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Part 3, 鳳暁生篇

Episode #25

(opening)

冬芽:ずいぶん、とばすんですね。
暁生:心地いい、振動だろ。運転してみるか?
冬芽:え、だって....オレはまだ....。
暁生:かたいな。
冬芽:今のは問題発言ですよ、理事長。
暁生:我が鳳学園は生徒の自主性を重んじるのさ、生徒会長。

タイトル:ふたりの永遠黙示録

暁生:はい?
若葉:あの、天上ウテナの友達なんですけど.....。
暁生:ああ、ちょっと待ってね。...どうぞ。
若葉:あ....どど、どうも。

アンシー:あら?いらっしゃい。
ウテナ:ああ若葉。
若葉:じゃーん!手伝いに来たぞ!
ウテナ:ありがとう。

若葉:へーえ、かっこいいじゃん。前のお化け屋敷の部屋より、ずっといいじゃない?
ウテナ:ちょっと広すぎるけどね。
若葉:何てったって美しいわよ。もう、超ラッキーってかんじね。
ウテナ:そうだね、いい部屋だし。
若葉:部屋のことじゃないわよ!
ウテナ:え?
若葉:素敵ねー。
ウテナ:何が?
若葉:理事長よ理事長!あの笑顔....天使の微笑みっていうんですか?あんな人と人と一つ屋根の下に暮らして、うきうきラブラブ!な展開なんてうらやましいぞ。
ウテナ:あのね若葉、暁生さんにはもう、フィアンセがいるの。
若葉:え!そうなの?...どうして世の中って、いい男から先に売れちゃうのかしら?
ウテナ:よしよし。
暁生:何が売れるんですって?
ウテナ&若葉:え!
暁生:お茶にしませんか?
若葉:あ....はい!

暁生:他に家族がいないものだから、やはり妹の側にいてやりたくてね...でも、せっかくできた友達と引き離すのもかわいそうだし、無理を言ってウテナさんにも来てもらったんです。
ウテナ:やさしいお兄さんだなあ....。
若葉:わ、私も、アンシーさんとは、大の親友なんですよ!
暁生:これからも、仲良くしてやって下さい。
若葉:はい!....ほら姫宮さん、お茶のお変わりはいかが?
アンシー:ありがとう。
ウテナ:おいおい....
若葉:何か文句ある?
ウテナ:別に....
若葉:何よ。
アンシー:(笑い)

樹璃:復学するまで、どこにいたんだ、西園寺?
西園寺:そんなことはどうでもいい。とにかく僕は、もう決闘はしない。
(某:リードリードリードリード)
七実:どういうこと?
西園寺:その手紙に書いてあることは、信用できないということだ。
(ストライーク!)
樹璃:ニセの手紙にだまされて、よほど懲りたらしいな。
幹:手紙の内容は、すでに確認しています。
(all right! all right!)
幹:確かに、バラの門をくぐると、
(ストライーク!)
幹:決闘広場への階段は消え、
(ストライーク!)
幹:ゴンドラが出現していました。
(ストライーク、バッターアウト!)
七実:何なのよ、ゴンドラって?
幹:それが僕たちを、新たなステージへと運んでくれるそうです。
西園寺:手紙の内容がウソでも真実でも、関係ない。僕は、世界の果ての部下になった覚えはない。
(アウトアウト!ゲームセット!)
西園寺:命令されて闘うのは、まっぴらごめんだ。
七実:莢一!
西園寺:止めるな。
七実:んもう。そんなの、私だってごめんよ。
幹:それにしても、
樹璃:世界の果てっていうのは、いったい何者なんだ?
暁生:あの星ですよ。今日は一段と鮮やかに見える。
ウテナ:え?どれですか?
暁生:ほら、あそこ。
ウテナ:え?
暁生:....いいかい、僕の手の先を見てごらん。あそこに、ひときわ輝く星が、金星だ。
ウテナ:はあ...。
暁生:暁の明星。暁生っていう僕の名前は、この星からついたんだ。
ウテナ:へえ....なんだか、ロマンチックですね。
暁生:暁の明星、またの名をルシファー。
ウテナ:ルシファー?
暁生:もともとは天使だったのに、魔王の道を選んだ星だ...。この大地から見上げれば、常に太陽の側にあり、陽の沈まぬ限り、光輝くことのできない星。何を思って光り輝くのか.....ん?
ウテナ:姫宮....
アンシー:夕食の用意ができたそうです、ウテナさま。
ウテナ:ほ、本当?おなか、ペコペコだったんだ。それじゃあ暁生さん、失礼します。
暁生:ふふふふ。

