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<少女革命ウテナ>

Part 1, 生徒会篇

Episode #1

ナレーション:あれは、昔々のお話です。あるところに、お父様とお母様を亡くし、深い悲しみにくれる、幼いお姫様がいました。そんなお姫様の前に、白馬に乗った、旅の王子様が現れます。りりしい姿、やさしい微笑み。王子様はお姫様を、バラの香りで包み込むと、そっと涙をぬぐってくれたのでした。
ディオス:「たった一人で、深い悲しみに耐える小さな君、その強さ、気高さを、どうか大人になっても失わないで。今日の思い出にこれを」
ウテナ:「私たち、また会えるわよね」
ディオス:「その指輪が、君を僕のところへ導くだろう」
ナレーション:王子様がくれた指輪は、やはり、engage ringだったのでしょうか。...それはいいとして、お姫様は、王子様にあこがれるあまり、自分も王子様になる決意をしてしまったのです。でもいいの?ホントにそれで??

タイトル:「薔薇の花嫁」

若葉:うーん遅いなあ...んもう、もういつまで待たす気かしら!? 新学期早々遅刻しちゃうじゃない!
友人:若葉!なにしてんの、そんなとこで?
若葉:ふふん。彼氏と待ち合わせなのさ!
友人:彼氏? ...ははーん、あんた、フラれたわね。彼氏なら今朝はとっくに寮を出たわよ!
若葉:何だって??...おのれ許さーん!

教師:天井ウテナ、あなたは新学期になっても、そのへんてこな格好を続けるつもりですか?
ウテナ:へんてこ?
教師:へんてこ。
ウテナ:男子はみんな似たような格好をしてますよ?
教師:あなたは女子! だから、なぜ、男子の、制服を、着ているのですかああああ!?
ウテナ:女子が男子の制服を着ちゃいけないっていう校則はないな。問題ないです。じゃ、そういうことで!
教師:おのれ...新学期もごまかし続けるつもりだな....!

生徒達:ウテナさま〜〜〜!!!きゃー
バスケ部某:あーあ。やれやれ。また完敗か。
生徒達:あ〜ウテナさま〜私のタオル使ってください〜〜!!
ウテナ:はいはい。順番にね。

バスケ部某:なあ天上、おまえがうちのバスケ部に入ってくれたら、地区予選は楽勝なんだけどなー。
ウテナ:あのねー、ボクは女子!いやだよ汗くさい男子にまぎれてバスケやるのは。
バスケ部某:いいじゃん。男子みたいなもんだろ、天上は。
ウテナ:失礼なこと言うなよな!
バスケ部某:じゃあ、なんでガクランなんて着てるわけ?
ウテナ:王子さまだよ。
バスケ部某:は?
ウテナ:ボクは、守られるお姫様より、かっちょいい王子さまになりたいの!
バスケ部某:なんじゃそりゃ?

ウテナ:この香りは...? バラの香りだ...いつからだろう、バラの香りになつかしさを感じるようになったのは?
ウテナ:あ? あれれ、なんだあ? 痴話ゲンカか? そういうのは人の見てないところでやってよね。
(slap)
ウテナ:おいおい、ちょっとやりすぎだよ!....ああよかった。

若葉:ウテナ〜〜
ウテナ:あっ若葉! 重い重い!!
若葉:今朝私を置いてけぼりにした罰よ!おだまんなさい!
ウテナ:はいはい
若葉あら?西園寺さま!
ウテナ西園寺?
若葉:え知らないの?西園寺さまを?
ウテナ:へえー有名人なんだ? 手前のやつは知ってるよ。確か生徒会長の桐生冬芽だろ?
若葉:そ。で、もう一人の方が、副会長の西園寺莢一さま!
ウテナ:あの女の子は?
若葉:ああ。姫宮アンシーよ。
ウテナ:姫宮アンシー...。
若葉:頼まれもしないのに、バラの世話ばっかりしてる、変な子。今日から私たちと同じクラス。
ウテナ:ふーん。西園寺って、あの姫宮って子とつきあってんの?
若葉:ま、まさか! 硬派の西園寺さまが、あんな子に関心持つはずないわ!同じ生徒会だから、一緒にいるだけよ!!
ウテナ:若葉ってああいうのがタイプなんだ!
若葉:もうやあねえ! 妬いたりして! 心配しなくても、私はウテナだけのものよ!何てったってもうそのへんの男子よりもずうっとずうっと、カッコいいんだから!

西園寺:急な呼び出しだねえ。生徒会の諸君。
幹:西園寺さん。僕たちはバラの刻印により選ばれたメンバーです。
樹璃:掟を守ることは、我々の唯一のルールだってことを忘れるな。
冬芽:西園寺。近頃おまえの花嫁への接し方には少々問題がある。
西園寺:へえ。そうなのかい?
確かに花嫁は、今おまえとエンゲージしている。だがそれは、節度なく好き放題していいってことじゃない。
幹:好き放題。
樹璃:好き放題って?
冬芽:花嫁への乱暴は止せ。西園寺。我々生徒会の存在は、世界の果ての意志だ。そのことを知れば、世界の果ても決して快く思うまい。
西園寺:ふふふ。よけいなお世話だ。花嫁は現在、僕とラブラブの状態にある。他人の君たちにとやかくいわれたくないねえ。
(ストップウォッチ)
幹:ラブラブ?
アンシー:私は今、西園寺さまの花嫁です。すべて西園寺さまの思うがままです。
西園寺:まあ二人はそういうことだ。そこまでバラの刻印の掟にこだわるんなら、掟通り決闘で花嫁を勝ち取るんだな。生徒会の諸君。
冬芽:すぐにも次の決闘があることを忘れるな。
西園寺:誰が挑んでくるか楽しみにしているさ。(笑い)

(eyecatch)

若葉:うわあーきれいねー! バラの模様。ねえそれって、うちの学校の校章?
ウテナ:そう見えるよねー。
若葉:誰かにもらったの?
ウテナ:白馬の王子さま。
若葉:え?
ウテナ:「その指輪が、君を僕のところへ導くだろう」
若葉:なにそれ?
ウテナ:確か、誰かにそんなことを言われてもらったような気がするんだけど...。小さい頃だったからよく覚えてないんだ
若葉:あるある、そういうの。あたしも子供の頃ね、ママに、あんたはタマネギ王国のお姫様よ、って言われて信じてもんね。
ウテナ:昔からそういうおでこだったんだ。

生徒達:(騒いでいる)
若葉:なにかしら?
生徒達:何だこれ〜(笑い)
ウテナ:何だ?
生徒:誰かのラブレターが貼りだされてるんだってさ。
ウテナ:ラブレター?
生徒:えーと、何々?「....そして私は、夢の中で西園寺さまと踊っていました。あなたは優しくほほえんでいました...私ってバカですよね」だってさ!(笑い)
ウテナ:バカはおまえらだ! 悪趣味だから、こういうのはなし!
生徒:はってたら読むぞ、ふつう。
ウテナ:こういう場合、いい男は読まない! ...若葉? 若葉!
若葉:(crying)
ウテナ:この手紙、若葉が西園寺に?...許せない。西園寺ってやつ!

西園寺:しらないねえ。おおかた僕の捨てた手紙を、誰かがゴミ箱から拾って勝手に貼りだしたんだろ。
ウテナ:どうして人目につくようなところに捨てた!
西園寺:僕の手紙を僕がどう処理しようと勝手だろう。しかし、なるほどなあ。あんなバカな、いや、愉快な手紙は、みんなで楽しむのが一番の使い道だ。話ってのは、それだけかい?
ウテナ:いや。...あんた、剣道部の主将だってな。今日の放課後、ボクと決闘だ!
西園寺:何だ?おまえは? そうか...君が次の挑戦者だったのか...
ウテナ:何のことだ?
西園寺:わかった。放課後、学園裏の決闘広場の森で会おう。
ウテナ:森って、あの立入禁止になっている森のことか?

影絵少女A:かしらかしら、ご存じかしら? 
影絵少女B:今日も裏の森で、また決闘があるんですって!
影絵少女A:おお勇者さま! お友達のために闘う、おせっかいな勇者さま!
影絵少女B:でもでも、勇者さま、
影絵少女A:森に掟があることを、
影絵少女B:果たしてあなたはご存じかしら?
影絵少女:かしらかしら、ご存じかしら〜!

ウテナ:なんだよ?こんなところにどうやって入れっていうんだ? やっぱり、鍵がかかっているじゃないか...。...冷たいっ!
(ゲート開く)
ウテナ:なんだ?この入り口は? ...ともかく、入ってもいいってことだな。

ウテナ:どうして空中にお城が...?
西園寺:そうか...あの城を見るのは初めてだったのか?
ウテナ:何だあれは?あんなの森の外から見えなかったぞ?
西園寺:蜃気楼の一種さ。まあ、手品みたいなものだと思えばいい。
ウテナ:蜃気楼?
西園寺:それにしても、生徒会以外にも、君のようにバラの刻印を受け取ったものがいたとはな。
ウテナ:バラの刻印?
西園寺:これのことさ
ウテナ:その指輪は...!
西園寺:アンシー、用意しろ!
ウテナ:姫宮アンシー!? ...姫宮、なぜきみがここに?
西園寺:花嫁は当然立ち会うさ。決まりだからね。
ウテナ:花嫁? ...この香り...同じだ。あの人のバラの香りと。
アンシー:この胸のバラを散らされた方が負けですから。
ウテナ:え?
アンシー:がんばってくださいね。
(slap)
アンシー:あっ...
ウテナ:なにをする!
西園寺:ふざけるなアンシー。おまえはバラの花嫁だ。つまり僕だけの花だ。なのに他のやつにがんばれとは、どういう意味だ。
アンシー:すみません。西園寺さま。
ウテナ:バカ!こんなにされて、何でやつに従う!?
アンシー:西園寺さまは、今現在の決闘の勝者ですから。私を思いのままにできるのです。
ウテナ:なんだよそれ。恋人じゃなかったのか?
西園寺:さあ、はじめようぜ。
ウテナ:よくわからないけど、ともかく、やつに勝てばいいんだな。

アンシー:気高き城のバラよ...
ウテナ:何だ、また手品か?
アンシー:私に眠るディオスの力よ。主に答えて、今こそ示せ!
西園寺:世界を革命する力を!

西園寺:(笑い)なかなかやるじゃないか。女の子にしては! か弱いお姫様を助ける、王子さまのつもりか? ふふふふ。だが!
ウテナ:! まさか...その手品の剣、本物なのか?
西園寺:驚いたな。何の仕掛けもないただの竹刀で、このディオスの剣に挑んでくるとはね。
ウテナ:ディオスの剣?
西園寺:ディオスの剣を知らないのか? 君は何者なんだ? 興味深い存在だ。
ウテナ:まだ、勝負はついちゃいない!
西園寺:確かに。お望みなら一突きで胸のバラを血に染めてあげよう。命をかけて僕に向かってくる勇気が、もし君にあるんならね、お姫様を救う白馬の王子さま。ふふふ。

ウテナ:(叫ぶ)
ディオス:...たった一人で、深い悲しみに耐える小さな君。その強さ、気高さを、どうか大人になっても失わないで。
西園寺:なに!
アンシー:!
西園寺:バカめ!
ウテナ:Ahhh!
西園寺:そんな...僕が...負けた...! アンシー!!
アンシー:ごきげんよう。西園寺...先輩!

冬芽:意外な展開だな、あの子。確か中等部の子だったな。いいね...baby。おれのハートに火をつけたよ。
ウテナ:あーあ。なんだかへんてこな目にあわされたな。いったい何だったんだ? もうはやく忘れよう。あれ...君は?
アンシー:お待ちしておりました、ウテナさま。私はバラの花嫁。今日から私は、あなたの花です。

(ending)
(preview)
ウテナ:明日の放課後、決闘広場でリターンマッチだって? その生徒会の規則に逆らう者は、学園にいられなくなるって本当か?
アンシー:いいんですかウテナさま。もう決闘は受けないんじゃなかったんですか?
ウテナ:わざと負けるさ。それで問題はないわけだ。
アンシー:ええ。お好きなように。
ウテナ:次回、少女革命ウテナ、「誰がために薔薇は微笑む」
アンシー:絶対運命、黙示録

Interview:
<"少女革命ウテナを語る" 幾原邦彦>

ウテナはやっぱり、僕がなりたい人なんですね。バカになりたい、無知になりたい、無邪気になりたい。アンシーってのは、やっぱり僕にとって、現実の体現なんだろうね。....モチベーションは言えないよね。あのーちょっとヒントを言うと、そりゃ楽しいことだよね。

アンシーというキャラクターに....キャラクターそのものにね、実際毒があるかどうかなんてのは、僕は知らないし、毒があるかのように見えるという表現をしてるんだけど、そこに悪意があることまでは、いっさい表現しないつもりだから。...自分で言うのも何だけど、あのキャラクター珍しいからね。たぶん、アニメではかつてないくらい、いなかったキャラクターではないのかっていう気がするけどね。

シーザーさんの合唱曲は、僕は10代の頃から、天上桟敷なんかでかかってた曲だったから、僕は好きだったんだけど。やっぱり、僕に言わせると、驚くっていうみんなのreactionの方が不思議なんだよね。人によっては、ギャグなのかと思って笑っちゃいましたとかって言う人もいたんだよね。そのことの意味って何なんだろうと、いろいろ思ったけど、僕の中では割と、僕の感性の中では割と当たり前だったんだけど、やっぱり日本語で、しかも化石化してるとも言えるような日本語の羅列で、その部分をたぶん笑ったと思うんだけど、つまり合唱だとふつうこうじゃないだろうっていう固定観念があったと思うんだけど、そういうものプラス、僕たちがもう日本語を嫌いなんじゃないかって思ったんだよね。

一話とか二話とかっていうのは、割と親切に作ってるつもりなんだよね。新しいおもしろさの価値を発見したいみたいなことは言ったんだけど、一話とか二話はそれでもずいぶん親切に作ってると思うんだよね。まだ最大公約数的に、誰が見てもわかるようには作ってるつもりなんだよね。いやもう一話とか二話でわけが分からんって、ずいぶん言われたんだけど、それでも僕にしてみると最大限にサービスしたつもりだったんだよね。もうこれ以上はサービスできませんって位、サービスしたんで、それを世間が望んでるかどうかは知らないんだけど、今後ますます一話とか二話的なムードからは離れていくのではないのかと思うけどね。

単純におもしろいって言われる作品だけを作りたいわけじゃないんだよね。もちろんおもしろいっていうのは、それなりに世間からのリアクションがあったってことだから、それなりの評価はありがたいんだけど、それよりはやっぱり、まあ修行僧みたいって言われるかも知れないけど、おもしろさの価値そのものもつきつめたいって思ってるんだよね。大勢のスタッフで作ってる作品だから、これっておもしろいでしょ、っていう価値をキャッチボールしていく間に、何がおもしろいんだっていう言葉をキャッチボールしている時に、かつて見たハリウッド映画的なものであるとか、かつて僕らが10代の頃に見たアニメーションの情報であるとか、かつて僕たちがおもしろいと思ったマンガであるとか、そういう、A君も知っててB君も知っててC君も知ってて、っていう共通言語でおもしろいっていうことを煮詰めていくと、やっぱり気がつくとパロディになってるんだよね。模倣になってるんだよね。それで極力僕は、そういう模倣を避けたいって思ったんだよね。

キャラクターそれぞれが、僕の分身なんじゃないかって気がするけどね。影絵少女は、僕の友達です(笑い)。かしら星から来た、女の子たちなんです。それでよく僕に、話しかけてくるんですよ。電波で普段から。

やっぱ僕らの世代って、僕らより下の世代もそうなんだろうけど、想像力が欠けてると思うんだよね。よく学生なんかで、自殺しちゃう子が多いじゃない?楽しい未来っていうのが想像できないと思うんだよね。もっとひどい言い方しちゃうと、本来、未来のモチベーションになるべきお父さんお母さんの姿を見てても、楽しそうな大人になるんだ、楽しい大人になるっていうことが想像できないと思うんだよね。接する大人、それはお父さんお母さん、学校の先生でもいいんだけど、そういうのを見てても、未来が楽しいって思えないっていうのかな。それは別にお父さんお母さんのせいじゃなくて、想像力の欠如だと思うんだけど、どっちかっていうと僕もそうなんだけど。
視聴者に対して、このようにやっていけば、楽しく未来を創造できるんじゃないか、このように生きていけば、楽しく生きていけるんではないのか、そういう風なことを表現できればなと思ってるんだけど。うまく言えばだからこそ、ウテナって無知でバカじゃない、王子様とかって言ってるじゃない、いい年して。それがバカだと思えてしまう僕たちの感性っていうのかな、そのことをバカだと思ってる僕たちの感性そのものが、下らないと思えるように、導きたいと思ってる。

<"ウテナとの出会い" 川上とも子>

私がウテナと出会ったのは、オーディション会場でした。ウテナのお話ってのは、普通の少女マンガのお話で、ウテナもいわゆる普通の、髪の毛の長い、かわいい女の子なんだろうっていう風に思って、その自分が思ったまんまに演じてしまったら、実は、ウテナは自分をボクと呼んでるし、宝塚のような感じの、少年ぽい、とてもボーイッシュな女の子だって、オーディションが終わった後に聞かされて、え!もうダメ、これは絶対落ちちゃった、わたしは違う風にやっちゃったわ、って思ってたら、じゃあ川上さんウテナ役に決まったのでよろしくって言われて、え?ウソ?いいのかな、ホントに私でいいのかな?と思って、でもとりあえず決まったから頑張らなくっちゃ、と思って、どうやって役作りしようかなと思ったときに、幾原監督にお会いして、ウテナはどうでしょう?って、できればオーディションの時、私が一人だけどうも違うことをやったと思うので、それを聞かせていただけませんか?って。で、ビーパパスさんに行ったときに、(audition tapeを)聞かせていただいて。ホントに私一人だけ、あーこの人お人好しなのね、っていうウテナになってしまっていて、でもきっとそれがよかったのかな、と思って。他のみなさんがやられてた、すごい格好いい、みんなにあこがれられちゃうようなウテナを聞いて、これはお人好しの部分と、かっこいい部分と、うまい具合にミックスできたら、私なりのウテナになるんじゃないかって思って、今まで何とか頑張って頭を悩ませて、ウテナを演じてきたんですが。

ウテナも物語の中で、運命っていうものに流されていて、でもそれにウテナは負けないように一生懸命立ち向かっていっているのが、すごく私は素敵だなあって思います。

この先、ウテナのお話がどんなになっていっちゃうのか、ウテナやアンシーや、その他の登場人物の人たちがどんな風になって行くのか。みんな、それぞれの役の人物が、ウテナのストーリーを通して、一人一人がみんなすごく成長していっているので、そういうところも見てもらって、みなさんの元気につながってくれるといいなって思います。

<"アンシーと私" 渕崎ゆり子>
私とアンシーの出会いっていうのが、ホントは私、オーディション要員に入ってなかったんですね。それで隣のスタジオにいたら、あー渕崎いるのか、じゃあお前時間あるんだったら受けていけばって言われて、ああどうもありがとうございますって感じで、それで初めてウテナとアンシーって見せていただいたんですけど。
ご存じの方はご存じだと思うんですが、私って大体、二頭身キャラばっかりじゃないですか?どうなんだろう私にはきびしいのかなーって思いながら。ウテナも受けさせていただいたんですが、ただし、でも、アンシーの見た目の不思議さと、せりふ回しとかで、素直に演じてみればいいのかなみたいのがありまして、やらせていただけたらすごく嬉しいなっていうのが最初からあったのでね、この役をいただいたときはホントに嬉しくって、ああ頑張んなきゃって思って、現場に行ったんです。

一話が終わりました。監督のところにテケテケテケ、ドキドキドキって行って、監督、どうでしたか私のアンシー?って伺ったらですね、いや、渕崎さん、その無理めのところが、この作品にはGoodですよ、って言われて、ゲ!ありがとうございますって。(笑い)どう受け取ったらいいんだろうって思いながら、きっとこのままGO!って感じなのね、って喜んで帰ってきちゃったんですけど。

アンシーの魅力って、あの子ほら、一見おとなしげじゃないですか、メガネかけて、静かにバラを育ててるような感じのところがあるんですけども。まあ彼女の不思議な存在っていうか、そういうものはみなさんよくご存じだと思うんですけど。私ね、女として、ああいうタイプって一番怖いんじゃないかなって思うんです。どっちかっていうとおとなしめ、地味めな感じがしながらも、やっぱり周りの人をどんどん巻き込んでいくあの力。だから、たとえば私に恋人ができたときに、絶対に友達だけど会わせたくないタイプっていうか。彼が、彼女のことを好きになっちゃうんじゃないかなって思うタイプなんですよね。

えーウテナの番組自身もこれからどんどんいろんな展開が出てくると思います。今もどんどんデュエリストが増えていって、かっこいい美形キャラもいっぱい出てきて。お兄さんとの関係もとっても気になるし。ということで、みなさんと一緒に、私もこれからも楽しみにしていきたいと思いますので、応援よろしくお願いします。ということで、最後に、「絶対運命、黙示録」。


Episode #2
 
生徒達:ウテナさま〜! おはようございまーす!!
ウテナ:おはよう。
生徒達:かっこいい〜〜〜!!!

