はじめに(説明書より)

 このたびはスーパーファミコン「アウター・ワールド」をお買い上げいただきありがとうございました。本作品「アウター・ワールド」は、ビクター音楽産業株式会社が自信を持ってお薦めする全く新しいタイプのアクションゲームです。
 このゲームにはたくさんの映画的な技法が、今話題のポリゴン技術で再現されています。ズーム、パン、クローズアップ、切り替えし(原文ママ)、サブプロットの導入等など。用語はともかく、途中で挿入されているエピソードをご覧いただければ映画との近似性は一目瞭然です。映画の中を、見ている観客自身が動き回る、誰もが夢見ていて今まで果たし得なかった夢の実現に最も近づいたのが本作品「アウター・ワールド」と言えるでしょう。
 インタラクティブを希求する時代への回答の一例として、本作品をお楽しみください。

解説

 今にもあの言葉が出てきそうですね。ほらあのインタ……インタラクティ……ムー…………げほげほ。

レスター・ナイト・チェイキンの物語(説明書より)

研究所は豪雨にさらされていた。車で研究所に乗り付けたレスター・ナイト・チェイキンは天気のせいであまり機嫌がよくなかった。嵐のせいで彼の実験はずっと延期されているのだ。分厚い雲がピカッとひかり、彼を驚かせた。
そんなレスターを想像だにしない出来事が待ちかまえていようとは‥‥。

エレベーターに足を踏み入れると、その静けさに一時外の喧噪を忘れることができた。ゆっくりと研究所に下りて行くにつれて、胸騒ぎが高まってゆく。空気中の静電気までも感じとることができるようだ。仕事から離れた何ヵ月かの間に、自分の仕事をじっくりと考え直し、ミスを発見することができたのだ。これを直せば粒子加速実験は上手くいく、レスターはそう確信していた。
研究所の中に入る前に、いらいらする保安装置のチェックが待っていた。すでに実験を始める準備は出来ているのに、こんな些細なことで時間を無駄にしたくはなかった。やっと分厚い扉を通り抜けて、オフィスと呼ぶ実験室に足を踏み入れる。幾層にも重なったノートの束、ジュースの空き缶、ピザの空き箱等が散乱し、彼がこの研究室でずっと過ごしていたことを物語っていた。スイッチを入れると、コンピュータがピッという音とともに生き返った。彼の指はキーボードの上を素早くすべり始め、パスワードを打ち込み、新たな実験に必要な数値を打ち込んでいく。後は実験が始まるのを待つだけだ。もう何百回と繰り返している実験の準備をコンピュータがしている間に、レスターはコーラの缶を手に取り、プルリングを引き上げた。何時間かの後に、コンピュータが結果をはじき出してくれる。その時、自分が正しかったのかどうかが分かるのだ。だが、今夜の嵐はいつもと様相が違っていた。実験の成果を見守っている間も、嵐はすさまじい勢いで吹き荒れている。

稲妻のうねりが冷たい夜気をナイフのように切り裂き、致命的な一撃が研究所を直撃した。レスターは外で何が起こっているのか分からなかった。コンピュータが加速器を作動させているちょうどその時、稲妻が一直線に加速器システム内部に入り込んでしまったのだ。レスターが冷たい飲み物を手に座っている、まさにその時、光が彼めがけて突き進んできた。稲妻が加速器の端を直撃し、壁を突き破り、炎を巻き起こす。炎がレスターの周囲を蛇のように取りまいた。そして、電流が許容量に達すると、まばゆいばかりの爆発が起こった。

レスターがいた場所は、ぽっかりと空いていた‥‥。

解説

 訳はなかなかのもので、「打ち込む」「炎」といった言葉が繰り返されていたり「座っている、まさにその時」「許容量」とかいう言い回しが不自然とはいえセガサターン版ウォークラフト 2 の 16 倍はまし。しかし何ヵ月も仕事を離れていた間ピザの空き箱なんかを放りっぱなしにしていたのはあの黒い奴がいっぱいいそうでやばい。いやそもそも実験が延期されているのは嵐のせいだというが何ヵ月も嵐が続いているのか? このあたりは少しおかしい。保安装置の場面でもいらついてるようには見えないし部屋もそんなに散らかってないし。まあタイトルアニメーションとマニュアルの担当が違うのだろう。あ、あとエレベーターは語尾を伸ばしているのにコンピュータは止めているのがおかしいかしら。
 「レスターがいた場所は、ぽっかりと空いていた‥‥。」

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