ウテナ:いい人だよね。暁生さんて。
アンシー:ええ。
ウテナ:でも....
アンシー:でも?
ウテナ:星の話をしている時の暁生さんて、いつも寂しい目をしてるんだよね。なんか、大事なものをなくした人みたいな....。だけど、なんだか、懐かしい感じのする人だよな....。
アンシー:....ウテナさまも、私にはときどき、懐かしい人みたいに思えるときがあります。
ウテナ:ボクが?
アンシー:ええ。
ウテナ:君がそんなこと言うなんて、珍しいね。
アンシー:すいません。
ウテナ:違うよ、嬉しいんだ。....ねえ、もし君に何か困ったことがあったら、まずボクに話してよ。何でも助け合おうよ。君とは、そういう友達になりたいんだ。
アンシー:.....

アンシー(少女):分かりました。これからは、あなたと助け合って生きていきます。

アンシー:ねえ、ウテナさま、私....本当は......
ウテナ:何?
アンシー:いいえ.....。

冬芽:こんな夜中に雑巾がけか?律儀なことだ。今年の地区大会も君の優勝だな。
西園寺:おまえのことを嫌いな理由の一つはな、その思い上がったところだ。
冬芽:ほう。
西園寺:そうとも。今年もボクの優勝さ。だがおまえは、そんなことは無意味な子供の遊びだと心の中で笑っている。
冬芽:そんなことはないさ。
西園寺:だが、世の中は所詮、本当に強いやつだけが勝つんだ。小細工を弄していい気になっていても、天上ウテナに負けたことを忘れるな。
冬芽:それはお互い様だろ。しかも誰かさんは、もう決闘を降りるとか言ってるらしいじゃないか。だが少なくともオレは、あきらめちゃいないぜ。....おまえに会わせたい人がいるんだ。
西園寺:会わせたい人?
冬芽:おまえだって、本当にあきらめたわけじゃないんだろ?.....ほら、聞こえないか?
西園寺:何がだ?
冬芽:君の魂が本当にあきらめていなければ、世界の果てを駆けめぐる、この音が聞こえるはずだ。
西園寺:何をバカなことを....何だ?何なんだ!
冬芽:さあ、我らとともに!誘おう、君が望む世界へ!!

(eyecatch)

西園寺:鳳の娘と婚約したっていう理事長ですね。
冬芽:そう。そして姫宮アンシーの兄だ。

冬芽:君は、バラの花嫁がほしいかい?
西園寺:どういう意味だ?
冬芽:言葉通りさ。君は何が欲しい?何を目指している?何になりたい?
西園寺:そんなことを聞いてどうする。第一、僕は貴様のことは信用していない。
冬芽:おいおい、お前はオレのたった一人の友人じゃないか。
西園寺:友情なんて、この世界にはないさ。
冬芽:そうかな。
西園寺:そうさ。
冬芽:君は....君は本当にそう思っているのかな。
西園寺:何が言いたい?
冬芽:では、なぜ君は、あの永遠があるという城を目指してるんだ?...あそこに行けば、なにか永遠のもの....たとえば永遠の友情とかがあると信じてるからじゃないのか?.....昔、柩に入っていた女の子のことを、覚えているか?
西園寺:ふん.....そんなこともあったかな。
冬芽:永遠のものが見たいと言ってた女の子がいただろ。
西園寺:さあ、覚えてないな
冬芽:あの夜、あの女の子を柩の中から救い出したのは、この暁生さんなんだ。あの女の子は、暁生さんに永遠のものを見せられて、救われたのさ。
西園寺:何だと..!?あんたいったい、何者なんだ?
冬芽:心地いい振動だろ。
西園寺:何言ってんだあんた?
暁生:....世界の果てを見せてあげよう。君にもね。
西園寺:!....あんた、まさか.....。