Subtitile:「誰がために薔薇は微笑む」

ウテナ:おはよう!
生徒達:おはよう。

生徒:誰かのラブレターが貼りだされてるんだってさ
生徒:なになに...そして私は、夢の中で、西園寺さまと踊っていました...(笑い)

ウテナ:おはよう若葉! 珍しく読書なんかしちゃって。それ、なんていう本? ねえ?
若葉:ずっとさ...ずうっと好きだった男がいて、でも失恋するんだけど、そのすぐ次の日に都合よく他の男が現れて、ヒロインと結ばれるの。
ウテナ:あ...
若葉:昔読んだときはね、「許せん、つまらない!」とか思ったんだけど、今読むと超燃えたね! 
ウテナ:うん...!
若葉:あーやっぱ私はウテナだけのものよ! ウテナ!ウテナ!ウテナさま〜〜私だけのもの〜!
ウテナ:あ、あのさあ若葉、お願いだからその「あなたのもの」っていうのはやめてくれる?
若葉:なんで?
ウテナ:ため息...あ!
アンシー:おはようございます。

冬芽:卵の殻を破らねば、雛鳥は生まれずに死んでいく。我らが雛で、卵は世界だ。世界の殻を破らねば、我らは生まれずに死んでいく。世界の殻を破壊せよ。
together:世界を革命するために!

冬芽:世界の果てからの手紙は、諸君にも届いたか?
樹璃:ええ、届いている。
冬芽:我々は皆、手紙に従って集い、手紙の指示通りに行動してきた。この手紙に書いてある通り、昨日西園寺は敗れ、バラの花嫁はその決闘に勝った少女とエンゲージした。
樹璃:我々生徒会以外にも、世界の果てから手紙を受け取っていた者がいたのか?
冬芽:さあな。だが、バラの刻印ははめていた。この目で見た。
樹璃:何者だ?その少女。
幹:天上ウテナ。中等部では結構有名ですよ。人気者です。
冬芽:りりしくて、かわいい子だったなあ。
樹璃:冗談じゃない! 我々の知らない間に、決闘の参加者が増えているなんて。今後もそんなことがあるなら...
冬芽:あるならどうする? ゲームを降りるか? 世界の果ては、いつも一方的に我々に手紙を送ってくるんだ。それに従うかどうかは、俺たちの自由だ。
幹:このバラの刻印で決闘広場の扉が開き、手紙に書いてあるとおり、幻の城は出現しました。
樹璃:わかっている。あれだけのものを見せられたら、降りるわけにはいかない。
冬芽:そうだな。世界の果てからの手紙は言っている。決闘に勝ち、バラの花嫁とエンゲージする者が、やがてはあの城にたどり着き、世界を革命する力を手に入れるのだ。我々は、だから闘い続けなければならないのだ。
(ストップウォッチ)

若葉:もう! こーんなに仲良しこよしを別々の部屋にするなんて、神様って残酷よね。
ウテナ:しょうがないさ。生徒会の決めごとだから。ま、一人部屋らしいから、クールなボクの趣味には合ってるよ。
若葉:でも東館って、10年以上も使ってなかったから、きっと部屋の掃除は大変よ。
ウテナ:10年...。
若葉:まあ、一人で掃除するのも、きっとクールなウテナの趣味には、合ってるかもね。じゃ、私の部屋は南館の3階だから、お化け屋敷に飽きたら、遊びに来てよね!さらばじゃ〜。
ウテナ:お化け屋敷か...。

ウテナ:なんだよかわいい建物じゃん。ちぇ...若葉のやつおどかしやがって...。
ウテナ:こんにちはー。天上ウテナですけどー。...誰もいないのか? まさかこの寮に一人で住めっていうんじゃないだろうなあ。んーと二階の奥の部屋っと...。

ウテナ:10年か...ありうる。うーーん。うーーん。うーーーーん。よし!
ウテナ:あ?
アンシー:すみませんウテナさま。もうすぐ終わりますから。
ウテナ:何で君がここにいるの?
アンシー:今日からご一緒させていただくことになります。よろしく。
ウテナ:よろしく...ってここは一人部屋じゃあ...?

ウテナ:...ないのか。君と同室になるなんて、不思議な巡り合わせだな。ずいぶんきれいに掃除してあるねえ。君一人にやらせて悪かったよ。
アンシー:ゆうべのうちに、ほとんど済ましておきましたから。
ウテナ:でも、この寮の部屋割りが発表されたのはついさっきだろ?
アンシー:一緒の部屋になったのは、偶然じゃありません。
ウテナ:え...?
アンシー:それが、バラの刻印の掟なんです。
ウテナ:は?
アンシー:...私は、バラの花嫁ですから。
ウテナ:花嫁?
アンシー:私は決闘で勝った方と、エンゲージしなければならないのです。
ウテナ:大丈夫か?

ウテナ:一つ聞くけど、あの蜃気楼の城や、手品の剣とかは、いったい何なの?
アンシー:不思議ですよね...。
ウテナ:ですよねって、なに君も知らないのか? 知らないのに、なんでそんなことをしているわけ?
アンシー:...ウテナさまは、なぜいつも男装なさってるんですか?
ウテナ:これは....何となく...まあ...好きだから....。
アンシー:私も同じです。私たちがいると、迷惑ですか?
ウテナ:そんなこと...言ってないけど...え? 私たちって?
チュチュ:チュ!
ウテナ:あ?
アンシー:紹介します。友達の、チュチュです。
ウテナ:君のペット?
アンシー:友達です。
ウテナ:どうぞ。よろしくチュチュ!ボクは天上ウテナ。ボクも、君の友達にしてくれるかい?
アンシー:チュチュが他人になつくなんて初めてです。ウテナさま。
ウテナ:あのさーその「ウテナさま」ってのはやめてくれよ。
アンシー:でもウテナさまは、私とエンゲージした方ですから。
ウテナ:またそれか...

ウテナ:あの西園寺ってやつは、これと同じ指輪をしてたけど、これがなんなのか君は知ってるのかい?
アンシー:ここの生徒会の人たちは、みんな持っています。それはバラの刻印。その指輪を持っているのは、決闘の参加資格がある人です。だから現在の決闘の勝者であるウテナさまには、これからバラの刻印を持つ人たちが、次々に決闘を挑んでくるはずです。
ウテナ:冗談じゃない! ボクは、そんな無意味な決闘をするつもりはないから!

(eyecatch)

西園寺:おまえか。生徒会長。
冬芽:じゃまだったかな。副会長。
西園寺:いや、君も一応うちの部に籍を置いているんだ。
冬芽:剣道部主将が、また中学生とケンカするのか?
西園寺:当たり前だ。世界を革命する力はこの僕のものだ。あんな娘が花嫁とエンゲージするなんて間違っている。
冬芽:それは仕方ないさ。とにかく彼女は、姫宮アンシーは、決闘の勝利者とエンゲージする。
西園寺:違う! 彼女は僕のものだ。彼女は永遠に僕の言うことを聞くと、ちゃんと交換日記にも書いていた。
冬芽:してたのか?交換日記。

ウテナ:まいったなあ。この寮ってホントにボクと彼女の二人だけしかいないわけ?これもバラの刻印の掟とか言うやつか。
チュチュ:チュ!
ウテナ:チュチュ!早く彼女を呼んできてくれよ。でないと、この広い食堂で一人きりの食事になっちゃうよ。

西園寺:なぜだアンシー! どうして僕の言うことが聞けない?
アンシー:ごめんなさい西園寺先輩。今の私は、ウテナさまとエンゲージしていますから。
西園寺:しかし君は、僕とエンゲージしている時、君のすべてを僕に捧げると誓ったではないか。
アンシー:ええ。でもそれは過去のこと。あなたとのエンゲージは終わったのです。あきらめてください。
(slap)
西園寺:恥知らず!
アンシー:うっ...
西園寺:破廉恥にもほどがある
ウテナ:破廉恥なのはおまえだ!
西園寺:君か。...まあちょうどいい。この前の決闘では僕も油断した。バラの花嫁が誰のものなのか、はっきり決着をつけようじゃないか。明日の放課後、決闘広場でリターンマッチだ。
ウテナ:ばかばかしい。理由のない決闘をするつもりはないね。ボクが昨日あなたと決闘したのは、若葉の...友達のためさ。バラの花嫁なんて興味ないね!
西園寺:そっちになくても僕にはある。デュエリストとしてバラの花嫁とエンゲージするつもりなら、君は断れない。生徒会の規則に逆らうものは、この学園にいられなくなる。これは校則にも定められている。
ウテナ:わかった。受けて立つ。明日の放課後、決闘広場で会おう。
西園寺:ふん。
アンシー:決闘は受けないんじゃなかったんですか?
ウテナ:仕方ないさ。決闘を受けなきゃこの学園にいられないって言うんだから。..わざと負けるさ。それで問題はないわけだ。
アンシー:ええ。お好きなように。

影絵少女A:かしらかしら、ご存じかしら?
影絵少女B:今日も裏の森で、また決闘があるんですって!
影絵少女A:いよいよ決着をつけるときがきた。
影絵少女B:バキューン!
影絵少女A:うおーやられた....。
影絵少女B:でも平気、だってわざと負けたんだもん。
影絵少女A:でもねウテナさま。わざと負けちゃう難しさ、果たしてあなたはご存じかしら?
影絵少女:かしらかしら、ご存じかしら〜〜

西園寺:ルールは知ってるな?
ウテナ:胸のバラを散らされた方が負けなんだろ?
アンシー:お気をつけて。
ウテナ:ああ。わざと負ける勝負でケガをするのはばかばかしいからね。

アンシー:気高き城のバラよ...私に眠るディオスの力よ。主に答えて、今こそ示せ!
ウテナ:世界を革命する力を!

西園寺:もらった!
ウテナ:うっ...
西園寺:いい度胸だ。命よりバラをかばうとはな。わかっているな。生死に関係なく、バラを散らされた者の負けだ。
ウテナ:うっ...。
西園寺:ディオスの剣といっても、剣自体に特別な力があるわけではない。それはもっとも優れた者が持つべき王者の剣。昨日は油断したが、実力の差ははっきりしている!
アンシー:あっ..
西園寺:その剣も、そしてアンシーも僕のものだ。この西園寺莢一のための花だ! 覚悟!
(叫ぶ)
西園寺:うおっ...
アンシー:あ...!
冬芽:何だ? 今のは? あれが世界を革命する力、ディオスの力なのか!?

アンシー:わざと負けるんじゃなかったんですか?
ウテナ:君のためじゃない。チュチュのためさ。西園寺なんかと一緒にいたら、チュチュがいじめられそうだからね。

(ending)
(preview)
ウテナ:すごいじゃないか姫宮。ダンスパーティのクイーンにノミネートされたんだって?
アンシー:でも、私行きません。パーティ会場には知り合いもいませんし。
ウテナ:だから行くべきだよ。友達がたくさんできるって!
アンシー:ウテナさまがそうおっしゃるなら。でも、そのダンスパーティの裏には罠が...。
ウテナ:次回、少女革命ウテナ、「舞踏会の夜に」
アンシー:絶対運命、黙示録。

Episode #3

ナレーション:あれは、昔々のお話です。あるところに、お父様とお母様を亡くし、深い悲しみにくれる、幼いお姫様がいました。そんなお姫様の前に、白馬に乗った、旅の王子様が現れます。りりしい姿、やさしい微笑み。王子様はお姫様を、バラの香りで包み込むと、そっと涙をぬぐってくれたのでした。
ディオス:「たった一人で、深い悲しみに耐える小さな君、その強さ、気高さを、どうか大人になっても失わないで。今日の思い出にこれを」
ウテナ:「私たち、また会えるわよね」
ディオス:「その指輪が、君を僕のところへ導くだろう」
王子様がくれた指輪は、やはり、engage ringだったのでしょうか。...それはいいとして、お姫様は、王子様にあこがれるあまり、自分も王子様になる決意をしてしまったのです。でもいいの?ホントにそれで??

Subtitile:「舞踏会の夜に」

ウテナ:ん...指輪だけは、確かにまだここにあるんだ。あの出会いは、本当のことなんだ。
決闘広場、バラの花嫁、全部、この指輪の導きなのかな...。
アンシー:おはようございます。ウテナさま。

ウテナ:ごちそうさま。朝と夜は、この二人きりの食事が続くわけか...。
アンシー:静かでいいですね。
ウテナ:君さ、
アンシー:はい?
ウテナ:君、クラスでもいつも一人だけど、本当に、友達とかいないの?
いますよ、ここに。
ウテナ:ま、それはそれでいいとしてもだ。

ウテナ:その、ウテナさまっていい方はやめてよね?
アンシー:いけませんか?
生徒達:あ!ウテナさまよ!
生徒達:ウテナさま〜〜おはようございます! 
ウテナ:やあ、おはよう。
生徒達:ウテナさま〜〜おはようございまーす!!
ウテナ:おはよう。おはよう!...そりゃみんな確かに、ウテナさまって呼んでるけどさあ。君の場合、なんか冗談になんないんだよな。
アンシー:でも、私はウテナさまとエンゲージしましたから。
ウテナ:だからやめてくれよ、その、エンゲージした、とか、バラの花嫁ってのは。
アンシー:でも...
ウテナ:あのねー、こう見えても僕は、健全な女子なの。花嫁とか、そういうのじゃなくて、健全な男子にしか興味ないの。
冬芽:いやー、それはよかった。
ウテナ:え?
冬芽:どうも。健全な男子、生徒会長の桐生冬芽です。
アンシー:あ、おはようございます。
ウテナ:親しいの?
冬芽:そりゃもう。なにせ彼女は、バラの花嫁ですから。
ウテナ:そうか、あんたもあの決闘ゲームとかの仲間なのか。
冬芽:そのこと、誰かに話した?
ウテナ:あんなバカなこと誰にも話せるもんか!
冬芽:結構。いやー怒った顔もりりしくて素敵だねえ。天上ウテナ君。
(赤くなる)
ウテナ:気安いな。生徒会長さん。
冬芽:そうとんがるなよ。もっと仲良くしようぜ。おれと君は、まんざら縁がないわけじゃないんだ。
ウテナ:あ...あんたは、あんたは何でそれを持っているんだ?
冬芽:もちろん、君と出会うために決まっているじゃないか。
ウテナ:え...まさか
冬芽:君とはもっと、親しくなりたいな。
ウテナ:え...まさか...彼が...

冬芽:卵の殻を破らねば、雛鳥は生まれずに死んでいく。我らが雛で、卵は世界だ。世界の殻を破らねば、我らは生まれずに死んでいく。世界の殻を破壊せよ。
together:世界を革命するために!

冬芽:昨日、再び西園寺は、天上ウテナと決闘し、敗れた。
(ストップウォッチ)
幹:西園寺さんは、昨日から部屋に閉じこもったまま、今日は学園に来てないそうです。
樹璃:やつのことなどどうでもいい。それより天上ウテナだ。彼女もまた、我々と同様、世界を革命しようとしているのか?
冬芽:いや、彼女は我々と違い、世界の果てからの手紙を受け取ってはいないようだ。
樹璃:ならどうして、バラの刻印を持っている?
冬芽:さて、どうしてかな。

若葉:ウーテナーー!ウテナ、ウテナ、ウテナさま〜〜〜!!!
ウテナ:うわわわ...よっと...若葉、今のはかなり、危険だったよ!
若葉:え? ...あら、冬芽さんをみてたのね? ふーんなるほどそういうことか。
ウテナ:なにがそういうことだよ!
若葉:ふーん。でもあの人はやめた方がいいわよ。学園一のプレイボーイで、かなりの女の子が泣かされてるっていう噂。
ウテナ:そんなプレイボーイが、白馬の王子様なわけないか...。
若葉:は? ...あ、そういえばウテナって、寮は誰と同室になったの?
ウテナ:姫宮アンシー。
若葉:え? マジ? 
ウテナ:ん?
若葉:...はずしたわね。
ウテナ:はずしたって?
若葉:あの子って、案外男子にもてるみたいで、良くない噂聞くんだよね。
ウテナ:噂?

(slap)
生徒:あんたのせいよ。あんたがたらしこんだから、私たちの西園寺さんはダメになったんだ!
生徒:西園寺先輩、剣道部もずっと休んじゃってんのよ!
生徒:怖い子!
生徒:私たちの西園寺さんを返してよ!
生徒:何とかいいなさいよ!
七実:何をしてるの?
生徒達:あ...!七実様!
七実:いったいこれは何の騒ぎかしら? 場合によっては生徒会に報告しなければいけませんね。
生徒達:いいえあの、違うんです...失礼します!
七実:大丈夫?
アンシー:え...どうもありがとう。あなた、七実さん...でしたっけ。
七実:姫宮先輩は男子生徒に人気があるから、つい妬まれちゃうのね。
アンシー:え?
七実:わたくしたち一年の男子にも、姫宮先輩は一番人気なんです。何しろ、今年のダンスクイーンとしてノミネートされてるんですから。
アンシー:ダンスクイーン?
七実:この週末のダンスパーティで、学園一のダンスクイーンを選ぶことになってるの。姫宮先輩はその一人にノミネートされてるんですよ。必ずいらしてくださいね。男子たちが喜ぶし、わたくしも、姫宮先輩と仲良くなりたいって、ずっと前から思ってたの。
アンシー:??
七実:ふふふ。

(eyecatch)

アンシー:mmm...いやーだあ!引っかかっちゃった!
ウテナ:あのさー姫宮ー。
アンシー:はい?
ウテナ:君さー、ほんとに友達いないの?
アンシー:いますよ、ここに。
ウテナ:え?...ま、それはそれでいいとしてもだ。

together:ん?
生徒:姫宮アンシー様、天上ウテナ様、お届け物を持って参りました。(to アンシー)ダンスパーティのクイーンにノミネートされた印として、実行委員会より、このドレスを贈らせていただきます。
ウテナ:へえ。
生徒:週末のパーティには、是非これを着て出席していただけますよう、委員会一同、心よりお待ちしております。
ウテナ:すごいなあ。
アンシー:ウテナ様には?
生徒:それから、こちらの箱はウテナ様に、桐生会長からです。
ウテナ:え?ボクに? でもボクは関係ないよ。招待もされてないしさ。
生徒:箱の中に、招待状とメッセージカードがあるはずです。では。
ウテナ:え?げげ! なんだよこれ。ボクがこんなの着てパーティに行くとでも思ってるのかなあ。
アンシー:行かないのですか?
ウテナ:うん。興味ないからね。
アンシー:では私も。
ウテナ:え?なんで?せっかくダンスクイーンにノミネートされているんだろ?
アンシー:でも私、人が大勢いるような場所は苦手なんです。なんだか、みんな同じような顔の人に見えて、怖いんです。....さ、今度はチュチュの番よ。
ウテナ:....いや、君は行った方がいい。是非行くべきだよ。君には友達が必要だ。(chu!)...え?それはそうだけど、もっとたくさん作るべきだ。
アンシー:ウテナ様がそう言うのなら。
ウテナ:うん。....それにしてもあの男、何考えてんだか。

影絵少女A:かしらかしら、ご存じかしら?
影絵少女B:あーら奥様、ご存じザマス? 
影絵少女A:まもなく開かれる舞踏会の噂で、都は今持ちきりザマス。
影絵犬:vow!
影絵少女B:舞踏会と言えば聞こえはいいザマスが、早い話がボーイハントざます。
影絵少女A:最近のお嬢様には困った者ザマス。
影絵犬:vow! vow!
影絵少女:破廉恥ザマス〜!

