければ門は開けられねえんだ
どうか、お戻りを
あなたは仲間を助けてくださった。敵にしとうありません
どうか
私は自分でここへ来た。自分の足でここを出ていく
無理です。十人かかって開ける扉です
旦那いけねえ。死んじまう
動いた
どけ
山犬だ。火、火、火
やめろ。そなたたちの姫は無事だ
今そっちへ行く。ヤックル行こう
世話になった
行ってしまわれた
お待ち
私の獲物だよ
お前撃たれたのか
死ぬのか
なぜ私の邪魔をした。死ぬ前に答えろ
そなたを死なせたくなかった
死など恐いもんか。人間を追い払うためなら命などいらぬ
わかっている。最初に会ったときから
余計な邪魔をして無駄死にするのはお前の方だ
その喉切り裂いて二度と無駄口叩けぬようにしてやる
生きろ
まだ言うか
そなたは、美しい
どうしたサン。俺が噛み砕いてやろうか
猴々たち
猴々ども。われらがモロの一族と知っての無礼か
ここはわれらの森
その人間寄越せ
人間寄越してさっさと行け
失せろ。わが牙が届かぬうちに
行け、行け、俺たち人間食う
その人間食う
その人間食わせろ
猴々たち、森の賢者と称えられるあなたたちが、なぜ人間など食おうというのか
人間食う
人間の力貰う
人間やっつける力欲しい。だから食う
いけない。人間を食べても人間の力は手に入らない。あなたたちの血が汚れるだけだ。猴々じゃなくなっちゃう
木植えた
木植え
木植えた
みな人間抜く。森、戻らない
人間殺したい
私たちにはシシ神さまがついてる。諦めないで木を植えて。モロの一族は最後まで戦うから
シシ神さま戦わない。わしら死ぬ。山犬の姫平気、人間だから
無礼な猿め。その首噛み砕いてやる
おやめ
平気。気にしない。お前たち先に帰りな。この人間の始末は私がする
あいつは
食べていい
食べちゃ駄目。さ、行きな
おいで、仲直りしよう。お前の主人を運ぶから、力を貸しておくれ
お前は賢いね。この島には上らないほうがいい
人間臭い
好きな所へ行き、好きに生きな
出た、でいだらぼっちだ。ついに見つけた
何をしとる、早く見んか。何のためにこんな臭い毛皮を被って耐えてきたんじゃ
シシ神さま見ると目が潰れるわい
それでも主は西国一の狩人か。この天上さまの書き付けをなんと心得る。天上さまがシシ神退治を認めとるんだ。早くしろ
でいだらぼっちはシシ神の夜の姿だ。今に夜から昼の姿に変わる。そこがシシ神の住み処だ。おお、消えるぞ、あそこだ
ジコ坊さま
うむ、わかっておる
あそこを
なんともおびただしい数だな
ありゃあこの森のもんじゃねえ。それぞれいづくかの山の名のある主だ

鎮西の乙事主だ
鎮西、海を渡ってきたというのか
間違いねえ。あの四本牙、一族を率いて来やがったんだ
ばれたか。引き上げだ。急げ
早くしろ。跳べ、跳べ
傷がない
ヤックル
目が覚めてたらヤックルに礼を言いな。ずっとお前を守っていたんだ
どうして、ヤックルの名を
自分から色々話してくれた。お前の事も、故郷の森の事も
シシ神さまがお前を生かした。だから助ける
不思議な夢を見た。金色の鹿だった
食べろ
噛め
われらは人間を殺し森守るために来た。なぜここに人間がいる
私の娘だ。人間などどこにでもいる。自分の山に戻りそこで殺せばいい
シシ神の森を守るために殺すのだ。なぜ人間がここにいる
この人間の傷をシシ神さまが癒した。だから殺さずに帰す
シシ神が人間を助けた? シシ神が人間を癒しただと
なぜ名護の守を助けなかったのだ。シシ神は森の守り神ではないのか
シシ神は命を与えもし、奪いもする。そんなことも忘れてしまったのか、猪どもめ
違う。山犬がシシ神を一人占めしているからだ。名護を助けず裏切ったからだ