ウテナ:世界の果てからの手紙なんてボクのところにはこないんだから、知るわけないさ。
幹:やはり、ご存じありませんでしたか。
ウテナ:それで?その決闘広場への階段がどうなったって?
幹:階段が、柱を中心に螺旋状になってましたよね。
ウテナ:うん。
幹:その柱の中に、ゴンドラのようなものがあるんです。
ウテナ:ゴンドラ?
西園寺:そうだ。そのゴンドラは、世界の果てに羽ばたく翼だ。僕とバラの花嫁を、あの永遠があるという城に運んでくれる。
ウテナ:西園寺?
幹:あなたはもう、決闘はしないのでしょう?
西園寺:残念ながら、僕はもう昨日までの僕とは違う。
幹:どう違うっていうんですか?
西園寺:分からんのか。
幹:ええ。
ウテナ:おまえの言っていることはさっぱり分からん。
西園寺:ふふふ...そうか分からんか。お前たちに言っても分かるまい。
幹:何をするつもりですか!
(slap)
西園寺:ふふふ...。
ウテナ:ミッキー!大丈夫か?
アンシー:きゃあああ!
西園寺:ふふふ....バラの花嫁は僕のものだ。
ウテナ:姫宮を放せ!西園寺!

影絵少女A:かしらかしら、ご存じかしら?
影絵少女B:きょうも裏の森でまた決闘があるんですって。
影絵少女A:なんかひさしぶりね、このフレーズ。
影絵少女B:やっぱ一人でやるより二人よね。苦しみは半分に、幸せは二倍に。
影絵少女A:...って、ちょっとあんた、ゆうべ私のシャンプー勝手に使ったでしょ!
影絵少女B:あんただって、私の食べかけのプリン食べちゃったじゃない。....一週間前のだけどね。
影絵少女A:マジ?
影絵少女B:さてさて勇者さま、
影絵少女A:二人でやってく難しさを、
影絵少女B:果たしてあなたはご存じかしら?
影絵少女:かしらかしら、ご存じかしら〜
影絵少女A:うっ.....来た!(腹痛)

ウテナ:いいかげんにしてもらいたいな、先輩。本当に好きなら、姫宮の立場になって考えてみろよ!
西園寺:そう、....僕も昔は、僕なりにバラの花嫁の気持ちを考えていた。だから熱くもなった。でも今は分かる!バラの花嫁に意志なんてないんだってことがね。

ウテナ:どうしても、叩きのめさないと分からないようだね。姫宮!剣を!

西園寺:僕はもう、おまえに負けた僕じゃない!なぜなら、オレは、見たからだ!
ウテナ:見た?
西園寺:そうだ!
ウテナ:何を見たっていうんだ?
西園寺:世界の果てだ。

ウテナ:?消えた....
冬芽:ディオスの剣が消えた....

(ウテナ:ねえ、もし君に何か困ったことがあったら、まずボクに話してよ。何でも助け合おうよ。君とは、そういう友達になりたいんだ。.....なりたいんだ。)
アンシー:ウテナさま....!
西園寺:もらった!....何?
ウテナ:姫宮?
アンシー:ウテナさま、一緒に....!
ウテナ:え?
アンシー:気高き想いのバラよ.....お願い、示して!
西園寺:何!?
アンシー&ウテナ:世界を、革命する力を!
ウテナ:(叫ぶ)

冬芽:西園寺のやつ、せっかく友達にしてやったのに....
暁生:君はこのゲームを楽しんでるか?
冬芽:もちろん。
暁生:ならいいじゃないか。友達にはやさしくしてやれよ。
冬芽:悪い人だ、あなたは....。

暁生:ディオスの剣が、出現しなかったな。....ディオスの剣が、出現しなかった。....それでも、決闘には勝った。いや、見事だったよ。おいで、アンシー。....おいで!!
アンシー:あっ!!!