七実:だーれだ?
冬芽:よせよ、七実。
七実:いい夜ですわね。お兄さま。
冬芽:甘えん坊だな。我が妹君は。

司会:みなさま、今夜はよくぞお越し下さいました。恵み多き春の一夜を楽しむべく催した、このささやかなダンスパーティは、同じに我がダンスクイーンを選ぶコンテストでもあります。どうか皆さま、ご協力下さい。

七実:ん?
生徒達:うそ〜ウテナ様よ!かわいい〜!イブニングドレスも決まってるわ!
七実:いかが?最近お兄さまが姫宮さんのことばかり話しているから、七実が招待したの。
冬芽:天上ウテナ!
ウテナ:やっぱりこんなもん着てくるんじゃなかったよー。
アンシー:すみませんウテナ様。私のために、恥ずかしい格好を...。
ウテナ:恥ずかしい!?そうなのか?
七実:よくいらして下さいました。姫宮先輩。
アンシー:あ、七実さん。
七実:そのドレスとっても素敵。よくお似合いですわ。ふふふ。
アンシー:あ、ありがとう。
七実:さ、ノミネートされた方はこちらにいらして。
アンシー:あ、あのー...。
ウテナ:なーんだ。姫宮にもちゃんと友達がいるじゃないか。(chu!)...いやそれはそれとしてもだ。
冬芽:すばらしい! 想像以上だ!!
ウテナ:な、何を想像したのか知らないけど、こんなのボクには似合わないよ!
冬芽:何を言う。君こそ、この学園のクイーンだ。そのドレス姿で、オレと踊ってくれると嬉しい。
ウテナ:!?
冬芽:オレたちは、絵になるカップルだと思うけどな。

アンシー:あ、あの....
生徒達:七実様、ちゃんと贈ったドレスを着てきましたね。よく似合ってますこと。
七実:ふふふ。私からお兄さまを奪う人は、恥をかいてもらうわ。
アンシー:きゃああああ!
ウェイター:こ、これは...失礼いたしました。
七実:あーらせっかく私が贈った特別製のドレスを濡らしちゃうなんて。そのドレスは水に濡れると大変なのよ。

冬芽:さ、踊ろう。
ウテナ:や、やめてくれ。だいたい、こんなパーティはボクの趣味じゃないんだ。
冬芽:じゃ、どうして来てくれたのかな。
ウテナ:それは....もしかしてあんたが....
冬芽:オレが? 何?

アンシー:きゃああああああああ!

ウテナ:あ!姫宮!!
冬芽:七実の仕業か...どういうつもりだ。いいところだったのにな。
七実:何?あれは?
アンシー:ウテナ様。
ウテナ:踊ろう、姫宮。

七実:計画通りに運んでたのに....あの子何者?
冬芽:七実。おイタもほどほどにな。
七実:さあ何のこと? それより姫宮さんと踊っている子だれ?
冬芽:天上ウテナだ。
七実:天上ウテナ?
冬芽:ああ。いかすだろう? しかし、オレの贈ったドレスを脱ぎ捨てるとはね。
七実:? お兄さまが、あの女にドレスを? あの女に!

(ending)
(preview)
ウテナ:薫幹。通称ミッキー。ピアノとフェンシングの腕は全国レベルの美少年。
アンシー:まあ。
ウテナ:まだ中一なのに、大学のカリキュラムも受けている超秀才。
アンシー:すごいですね。
ウテナ:彼は生徒会でも、唯一決闘に反対してる人みたいなんだ。それどころか、姫宮の家庭教師までしたいって言ってくれてるんだ。
アンシー:頑張っておもてなしをします。
ウテナ:次回、少女革命ウテナ、「光さす庭、プレリュード」
アンシー:絶対運命、黙示録。

Episode #4

(opening)
ウテナ:結局、こういうことになるんだねミッキー。
幹:ええ。僕は、あの音楽を取り戻さなきゃならない。だから、どうしても、花嫁が必要なんだ。
ウテナ:君は、ピアノの前に座っている方が似合ってるのに。
樹璃:まったくだな。
幹:バラの花嫁は、僕のものにしますから。たとえ、あなたを傷つけても!

七実:すばらしいわ。幹のピアノ。この学園の誇りね。先日のパーティもあなたの演奏でずいぶん華を添えられたわ。でも、どうしてコンクールの出場やめちゃったの?
幹:このピアノ、少し音がずれているようだけど。
七実:そう? 先週、調律させたばかりよ。
幹:なら、調律が必要なのは、僕の方かもしれない。
七実:一人の時は、いつもその曲を弾くのね。
七実:僕は、本当はこの曲しか、ピアノを弾く理由はないんだ。僕がピアノを続けているのも、ある人にこの曲を聴いてもらいたいからなんだ。
七実:ある人?
幹:でも、僕はまだこの曲を思うように弾けない。どうしても求める音にならないんだ。
七実:そんな! 私はこれでOKよ! 幹の気持ちは十分に伝わってくるわ!....え?
幹:これはね。自分の中に永遠の美しさを持っていないと弾けない曲なんだ。
七実:この曲の名前は?
幹:光さす庭。

タイトル「光さす庭・プレリュード」

若葉:まいったあ...これまでで最悪の点数だわ。
ウテナ:あー大変だねそれは。
若葉:だいたいさあ、数学なんて九九が言えればそれでいいのよ。
ウテナ:論理的な思考力を育てろってことだろ。
若葉:でもママが言ってたよ。論理的なことは、すべて男に押しつけるのがいい女だって。
ウテナ:あっそ。(ため息)
若葉:いいわよねーあんた数学得意だもんね...。!うっそー、あんたいつも数学こんなに悪くないでしょ?
ウテナ:ちょっと油断した。
若葉:だめよ論理的な思考力を育てなきゃ。
ウテナ:はあ。ともかくこんな点数じゃルンルンしてられないよな。
若葉:大変ねえ。

アンシー:♪ルンルン....♪
(slap)
生徒:あたしたちがどれほどミッキーのこと好きなの、知ってるわよね。
生徒:聞いたわよ。あんたのせいであたしたちのミッキー、コンクールに出るのを止めたって言うじゃないの!
アンシー:あたし、知りません。
生徒:うそ。ミッキーに余計なこと言って、自信なくさせたんでしょ。
生徒:そうよ。
アンシー:あたし、そんなこと言ってません。

(ストップウォッチ)
幹:君たち、何をしている!
生徒達:あ...
幹:なんだか、僕のことで誤解されて、言いがかりをつけられてたみたいですね。本当に、申し訳ありませんでした。
アンシー:ありがとう。
幹:!...いいえ。

ウテナ:あ、あれ...姫宮と一緒にいる男の子、誰?
若葉:あら、ミッキーじゃない。
ウテナ:ミッキー?
若葉:そう。知らないの?一年生の薫幹君。ピアノとフェンシングの腕は全国レベルの美少年で、まだ中一なのに大学のカリキュラムをいくつか受けている超秀才よ。
ウテナ:へえー
若葉:でもってねえ、上級生の女子にすっごい人気で、ミツコたちなんて大騒ぎよ。
ウテナ:ふーん。
若葉:...でも、なんで姫宮アンシーとミッキーが一緒にいるのかしら?

(ストップウォッチ)
樹璃:やあ。
幹:樹璃先輩。
樹璃:部室にも生徒会室にもいないと思ったら、図書館でお勉強とはね。誰かの答案を添削しているのか?
幹:ええ。ちょっと。
樹璃:へえー。他人とは距離を置きたがる君が、珍しいじゃないか。
幹:ねえ樹璃先輩、幸せっていうのは、案外身近にあるものかもしれませんね。
樹璃:え?...それにしてもすごい答案用紙だな。いったい誰のだ?

幹:一応直してみました。その先生は、いつもそういう引っかけ問題出すんですよね。以後注意してみて下さい。
ウテナ:いいよなあ添削してもらえて。やっぱ持つべきは論理的なボーイフレンドかあ。
幹:天上先輩。薫幹です。よろしくお願いします。
ウテナ:ボクのこと知ってるの?
幹:もちろんです。あなたは今、僕たちのあいだでは一番の有名人ですから。
ウテナ:僕たち?
幹:これですよ。
ウテナ:あ!...君も奴らの、...生徒会の一味なのか?やっぱきみもバラの花嫁を狙っているわけ?
幹:いえ誤解しないで下さい。僕は生徒会メンバーではありますが、姫宮さんを決闘で花嫁にしようとは思ってません。ホントです。....これは今度の追試に出そうな問題のヤマです。このノートに書いた公式さえ覚えていれば、だいたいクリアできると思います。
アンシー:ありがとう。
幹:!...いいえ。
ウテナ:でもかなり彼女のこと気にしているように見えるけど?
幹:彼女は...姫宮さんは、僕の知っている子に少し似ているんです。それだけです。天上先輩と決闘するつもりはありませんから。
ウテナ:あたりまえだよ! 君たち生徒会のおかげで、ボクたちがどれほど迷惑を受けているかわかる?なんだか知らないけど、君たちが決闘だのなんだのってくだらないことに巻き込むから、ボクたちはこうして追試まで受ける羽目になっちゃったんだ。
幹:ボクたちって、先輩も追試なんですか?
ウテナ:え...え、いや、そうなんです....。

(eyecatch)

冬芽:いいね、今日は。テクニックでねじ伏せるようないつもの迫力じゃなく、なんだか音に潤いを感じるよ。前に言っていた、輝くものでも見つけたのかな?
幹:ええ。そうかもしれません。僕は、ずっとなくしていたものを、ついに取り戻せるかもしれないんです。
それはうらやましいな。その輝くものが取り戻せたら、ぜひオレにも教えてくれ。
七実:何が輝くものよ!

影絵少女A:かしらかしら、ご存じかしら?
影絵少女B:小学校の時初めてつきあった子は、クラスで一番算数のできる子でした。
影絵少女Aあーら初耳。そんな頃にもう彼氏がいたの?
影絵少女B:けど私が私が、プロレスごっことか、ニンニクラーメン大盛り!とかが好きだと知ると、「君がどういう子か分かったよ」っていって、それっきりになっちゃったのー!!!
影絵少女A:ああ恋するものよ、夢見る恋の若人よ。
影絵少女B:恋する彼女の正体を、
影絵少女A:果たしてあなたはご存じかしら?
影絵少女:かしらかしら、ご存じかしらー!?

ウテナ:はーい!
幹:遅くなってすいません。
ウテナ:やあ、待ってたよ。どうぞ。
幹:あの...実は...
七実:私もご一緒してよろしいでしょうか?
ウテナ:君は...たしか...
七実:七実ですう!
ウテナ:幹君の彼女?
幹:ち、違いますよ!
ウテナ:まあ、入ってよ。姫宮も中で待ってるからさ。
幹:お邪魔します。
七実:お邪魔しまあすう!

幹:へえ。この寮ってお化け屋敷って言われてるけど、中はきれいなんですね。
七実:いい部屋ですよねー。
ウテナ:ああ。姫宮が毎日まめに掃除してくれるからね。
幹:姫宮先輩って、キレイ好きなんですね。
七実:すごいわー私感心しちゃう!...(フン!見てなさい。姫宮アンシーをかわいい子だなんて思うのも今のうちよ!)
幹:いいなあ天上先輩は。こんな女性らしい人と一緒に住めて。
ウテナ:嫌みかあ?
(七実:姫宮先輩〜、消しゴム貸して下さいね!...あーらー!!デンデン虫よデンデン虫がいるわ〜〜〜!!!この人筆箱にデンデン虫なんか入れてるわー!!! ウテナ:姫宮、見損なったよ! 幹:僕、幻滅しちゃいました! 七実:...おーほほほ。これまでね姫宮アンシー....なーんてことになるのよ!!名付けて、「まあ姫宮アンシーって筆箱にデンデン虫入れてる変な子だわ作戦」!)
幹:なんか言いました?
七実:いえ。何も。  
幹:では三公式からはじめましょう。
ウテナ:ああ...
幹:大丈夫ですよ。やり方さえ覚えれば、パズルみたいなものです。
七実:姫宮先輩、消しゴム貸して下さいね!(ふふふ、姫宮アンシー、覚悟なさい!)
...ああああああああ!!ででででデンデン虫よ、デンデン虫がいるわ!!
アンシー:ああ、これカタツムリさんたちのお家なんですよ。
ウテナ:そんなとこで飼うのはやめろっていってるんだけどね。
幹:でもかわいいですよ。なんだか姫宮さんらしいなあ。
七実:っでででで、デンデン虫よ!かわいいってデンデン虫なのよ!
アンシー:キャサリン、ジュリエット、マルセリーノ、また後でね。
(ストップウォッチ)
幹:分かりますか、天上先輩、ここで引っかかってるんですよ。
ウテナ:えーどこ?この場合は...
七実:(そういうことなら仕方がないわね...)
幹:...ほら、この問題も同じことで間違ってます。
(七実:まあ!なんてかわいらしい机!わたくしもこういうの欲しいわ!...あああああ!!青大将よ!青大将がいるわ!!! together:え! 七実:この人引き出しに青大将なんか入れてるわ! ウテナ:姫宮、見損なったよ! 幹:僕、幻滅しちゃいました!..七実:おーほほほついにこれまでね姫宮アンシー!!.なーんてことになるのよ!名付けて「あーら姫宮アンシーって引き出しに青大将飼ってる変な子だわ作戦」!)
幹:なんか言いました?
七実:いえ、何も。
ウテナ:えーと三角形ACPで、線DXと平行な線がCPだから...
七実:あーらかわいらしい机!私もこういうの欲しいわ!...!!!青大将が、昨夜徹夜で捕まえた私の青大将が...。
アンシー:ああ、そこはマングース君のお家になってるんですよ。
ウテナ:そんなとこで飼うのはやめろって言ってるんだけどね。
幹:でもかわいいですよ、なんだか姫宮さんらしいなあ。
七実:マングースよマングース!あんたたち変だと思わないの!?
アンシー:今お勉強中だから、また後でね。...ヘビさんおいしかったの?そう。
七実:はああ...
(ストップウォッチ)
ウテナ:うーん、ここはどうなるわけ?
幹:ここはこう。できましたか?
七実:(そ、そう、そういうことなの...これだけはやりたくなかったけど、こういうことなら仕方がないわね。ああああ!生タコよ!生タコがいるわ! together:え! 七実:この人クローゼットに生タコなんか入れてるわ!! ウテナ:姫宮、見損なったよ! 幹:僕、幻滅しちゃいました! おーほほほほ。ドカーンとこれまでね姫宮アンシー!...なーんてことになるのよ!絶対!! 名付けて、「なんと姫宮アンシーって、クローゼットの中に生タコ囲ってる変な子だわ作戦」!)
幹:なんか言いました?
七実:いいえ。なんにも。(今度こそ、この生タコで、ギャフンと言わせてやるわ、姫宮アンシー! ギャフンというのよ、この生タコで!)..おーほほほほ。いざ!..ああああああああ!!生タコ生タコ生タコ生タコ....!
ウテナ:そこ、勝手に開けると危ないよ。
七実:う、嘘よ...いくら何でもこれは夢よ! こんな巨大な生タコが、生タコの足がああ!
幹:あれ、去年の学祭の飾りに使った、アドバルーンですよね?
アンシー:捨てられたのがかわいそうだったから、ここにかくまっているんです。
ウテナ:いい加減捨てるように、君からも言ってくれない?
幹:でも、かわいいですよ。なんだか姫宮さんらしいなあ。
七実:あああ

幹:これでx=3になるんですよ。あとはこれで代入して、この一次方程式を解けば...
ウテナ:あーなるほど!3+Yが、...だから、あーできた!これでどう?
幹:当たりです。
ウテナ:なるほど、さすが超秀才!授業よりわかりやすいや!
幹:いやそんな。
アンシー:(笑い)
ウテナ&幹:??
ウテナ:まじめにやろうよ、追試は来週なんだからさ。
アンシー:...はい...ウテナ様。
ウテナ:...もうこんな時間か。幹君、何か軽く食べようか? 七実君もさ。
幹:七実君?
七実:あ、はい、お夜食ですね? 実は私、今日、お弁当作ってきたんです。みなさんのお口に合うといいけど...
together:あ!
chuu!
七実:ふ、ふふふ...、また動物、これも姫宮先輩のお友達なんですよね?
アンシー:チュチュ!だめよ勝手に!
七実:この....。
アンシー:ごめんなさい、私が代わりにお料理作ってきます。

アンシー:レモンとイチゴを一緒に食べると、おいしいんですよ。
ウテナ:あ、そう。
幹:ほんとだ、おいしいなあ。
アンシー:私の得意料理なんです。
幹:そうなんですか、メモしとかなきゃ。
ウテナ:シロップもう少し欲しいなあ。
アンシー:七実さん?溶けないうちに召し上がって?
七実:...冗談じゃないわ。
幹:先輩に向かって、その言葉遣いはないだろう?
七実:デンデン虫筆箱に入れて、引き出しにマングース、クローゼットに生タコ風船隠して、おまけに夕食がかき氷なんて、おなかこわすでしょう!私はおなかが弱いのよ!
幹:かき氷って好きだけどな。
ウテナ:おなかが弱いとは残念だったな。
七実:かき氷とおなかの話をしてるんじゃないわよ。なーんでみんなこの人に関心を持つのよ!?
幹:君だって姫宮さんと友達になりたいんじゃなかったのか?
七実:なんのこと?幹こそ彼女が好きなんでしょ?白状なさい!
幹:そ、その...
ウテナ:あれ?姫宮がいない!
幹:ホントだ。
ウテナ:強引に勉強会なんてやっちゃったのがまずかったかなあ。

アンシー:夕食は、たこ焼きの方がよかったかしら?
ウテナ:ボク、ちょっと見てくるよ。
幹:僕も行きます。??ピアノだ...
七実:あなたがいつも弾いてる曲だわ..。
ウテナ:へえ。姫宮ってピアノ弾けるんだ。
幹:ああ!!!あの時の音色と同じだ。「光さす庭」だ...。
ウテナ&七実:??
幹:みつけた!輝くものを!!

(ending)
(preview)
ウテナ:姫宮、ミッキーのためにピアノを弾いてあげなよ。なんだか彼、君のピアノに特別な思い入れがあるようだし。
アンシー:ウテナ様がそうしろとおっしゃるなら。
ウテナ:いやボクが言ったからじゃなくって、ミッキーのためにさ。
アンシー:私はバラの花嫁。エンゲージした方の思うがままです。
ウテナ:目を覚ませよミッキー。そんなやり方で姫宮のピアノを手に入れようとするなんて間違ってる。次回、少女革命ウテナ、「光さす庭、フィナーレ」
アンシー:絶対運命、黙示録。

Episode #5

(opening)
生徒:ほらほら見て、すごいよ!
生徒:すごいって、何が?
生徒:ほら、樹璃キャプテンと、ミッキーよ!
生徒:ほーんとすごーい!
生徒:ねー、でしょう?
生徒:すごすぎるわー!
生徒:だってそりゃそうよ。二人とも全国レベルなんだから。
生徒:納得ー
生徒:ねえねえ、ところでさー、
生徒:きゃーかっこいいーーー!!

樹璃:ついにとられたな。強くなった。
幹:いいえ。まだまだです。まだまだ完成していません。
樹璃:いや、完成していないのが君の強さなんだ。純粋ゆえの勢いだな。君の剣には、いつも素直な勢いがある。それが今日は一段と勢いを増しているようだ。そのわけは、答案用紙の女の子か?
幹:え、....何言ってるんですか。
樹璃:でも、君の剣は闘うためじゃないな。

タイトル:光さす庭、フィナーレ

幹:はい。
アンシー:ありがとう。
幹:ここはあの庭に似てるなあ。
アンシー:え?
ウテナ:こらチュチュ待てよ〜あ、お邪魔だったかなあ。

幹:ぼくの、ボクの求めていた音色だ。
ウテナ:これ、夕べも姫宮が弾いていた曲だよね?
幹:ええ。「光さす庭」。小さいとき、僕と妹で作った曲です。
ウテナ:君が作ったの? でもこれ、有名な曲だよね?
幹:僕と僕の妹は、ものごころついたころから、ピアノをずっとおもちゃにして遊んだです。...あの庭で。...僕と妹がピアノを弾くと、いつも周囲の大人たちは驚いたものでした。
ウテナ:へえ〜。兄弟そろって神童だったんだ。
幹:あのころは、僕の幸せのすべてがそこにはありました。だけど...
ウテナ:だけど?
幹:だけど僕は、それを壊してしまった。自分の手で、壊してしまったんです!