彼奴は死を恐れたのだ、今の私のように。私の体にも人間の毒つぶてが入っている。名護は逃げ、私は逃げずに自分の死を見つめている
モロ、だからシシ神さまに
サン。私は既に十分に生きた。シシ神は傷を治さずに命を吸い取るだろう
そんなことない。母さんはシシ神さまを守ってきた
蝌されぬぞ。名護は美しく強い兄弟だ。逃げる筈がない。山犬どもが食ったんだ。食っちまったんだ
黙れ。母さんを馬鹿にすると許さんぞ
荒ぶる山の神々よ、聞いてくれ。名護の守に止めをさしたのは私だ
村を襲ったタタリ神を私はやむなく殺した。大きな猪神だった。これが証だ
あるいはこの呪いをシシ神がといてくれぬかとこの地へ来た。だがシシ神は傷は癒しても痣は消してくれなかった。呪いがわが身を食い尽くすまで、苦しみ生きろと
乙事主だ。少しは話のわかる奴が来た
待って乙事主さま。この人を食べては駄目
モロの娘だね。噂は聞いていたよ
あなた、目が
どいとくれ。食いはしない
山犬の姫、構わない。名護の守の最後を伝えたいから
ありがとうよ、お若いの。悲しい事だ。一族からタタリ神が出てしまった
乙事主殿。この崇りを消す術はないのだろうか
森を去れ。次に会う時はお前を殺さねばならぬ
乙事主よ。数だけでは人間の石火矢には勝てぬぞ
モロ。わしの一族を見ろ。みんな小さく馬鹿になりつつある。このままではわしらはただの肉として人間に狩られるようになるだろう
気にいらぬ。一度にけりをつけようなどと、人間どもの思う壺だ
山犬の力を借りようとは思わぬ。たとえわが一族ことごとく滅ぶとも、人間に思い知らせてやる
シシ神さま
(?)
まだ撃つな。引き寄せろ
放て
弾込め急げ
(?)
おのれ
やれやれエボシの奴、相手が違うだろうに
お前たち、先に行き潜んでおれ
見えた。帰ってきたよ
お頭
おお、苦労をかけるな
そろそろ動く。みなにもそう伝えよ

ジコ坊か
師匠連から矢の催促だ。田舎侍と遊んどる時ではないぞ
浅野公方が地侍どもをそそのかしているのだ
浅野か。大侍だな
鉄を半分寄越せと言ってきた
そりゃあ業突くだ
だが、今は人間とやりあう暇はない。森に猪神が集まっておる。じきに来るぞ。この際鉄など全部くれてやれ。師匠連への約束を果たしてから戦でも何でもやればよかろう
エボシさま、お早く。侍が来ます。早く
噂をすれば。あれは浅野の使者だな
使者だ。丁重にもてなしなさい
はい
お帰りなさい
お、おい。会わんのか
タタラ場のエボシとやら。先ほどの地侍相手の戦、見事なり。われらは公方さまの使者として参った。かしこまって門を開け
うん。用があるならそこで言いな
この山はエボシさまがもののけから切り取ったんだ
金になるとわかって手え伸ばしやがって
とっとと帰れ
女ども、使者への無礼許さんぞ
無礼だってさ
こっちは生まれた時からずっと無礼だい
鉄が欲しけりゃくれてやるよ
いやあ参った参った、大侍ももののけも眼中になしか。エボシタタラの女たちの勇ましい事よ
こんな紙切れが役に立つのか
まあいろんな輩を集めるには効き目がある。獣とはいえなにしろ神を殺すのだ
はい、エボシさま
そなたたちこの書き付けがわかるか。天上さまのだ
天上さま
天上さまって
帝だ

いや、参った参った
いいよ
はい
私たちがここで鉄を作りつづければ、森の力は弱まる。それからの方が犠牲も少なくすむが
金も時間も十分につぎ込んだ。石火矢衆四十名を貸し与えたのは鉄を作るためではないぞ。とまあ、師匠連は言うだろうな
まさかそなたまでシシ神の生首に不老不死の力があると思っていまいな
やんごとなき方々や師匠連の考えはわしにはわからん。わからん方がいい