梢:コンサート?
幹:そう。来週の木曜、みんなが僕たちを見に来るんだ!
梢:だけど私、そんなにたくさんの知らない人たちの前に出るのは...そんなにたくさんの知らない人たちは...怖い。
幹:大丈夫。大丈夫だよ。ぼくがずっとそばにいて、いつもと同じように二人でピアノを弾くだけさ。何も怖いことはないよ。

幹:う〜ん....
医者:はしかですね。まあ、一週間も安静にしていれば、大丈夫ですよ。
某:ほらほら、君はコンサート会場へ。もうみんなが待ってるよ。お兄さんの分まで、がんばらなきゃね。
梢:お兄ちゃん!....お兄ちゃん! お兄ちゃん! お兄ちゃん! お兄ちゃん! お兄ちゃん!
某:舞台の上から突然逃げ出してねえ。日が暮れるまでどこかに隠れてたんだ。そのあとは、こうして一言も口をきいてくれないんだよ。

幹:以来、妹はピアノを弾かなくなったんです。そうなって、初めて僕はどれだけ妹のピアノを好きだったか気づきました。どれほどあの庭を愛していたか...。
ウテナ:はあ。
幹:どれほど技術を磨いても、妹が弾くピアノのあの音色は、どうしても出せなかった。僕はその音色を出すためだけに、ピアノを続けているんです。....だけど彼女の、姫宮さんのピアノには、それがあるんです。
ウテナ:それって、アバタもエクボってやつ?
幹:僕は、ついに輝くものを見つけたんだ!
ウテナ:それって告白ってやつですか?...どうする姫宮?
アンシー:え?
ウテナ:年下の男の子って、どう?
アンシー:私はウテナ様の花嫁ですから。
幹:う!
ウテナ:あのさ姫宮、そのウテナ様の花嫁ですからっていうのやめてくれよな。
アンシー:でも、私はウテナ様とエンゲージしているんです。
ウテナ:あのさ!姫宮がボクの花嫁だとか、そういうことを認めた訳じゃないんだからね。ただ女の子が決闘だれかの花嫁になるなんてばかげてる。ボクは個人の人格をないがしろにする、こんなシステムが許せないだけさ!

冬芽:卵の殻を破らねば、雛鳥は生まれずに死んでいく。我らが雛で、卵は世界だ。世界の殻を破らねば、我らは生まれずに死んでいく。世界の殻を破壊せよ。
together:世界を革命するために!

樹璃:今日はなんの集まりなのかな?世界の果てからの手紙は、まだ届いていないが?
冬芽:そう。我々は皆、手紙に従って集い、手紙の指示通りに行動してきた。だが今日、緊急動議が提案されたのでね。
(ストップウォッチ)
幹:緊急動議、僕は提案します。この生徒会の解散を。
冬芽:いきなりだな。
幹:決闘で姫宮さんを奪い合うなんてばかげてる。やはりそういうことは、許されるべきじゃないと思う。どれほど大きな力が手にはいるとしても、姫宮アンシーという一人の人格をないがしろにする、こんなシステムは認められない!
樹璃:恋は人を変えるねえ。なるほど。君が添削していた答案用紙の子っていうのは、彼女だったのか。
冬芽:自分が本当に何を求めているのか、若さがじゃまをして見えないこともある。
幹:結局僕たちのしてることは、人間にとって、何か大切なものを壊しているんじゃないですか?
冬芽:世界の殻を破壊せよ。
樹璃:世界を革命するために!

(eyecatch)

幹:あ!
梢:痛ーい。あ、あら、無愛想だね。
幹:どいてくれよ。
梢:落ちたわよ、楽譜。...ねえ、またあたしとシてみたい?
幹:おまえなんかに何も期待してないさ。どうせ弾くつもりもないくせに、こんなところで何をしてるんだ?
梢:別に。あたしの自由でしょ。音楽室はピアノを弾くための場所だけじゃないんだよ。...おはよ。
生徒:おはよ、元気?
梢:元気元気。

冬芽:おはよう、薫幹君。
幹:あ!!
冬芽:君の妹は、君に似てかわいいね。それに、君に似て素直だ。
アンシー:おはようございます。
冬芽:本当に大切なものは、自分の手に入れて守らないと、人にとられちまうぜ、ミッキー。たとえ今の生徒会を解散しても、バラの花嫁を狙うものは後を絶たない。エンゲージしたものだけが、花嫁を思うがままにできるんだからな。
幹:思うがまま...思うがまま。

幹:ねえ、姫宮さんって、いつからピアノを始めたの?
アンシー:さあ、ずいぶんと小さいときだからはっきりと覚えてないの。
小さいときの姫宮さんって、きっと天使みたいにかわいかったんだろうなあ。...妹のピアノは、本当にすばらしかったんだ...。今度は、なくしたりしない。絶対に!
幹:ピアノは好きですか?
アンシー:ええ。
幹:また僕のために弾いてくれますか?
アンシー:ええ。ウテナ様がいいって言ったらね。
幹:明日はどう?
アンシー:ウテナ様がいいっていえばね。
幹:何でも天上先輩の許可がいるんですね。
アンシー:だって、私はバラの花嫁ですもの。
幹:じゃあ、天上先輩がピアノを止めろっていえば、止めるの?
アンシー:ええ。私はエンゲージした方の思うがままですから。
幹:え?
(冬芽:エンゲージしたものだけが、花嫁を思うがままにできるんだからな。...本当に大切なものは、自分の手に入れて守らなきゃ、人に取られちまうぜ、ミッキー。バラの花嫁を狙うものは、後を絶たない...)
幹:大丈夫、あなたの音色は、僕が守るから!
アンシー:どうもどうも。

若葉:ね、追試っていつ?
ウテナ:来週。ま、強力な家庭教師のおかげで、何とかなりそうだよ。
若葉:へえ。誰よ家庭教師って。
生徒達:きゃーーミッキーよ!きゃあ〜〜....あ止まった!
ウテナ:やあ。姫宮なら温室にいると思うよ。
幹:いいえ。今日は天上先輩に用があってきたんです。
ウテナ:ちゃんとやってるよ。一次関数も連立方程式もさ。
若葉:じゃああの、家庭教師って...
ウテナ:うん。
幹:今日の放課後、広場で待ってますから。
ウテナ:え...
幹:待ってますから。

影絵少女A:ざっぶーん。影絵少女B:どっぼーん。
影絵少女A:見よ、この広い海原を。100人の部下を従え、今日も七つの海へと乗り出す、オレは海賊、世界のめぼしい財宝は、いまやすべてこの手にある!
影絵少女B:かしらかしら、でも頭(カシラ)、頭の宝箱には、どうして頭が本当に欲しいものだけ無いんですかい?
影絵少女A:本当に欲しいもの?
影絵少女B:だって、だから頭は、まだ海賊の頭を止められないんでしょ?
影絵少女A:オレがほんとに欲しいもの?
影絵少女B:頭がほんとに、本当に欲しいものは?
影絵少女A:オレが本当に欲しいものは???
影絵少女B:あっ頭、船底に穴。
(溺れる)

ウテナ:結局、こういうことになるんだねミッキー。
幹:ええ。僕は、あの音楽を取り戻さなきゃならない。だから、どうしても、花嫁が必要なんだ。
ウテナ:君は、ピアノの前に座っている方が似合ってるのに。
樹璃:まったくだな。
アンシー:気高き城のバラよ...私に眠るディオスの力よ。主に答えて、今こそ示せ!
ウテナ:世界を革命する力を!
幹:バラの花嫁は、僕のものにしますから。たとえ、あなたを傷つけても!

(幹:ピアノは好きですか? アンシー:ええ)
幹:必ず...僕のものに!
ウテナ:強い!
幹:さすがだ。あの西園寺さんを二度も破っただけのことはある。...やりますね。
ウテナ:それはどうも。
幹:でも花嫁のピアノは僕がもらいます。
ウテナ:こんな...方法でか?
(アンシー:私は、エンゲージした方の思うがままですから。)
幹:彼女の目が言ってる。本当は、自由になりたいんだと。僕が君を、僕が君の美しい音色を守ってあげるよ、姫宮さん!
ウテナ:勝負!
幹:絶対に負けない!彼女は僕のことを信じてるんだ!
アンシー:そこだ! ウテナ様、やっちゃえ!!
幹:え?

ウテナ:これで、文句なしだな。
幹:どうして、誰も輝くものになってくれないんだ...誰も!
アンシー:ごくろうさま。また勉強、教えてね!
幹:.....!!

生徒:あんたさ、本当に昔ピアノやってたの?あたしでも、もう少しはうまいわよ。
梢:まあ、才能はなかったわね。興味もなかったけど。
じゃあ、なんでやってたのよ?
隣に住んでる男の子が、昔よくラブレターくれたんだよね。あなたのピアノが好きですって。その子勘違いしてたのよね。私がピアノを弾けるって。弾くときはいつも兄貴といっしょでさ。小さいときはよく間違えられたわ。あたしまでピアノがうまいって。兄貴は天才だからさ。私がでたらめに弾いても、ちゃあんとフォローしてくれるんだよね。でもコンサートっていうか、発表会の時、兄貴が熱だして寝込んじゃったから、すべておじゃんよ。一人じゃなーんにもできないってことが、バレバレってやつね。
生徒:あんたのお兄さん、かっこいいよね。
梢:まあね。

若葉:んでもってその後ママがね...
幹:天上先輩! 
ウテナ:ミッキー...
幹:...昨日は油断しました。でもこの次は負けませんから!
ウテナ:(ため息)おいおい....

(ending)
(preview)
ウテナ:七実が、最近誰かに命を狙われてるらしいんだ。
アンシー:まあ大変。
ウテナ:まあ大変じゃないよ。事件には動物が絡んでるってことで、君に犯人の容疑がかかってるみたいだぞ。
アンシー:でもウテナ様、七実さん、暴れ馬と楽しそうに遊んでますよ。
ウテナ:遊んでるんじゃなくて、逃げてるんだよ!
アンシー:まあ大変。
ウテナ:次回、少女革命ウテナ、「七実様、御用心!」
アンシー:絶対運命、黙示録。

Episode #6

(opening)

某:あなた大丈夫?ちょっと大丈夫なの?...変な子ね心配されてるのに。
七実:!!!

タイトル:七実様、御用心!

冬芽:命を狙われている?
七実:これが初めてじゃないんです。植木鉢が落ちてきたり、材木が倒れてきたり...会談から突き落とされそうになったり...
幹:強いな悪運。
七実:助けてお兄さま!これはきっとスタイルが良くてかわいくて、人望も厚く、お上品な七実のことを妬んだやつの仕業に違いないわ。七実...とっても怖い...。
冬芽:ふうん。何の話しかと思えば、推理小説の読み過ぎなんじゃないのか。七実。
七実:そんなあ。
冬芽:悪いが、生徒会の仕事が忙しいんでね。失礼。
七実:お兄さま!

七実:もう、お兄さまったら冷たいんだから。
幹:兄弟ってね、複雑なんだ。
七実:何よそれ!
幹:心当たりはないのかい?何か恨みを買うようなことをしたとか。
七実:失礼ねえ!
生徒:そうですとも。七実様に抜かりはありません。
生徒:御自分の手は決して汚さない主義ですから。
幹:なるほど。
七実:...って納得してるんじゃないわよ! 
幹:ごめん。
七実:人ごとだと思って...。こうしている間にも、私は命を狙われているかもしれないのよ!...あっ!!??
生徒達:七実様!?
ウテナ:ごめんごめん、思ったより遠くまで飛んじゃってさ。えーとボールはどこかな...ボール見なかった?
七実:あなただったのね...植木鉢を落としたのも、材木倒したのも、階段から突きとばしたのも、全部あなたの仕業だったのね!
ウテナ:え?なんのこと?
七実:うっくーーーくやしいいいいいっ!!!...まだとぼけるおつもり!!!
生徒達:落ち着いて、まだそうときまったわけじゃ...
ウテナ:何でもいいから、はやくボール返して?

ウテナ:(笑い)ボクがそんなことするはずないじゃない。だいたいボクには君を殺す動機がないよ。
七実:だといいけど。私知ってるのよ。あなたがお兄さまに色目を使っていることぐらい。
ウテナ:え!あいつが勝手にちょっかい出してくるだけだよ!
七実:まあなんて自意識過剰な人なの?
幹:あれ、温室に誰かいる。
ウテナ:だって、ドアに立入禁止だって...
七実:お兄さま....?

冬芽:なぜさっさと片づけない?あんなやつ、生かしておいてもためにならん。
アンシー:でも....あたしにはできません。
冬芽:怖じ気づいたのか、今更計画の変更はできない。ひと思いに、殺してしまえ!
七実:!!
幹:聞こえましたか?
ウテナ:ああ。殺すとか何とか。
冬芽:さあやるんだ。虫けら一匹殺したところで、なんの問題にもならん。
アンシー:そんなことありません。たとえみんなから嫌われていても、命は命です。もう少し待てば、おとなしくここから出ていってくれるかもしれませんし。
冬芽:何を甘いことを。
七実:そんな!まさか私の暗殺を企てていたのはお兄さま本人?わざわざ立入禁止にして、密談....。
(冬芽:これで二人をじゃまする者はいなくなった。アンシー:私たち、やっと一緒になれるのですね。冬芽:じゃあ、行くよ。アンシー:はい、冬芽様...)

七実:お兄さま!最近冷たいとは思っていたけど、そんなに七実のことがじゃまだったの!お兄さまのバカ〜〜〜
幹:七実君!
ウテナ:見損なったよ!いくら生徒会長だからって、妹を殺そうとするなんて!
冬芽:だからなんのことだ?
ウテナ:だって今、殺すの殺さないのって...
アンシー:はい?
ウテナ:まさかそれって....

七実:ひどい!ひどすぎる!!私を殺そうとしていた張本人が、大好きなお兄さまだったなんて!七実なんて死んじゃえばいいんだ!七実なんて....
生徒達:暴れ馬だ!暴れ馬が出たぞ!!
石蕗:お嬢さん、お怪我はありませんか?お嬢さん?
七実:あ、あなたは?

ウテナ:え〜!?王子様が出た?
幹:はい。何でも、危機一髪のところを助けられたとか...
ウテナ:かっこいいなあ。ボクそういうのあこがれちゃう!

教師:このように、長さや重さを量って得た値や、円周率を3.14とした値を、近似値といいます...
幹:でもその王子様、謎なんですよ。
ウテナ:謎?
石蕗:いけない、血が出ている。みせてごらん?これでよし。もう大丈夫です。
七実:ありがとうございます。あ、あの....せめてお名前を...
石蕗:名乗るほどの者ではありません。またどこかで会うこともあるでしょう。Goodbye、お嬢さん。
ウテナ:名前も告げずに立ち去るなんざ、カーっ、イカすー。
幹:しかし、七実君のお眼鏡にかなう王子様なんて、この学園にいるはずないと思ってたんですけどね。
ウテナ:理想高そうだもんね。彼女。....あー、あれが彼女の王子様?
幹:七実君、やはり年上好みだったのか...
ウテナ:なんだ、違うのか。
together:あ!?
幹:七実君、ひどい!
ウテナ:そんなわけないか。

七実:石蕗美蔓君?
石蕗:はい。
幹:え?
ウテナ:あの小さな子が彼女の命の恩人?
七実:これ、ありがとう。...石蕗君、お願い、私と交際して?
石蕗:え!?
together:えええっ!?


影絵少女A:キャンプだー!!!
影絵少女:キャンプだキャンプだ嬉しいなー!
影絵少女B:キャンプの醍醐味といえば、やっぱり飯盒炊飯とカレーさね。
影絵少女:ぐつぐつぐつぐつ...いただきまーす!
影絵少女A:そうそうこのご飯!芯が残ってて固いし!
影絵少女B:ところどころ焦げてる所もあるし。
影絵少女A:おまけにカレーはルーが足りなくて水みたーい!
影絵少女B:あんたほんとにおいしがってる? 
影絵少女A:やーね、このおいしい空気が何よりの調味料よ!
影絵少女:ごちそうさまでしたーっ!

(eyecatch)
幹:なかなかいけますよ。
ウテナ:学食の話じゃなくて七実の話!あー小学生に交際申し込むなんて。
幹:本気のはずないですよ。あいつの本命は、冬芽先輩だけなんだから。
ウテナ:生徒会長?
幹:あ、マズかったかな。
ウテナ:そんなことないよ。
幹:いや、学食の話じゃなくて。
ウテナ:兄弟だよねー七実と生徒会長って?
幹:お兄ちゃん子なんですよ。世界で一番の男が側にいるんだから、彼女にとって男は冬芽先輩だけ。他は全員カス同然なんです。
ウテナ:カス?
幹:カスです。おまけです。パセリです。
ウテナ:うーん。
幹:でも今回の事件、かなり堪えてるみたいですよ。唯一絶対の兄に裏切られたって。
ウテナ:思いこみ激しいからね。彼女。
幹:天上先輩、あれ...!
ウテナ:え?
カップルというより、兄弟にしか見えませんね。
本気なのかな、七実。

生徒:ねえ今日の体育、テニスなんだって?
生徒:えー私テニスウェア持ってきてないわ。
七実:石蕗?
石蕗:テニスウェアでございます。
生徒:ね、抜き打ちテストなんて反則よね。
生徒:ルール無用って感じね。
七実:石蕗?
石蕗:虎の巻でございます。
生徒:ね、今日の美術、屋外スケッチだって。
生徒:えーあたしイーゼル持ってきてないわ。
七実:石蕗?
七実:明日のお弁当はミートボール入れてきてね。
石蕗:はい。喜んで。

ウテナ:ああいうの彼っていうの?
幹:さあ。
西園寺:どんなに虐げられようとも、好きな人の側にいられるだけで嬉しい、それもまた愛の形。愛にはさまざまな形がある。ちなみにボクとアンシーの間の愛は、忍ぶ愛。....忍ぶ愛。
ウテナ:...誰も聞いてないよ。
生徒:ねえこれ鈴木君に頼まれたんだけど。
生徒:ねえ、山田君が読んで欲しいって。
生徒:ねえ、田中君が....
七実:えー捨てといて。
鈴木:鈴木です。
山田:山田です。
田中:田中です。
鈴木:どういうつもりだ、七実君?
山田:僕たちと交際を断っておきながら、あんな子供とつきあうなんて。
田中:僕たち中等部男子へのあてつけ?
七実:あなたたち、誰?
鈴木:毎日君にラブレターを書いている、
山田:僕たちのことを、
田中:君は忘れたっていうの?
七実:石蕗?
鈴木:出たな!
山田:子供のくせに、七実君と交際するなんて、許せない!
田中:ここで白黒つけようじゃないの!
石蕗:僕は約束したんです。交際する以上、七実さんを守り抜くと!
七実:石蕗、後は頼んだわよ。
石蕗:はい。喜んで。
凡庸な少年たち:(fighting)
七実:そういえば、いいお天気。ああ、なんて青い、青い空なのかしら!

七実:石蕗よくがんばったわね。
石蕗:はい、僕七実さんを守りましたよね?
ウテナ:よく分かったよ七実、君の真意が。
七実:天上ウテナ?
ウテナ:石蕗君は、君を守ろうと必死で闘っていたんだぞ? なのにだまって見ているだけなんて! そんなのほんとの交際じゃない! 君はボディガード代わりに、石蕗君を利用しているだけじゃないか!
七実:私は殺されかけたのよ! 今までずっと慕ってきた、実の兄に!この気持ちがあなたに分かって?
幹:七実君、それは君の誤解で...
七実:五階も十階もないわ! 石蕗は私の彼なのよ。どう扱おうと、私の自由のはずよ!
幹:それって、彼じゃなくて子分っていわないか?
石蕗:いいんです。僕が望んだ交際ですから。
ウテナ:石蕗君、君は、君はいったいどうしてそこまで彼女に入れ込むの?
石蕗:運命の出会いです。
ウテナ:運命?
石蕗:七実さんは覚えないみたいだけれど、僕たちは、もっと前に会っているんです。
(某:暴れ牛だ!暴れ牛が出たぞ!七実:!!!石蕗:あぶなーい!冬芽:大丈夫かい、七実?七実:お兄さま!冬芽:さあ、帰ろう。石蕗:かっこいい!)
石蕗:以来、僕はあの男性のように、かっこいいお兄さまになるべく、ずっと修行を続けていました。そしてついに舞台は整ったのです!
ウテナ:君、彼じゃなくてお兄さんになりたかったの?
石蕗:でも七実さんは、僕のことを覚えていなかった。思い出してもらえるように、出会いを演出したのに。
ウテナ:演出....?
石蕗:こうなったら仕方がありません。もう一度、危ない目に会わせるしか!
幹:ち、ちょっと待って!
石蕗:はい?
幹:もしかして、植木鉢落としたり、材木倒したり、階段からつき落としたりしていたのって、君?
石蕗:はい。危機一髪で駆けつける、それがお兄さまの正しい姿ですから。もちろん七実さんには聞かせられませんけど。
七実:....つまり、自作自演だったってわけね。
石蕗:うわああああ!
七実:話は全部聞かせてもらったわ!
ウテナ:怒らないで!子供のしたことなんだから。
幹:そうそう、若気の至りってやつだよ!
七実:聞く耳もたーーーーん!!!!!...お前のせいで、私はお兄さまをバカ呼ばわりしてしまったのよ!
生徒達:暴れカンガルーだ!暴れカンガルーが出たぞ!
together:え?