約束は守る。モロ一族のかわりに猪の群れが森にひしめくならかえってやりやすかろう。崖の裏に潜んでいる怪しげな手下どもを呼び寄せるがいい
いや、ばれていたか
そうだ、もう一つ。少年が一人訪ねてこなかったか。赤鹿に乗った不思議な少年だが
去った
何か気味が悪いよ
ありゃあただの狩人じゃねえ。地走りだ
地走り
あたしたちもお供させてください
あんな連中を信用しちゃあ駄目です
エボシさまに何かあったら取り返しがつかないもの
折角石火矢を覚えたんだから
だからこそみんなにここを守って貰いたいのさ。恐いのはもののけより人間の方だからね
シシ神殺しがすんだら、色々わかるだろうよ。唐傘連の師匠たちがシシ神の首だけでここから手を引くもんかね。侍だけじゃないよ。石火矢衆が敵となるかも知れないんだ
男は頼りにできない。しっかりやりな、みんな
エボシさまの事は案ずるな。このゴンザ必ずお守りする
それが本当ならね
なにい
あんたも女だったら良かったのさ
辛いか
そこから飛び降りれば簡単にけりがつくぞ。体力が戻れば、痣も暴れ出す
私は何日も眠っていたようだな。夢うつつにあの子の世話になったのを覚えている
お前が一声でも呻き声をあげれば噛み殺してやったものを、惜しい事をした
美しい森だ
乙事主はまだ動いていないのか
穴に戻れ、小僧。お前には聞こえまい。猪どもに食い荒らされる森の悲鳴が
私はここで朽ちていく体と森の悲鳴に耳を傾けながら、あの女を待っている。あいつの頭を噛み砕く瞬間を夢見ながら
モロ、森と人が争わずにすむ道はないのか。本当にもう止められないのか
人間どもが集まっている。彼奴らの火がじきにここへ届くだろう
サンをどうする気だ。あの子も道連れにするつもりか
いかにも人間らしい手前勝手な考えだな。サンはわが一族の娘だ。森と生き、森が死ぬ時はともに滅びる
あの子を解き放て。あの子は人間だぞ
黙れ小僧! お前にあの娘の不幸が癒せるのか。森を侵した人間が、わが牙を逃れるために投げて寄越した赤子がサンだ。人間にもなれず、山犬にもなりきれぬ、哀れで醜い可愛いわが娘だ。お前にサンを救えるか
わからぬ。だがともに生きる事はできる
どうやって生きるのだ。サンとともに人間と戦うというのか
違う。それでは憎しみを増やすだけだ
小僧。もうお前にできる事は何もない。お前はじきに痣に食い殺される身だ。夜明けとともにここを立ち去れ
歩けたか
ありがとう。サンとシシ神さまのおかげだ
ヤックル。心配かけたな
足がすっかり鈍ってしまった
静かすぎる。コダマたちもいない
タタラ場の臭いが微かに風に混じっている
案内ご苦労。一つ頼みがある
サンにこれを渡してくれ
行こう
ひどい臭い。鼻がもげそう
ただの煙じゃない。私たちの鼻を効かなくしようとしているのさ
あの女がいる
こっちに気づいている
見え透いた罠を張ったものだ

猪どもをいきり立たせて森からおびき出そうとしているのだよ。余程の仕掛けがあるのだろう
教えなきゃ。猪たちは動き始めている。みんなやられてしまう
乙事主とて馬鹿ではない。全てわかっていても猪たちは正面から攻撃したいのさ。それが猪の誇りだからね
最後の一頭になっても突進して踏み破る
木を切り始めた
あれも誘いだ
母さん、ここでお別れです。私乙事主さまの目になりに行きます。あの煙に困っている筈だから
それでいいよ。お前にはあの若者と生きる道もあるのだが
人間は嫌い
アシタカが、私に
綺麗
お前達はサンとお行き。私はシシ神の側にいよう
行こう
モロ一族もともに戦う。乙事主さまはどこか
ありがとう
タタラ場からだ
行こう
何者か
侍だ
止まれ
押し通る
来いや
こりゃあ魂消た
止めたぞ
やるのう
(?)