七実:?ああああ?...石蕗?
ウテナ:石蕗君!
石蕗:ま、守らなきゃ! 僕が七実さんを守らなきゃ!
ウテナ:このーーーー
幹:天上先輩!
石蕗:他の人に手を出すな!
ウテナ:石蕗君!
石蕗:来い!お前の相手はこの僕だ!....僕は、七実さんのお兄さまになるんだ!七実さんのお兄さまに! 僕が!!...?七実さん?
七実:バカね逃げるのよ!
石蕗:でも....
七実:お兄さまはお兄さま。石蕗は石蕗よ!こんなことであなたが死んでも、私泣いてあげないからね!
石蕗:なんですって?
七実:つまりね石蕗、あなたは私の大切なしもべ。こんなことで壊すわけには行かないのよ!

七実:お兄さま、来てくれたんですね?
冬芽:少々いたずらがすぎるな。七実。
アンシー:ウテナ様〜温室の害虫退治、終わりましたー!
幹:温室が立入禁止になっていたのも、殺すの殺さないのの話も、全部虫の話だったんだよ。
七実:石蕗。
石蕗:はい。
七実:別れましょ、私たち。
石蕗:はい! 別れて、七実さんの家の養子になります。お兄さまはだめでも、弟にはなれるかも。
七実:やっぱり、私には、お兄さましか、いない...!
ウテナ:桐生冬芽、やっぱり、ただ者じゃない!
冬芽:ふふん。
 
(ending)
(preview)
ウテナ:その彼女の裏の顔を知っている者は、決して10メートル以内には近づかない。
アンシー:誰の話です?
ウテナ:生徒会メンバー、有栖川樹璃。...え?僕のバラの刻印を捨てろって?それはできない。これは大切な人との、たった一つの絆なんだ!有栖川先輩こそ、なんで決闘なんてやるんです?
アンシー:あなたは奇跡を信じますか?
ウテナ:次回、少女革命ウテナ、「見果てぬ樹璃」
アンシー:絶対運命、黙示録。

Episode #7

(opening)
樹璃:だって、あきらめるしかないさ。奇跡なんてほんとはこの世にないんだから。次!...次!...次!
幹:あれだけの人数を連続で...さすがです。もう樹璃さんにかなう者はいないですね。
樹璃:それで私はいったい、何を手に入れるのかな...。世界の殻は、破れるのか?

タイトル:見果てぬ樹璃

教頭:有栖川君、先週の地域研究会では、君たち生徒会諸君が仕切ってくれて助かったよ。他の先生方もみんな感心しておられた。例年以上の出来だってね。君たち今年の生徒会の活動は、我が学園の伝統に残るものだよ。
樹璃:ありがとうございます。
教頭:ところで、昼食がてら、今後の生徒会について議論したいのだが、どうかね?
樹璃:はい。
教師:ちょっと、ここで待っていてくれたまえ。

教師:あなたは、ほんっとうに校則を守らない人ですねえ。学園内にペットを連れてきていいなんて、校則のどこにそんなことが書いてあるんです?
ウテナ:連れてきたんじゃなくて、ただお弁当を届けてくれただけなんだってば。そういうのって違反なんですか?
教師:サルに忘れ物を届けさせるなんて、校則以前の問題です!分かっているの?天上ウテナさん!
ウテナ:そんなこといわれてもなあ。
教師:なーんですかその反抗的な態度!もう絶対に許しま....あ、こら、待て〜〜!
ウテナ:弱ったな....。

樹璃:やあ君。君が天上ウテナかい?
ウテナ:あなたは、生徒会の人ですか?
樹璃:少し話がしたいな。
教師:ウテナさん、あなたも(捕まえるの)手伝いなさい!...待て〜〜〜!
ウテナ:...残念ながら、時間がとれそうにないので。
教師:さあもう袋小路よ! ウテナさん!ドアを閉めなさい!....

教頭:待たせたね、じゃ、行こうか。
樹璃:教頭先生、探していらした生徒指導の女性教師、あそこの相談室に入っていきましたよ。
教頭:え?女性教師?
樹璃:やだなあ。だってさっき言ってらしたじゃないですか。是非とも彼女と昼食がてら生徒指導について論議せねばって。
教頭:有栖川君、どういうことかね。僕は君と食事の約束を....
樹璃:私は同じことを二度言いません。そういうことです。

教師:まあ!教頭にお誘いしていただけるなんて光栄ですわ!
教頭:わかったから....早くしたまえ!
教師:あ、ちょっと、お化粧直さなきゃ...
教頭:そんなものはいいから、早くしたまえ!
教師:ウテナさん!すぐ戻りますから、ここで待っていらっしゃい!...私最近、アナゴ丼のおいしい店見つけましたのよ!
教頭:何で私が君におごらなけらばならんのかね....

樹璃:やあ。少しは時間ができたかな。
ウテナ:(ため息)助かったあ。奇跡とはこのことですよ。

ウテナ:先輩の噂は、中等部でもよく耳にします。フェンシング部のキャプテンで、教師たちも一目置く優秀な生徒会メンバー。でも本当はすごい不良で、裏の顔を知っている者は決して10メートル以内には近づかないって。
樹璃:それじゃ猛獣だよ。
ウテナ:嘘か本当か知らないけど、有栖川先輩ににらまれたら、教師でも学園を追い出されるって聞きましたけど?
樹璃:へえ。下級生の情報網も侮れないな。
ウテナ:じゃあ、噂は本当なんだ。
樹璃:さあ。君こそずいぶんと剣の腕が立つらしいね。噂はかねがね。
ウテナ:そんな。あんまり剣で闘うのって好きじゃないし。そういえば、生徒会メンバーってことは、やっぱり、バラの花嫁を狙っているんですよね?
樹璃:君は知ってるかい?なぜみんなが、バラの花嫁を狙っているのか、そのわけを。バラの花嫁と、彼女とエンゲージすれば、何でも奇跡の力、世界を革命する力が手に入るそうだ。
ウテナ:それはすごいや。じゃあ、今、エンゲージしているボクが、その、奇跡の力を持っているわけだ。期末テストの時とか便利そうだな。勉強せずにオール満点とか。決闘で、姫宮を奪い合うなんてバカげたこと、みんなマジでやってるんですか?
樹璃:君の言うとおりだね。バラの花嫁を奪い合うなんて、確かにバカげている。
(枝織:奇跡を信じて。思いは届くと....)
樹璃:そう、奇跡なんてあるわけないんだ。
ウテナ:先輩とは、話が合いそうですよ。

呼び出し:中等部二年A組天上ウテナ、至急生徒相談室まで来て下さい。
ウテナ:やれやれあの先生もしつこいなあ。とにかく、生徒会にも理解してくれる人がいて、嬉しいです。
アンシー:あの、よかったらこれ、どうぞ。
(slap)
樹璃:いい気になるな。

冬芽:卵の殻を破らねば、雛鳥は生まれずに死んでいく。我らが雛で、卵は世界だ。世界の殻を破らねば、我らは生まれずに死んでいく。世界の殻を破壊せよ。
together:世界を革命するために!

幹:世界の果てから手紙が届きました。今週中には、次の決闘が行われなければなりません。
冬芽:順番では、オレか樹璃だな。
幹:え?樹璃さんもですか?
冬芽:もちろん。彼女だって決闘するために、ここに籍を置いているんだ。
幹:いや、確かに資格はあります。腕も確かです。でも樹璃さんには、闘う動機はないでしょう?
冬芽:あるさ。樹璃はバラの花嫁の力を、奇跡の力を、否定したいのだ。
幹:あれ?そうなんですか?
樹璃:さあな。でもまあ、期末テストくらいは自分の力で勉強しなきゃな。
幹:え?なんですそれ?
冬芽:だが君は、本当に奇跡の力を否定したいのかな。届かぬ思いをかなえてくれるのが、世界を革命する力だとしたら? 君の恋が、まだあきらめずにすむかもしれないとしたら? それでもまだバラの花嫁の力を否定したいのかな?
幹:樹璃さん、誰かに恋してるんですか?届かぬ想いってつらいですよね。
樹璃:そうさ、私は恋をしている。

某:ま、参った...。降参だよ。お前なら高等部の男子とだって、互角に渡り合えるぜ、樹璃。
樹璃:ありがと。...!?
(枝織:奇跡を信じて。想いは届くと。)
樹璃:だが私には分かっていた。この恋がかなえられないであろうということ。「奇跡を信じて。想いは届くと」それが彼女の口癖だった。
枝織:口にこそ出さないけれど、やはり彼は樹璃さんのことを一番想っているようでした。でも私は、彼を奪わずにはいられなかった。何もかも、あなたにはかなわなくても、彼を想う気持ちだけは....。知ってる?樹璃さんには好きな人がいるのよ。でもそれは、あなたじゃない。
ある guy:え!?
枝織:だから、あなたから彼を奪ってしまったこと、後悔はしていません。なぜならそれは、私が心から願ったことだから。「奇跡を信じて。想いは届くと。」こんな私を、あなたはきっと憎んでいますよね。
樹璃:お手紙ありがとう。お元気そうで何より。あなたの文字の一つ一つを見ていると、過ぎた季節の多さを感じないわけにはいきません。あのころは、何をやるにも三人一緒で、本当に楽しかった。でも、今あなた達二人の、幸せに輝いている顔を見ていると、懐かしい気持ちと、うらやましい気持ちが......(throw out)

(eyecatch)

ウテナ:あー、よしよし。困ったな夜泣きなんて。あーよしよし。チュチュ、お願いだから早く寝ておくれよ。はあ。ボクの方が眠くなっちゃう。...あれ?有栖川先輩? やっぱり。
樹璃:やあ、君か。
ウテナ:普段の制服姿じゃないから、最初誰だかわからなかったですよ。
樹璃:そう?
ウテナ:先輩って、ほんとスーパーモデルみたい。制服姿もりりしくてかっこいいけど、こんな女性的な先輩をみたら、きっとみんな驚くだろうな。ところで先輩、どうしてこんな時間に一人で?
樹璃:君は、夜でもその格好なんだね?
ウテナ:え?..ええ
樹璃:なぜいつも男の子の格好をしているの?
ウテナ:そうですね...ほんとのことを言っちゃうと、王子様の影響かな。
樹璃:王子様?
ウテナ:昔、小さい頃、ボクは王子様に会ったんです。で、その王子様が言ったんです。君の強さ、気高さを、どうか失わないでほしいって。そして二人が出会った思い出にこれを。それが、君を僕のところへ導くだろうって。その時の王子様の姿、かっこよかったんですよね。だからボクは、その人に会いたくて、ううん、少しでもその人に近づきたくて、きっと、こんな格好をしているんです。....すいません、なんか変な話ししちゃって。でも、生徒会の言う、バラの花嫁とか、奇跡の力とかは信じられないけど、なんて言うか、あの人とボクの運命みたいなものは、信じられるんです。それを奇跡と呼ぶなら、そうかもしれませんが。....?先輩?
樹璃:バラの刻印を、この指輪を捨てろ!
ウテナ:え?
樹璃:気持ち悪いな。つまり君の気高さとやらは、好きな男に言われてやっているだけのサル芝居なんだ。そう、バラの花嫁を奪い合うなんてことも、君の言う王子様へのセンチメンタルと同じ、バカげたことさ。でも、その資格があるのは、本当に気高き者だけだ。君のような娘にはバラの刻印は似合わない!
ウテナ:いやだ!...これはあの人とボクの、たった一つの絆なんだ! 失うわけにはいかない。
樹璃:ならば貴様の言う奇跡とやらを見せてみろ!その正体とやらを、私の剣が暴いてやる!

枝織:タラッタラッタラッタウサギのダンス....タラッタラッタラッタウサギ、ウッサギ、ウサギ、ウッサギのダンス....

影絵少女B:へっくしょん!風邪ひいてちょうど良かったわ。遠足なんてめんどくさいと思ってたのよね。それもこの歳になって動物園だってさ。だってどうせ動物もやる気ないし、それにあそこの動物園ってほら、たいした動物いないじゃないの。鳩だ、狼だ、鹿だ、ダチョウだ、キリンだって、まったくざけんじゃないってのよね。パンダくらい見せなさいってのよね。
影絵少女A:あんた、よっぽど行きたかったのね。

樹璃:口上は昨日言ったとおりだ。奇跡の力で勝てると、うぬぼれているがいい。
ウテナ:奇跡の力なんてなくても、あなたには負けません!
アンシー:気高き城のバラよ...私に眠るディオスの力よ。主に答えて、今こそ示せ!
ウテナ:世界を革命する力を!

樹璃:大丈夫王子様?まだ始まったばかりだよ?.....少しは回り込んだりしろよ?
樹璃:かわいそうに。もうへとへとだな。でも、絶対に許さないからね。奇跡はまだ起きないのかな、王子様!
ウテナ:叫ぶ
樹璃:は、早い!
(枝織:だから、あなたから彼を奪ってしまったこと、後悔はしていません。こんな私を、あなたはきっと憎んでいますよね。)
樹璃:奇跡を信じてってのが、君の口癖だったわね。でも、奇跡なんて!ないんだよ!!
決まりだ。
樹璃:そんな....こんなのは偶然だ!奇跡とは、関係ない!!!
ウテナ:まさか!?

アンシー:いつか...想いが届きますように。
樹璃:余計なお世話だ!

冬芽:それで、君は奇跡を認めたのか?
樹璃:さあな。ただもし彼女が本当に世界を革命する力を持っているというなら、私がこの手で奪ってやる。
冬芽:秘めた想いが届くように....。

(枝織:こんな私を、あなたは憎んでますよね?)
樹璃:そう。憎んでいる。私の想いに、君は気づきもしないんだから。

(ending)
(preview)
ウテナ:ボクは姫宮アンシー。
アンシー:私は天上ウテナ。
together:あれ?
ウテナ:たいへんだ!ボクたちの性格が...、
アンシー:入れ替わってしまったのですね?
ウテナ:そう、すべてはあの、辛さ爆発のカレーライスから始まったんだ!
アンシー:まあ...メガネがなくてもよく見えるわ!
ウテナ:次回、少女革命ウテナ、「カレーなるハイトリップ」
アンシー:絶対運命、黙示録。

Episode #8

(opening)
ナレーション:あれは、昔々のお話です。あるところに、お父様とお母様を亡くし、深い悲しみにくれる、幼いお姫様がいました。そんなお姫様の前に、白馬に乗った、旅の王子様が現れます。りりしい姿、やさしい微笑み。王子様はお姫様を、バラの香りで包み込むと、そっと涙をぬぐってくれたのでした。
ディオス:「たった一人で、深い悲しみに耐える小さな君、その強さ、気高さを、どうか大人になっても失わないで。今日の思い出にこれを」
ウテナ:「私たち、また会えるわよね?」
ディオス:「その指輪が、君を僕のところへ導くだろう」
ナレーション:王子様がくれた指輪は、やはり、engage ringだったのでしょうか。...それはいいとして、お姫様は、王子様にあこがれるあまり、自分も王子様になる決意をしてしまったのです。でもいいの?ホントにそれで??

タイトル:「カレーなるハイトリップ」

生徒:七実様、2年A組、時間割通り調理実習に入っております。
七実:そのようね。で、例のものはどうなってるの?
茎子:はい、きっちりとすり替えておきました。火を噴く辛さ、インド特産激辛100倍カレー!
七実:結構。みてなさい、天上ウテナに姫宮アンシー! もうすぐ私がヒイヒイ言わせてあげる!これはお兄さまをたぶらかそうとした罰よ!
生徒:七実様?
七実:今いいところなの。静かにして!
生徒:申し訳ありません。その...、
七実:何?
生徒達:すり替えたのは100倍カレーではなく、辛さ爆発、木っ端みじん、幻の象がパオーン、超辛9000億倍カレー、だったそうです。
七実:幻の...木っ端みじん?
(爆発)
冬芽:卵の殻を破らねば、雛鳥は生まれずに死んでいく。我らが雛で、卵は世界だ。世界の殻を破らねば、我らも生まれずに死んでいく。世界の殻を破壊せよ。
together:世界を革命するために!

冬芽:諸君、バラの刻印の掟最大の危機だ。バラの花嫁が、エンゲージする者共々倒れた。世界の果てにとっても、不測の事態だ。このままでは、命も危ないとの情報も入ってきている。
(ストップウォッチ)
幹:ぼ...僕のせいだ!僕が姫宮さんに、とびきり辛いカレーが食べたいだなんていったばかりに、姫宮さんは、僕のために命がけでカレーを!!!
冬芽:まあ、幹のせいと決まったわけではないよ。
樹璃:しかしどうする?たった一杯のカレーのために、我らの野望が潰えようとしているのは事実だ。
幹:みんな僕のせいなんだ!
冬芽:何?退院した?二人とも?

若葉:ウテナ、ウテナ、ウテナさま〜〜〜もう心配したんだから!もう大丈夫なの?すっごい爆発だったって聞いて、あたしもう、気が気じゃなかった...え?ごめんなさーいあたしったら! いつもの調子で抱きついちゃったりして!救急車呼ばなくちゃ救急車!えーっとーあのー....
アンシー:それには及びません。
若葉:え?
アンシー:大丈夫です。ご心配かけました。
若葉:ウテナが変。

生徒達:あんた最近調子づいてんじゃないの?あのオトコオンナが側にいるからって、いい気にならないでよね!月夜の晩ばかりじゃないのよ!...ちょっと、黙ってないで何とか言いなさいよ!
(ストップウォッチ)
幹:何してるの?
七実:!...なんだミッキーか。びっくりさせないでよ!
幹:あ...姫宮さん!
(slap)
(slap back)
生徒:叩いたわね...ママにも叩かれたことないのに!
ウテナ:つまらない言いがかりをつけるんなら、本気で相手になるけど!
幹:そ...そんな...あの清純で可憐な姫宮さんが...!

七実:人格が入れ替わった?
生徒達:ここ数日間の二人の隠し撮りです。姫宮アンシー、天上ウテナ、二人の行動パターンが、見事なまでに入れ替わっています。
七実:本当だわ。でもどうして?
生徒:すべては、あのカレー爆発事件以来です。
七実:ウテナがアンシーで、アンシーがウテナ...?あの9000億倍スパイスのせいで?そんなバカな!
生徒達:5枚くださーい!
生徒:2000円です。
生徒達:りりしいアンシーって以外とかっこいい! もの静かなウテナ様も素敵!
七実:売ってるわけね?
生徒達:意外な魅力ってやつで。男女問わずなかなか好評です。
幹:なんてことだ...こんなの、こんなの、姫宮さんじゃない!...それでも、買ってしまう自分が憎い...。
生徒達:はい、20枚分ですね?ありがとうございました!
七実:まったく、あんな女のどこがいいんだか。
冬芽:なるほど、そういうことか。
七実:!お兄さま!
冬芽:道理で様子がおかしいと思ったが...まさか、お前が絡んでいたとはな。
七実:い、いいえ、あの、これはその....
生徒達:ネガごとお買い上げ!ありがとうございまーす!
七実:お、お兄さままで!...(ため息)
ウテナ:なるほど、そういうことだったわけね。裏で糸を引いていたのは、あんたたちだったってわけね。
冬芽:それは誤解だ。
七実:そうよ誤解よ!私のお兄さまが、あんたたちにちょっかい出すはずがないでしょ?すべてはこの七実様の仕業なのよ!おーほほほほほ。
冬芽:七実!困ったことをしてくれたな!
七実:許して〜〜〜お兄さま〜〜〜!七実、アンシーさんたちが調理実習でおいしいカレーが作れるよう、わざわざインドから幻のスパイスを取り寄せたんです!それがまさかこんな事態を引き起こしてしまうなんて〜〜〜!七実、信じられない!
ウテナ:信じられないのはあんただよ。
七実:もう一度、幻のスパイスを手に入れれば、きっとウテナさんもアンシーさんも元に戻れる。だからお願い、お兄さま!
冬芽:いいだろう。幻のスパイスを手に入れるまで、お家には入れてあげないからな。
七実:はい!お兄さまありがとう!
生徒達:...なんて言ってるけど、幻のスパイスなんてどこにあるのよ?さあ、インドから送ってもらったものだからねえ。インド!?
七実:待っててねお兄さま! I shall return〜!
生徒達やっぱ私たちもですか〜〜〜!?

影絵少女A:愛と青春の四文字熟語講座ー!今日のお言葉は、「因果応報」。
影絵少女B因果応報?
影絵少女A:悪いことをすれば、それだけ自分に災いがふりかかってくるっていう意味なのよ。
影絵少女B:金を出せ!...あっなんだこりゃ?
影絵少女A:悪いことをするには、それだけの覚悟が必要ってことなのよね。

アンシー:ウテナさまーすごいです!!
ウテナ:自分の体にほめられるのも複雑だなあ。
アンシー:私、運動は苦手ですから、自分の体が華麗に活躍している姿を見るのは嬉しいです。
ウテナ:しかし元に戻る方法を考えなきゃな。
アンシー:心配ありませんわ。きっと今頃、七実さんが....

七実&生徒達:きゃあああああ!!

(eyecatch)

ウテナ:いずれにせよ、早いとこ元の体に戻らないとまずいよ...バラの刻印の犠牲になるのは、ボクは嫌だからね。
アンシー:私はこのままでもかまいません。外見で判断してませんから。
ウテナ:ボクは困る。西園寺に言い寄られるから。
西園寺:待っていたぞ、姫宮アンシー。いつものやつだ、ついてきてくれるな?
アンシー:行ってもよろしいでしょうか?
西園寺:お前は来ないでいい。

七実:本当に助かりました。象に追いまわされた時は、もうダメかと思いました。ところで、幻の9000億倍スパイスって、ご存じありません?
ドライバー:幻の?

西園寺:ふふふふ。今日という日を、僕は心待ちにしていたよ。
ウテナ:姫宮のやつ、こんなところで、西園寺といつも何をしてるんだ?
西園寺:アンシー!早速だが、約束を果たしてもらう。
ウテナ:えーっと、何でしたっけ?
西園寺:ふん。相変わらず焦らすのがうまいな。ならば、僕の口から言おう。今日は週に二度、僕たちの愛を確かめ合う日。
ウテナ:愛?確かめ合う??
西園寺:さあ、いつものやつを...
ウテナ:ち、ちょっと....あ...!
西園寺:定めに背こうとも、僕たちの絆は事実としてある。今は秘められるべき行いとしても!
ウテナ:きゃあああ...。
西園寺:目を背けるな!僕自身を、本当の僕を見ろ!
ウテナ:いやいや...
西園寺:ここには、真実のみが記されている。僕たちの交換日記。
ウテナ:え?日記?

七実:幻のスパイス、幻のスパイス....
生徒:七実様!
together:ああああああ...

西園寺:今は交換日記の立場に甘んじている僕だが、剣の修行を積み、いつか必ず君をとり戻してみせる。それまで待っていてくれ、アンシー。
ウテナ:西園寺のやつ、真剣だった...。きっと姫宮も、あいつの気持ちを汲んで、僕にも内緒で日記だけは続けてたんだな。しかし参ったなあ。本人に返事を書いてもらうのが一番だけど、そうすると西園寺と姫宮の秘密を知ってしまったことになるだろ。かといってボクが代わりに書いちゃう訳にもいかないし...
アンシー:ああ、西園寺先輩の交換日記ですね?
ウテナ:うわ!?
アンシー:じゃ、ウテナさま、先輩に日記を渡しておいて下さいね。
ウテナ:ええ?渡しておいてって、ボクに日記を書けっていうの?
アンシー:今は、ウテナさまが姫宮アンシーですから。
ウテナ:ボクが君たちのプライバシーを覗くわけにはいかないよ!まずいよそんなの。
アンシー:まずいのですか?
ウテナ:まずいさ、そりゃ。
アンシー:では、止めます。
ウテナ:ああ?ちょっと、何するんだよ極端だなあ。捨てることないじゃないか?
アンシー:日記は、ウテナさまに止めろと言われなかったから、続けただけです。ウテナさまがまずいとおっしゃる以上、西園寺先輩との交換日記を続けるわけにはいきません。
ウテナ:ボクが言いたいのはね...
アンシー:はい?
ウテナ:え、...はあ。なんだか西園寺がかわいそうになってきた.....
アンシー:はい!

生徒:七実様!
七実:またか〜〜〜!

ウテナ:あーあ書くしかないか。どれどれ....Dear アンシー、僕は今でも夢に見るんだ。君とエンゲージしていた頃のことを。...はあ。おいおいあいつ本気じゃないか。やれやれ。...?
西園寺:「愛しのアンシーへ。いつも待たせてばかりですまない。今は交換日記に甘んじている僕だが、必ずや、生意気で不細工でオトコオンナの天上をメッタメタにうち倒して必ず君を取り戻してみせる!by西園寺莢一。」
ウテナ:これは少しおもしろくないなあ。

七実:スパイスはどこ?幻のスパイスは!?
生徒達:あ!七実さまあ!

西園寺:アンシー、もうすぐだ、君とのバラ色の生活を取り戻す日々も。
冬芽:珍しいなあ、西園寺。君がバラ園に顔を出すなんて。
西園寺:ふふふ。よく聞くがいい冬芽。バラの花嫁は、まもなく僕の下に戻ってくる。
冬芽:ほう、アンシーが。
西園寺:何人たりとも僕たちの愛を引き裂くことはできん。たとえ、バラの刻印の掟であろうともな。
冬芽:ほほう。「アンシーが」。ねえ。

ウテナ:西園寺先輩!!
西園寺:おお、アンシー!!待っていたぞ。
ウテナ:ごめんなさい、私の思いの丈を書きつづっていたら、止まらなくなっちゃって。どうぞ、受け取って下さい!ふふふふ。
西園寺:そ、そうか、そんなに僕のことを...お前の真意、しかと受け取ったぞ!どれ...
幹:先輩、たった今、七実さんが帰ってきたとの連絡が。
冬芽:何!?
「色ボケ」

七実:お兄さま!
冬芽:七実、たくましくなったな。
七実:やっと見つけました。これが、幻のスパイスです!
冬芽:よくやった、七実!
ウテナ:よし、これで元に戻れる!
七実:お兄さまあああ!
冬芽:七実!
(象)
七実:あーあーあーあーあーあーっ!!!
冬芽:七実!予備は?
七実:今のが最後の一個です...。9000億倍まで精製するまで、あと200年かかるって言ってました....。
together:に、200年!

影絵少女:これぞまさに因果応報、カシラ?

七実:スパイスが...せっかく手に入れた幻のスパイスが....
ウテナ:一生このままか...
アンシー:まあまあみなさん、そう落ち込まずに。私のスペシャルカレーでも召し上がって、元気を出して下さい。
ウテナ:とてもカレーを食べる気にはなれないけど。
七実:ため息...
生徒達:な、七実様!
七実:なによ騒がしいわね!
生徒達:申し訳ありません。これを...
七実:そ、それは!幻の9000億倍スパイス!
ウテナ:何?
生徒達:調理実習室に置いてありました。封も切らずに。あのカレーには、使ってなかったようです。
ウテナ:ということは、あの爆発は....
七実:スパイスのせいではなく、
ウテナ&七実:アンシーの料理の腕!?
幹:すごいですよ姫宮さん!食べたら爆発して、人格が入れ替わるカレー、新発明です!
アンシー:そんな...照れます...。
(ノック音)
together:あ?
ウテナ:西園寺?
西園寺:アンシー、これはなんだ?いつからこんな破廉恥なものを平気で書くようになった?そうか、天上ウテナだな?品のないやつと一緒に暮らすようになってからだな。分かったよアンシー、今回は読まなかったことにする。だから書き直してくれアンシー。新しいページを愛の言葉で埋め尽くしてくれ。
アンシー:まあまあカレーでもいかがですか?新発明なんですよ。
西園寺:うん。たまには気が利くな。
ウテナ:そ、そのカレーは!?
アンシー:新発明ですよ。
(爆発)

若葉:で、爆発のショックで目が覚めたら、二人とも元に戻ってたってわけ?
ウテナ:そういうこと。
若葉:信じられない。
ウテナ:まったくエライ目にあった。カレーはもうごめんだ。
アンシー:そうですね。
ウテナ:それにしても
アンシー:え?
ウテナ:こいつはどうしたものかなあ。
chu!

(ending)
(preview)
ウテナ:姫宮が神隠しにあったって?
アンシー:決闘の約束もなしに、私を広場に連れていくことは許されません。止めて下さい西園寺先輩!
ウテナ:西園寺!姫宮をどうするつもりだ!少しは彼女の気持ちも考えろ!
アンシー:いつか、あの空に浮かぶ城に行きたいの。あそこには、永遠のものがあるの。
ウテナ:次回、少女革命ウテナ、「永遠があるという城」

Episode#9

(opening)
生徒達:剣道場で決闘ですってよ! また冬芽先輩と西園寺先輩?
決闘....!?
生徒達:あー素敵〜〜冬芽様、こっち向いて〜〜〜! やっちゃってー西園寺先輩!!
フレー、フレー、冬芽様! ...西園寺! ...はじまるよ!
ウテナ:へえ。結構やるじゃないか。ただの女ったらしじゃないわけね。...この勝負、生徒会長の勝ちだな。
生徒達:西園寺先輩!サイコー!

冬芽:おいおいそんな怖い顔でにらむなよ!親友。
西園寺:誰が親友だ!
冬芽:つれないねえ。お前はオレの、たった一人の友人じゃないか。
西園寺:言うな!貴様だけには絶対に負けない!!

タイトル:永遠があるという城

西園寺:いつもいつもアンシーにまとわりつく、邪魔者め!
ウテナ:それはあんただろう!しつこいのは一番嫌われるんだぜ、先輩!
西園寺:貴様か天上ウテナ!あんまり調子に乗るなよ。次の決闘で、必ず貴様を倒し、アンシーを取り返してやる。...うるさい!
ウテナ:あんたにボクが倒せるのかな。さっきも、桐生冬芽に一本取られてたようだけど。
西園寺:見てたのか。ふん。あいつとはこの10年間、何百回もやり合っている。今日のはたまたまだ。
ウテナ:へえ。あんたたち、そんな昔からお知り合いなんだ。
西園寺:やつには負けない!バラの花嫁は、必ずオレが手に入れる!
ウテナ:あんた本当に姫宮のことが好きなのか?だったら何で決闘なんかで手に入れようとするんだ?
西園寺:決闘で勝ち取らなければ、やつに勝ったことにはならない!
ウテナ:やつって、冬芽のことか?あんた、冬芽と張り合ってるだけなのか?姫宮をその道具にしているのか?
西園寺:貴様に話してもわかるまい。オレはアンシーと一緒に、永遠のものを手に入れる。
ウテナ:永遠?
西園寺:そうだ。あの子も、永遠が欲しいと言ったのだ!

西園寺(男の子):やっぱり降ってきたじゃないか!だから10回目の勝負で止めようって言ったのに!
冬芽(男の子):しょうがないだろ。お前ぐらいしか、オレの練習相手になるやつ、いないんだから。
西園寺:ま、まあな。...あ?どうした、冬芽?
冬芽:お葬式だ。
西園寺:誰が死んだんだろう?
某:君たち、この辺で、君たちと同じくらいの女の子、見なかったかな?
冬芽:どうしたんですか?
某:今日、ご両親を事故でなくした女の子がいてね。目を離した隙に、いなくなっちゃったんだ。
西園寺:見ませんでしたけど。
某:そうかい、ありがとう。
某:まさか、神隠しなんてことはないよな。
某:何バカなこといってんだよ。もう少し、この辺を探してみよう。
西園寺:今時、神隠しだってさ....冬芽?

西園寺:おい!勝手に入っていいのか?おい、待てよ!
冬芽:やっぱり棺が三つある。さっき、ドアの隙間から見えたんだ。
西園寺:え?何してんだお前、冬芽! やめろ、やめるんだ、おい、やめろ、やめろー!
ウテナ(少女)開けないで。...お願い、開けないで。
西園寺:こんなところに隠れてたのか。
冬芽:みんなが、君のことを探しているよ。
ウテナ:ここにいること、誰かに話した?
冬芽:いや。誰にも言わないよ。
西園寺:おい!
冬芽:オレはいつでも、女の子の味方さ。フェミニストだからね。
西園寺:でもどうして、こんなところに隠れているんだい?
ウテナ:ここが、あたしの場所だから。
西園寺:どういうこと?
ウテナ:隣に棺が並んでるでしょ。お父さんとお母さん、今日死んじゃったの。でね、棺が一個余ってたの。これって、きっとあたしの分なの。生きてるのって、なんか気持ち悪いよね。
冬芽:そう?
ウテナ:そう。気持ち悪いよ。どうせ死んじゃうのに、なんでみんな生きてるんだろう。なんで今日までそのことに気づかなかったんだろう。永遠のものなんて、あるわけないのにね。
西園寺:永遠のもの?
ウテナ:だから、もういいの。私はこの棺から出ないの。
西園寺:でも、そのうち誰かに見つかっちゃうよ。
ウテナ:そしたら、また別の棺に隠れるわ。もう、誰にも会わないの。お日さまの下にももう出ないの。
西園寺:待てよ!このままじゃあの子、バカなことしちゃうんじゃないのか?
冬芽:だったら、お前が永遠のものを見せてやれよ。

西園寺:次の日、彼女は棺から出ていた。何かを感じさせる目をして。

西園寺(男の子):お前、昨日あれからあの子に何かしたのか?
冬芽(男の子):いや、何も。

西園寺:だがオレは思った。やつは、きっと彼女に永遠のものを見せたに違いない。桐生冬芽、やつはいつもオレより先に、オレの知らない世界に行く。
アンシー:「いつか、あの空に浮かぶお城に行きたいの。あそこには、永遠のものがあるの」
西園寺:貴様もあの空に浮かぶ城を見たろう?あの城には、永遠があるんだ。オレは彼女と一緒にそこへ行く。冬芽には負けない!
樹璃:そういえば、天上ウテナは幼い頃に王子様に会ったと言っていたな。
幹:王子様?
樹璃:ああ。小さい頃に出会った王子様に会いたくて、この学園に来たと彼女は言っていたな。
冬芽:ロマンチストだねえ。彼女は。王子様ねえ....なるほど。

(eyecatch)

ウテナ:「その指輪が、君を僕のところへ導くだろう」。それはお姫様にとって、まぎれもない初恋でした。そして王子様のくれた指輪は、やはり、engage ringだったのでしょうか。....また会えるよね。....!冷たいっ!何をする!
冬芽:君の後ろ姿が、あまりに寂しそうに見えたものでね。
ウテナ:大きなお世話だ!
冬芽:こんなところで何をしてるのかな?
ウテナ:あんたは知ってるのかい?あのお城のことを。
冬芽:お城?
ウテナ:決闘広場から見える、空に浮かんだあのお城って、本当はいったい何なんだ?
冬芽:笑いあのお城は、君と王子様がいつかきっと会う場所さ。
ウテナ:誰かに余計なことを聞いたな?
冬芽:その王子様って、オレみたいなやつじゃなかった?
ウテナ:やめろ!ふざけるのはよせ!冗談じゃない!
西園寺:ん?世界の果てからか....!!!!ふふふ。

影絵少女A:あ、UFO!
影絵少女B:どこどこどこ?どこ?なーんだ、流れ星じゃない。
影絵少女A:違うもん、UFOだもん。だってフラフラ...じゃない、ジグザグ飛んでたもん!
影絵少女B:じゃあ、ジグザグ飛ぶ流れ星ね。UFOなんているわけないじゃん。
影絵少女A:いやー。あれは、幼稚園の時だったわ。
影絵少女B:何が?
影絵少女A:サンタクロースの存在を、否定されてしまったのは!
影絵少女B:ギク!
影絵少女A:でもいいわ。分かってるわ。
影絵少女B:何が?
影絵少女A:魔法使いも、妖精さんも、
影絵少女:白馬の王子様も!心優しい友達も。
影絵少女A:みんなファンタジーの中にしか存在しないのよね。
影絵少女B:でも、いいの。
影絵少女:分かってるの!
影絵少女A:だからせめて、UFOだけは残しとくの。
影絵少女B:ちょっとつらいけどね。あ、あれれ? あ?割れた。

ウテナ:おーい姫宮ー!夕食だよ?...チュチュ、お前のご主人様は?まだ帰ってないの?珍しいなあ。(電話)あ、姫宮からかな。はいはい。...はい、東館2階。
冬芽:姫宮アンシーは、今夜神隠しにあう。
ウテナ:何?
冬芽:決闘広場に行ってみろ。
ウテナ:あんた誰だ?おい!

アンシー:止めて下さい!西園寺先輩!痛いです。もう帰らないと、ウテナさまが心配します!
西園寺:何がウテナさまだ!お前との約束を守るのはオレだ!
アンシー:約束?あっ...
西園寺:そうだ。今夜こそ二人で、あの永遠があるという城へ行けるのだ!
アンシー:だめです。エンゲージしていない者が、決闘の約束もなしに私を決闘場に連れていくことなど許されません!
西園寺:今夜城が降りてくると、世界の果てがオレに言ってきたのだ。(slap)誰にも渡しはしない。お前と一緒に永遠を手に入れるのは、このオレだ!

ウテナ:なっ? あたたた...。もうー、何だよ? ...西園寺?西園寺!起きろ!
西園寺:うっ...天上?
ウテナ:姫宮はどうした?
西園寺:アンシー?
ウテナ:どういうつもりだ?ボクと決闘して勝たなきゃ彼女は奪えないんじゃなかったのか?
西園寺:貴様が、なぜここに...?
ウテナ:姫宮が神隠しにあうから来てみろと言われた!
西園寺:神隠し...!?神隠し...神隠し....あ、アンシーは?
ウテナ:それはこっちが聞いてるんだ!
西園寺:おい!...貴様が開けたのか?
ウテナ:いや、ボクじゃない。
西園寺:まさか!
ウテナ:お、おい!待てよ!
西園寺:!!あれは....
(ウテナ(少女):開けないで。...永遠なんて、あるわけないのに...)
ウテナ:姫宮!
西園寺:アンシー!....何?
ウテナ:姫宮!あっ...
西園寺:天上!
ウテナ:あ?どうなってるんだ、これ?とにかく、姫宮を助けなきゃ。
西園寺:...!!城が...城が降りてくる!(笑い)オレはここだぞ、世界の果てよ!今こそ約束を果たせ!永遠を我が手に!!....あ、うわあああああああああ!
ウテナ:姫宮ーーーーーー!!!!
西園寺:何だ?どうなってるんだ?いったい何なんださっきのは?
ウテナ:姫宮!姫宮!姫宮!おい!しっかりしろよ姫宮!
西園寺:違う...。彼女を棺から救い出すのは、今度こそオレなんだ!永遠があるという城も、世界を革命する力も、すべてオレのものに....!アンシーと二人で、あの城に行くのはオレだ!!
ウテナ:姫宮!姫宮!姫宮!....姫宮。
アンシー:....ウテナさま?
ウテナ:良かった。でも、いったい、何があったんだ?
アンシー:何が? 私いったい今?...はっ!ウテナさま!!!!


ウテナ:あ!冬芽?どうして?
冬芽:君の王子様ってのは...オレみたいなやつじゃなかったか?
西園寺:何でいつも....貴様は!
冬芽:フェミニストだからさ。オレは。

冬芽:オレです。ええ。今夜の西園寺宛の手紙は、オレが出したんです。そう、あなたの名前でね。いえ、傷は浅いです。ま、ちょっとした演出ってやつですよ。はい。西園寺は退学処分ってことで。(笑い)まさか。本当に友達がいると思ってるやつは、バカですよ。

(ending)
(preview)
ウテナ:ボクをかばって、冬芽がケガをした。
アンシー:ウテナさまは何も悪くありません。
ウテナ:でも、冬芽の妹は、そうは思ってないみたいだ。
アンシー:桐生七実さんですね。
ウテナ:冬芽の誕生パーティ、出ないわけにいかないよな。え?七実君もデュエリストだったのか?
アンシー:桐生先輩、お誕生日おめでとうございます。
ウテナ:次回、少女革命ウテナ、「七実の大切なもの」
アンシー:絶対運命、黙示録。

Episode #10

(opening)
生徒:おい聞いたか?西園寺のこと?
生徒:聞いた聞いた。いったい何やったんだ?退学だって?
樹璃:バカなやつだ。世界の果ての許可もなく、バラの花嫁欲しさに死闘を繰り広げるなんて。破廉恥にもほどがある。
幹:いつかやるんじゃないかとは思っていましたけど、ほんとにやっちゃうところが彼らしいというかなんというか。
樹璃:所詮やつは、生徒会のピエロだったのさ。

冬芽:君の退学処分、一刻も早く取り消してもらうよう、努力するよ。
西園寺:この上、面倒をかけて悪いんだが....
冬芽:姫宮との交換日記か? 分かった。オレが責任をもって、渡しておくよ。
西園寺:すまない。最後まで迷惑をかけて。
冬芽:気にするなよ。オレたちは親友だろ?