やめとけ、矢の無駄だ
早く早く
本当だ
あの人だよ
幽霊じゃないよね
アシタカさま
おトキさんか。みんな無事か
見ての通りさ。男たちの留守を狙って、侍どもが押し寄せて来やがった
下はやられちまった。女ばかりと甘く見やがって
エボシ殿は
動ける男はみんな連れて、シシ神退治に行っちまってる
こう囲まれては報せようがなくてさ
シシ神退治
やはりさっきの音は
旦那。預かってましたぜ
何で鞍と蓑も持ってこなかったのさ
だって
この役立たず
甲六、ありがとう。エボシ殿を呼びに行く。それまでもつか
いざとなったら融けた鉄をぶっかけてやるさ
やった
アシタカさまお願いします
エボシさまに早く
やあ、外したか。舟が来ますぞ、お早く
エボシさまを頼みます。私らも戦いますゆえ
必ず戻る。頑張れ
頼むよ
気をつけて
出たぞ、一騎
追手がかかった。頼むぞヤックル
生き物の焼ける臭いだ
ヤックル
来いや
来るな
ヤックル、傷を見せろ
すまない。ここで待っててくれ、必ず戻る
駄目だ、待ってろ
頑張れ、もう少しだ
何者か
ここは修羅の庭。余所者はすぐに立ち去れ
この死者たちの世話になった者だ。急ぎ伝える事がある。エボシ殿に会いたい
エボシはここにはいない。伝えよう。用向きを話せ
本人に話す。エボシ殿はどこか
旦那
生きとったんですか
頭。むごい事になったな
まだ何人も埋まってるんでさ
ひでえなんてもんじゃねえ
タタラ場が侍に襲われた
女たちが上の郭に立て篭もって頑張っている。今ならまだ間に合う
えれえ事になった
浅野のやつらだ。留守を狙いやがった
エボシ殿はここにはいないのか
へえ。シシ神殺しに森へ
すぐ呼び戻せ。間に合わなくなるぞ
用向きがすんだなら即刻立ち去れ。みな仕事に戻れ
おい、ほっとく気かよ
ちょっと待ってくだせえ
やつらタタラ場を見殺しにする気だぞ
狩りを待ってたりしたら手遅れになっちまう
すぐ使いを出せ
森は深くて広い。使いの出しようがないのだ
(?)でもなんでも、あんたらの得意だろうが
エボシさまはやつらに踊らされてるんだ
攻め寄せた猪のなかに山犬はいなかったか

サン、いやもののけ姫は
さあ、わからねえ。真っ黒になって押し寄せてきたから
いました。俺たちは一番上にいたから
それで
わからねえ。突然何にもわからなくなっちまった
唐傘のやつら俺たちを餌に猪を誘き寄せ、地面ごと吹っ飛ばしやがったんでさあ。上からも地雷花を投げやがった
サンはどうした
落ち着け、お前を助けたい
山犬だ、山犬が生きてるぞ
旦那、何を
旦那
どけい。小僧何をしている
この者に案内を頼むのだ。私がエボシを呼びに行く
さては魔性の類か
どけい
シシ神の首とタタラ場とどちらが大切なのだ
毒針だ
やめろ
みんな力を出せ、梃子を使え
出たぞ
みんなは沢を下って湖の近くに隠れていてくれ
へい
お気をつけて。石火矢衆もやつらの仲間です
預かってくれ。最後の矢が折れてしまった
お前はみんなと行きな。ヤックルを頼む
サンのところへ。そこにエボシもいる
地走りどもに遅れるな。今日こそけりをつけるのだ
ジコ坊さま
おお、様子はどうだった
深手を負った乙事主は、もののけ姫とさらに森の奥へ向かっております
やはりシシ神に助けを求める気だ。ぴったり貼り付けよ。人と見破られてはシシ神は出てこぬぞ
言われる迄もねえ
奴の顔に塗ったのは猪の血か
地走りの技だ。おぞましいものよ
頑張って。もうじきシシ神さまのお池だから