タイトル:七実の大切なもの

冬芽:卵の殻を破らねば、雛鳥は生まれずに死んでいく。我らが雛で、卵は世界だ。世界の殻を破らねば、我らも生まれずに死んでいく。世界の殻を破壊せよ。
together:世界を革命するために!

冬芽:世界の果てから、新たな手紙が届いた。決闘の日は近い。
樹璃:順番からいけば、次は冬芽と言うことになるな。
幹:冬芽先輩は、傷が治っていません。僕が代わりに。
樹璃:お前にウテナは無理だ。私が行こう。今度こそ天上ウテナを倒してみせる!
幹:僕が行きます。樹璃さんこそ引っ込んでいて下さい!
樹璃:何?
冬芽:急くな二人とも。デュエリストはまだいる。
(ストップウォッチ)
幹:そんなバカな!
樹璃:私たちやウテナの他にも、まだ世界の果てに選ばれた者が、決闘の資格を持つ者がいるというのか?
冬芽:ふふふ。

(slap)
七実:あんたのせいでお兄さまはケガしたのよ!あんたのせいで! 何とか言ったらどうなの!なんであんたなんかのために、お兄さまが傷つかなくちゃならないのよ!
ウテナ:...ごめん。僕がもっとしっかりしていれば、こんなことにはならなかったんだ。ごめん。
七実:ふざけるんじゃないわよ!謝ったって、お兄さまの傷は治らないのよ!
冬芽:七実!七実。
七実:お兄さま。
冬芽:騒ぎ立てるほどの傷じゃない。それにレディの危機を救うのは、ナイトの努めだ。
ウテナ:生徒会長...
冬芽:君が無事なら、こっちはそれで満足なんだ。
七実:許さない!私は絶対許さないから!
冬芽:気にすることはないさ。七実もきっと、気が動転しているんだ。君のせいじゃないってことぐらい、あいつも分かっているよ。

ウテナ:やはり、女の子は王子様にはなれないのでしょうか...?(ため息)
アンシー:どうしたんですか?元気ないですね。
ウテナ:落ち込みたくもなるさ。ボクをかばったせいで、生徒会長はケガをしたんだもの。
アンシー:体の具合は、大丈夫かしら?
ウテナ:それは、ボクも心配なんだ。...やっぱり、ちゃんとお見舞い行った方がいいよね?まだ、助けてもらったお礼も言っていないし。
アンシー:そうだ!もしかしてお腹空いてません?
ウテナ:ありがとう。でも今は、あんまりかき氷食べたい気分じゃないんだけど。....どういうことなの?
アンシー:ねえ何にしましょうか?この子の名前?
ウテナ:すると...さっきの話は...ため息。
アンシー:あの、ウテナさま、バラなら今、たくさん咲いていますから。...行かれるんでしょう?お見舞い。
ウテナ:姫宮。
アンシー:花を贈られて、イヤな気分になる人はまずいませんから。
ウテナ:ありがとう。

某:冬芽様、お誕生日おめでとうございます。おめでとうございます。
七実:お兄さま、お誕生日おめでとうございます。
母:!何です七実!その格好!
七実:お兄さまにこれ...
母:まあ汚ならしい!早く捨ててきなさい!
七実:でもママ...。
父:パパに渡しなさい。
七実:いやー!!
冬芽:待って下さい!...ありがとう七実。最高のプレゼントだよ。

七実:お兄さまはいつも優しく私を包んでくれた。お兄さまの笑顔は、私だけのものだった。....?

七実:いけませんお兄さま。傷に障ります。
冬芽:大丈夫。体を動かしていないと、なまってしまうのでね。
七実:今無理をしては、また悪くなってしまいます。...止めて下さい!
冬芽:...おい。そこまでしなくても。
七実:止めて下さい。お兄さまにもしものことがあったら、七実は...
冬芽:お前の兄には、もしものことなどない。そうだろう?
七実:キスは....キスはして下さらないのですか?
冬芽:するはずないよ。子供じゃないし。びっくりしただろ?...さ、もう寝るとしよう。おやすみ、七実。

ウテナ:え?生徒会長、欠席してるんですか?
生徒:今日は欠席するって、連絡があったみたいよ。
ウテナ:そうですか。
生徒:でもパーティなら会えるんじゃない?
ウテナ:パーティ?
生徒:今夜、生徒会長の家であるのよ。授業はさぼっても、そっちには顔出すんじゃないかな。

生徒達:誕生日おめでとうございます。冬芽様。これ、私たち二人からの。
ウテナ:パーティって、誕生パーティだったのか。
アンシー:知りませんですか?
ウテナ:知ってたの?
アンシー:はい。
樹璃:そろそろ教えてくれてもいいだろう。誰なんだ、次のデュエリストは?
冬芽:おいおい、今日はオレの誕生パーティなんだ。せっかくの楽しい時間に、世界の果ての話なんてしなくてもいいだろう。
樹璃:決闘の期日は明日の夜だ。
冬芽:安心しろ。舞台は整っている。...やあ、よく来てくれたね。
ウテナ:....勘違いしないでくれよ。ボクのは、お見舞いだからね。...まだ、助けてもらったお礼、してなかったから。
冬芽:笑い...
ウテナ:何がおかしいんだよ?
冬芽:...いや失敬、断りを入れるところが、君らしいと思ってね。
ウテナ:バカにしてるね!
冬芽:いや、君が来てくれただけで、満足だよ。
ウテナ:どういう...意味だよ?

七実:何て浅ましい女!こんなもので、お兄さまをたぶらかすおつもり?
冬芽:七実!もうよせよ。
七実:お兄さまもお兄さまです!こいつはお兄さまを傷つけたのよ!
ウテナ:違う!あれは...
アンシー:ウテナさまをいじめないで下さい。あれはすべて、西園寺先輩が...
七実:おだまり....!(slap)元はといえばあんたが!
ウテナ:やめろ!何するんだ!
七実:絶対渡さない....あんたなんかに、お兄さまは絶対渡さない!!!

全員:そうだったのか!冬芽さまとウテナがね...!
ウテナ:違う!ボクは、別に生徒会長のことなんか....

(eyecatch)

冬芽:オレが甘やかしたせいかな。自分で言うのも何だけど、七実は、お兄ちゃん子なところがあってね。
ウテナ:世界で一番の兄貴のせいで、他の男は全員ダボハゼ同然。
冬芽:幹か...おしゃべりなやつだ。...あれは...やっぱりオレの誕生パーティの時だ。七実のやつ、自分はプレゼントするものがないからって、子猫を見つけてきてね。
ウテナ:子猫?
冬芽:子猫はいつの間にかいなくなってしまったけど、あれは、一番嬉しいプレゼントだったなあ。
アンシー:あの、さっき、渡しそびれてしまって...。
冬芽:(笑い)こら、よせよこいつ!
アンシー:猫はお嫌いですか?
冬芽:いや、ありがとう。最高のプレゼントだよ。

冬芽:あっち行ってろよ!
七実:お兄さま〜リンゴ取るの手伝って〜〜!
冬芽:うーん、あとでね。
七実:七実手が届かないよ!ねえお兄さま!
冬芽:うるさいなあ。今この子と遊んでるんだ。
七実:だめ!
冬芽:よせよ!ふざけてるだけだろ。
だって...
あっち行ってろよ!
七実:あんたが悪いんだよ。私とお兄さまの邪魔するから。お兄さまは七実だけのものなんだから。

幹:やめるんだ、七実君!自分が何をしているのか、分かっているのか?
七実:逃げたりしないでしょうね?天上さん。
樹璃:騒ぎになれば、君だって西園寺みたいに退学にされてしまうんだぞ?
七実:かまわないわ。
冬芽:学園には学園のルールがある。七実、左手を出せ。
ウテナ:!
七実:お兄さま...?
冬芽:忘れたか、七実。バラの刻印は、学園で決闘を許されし者の唯一の証。世界の果てから選ばれしお前の力、見せてみろ。
幹:まさか七実君もデュエリストだったとは...。
冬芽:明日の夜、広場で。この決闘受けてもらえるね?

影絵少女A:見て見て、子猫拾ってきたの。どんな名前つけようかしら?
影絵少女B:「タマ」なんてどうかしら?
影絵少女A:そんなの平凡すぎるわ。もっと変わった名前ないのかしら?
影絵少女B:変わったタマ!
影絵少女A:うーん、そうじゃなくて、もっとセンスのいい名前ないのかしら?
影絵少女B:センスのいい変わったタマ!
影絵少女A:だから違うわよ!もっとこう、可愛らしくて、覚えやすい、品のある名前ないかしら?
影絵少女B:可愛らしくて覚えやすい、品のある、センスのいい、変わったタマ!
影絵少女A:もう分かった!そんなにタマがいいなら、タマでいいわよ。ふん。
影絵少女B:...おいでジュリアーノ。
影絵少女A:うーん、かわいい名前じゃなくってもいいってば!

ウテナ:どうしてもやるの?
七実:目障りなのよあんたたち!いつもお兄さまのまわりをウロチョロと!勝負よ天上ウテナ!!

アンシー:気高き城のバラよ...私に眠るディオスの力よ。主に答えて、今こそ示せ!
ウテナ:世界を革命する力を!

ウテナ:は、早い!
七実:甘く見ないことね!私は今まで13年間、ずうっとお兄さまだけを見つめてきたのよ!...お兄さまのことは何でも知ってる。もちろん、剣の道のことも!今では私の武術はお兄さまの武術!この指輪だって、私の王子様からもらったものだもの!王子様は私を勝利に導こうとしているのよ!
ウテナ:そんなことはない!...勝負あったね。
七実:勝負はこれからよ!
いけません七実さん!勝負は、胸のバラを散らされたら負けです!
知らないわそんなこと!
ウテナ:やめるんだ七実!こんな闘い、意味がない!
冬芽:そこまで!!

(七実:あんたが悪いんだよ。私とお兄さまの邪魔するから....。 !)

ウテナ:七実?
七実:勝つわお兄さま!七実はまだ、負けてなんていません!
冬芽:バカなやつだ。七実、お前はもう、闘う必要なんてないんだ。お前は、オレが守ってやる。
七実:お兄さま!...ごめんなさい、お兄さま。...ごめんなさい。
冬芽:いいんだ。もういいんだ。
ウテナ:たまには、兄貴らしいこともするんだな。
冬芽:乙女のピンチを黙ってみていられないんだ。王子様の性でね。
ウテナ:!?
冬芽:これでデータはそろった。ディオスの力は、このオレが必ず手に入れてみせる!

(ending)
(preview)
ウテナ:やはり桐生冬芽が、あのボクの王子様なんだろうか?
アンシー:私...
ウテナ:やめてくれ!その子は、姫宮アンシーという名前の、普通の女の子なんだ!
アンシー:私は...
ウテナ:やつがデュエリストだということを忘れてた!でも...
アンシー:私はバラの花嫁です。その意味がお分かりですか?ウテナさま。
ウテナ:次回、少女革命ウテナ、「優雅に冷酷・その花を摘む者」
アンシー:絶対運命、黙示録。

Episode #11
(opening)

ウテナ:ああ。たまには外でお昼っていうのも、気持ちいいねえ。
若葉:そうでしょそうでしょ?発案者の私って、もう賢いでしょ、でしょ?
ウテナ:?
若葉:ウテナの分もね、ちゃーんと用意してあるの!
ウテナ:だってボクは...
若葉:ダメダメそんな味気ないお昼じゃつまんないでしょ。それより、私のウテナさまへの愛情がこもってるこのお弁当!見て、見て、見て〜〜!
ウテナ:うん。
若葉:嬉し〜〜〜い!!
ウテナ:どああやめろって!!

タイトル:優雅に冷酷・その花を摘む者

若葉:さてさて驚きなさるなよ。じゃーーん!基本はレトルトだけど、Formは超プリティ〜でしょ?
ウテナ:まあ、愛情は別として、おいしそうなのは確かだ。ありがとう若葉。
若葉:やったーーー!それでこそ作った甲斐があったってもんよ!さすが若葉ちゃん!憎い憎い〜〜。

アンシー:ウテナさま、私のお弁当も見てもらえます?
ウテナ:また、かき氷じゃないわよね?
アンシー:はい!
ウテナ&若葉:!?
ウテナ:はあーなかなかボリュームあるねえ。
若葉:大迫力!
アンシー:はい、どうぞ。
ウテナ:まず、一段目は?
若葉:たこ焼き....よね、これって?
アンシー:はい!
ウテナ:で、二段目は...
若葉:ああ...焼きそば....ね。はいはい。
アンシー:おいしそうでしょ?
ウテナ&若葉:!?
アンシー:あら、まあ。
ウテナ:(ため息)なーんだ割とまともじゃないか?なんだか、縁日みたいだけど。
若葉:割とまともって、どんなお弁当を予想してたの?
ウテナ:いや、その話題は食事の後にしよう。

幹:何が見えるんですか?
冬芽:君か。ふふ...ひとりぼっちの、姫君が見えたよ。
幹:え?天上先輩、それに姫宮さんも。天上先輩たち楽しそうですねえ。でも、ひとりぼっちの姫君って...?
冬芽:君には見えないよ。オレにしか見えないんだ。
幹:それって、幻のことですか?
冬芽:実在するものさ。目で見てふれることのできる。

若葉:(笑い)きゃはは...すごいすごい!
ウテナ:笑い...あ?
若葉:ウテナ!何みてんの?
ウテナ:!...別に...
若葉:なーんだ。生徒会の王子様ね。
ウテナ:!王子様!?....あのとき、確かに...
(冬芽:その....王子様ってのは...オレみたいじゃ...なかったのかい?....)
ウテナ:もし...それが本当なら...生徒会長が....あの時の王子様....?
アンシー:(笑い)すごいすごい!
若葉:そんな食べ方して大丈夫?

冬芽:卵の殻を破らねば、雛鳥は生まれずに死んでいく。我らが雛で、卵は世界だ。世界の殻を破らねば、我らは生まれずに死んでいく。世界の殻を破壊せよ。
together:世界を革命するために!

冬芽:もう、知っていると思うが、七実は天上ウテナとの決闘に敗れた。ふがいない話だが、実力の差ははっきりしていたよ。
樹璃:はじめからね。七実君は、負けるために闘ったんだ。生徒会長、桐生冬芽が仕掛けた、筋書き通りに、ね。
冬芽:そんな風に取られるなんて、心外だな。僕は七実のことを可愛がっているつもりだがね。
幹:ペットの猫のように、ですか?
(ストップウォッチ)
幹:6秒12?
冬芽:七実が決闘に負けたのは、七実自身のせいだ。たとえ誰かの筋書きがあったとしても、それに乗るかどうかは、本人の責任だね。
樹璃:冷たいのね。
冬芽:人の想いの深さというものは、時として想っている本人の足を引っ張ることがある。
幹:!...
冬芽:その想いが、強ければ強いほどね。

(冬芽:その....王子様ってのは...オレみたいじゃなかったのかい?....)
ウテナ:?
冬芽:全く見事だよ。この品種は、難しいと言われているのに。
アンシー:ありがとうございます。
冬芽:そういえば君たち、今日は外でお昼をとっていたね。
アンシー:はい。ご覧になっていたんですね。ウテナ様に若葉さんとチュチュ、とっても楽しかった....。
冬芽:それは結構。
アンシー:若葉さんのお弁当、おいしかった...私もあんなお料理、作ってみたい。
冬芽:バラの花嫁が、料理とはね。
アンシー:!
冬芽:君は料理なんてすべきじゃないな。君はここで、バラの世話をしているだけでいい。この鳥かごが、君の領地だ。そして君は、そこに住む美しい小鳥。鳥かごごと、オレのものにしてしまいたいね。オレなら、君をここから出さないな。永遠に...
ウテナ:姫宮から離れてくれ!
冬芽:やあ、よく来たね。
ウテナ:君も、姫宮のことをバラの花嫁としか見てないんだな。
冬芽:間違ってるかな?
ウテナ:間違ってる!バラの花嫁とか、誰かのものとか、そういうのは止めてくれ!その子は、姫宮アンシーという名前の、普通の女の子だ!!
冬芽:そう?君は本当に、普通の女の子?
アンシー:え...?
冬芽:君だってイヤだろう?バラの花嫁なんて!
アンシー:私...
ウテナ:君の考えをはっきり言ってやれ!
アンシー:私の考え...?
ウテナ:そう、君はバラの花嫁として扱われるのがイヤだろう?はっきりそう言ってやれ!
アンシー:...はい。私はバラの花嫁扱いされるのがイヤです。
冬芽:(笑い)
ウテナ:何がおかしい?
冬芽:いや失敬。この子は君の花嫁だったな。ほら。
ウテナ:姫宮に何の用があるんだ?
冬芽:その子に用はない。ここに来れば、君に会えると思ってね。待ってたんだ。
ウテナ:ボクに、何の用があるんだ?
冬芽:君の王子として、大事な話があるんだ。
ウテナ:王子...!?...やっぱり、生徒会長が、ボクの王子様...!?
冬芽:あの時、君は泣いていたね。きらきら光る涙を、いっぱいにこぼして。
ウテナ:そう。ボクはあの時泣いていたんだ...。本当にあの時、ボクを救ってくれた人?
冬芽:その証が欲しい?
ウテナ:証?
冬芽:そう、こんな...感じだったかな...
ウテナ:キス...される....でも、あの時も...こんな...感じだった....。
冬芽:...失礼、不謹慎だったよ。デュエリスト二人が、バラの花嫁の前で。
ウテナ:...!
冬芽:じゃあ、本題の、大事な話だが...天上ウテナ、君に決闘を申し込むよ。
ウテナ:.....!!!

(eyecatch)

ウテナ:ボクは、桐生冬芽がデュエリストだということをすっかり忘れていた。でも、小さかったボクを救ってくれた王子様、あの人にもう一度会いたくてこの学校に来たはずなのに...そのたった一つの絆が、ボクと王子様を決闘させるなんて。...この指輪さえなければ。
アンシー:ウテナさま?お茶が入りました。

アンシー:ウテナさま、お昼のお弁当、いかがでした?
ウテナ:ん?ああ、おいしかったよ。ありがとう。...若葉も結構いけるって言ってたよ。
アンシー:よかった。若葉さんって、楽しい方ですよね。
ウテナ:うん。一緒にいるといつでも明るい気持ちにさせてくれる、いい友達なんだ。姫宮も友達になればいいのに。
アンシー:....
ウテナ:そっか、姫宮にはチュチュがいるもんな。十人分楽しいか。
アンシー:私.....私も....友達になれたらいいな。
ウテナ:...!なれる、なれるよ!君から心を開いて話しかければ、きっと誰でも受け入れてくれるよ!
アンシー:心を....開く?
ウテナ:そうだよ、大丈夫、ボクも手伝ってあげるから!
アンシー:....はい。

ウテナ:そうだ、ボクが姫宮を守らなければ。ボクなら姫宮を普通の女の子に戻すことができるんだ。他のやつに渡すわけにはいかない...たとえボクの王子様であろうと!

影絵少女A:さあ息子よ、頭の上にこのリンゴを乗せて立つのだ!
影絵少女B:はい父ちゃん!でも...。お見事父ちゃん!でももう3万7千919回目だよ。いつまで続けなきゃいけないの、これ、ね?
影絵少女A:ああ。ドクターストップが出るまでだな。つべこべ言わずに息子よ、頭の上にこのリンゴをのせて立つのよ。
影絵少女B:はい父ちゃん!でも、どうして領主様は、一回で許してくれないの?
影絵少女A:ええい私に考えさせるんじゃない!
影絵少女B:あわれやあわれ、射的マシーンと化したテル親子の運命は?
影絵少女A:かしらかしら、ご存じかしら?
影絵少女B:父ちゃん、照準もうちょっと上。
影絵少女A:あ、やべえ。

冬芽:来たね。
ウテナ:どうしても、決闘しなくちゃいけないのか、ボクたち?

冬芽:さて、お取り込みのところ、失礼だが、そろそろ始めようか、天上君。

アンシー:気高き城のバラよ...私に眠るディオスの力よ。主に答えて、今こそ示せ!
ウテナ:世界を革命する力を!

冬芽:手加減はしない!決闘において甘い考えを持つと、命取りになる。そのつもりでかかってき給え!

冬芽:天上ウテナ、剣の腕は素人同然。だが問題は、ディオスの力が現れた時!...さあ、天上ウテナ...
ウテナ:負けるわけにはいかない!
冬芽:見せてみろ、ディオスの力を!
(冬芽:その...王子様ってのは...オレみたいじゃ...なかったかい?)
ウテナ:王子様?

冬芽:よかったじゃないか、これからは君の望み通り、こんな訳の分からない決闘に巻き込まれずにすむ。...行こう、アンシー。
ウテナ:待て...姫宮は連れていかないでくれ...姫宮は普通の女の子に戻りたいんだ。ボクがいてあげなくては。世界を革命する力なんていらない。姫宮には、ボクが必要なんだ!
冬芽:君は、何も分かっていない。
ウテナ:本当なんだ。姫宮は友達が欲しいって言ったんだ。ボクがいなければ、姫宮はまたひとりになってしまう。
冬芽:アンシー?
アンシー:はい。
冬芽:君は、バラの花嫁でいられて、幸せだな?
アンシー:私は...バラの花嫁でいられて、幸せです。
冬芽:友達はいらない、一人が好きだな?
アンシー:はい、一人が好きです。
冬芽:天上君、こういうことだ。姫宮アンシーは、決闘の勝利者の花嫁。君とエンゲージしている間は、君に従うという掟なんだ。
ウテナ:ウソだ...
バラの花嫁は、主の望みに応える。彼女を普通の女の子にさせたいと、君が望んだだけだ。
ウテナ:ウソだ...
冬芽:決闘に負けた以上、君とアンシーとは、何の関わりもなくなった。彼女のことも、この決闘のことも、すべて忘れるんだ。
ウテナ:ウソだ...ウソだろ姫宮!本当のことを言ってよ!バラの花嫁なんかイヤだって...友達を作るって!ボクに話してくれたじゃないか!
冬芽:アンシー、お別れを言ってやれ。
アンシー:ごきげんよう、天上さん。
ウテナ:ウソだ....ウソだ....ウソだ....ウソだああああああ!!!!!

(ending)
(preview)
ウテナ:負けた...ボクが。
アンシー:おはようございます、天上さん。
ウテナ:姫宮....君って子は...。
アンシー:私はバラの花嫁。私はこれで普通なんです。
ウテナ:待ってろ姫宮、今から本当の君を、本当のボクを、もう一度取り戻してみせる!!
次回、少女革命ウテナ、「たぶん友情のために」
アンシー:絶対運命、黙示録。

Episode #12

(opening)
ウテナ:負けた...ボクが....。
冬芽:王子様を気取ってても、所詮は女の子だな。君が何を期待していたにしろ、その期待はかなえられなかった。ま、これを普通の女の子に戻るいいチャンスと考えるんだな。
アンシー:ごきげんよう、天上さん。
教師:天上さん....天上さん....天上さん....天上ウテナさん!
生徒:今日は休みみたいです。
若葉:....??

タイトル:たぶん友情のために

(ノック音)
若葉:ウテナ...?
ウテナ:開いてるよ。
若葉:ねねどうしたの?学校休んだりして?ひょっとして...カゼ?...どれどれ...うーん熱なし、扁桃腺の腫れなし、脈も正常...私の見立てでは、ただのサボりね。あ?そういえば姫宮さんは?ケンカでもしたの?
ウテナ:ちょっとね。
若葉:ふーん。

若葉:で、本当のところ、今日はどうしたの?
ウテナ:何でもないよ。
若葉:何でもないのに、休むわけ?...ウテナ?...あ、何これ?ひどーい!
ウテナ:ちょっと引っかけちゃったんだ。
若葉:あたし繕ってあげよっか?
ウテナ:あ?うん。でもいいよ。別の制服があるから。

生徒達:ねえねえ、あれ天上先輩だよね?ああいうのも似合ってるよね!...私、こっちの方がいい。
若葉:以外と好評じゃない?
ウテナ:....うん。
若葉:ウテナもその制服気に入ったみたいね。
ウテナ:うん。これで普通なんだ。明日からもこれにするよ。
アンシー:おはようございます。
若葉:あ、...おっはよ!
ウテナ:おはよう、姫宮。
アンシー:おはようございます、天上さん。
若葉:あれ?あ....。
ウテナ:普通にならなきゃ、普通に。
若葉:やっぱりケンカね。あんな子どうだっていいじゃない、くよくよしないでよ、ウテナらしくない。....あ、ちょっと待ってよウテナ!

冬芽:卵の殻を破らねば、雛鳥は生まれずに死んでいく。我らが雛で、卵は世界だ。世界の殻を破らねば、我らは生まれずに死んでいく。世界の殻を破壊せよ。
together:世界を革命するために!

(ストップウォッチ)
冬芽:というわけで、バラの花嫁とオレはエンゲージした。何か質問は?
幹:ありません。
樹璃:どうやって勝った?
冬芽:実力で勝った....と、思われてないのか?
樹璃:筋書きに興味があるんでね。
冬芽:オレは王子様として、ここにいるたった一人のお姫様を救ってやった、それだけだよ。
樹璃:王子....ね。
冬芽:物語のラストシーンは、王子と姫君で決めないと。
樹璃:まだラストシーンてわけじゃない。
幹:そうですよ。
アンシー:あの、私たちお邪魔でしたら、外で待ってますけど。
冬芽:外にいる必要はない。ここにいて欲しい。
アンシー:はい。
冬芽:君は、ボクの花嫁だからね。いつも側にいて欲しい。

若葉:そりゃ、ウテナが何も言いたくないっていうなら、何も言わなくてもいいわよ。でも、何か変なのは、自分でも分かるでしょ?...うーん、そうやって無視するとことかも変!いつものウテナじゃないみたい!....うーんだんだんむかついてきた!黙秘すれば、私が止めるとでも....!
冬芽:失礼、噂には聞いていたが、目の覚めるような変身ぶりだねえ。その制服、よく似合ってるよ。どう、今度の日曜日、食事でもしてみない?花嫁抜きでね。
若葉:ちょ、ちょっと....
冬芽:いい?
若葉:ほらウテナ、そんなのはねつけちゃいなさいよ!
冬芽:どうして、返事をしてくれないんだろう?
若葉:さわんないで....私のウテナさまに、さわんないでよ!....あんたも、イヤならイヤって言いなさいよ!

若葉:ご、ごめん....!、でも...あんたもいけないのよ...そんなところにぼうっと突っ立ってるから。大体、あんたがケンカなんかするから、ウテナがこんな風になったんじゃない!そうよ、あんたがいけないのよ...
(slap)
(slap)
若葉:何よ、ちゃんと反応できるじゃない!
冬芽:元気な友達がいるね。今度は、二人きりで話そう。
ウテナ:姫宮....これ。
アンシー:ありがとうございます、天上さん。

ウテナ:もう、ボクのことに口を出さないでくれ。
若葉:やだ!絶対止めない!
ウテナ:君は....君は、何にも分かってないのに!
若葉:分かってるわよ!私....絶対止めないから!!!!(crying)

(eyecatch)

冬芽:ああ、そう。(笑い)何を言う。いつも考えているよ、君のことは。...その話は聞いたよ。いや、それは聞いてないな。うん...ああ、今は別に、何もしていないさ。ホントだよ、バカだなあ。しょうがない、今すぐそっちに行くよ。...すまない、アンシー、ちょっとここで待っててくれ。
アンシー:はい。

若葉:...!?
ウテナ:若葉、あの....
若葉:ちょい待ち!勝手にあやまっておしまいにしないでよ!

若葉:生徒会長でしょ、あいつの....せいでしょ、ウテナが元気ないの。生徒会長のせいなんでしょ?分かったんだから。....本当は、なんだかよく分かんないんだけど....だいたいなんでその制服着てんのよ?
ウテナ:だって、これが普通じゃないか。
若葉:普通じゃないわよ!だって、普通じゃないのがウテナの普通だったんだから!今の普通はね、ウテナの普通じゃないのよ!ああもうめんどくさい!
ウテナ:ボクの普通....ボクの普通。
若葉:また黙秘するわけね。今のウテナって、かっこわるいよ!何か取られた腑抜けみたい!なんだかわかんないけど、とられたら取り返しなさいよ!....取り返してよ!....取り返してよ!....取り返してよ! .....あんたの普通って、もっとかっこいいはずでしょ!それに....それに、その制服、似合ってない!!!
ウテナ:ごめん、若葉。痛かったろ、学食で叩いたとき。悪かった。分かったよ、君の言うとおりだ。これ、ボクの普通じゃないよね。...今から、ボクの普通を、取り戻してくるよ。

冬芽:(笑い)....二人っきりで、話をしたくなった?じゃ、今度の日曜、一緒に食事してくれるかな?
ウテナ:今から....
冬芽:(笑い)待つのがイヤか?
ウテナ:決闘の森で!
冬芽&アンシー:!!

影絵少女A:かしらかしら、ご存じかしら?
影絵少女B:普通に勉強して、普通に就職して、普通に恋愛して、普通に結婚して、普通の家庭を作るなんて、私たちに関係ない普通よね。
影絵少女A:私たち今までいろいろやってきて、疲れたわね。
影絵少女:そろそろ私たちも、普通に戻るとしますか。
影絵少女:かしらかしら、ご存じかしら〜。

樹璃:これを使え。ラストシーンを飾るのに、必要だ。

冬芽:どうしてまた、オレと決闘する気になった?
ウテナ:君より大切にしたいものが、あるだけさ!
冬芽:なるほど。自分を取り戻したわけか。でもオレは、君に負ける気がしないね。

アンシー:気高き城のバラよ...私に眠るディオスの力よ。主に答えて、今こそ示せ!
冬芽:世界を革命する力を!

冬芽:こいつが、ただの剣じゃないことは知っていると思うが、こういう使い方はどうかな。....バラの花嫁、その身を捨てて剣を守れ!
アンシー:!....はい。
ウテナ:姫宮....姫宮。
冬芽:どうだい、美しいだろう。ディオスのバラの花嫁の力だ!この力に勝てるかな?
ウテナ:勝つ!絶対に勝つ!!
冬芽:そうか...やってみてくれ!
アンシー:冬芽様に勝てるわけないのに....かわいそう、早く終わらないかな....
冬芽:分かるか!この剣の力!これが、バラの花嫁の秘められた力なんだ!君はそんなことも知らずに、彼女の王子様気取りでいたんだよ!...君は分かっていないんだ。
ウテナ:それでもいいんだ!
アンシー:天上さんおかしいんじゃない?死んじゃうかも。何でこの人、決闘してるの?
ウテナ:ボクは、姫宮のこと何にも分かってないのかも知れない。でも、今は自分にとっての普通を取り戻したいんだ!
冬芽:あわれな。
アンシー:終わりね天上さん。でも、これ見たことが....私...知ってる....これは.....これ...知ってる....あの時と同じ!
冬芽:な、何だ!?


ウテナ:ボクの勝ちだ。返してもらうよ。

ウテナ:姫宮....。
アンシー:お待ちしておりました、ウテナさま。私はバラの花嫁。今日から私は....
ウテナ:姫宮、もういいから、さ、一緒に帰ろう。

(ending)
(preview)
アンシー:突然ですが、ウテナさま、私たちがエンゲージしてからもう、ずいぶん経ちますね。
ウテナ:だからボクはその、エンゲージとかっていうのは認めてないんだからね。
アンシー:でもそのためにウテナさまはすでに7回、決闘で剣を交えています。
ウテナ:7回もか...
アンシー:友情、選択、理性、恋愛、崇拝、信念、自分。
ウテナ:次回、少女革命ウテナ、「描かれる軌跡」
アンシー:絶対運命、黙示録。


Episode #13

(opening)
ナレーション:あれは、昔々のお話です。あるところに、お父様とお母様を亡くし、深い悲しみにくれる、幼いお姫様がいました。そんなお姫様の前に、白馬に乗った、旅の王子様が現れます。りりしい姿、やさしい微笑み。王子様はお姫様を、バラの香りで包み込むと、そっと涙をぬぐってくれたのでした。
ディオス:「たった一人で、深い悲しみに耐える小さな君、その強さ、気高さを、どうか大人になっても失わないで。今日の思い出にこれを」
ウテナ:「私たち、また会えるわよね?」
ディオス:「その指輪が、君を僕のところへ導くだろう」
ナレーション:王子様がくれた指輪は、やはり、engage ringだったのでしょうか。...それはいいとして、お姫様は、王子様にあこがれるあまり、自分も王子様になる決意をしてしまったのです。でもいいの?ホントにそれで??

タイトル:描かれる軌跡

影絵少女:かしらかしら、ご存じかしら〜。おせっかいな勇者様が、また決闘に勝ったんですって。
影絵少女A:勝てば官軍、
影絵少女B:負ければダボハゼ。
影絵少女:歩く姿は百合の花〜。
影絵少女A:でもでも勇者様、
影絵少女B:ちょっとあなた、寄り道もいいかげんにして。
影絵少女:かしらかしら、ご存じかしら〜。

冬芽:世界の殻を破らねば、我らは生まれずに死んでいく。世界の殻を破らねば、我らは生まれずに死んでいく。世界の殻を破らねば、我らは生まれずに死んでいく。世界の殻を破らねば、我らは生まれずに死んでいく。世界の殻を破らねば....

暁生:(笑い)....君はまだ目覚めないのか....まだ、卵の殻を破れずにいるのか。生徒会長の彼は敗れたね。ついに彼女は七番目の試合、自分という名の決闘にも勝ち抜いたわけだ。傷つきながらもバラの花嫁を守る彼女の姿は、何か懐かしいものを思い出させたな。バラの花嫁も少しは心が動いたのではないか。それにどうやら君も、彼女に期待し始めたようだな....いや違うか、最初の友情という名の決闘、剣道部主将の彼と偶然闘うことになったあの日、あの時、あの時から、君は彼女に期待していたんだ。

ウテナ:あんた、剣道部の主将だってな。今日の放課後、ボクと決闘だ!
西園寺:世界を革命する力を!

西園寺:(笑い)なかなかやるじゃないか。女の子にしては! か弱いお姫様を助ける、王子さまのつもりか? ふふふふ。だが!
ウテナ:! まさか...その手品の剣、本物なのか?
西園寺:驚いたな。何の仕掛けもないただの竹刀で、このディオスの剣に挑んでくるとはね。
ウテナ:ディオスの剣?
西園寺:ディオスの剣を知らないのか? 君は何者なんだ? お姫様を救う白馬の王子さま。ふふふ。
ディオス:...たった一人で、深い悲しみに耐える小さな君。その強さ、気高さを、どうか大人になっても失わないで。
西園寺:なに!
アンシー:!
西園寺:バカめ!
ウテナ:Ahhh!
西園寺:そんな...僕が...負けた...! アンシー!!
アンシー:ごきげんよう。西園寺...先輩!

ウテナ:あーあ。なんだかへんてこな目にあわされたな。いったい何だったんだ? もうはやく忘れよう。あれ...君は?
アンシー:お待ちしておりました、ウテナさま。私はバラの花嫁。今日から私は、あなたの花です。

暁生:君の期待通り、彼女はバラの花嫁とエンゲージし、デュエリストとしての道を歩み始めた。そして二番目の試合、選択という決闘にも挑んだ。

アンシー:それはバラの刻印。その指輪を持っているのは、決闘の参加資格がある人です。だから現在の決闘の勝者であるウテナさまには、これからバラの刻印を持つ人たちが、次々に決闘を挑んでくるはずです。
ウテナ:冗談じゃない! ボクは、そんな無意味な決闘をするつもりはないから!

ウテナ:世界を革命する力を!
(アンシー:決闘は受けないんじゃなかったんですか? ウテナ:仕方ないさ。決闘を受けなきゃこの学園にいられないって言うんだから。)
西園寺:もらった!...なかなかやるな。
(ウテナ:..わざと負けるさ。それで問題はないわけだ。)
西園寺:ディオスの剣といっても、剣自体に特別な力があるわけではない。それはもっとも優れた者が持つべき王者の剣。昨日は油断したが、実力の差ははっきりしている!
アンシー:あっ..
西園寺:その剣も、そしてアンシーも僕のものだ。この西園寺莢一のための花だ! 覚悟!
together:(叫ぶ)
西園寺:うおっ...

暁生:あの時から、君の力、ディオスの力は、ついに封印が解け始めたんだ。

(eyecatch)

暁生:確かに彼女は興味深い。君の力、ディオスの力のすべてがよみがえるかも知れない。その後の闘いもずいぶん個性的だ。

幹:あの音色は、どうしても僕には出せなかった。僕は、あの音楽を取り戻さなきゃならない。....だから、どうしても、花嫁が必要なんだ。
ウテナ:君は、ピアノの前に座っている方が似合ってるのに。
(梢:ねえ、またわたしとしてみたい? 冬芽:本当に大切なものは、自分の手に入れて守らなきゃ、人にとられちゃうぜ、ミッキー。)
幹:...強い!
ウテナ:勝負!
together:(叫ぶ)
幹:絶対に負けない!彼女は僕を信じてるんだ!
アンシー:そこだ!やっちゃえ!
幹:え!?

暁生:言っておくが、世界を革命する力が彼らを捉えたんじゃない。彼らの方が求めたんだ。奇跡に囚われるのを。

樹璃:バラの刻印を、この指輪を捨てろ!...気持ち悪いな。つまり君の気高さとやらは、好きな男に言われてやっているだけのサル芝居なんだ。
(枝織:奇跡を信じて....想いは届くと。)
樹璃:大丈夫王子様?まだはじまったばかりだよ。.....少しは回り込んだりしろよ?
樹璃:かわいそうに。もうへとへとだな。でも、絶対に許さないからね。奇跡はまだ起きないのかな、王子様!

樹璃:は、早い!
(枝織:だから、あなたから彼を奪ってしまったこと、後悔はしていません。こんな私を、あなたはきっと憎んでいますよね。)
樹璃:奇跡を信じてってのが、君の口癖だったわね。でも、奇跡なんて!ないんだよ!!決まりだ。

暁生:そう。若者はいつも、世界の果てをめざすもの。

七実:あんたのせいでお兄さまはケガしたのよ!...あんたのせいで!...あんたのせいで!

七実:甘く見ないことね!

冬芽:七実、世界の果てから選ばれしお前の力、見せてみろ。
七実:私は今までずうっとお兄さまだけを見つめてきたのよ!あなたがお兄さまを傷つけたのよ!
(あんたが悪いんだよ。私とお兄さまの邪魔するから....あんたが悪いんだよ...あんたが悪いんだよ....あんたが悪いんだよ...あんたが悪いんだよ。)
七実:あなたが....!!

暁生:友情、選択、理性、恋愛、崇拝、そして自分。だがこれまで七つの決闘を経て、未だに彼女はデュエリストだ。やはり彼女こそ、我々の望んでいた人間なのかな?確かにこのまま進んで、革命という名の決闘まで到達する可能性もある。君が完全に解放される日も、近いのかも知れない。...そう怖い顔するな。その日を待ち望んでいるという点において、君と私の利益は共通しているのだから。....だが、そろそろ新しいステージがはじまる。これから先の決闘を、彼女はどう闘うのだろう?

ウテナ:あいたたたこら、チュチュ!
アンシー:ただいまウテナさま、チュチュ。
ウテナ:おかえり。どこにいってたの?
アンシー:ウテナさま、雲があんなに早く。!ウテナさま!あーら、どうしましょ!?

(ending)
(preview)
アンシー:ウテナさま、私のお兄さまを紹介します。
ウテナ:え?君にお兄さんなんているの?
アンシー:お兄さまは、私がバラの花嫁であることも、決闘の掟も何も知りません。お願いですウテナさま、お兄さまにはすべて内緒にして下さい。私、あの方には迷惑をかけたくないんです。
ウテナ:でも、怪しい奴らが君のお兄さんの婚約者を狙っている。次回、少女革命ウテナ、「黒薔薇の少年たち」
アンシー:絶対運命、黙示録。


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