何か来る
乙事主さま、様子がおかしいの。もうちょっとだから頑張って
とても嫌なものが来る
何だろう。血の臭いで鼻が効かない
猴々たち
お前たちのせいだ
お前たちのせいでこの森終わりだ
何を言う。森のために戦った者へのこれが猴々の礼儀か
お前たち破滅連れてきた
生き物でも人間でもないもの連れてきた
生き物でも人間でもないもの
来た
森の終わりだ
戦士たちが
戻って来た
戻って来た。黄泉の国から戦士たちが帰って来た
続け、戦士たち。シシ神のもとへ行こう
乙事主さま落ち着いて。死者は蘇ったりしない
戦士の生皮を被って臭いを消しているんだ。中は人間だ
止まって。やつらシシ神さまのもとへ案内させる気なんだ
シシ神よ出でよ。汝が森の神なら(?)、わが一族を蘇らせ、人間を滅ぼせ
乙事主さま、心を静めて
囲まれるぞ。そいつはもう駄目だ。捨てて行こう
駄目。今見捨てたらタタリ神になってしまう
お前は母さんにこのことを報せて。人間の狙いはシシ神さまだ。母さんが生きていれば知恵を貸してくれる
お行き。山犬の血を途絶えさせちゃ駄目
いい子
最初の者を殺す。森中にお前たちの正体を知らせてやる
アシタカが
おのれ
火だ
体が火のようだ
駄目
乙事主さま、タタリ神なんかにならないで
乙事主さま
応えた
わかるか
サンが危ない
行こう
熱い
嫌だ、タタリ神なんかになりたくない。乙事主さま
遅い。乗れ
山犬だ
出た
エボシ
くそ(?)
先に行け
エボシ、話を聞け
やめい、やめい
アシタカか
タタラ場が侍に襲われている。シシ神殺しをやめてすぐ戻れ
女たちが戦っている。男たちも山を下った。みなそなたの帰りを待っている
その話、信ずる証拠は
ない。できるならタタラ場に留まり戦いたかった
シシ神殺しをやめて侍殺しをやれと言うのか
違う。森とタタラ場、双方生きる道はないのか
あいつ、どっちの味方なのだ
エボシさま、戻りましょう
女たちにはできるだけの備えをさせてある。自分の身は自分で守れと
池だ。シシ神は近いぞ
いよいよ正念場だ。油断するな
あの女、いなくとも
神殺しは恐いぞ。あいつにやってもらわにゃ
モロ、死んだのか
サン
サン、どこだ
アシタカ
乙事主
去れ、童
ここで争うとシシ神は出てこぬぞ
乙事主よ、鎮まりたまえ
乙事主よ、山犬の姫を返してくれ。サンはどこだ
サン、聞こえるか。私だ、アシタカだ
サン
あいつを静めろ
殺せ、奴を射殺せ
サン
アシタカ
やれやれ、あの女のために残しておいた最後の力なのに
結界を張れ
お前たち手出しをするんじゃないよ。崇りなんぞ貰うもんじゃない
言葉までなくしたか
おう、よくやった。もういいぞ、怪我人の手当てをしてやれ。下がれ
いやいや、恐ろしい眺めよ
出た
私の娘を返せ
アシタカ
お前にサンが救えるか
シシ神
エボシ、撃つな
エボシ、そなたの敵は他にいる筈だ
石火矢が効かぬ
首を飛ばさねば駄目か
サン
死ぬな
なんと。シシ神が命を吸い取るのか
いかん。でいだらぼっちになるぞ
みな、よく見届けよ。神殺しがいかなるものか。シシ神は死をも司る神だ。怯えて後れをとるな
やめろ
エボシ
くそ、化け物め
やった。首桶を急げ
ジコ坊。首桶を持って来い
担ぎ手がやられた。早く、早く
シシ神の体に触れるな。命を吸い取られるぞ
受け取れ、約束の首だ
エボシさま
モロめ。首だけで動きおった
やばいぞやばいぞ、急げ。ほら、急げって
ジコ坊さま
逃げろ
沢へ逃げろ(?)
わしは泳げんのだ
水の底は歩ける
そいつを寄越せ、八つ裂きにしてやる
モロが仇を討った。もう罰は受けてる
エボシさま
手を貸せ
余計な情けを
おトキさんたちに連れて帰ると約束した
首を探している。ここも危ない。サン、力を貸してくれ
嫌だ。お前も人間の味方だ。その女を連れて、さっさと行っちまえ
サン
来るな。人間なんか大嫌いだ
私は人間だ。そなたも人間だ
黙れ。私は山犬だ
サン
寄るな
すまない。何とか止めようとしたんだ
もう終わりだ。何もかも。森は死んだ
まだ終わらない。私たちが生きているのだから。力を貸しておくれ
こら待て、手伝え
どいつもこいつも本当に
首が動いとる
こいつが呼んどるんだ
取れたよ、トキ
ありがとう
やけに静かだね
夜明けを待つつもりさ
あの若者はエボシさまに報せてくれただろうか
アシタカさまはきっとやってくれるよ。もうそのへんに来てるかもしれないよ
だらしない顔しちまって。おい、甲六
今のうちさ。寝かしといてやりなよ
何だろう。気味が悪いね
でいだらぼっちだ
持ち場を離れるんじゃないよ
どうしよう、こっちへ来るよ
駄目だ。逃げよう
タタラ場を守るんだ。エボシさまと約束したんだから
あの人だ。アシタカさまだ
みんな逃げろ。シシ神が首を取り戻そうと追って来たんだ
あのどろどろに触ると死ぬぞ
水の中へ行け。どろどろが遅くなる
男たちとエボシは対岸をこっちへ向かっている。私たちは首を取り戻してシシ神に返す
アシタカ
急げ
来るよ
どうしよう、こっちへ来るよ
来るぞ
どうしよう、おトキ
騒ぐんじゃない。みんなを湖へ
はい
落ち着いて。怪我人や病人に手を貸すんだよ
早く早く
そっちへ行っちゃ駄目だよ
大屋根が
もう駄目だ。タタラ場が燃えちまったら、何もかもお仕舞えだ
生きてりゃ、何とかなる。もっと深い所へ。早く
いた、あそこ
お行き
その首、待て
おお、お主も生きとったか。よかった
首をシシ神に返します。置いて早く逃げなさい
馬鹿を言うな。今更取り返しはつかん。日が出れば全て終わる。見ろ、命を吸って膨らみすぎたのろまな死神だ。日にあたれば奴は消えちまう
ジコ坊さま、追いつかれます。早く
な。天地の間にある全てのものを欲するは人の業というものだ
あなたを殺したくはない
へへ、いや参ったな。そう恐い顔をするな
走れ
駄目だ
アシタカ
いかん
囲まれた
朝日よ出でよ
桶を開けろ
わからん奴だな。もう手遅れだ
アシタカ、人間に話したって無駄だ
人の手で返したい
ええい、どうなっても知らんぞ
シシ神よ。首をお返しする。鎮まりたまえ
来よる、来よる、来よるぞ
動かなくなったぞ
男たちだ
エボシさま
ええ、騒ぐな。傷に障る
倒れる、倒れる
掴まれ
(?)
すげえ。シシ神は、花咲か爺だったんだ
サン、サン見てご覧
蘇っても、ここはもうシシ神の森じゃない。シシ神さまは死んでしまった
シシ神は死にはしないよ。命そのものだから。生と死と、二つとも持っているもの
私に生きろと言ってくれた
アシタカは好きだ。でも人間を許す事はできない
それでもいい。サンは森で、私はタタラ場で暮らそう。ともに生きよう。会いに行くよ、ヤックルに乗って
ざまあない。私が山犬の背で運ばれ、生き残ってしまった。礼を言おう。誰かアシタカを迎えに行っておくれ
みんな初めからやり直しだ。ここをいい村にしよう
いや参った参った。馬鹿には勝てん