ウテナ:あーあ、遅いな....姫宮。

(ending)
(preview)
ウテナ:梢ちゃんが校舎の二階から落ちたんだ!
アンシー:まあ、大変!
ウテナ:でも、何とか無事でよかった。もうあんなことしちゃだめだよ、お兄ちゃんが心配するだろう?
アンシー:本当に仲のいい兄妹なんですね。
ウテナ:!ミッキー、君とはもう友達になれたと思ってたのに....また決闘するのかい? 次回、少女革命ウテナ、「幹の巣箱(光さす庭・アレンジ)」
アンシー:絶対運命、黙示録。

Episode #26

(opening)

暁生:早急に天上ウテナを破り、バラの花嫁を別の誰かとエンゲージさせる必要がある。
冬芽:え?天上ウテナは、金のガチョウではなかったんですか?
暁生:金のガチョウは、金の卵を生むから価値がある。
冬芽:(笑い)自分勝手な人だ....。それで、どの駒を使うんですか?

タイトル:幹の巣箱(光さす庭・アレンジ)

ウテナ:梢ちゃん!
アンシー:まあ大変。
生徒達:そんなものあきらめて、両手を使いなよ!....本当に落っこっちゃうよ!
幹:梢.....!
梢:....幹.....きゃあああ!!

生徒達:まったく人騒がせよね。....でも何であんなことしたのかしら?....それがさ、今日の放課後この木が切られちゃうって聞いたら、突然窓から壁づたいに....枝にある小鳥の巣を助けようとしたのよ.....なんかさ、梢って普段クールなくせに、ときどき変なとこあるよね....

幹:暑苦しいからもたれるな。
梢:こっちの方が楽なんだぜ。
ウテナ:もうあんな無茶なことしちゃダメだよ。お兄ちゃんが心配するだろ。
梢:お兄ちゃんてば、私のことが心配?
幹:もたれるなっていってるんだ。

ウテナ:カバンここにおいたからね。
幹:すいません。先輩に荷物持ちなんてやらせてしまって....。
アンシー:この子たちはどうします?
幹:連れて帰ったのはいいけど、どうすればいいのか....
アンシー:とりあえず、ヒエのすり餌をやってみたらどうかしら?
幹:ヒエ?
アンシー:インコや文鳥の餌なの。
幹:ああ、あれですか。
アンシー:ぬるま湯でふやかして、すりつぶすの。
幹:はい。
アンシー:雛だから、昼間は3時間おきにやらないと。
幹:はい....大変ですね。
アンシー:ええ、大変。

ウテナ:珍しく話がはずんでるね。
幹:姫宮さん、雛を育てたことがあるんですね?
アンシー:いいえ。
幹:あれ?でも詳しいなあ。さすが動物好きですね。
アンシー:本当は、親鳥に返してやった方がいいんだけど....あ、一人で大丈夫?
梢:ありがとう。でも、せっかくあなたが来てるんだもの....かわいい妹は、気を利かせて消えるわ。....ごゆっくり。....この手紙、あの人から?
幹:ああ。お前も読んどけ。

幹:母親からです。
ウテナ:へえ。いいなあ、お母さんからの手紙か。ボクは両親がいないから、そういうの、うらやましいよ。
梢:親なんていらないわ。あたしたちは野生動物だもんね。
幹:悪く言うのは止せ。父さんも母さんも、いつも僕たちのことを心配してくれてるのに。
梢:やーね、ムキになっちゃって。
ウテナ:!?

ウテナ:ねえ、この庭がそうなのかな?
アンシー:え?何がですか?
ウテナ:光さす庭。ほら、ミッキーが作った曲のタイトルになってる。
アンシー:ああ。でもあれはイメージなんでしょ?
ウテナ:ミッキーと梢ちゃんは、小さい時庭でピアノを弾いていたって、そう言ってたよね?
アンシー:そうですね。
ウテナ:この庭なのかな....ずいぶん荒れちゃってるね。
アンシー:思い出ですから。
ウテナ:そうだろうけど....ボクはもっと....

暁生:もっと、何だって?
アンシー:さあ、何でしょうねえ。私にも分かりません。
暁生:お前は彼女のことを、どんな風に思ってるんだい?
アンシー:どんなって....あ!
暁生:彼女のことをどう思ってる?言ってごらん。
アンシー:ティーカップ、割れちゃった。

ウテナ:暁生さーん!いませんかー!!
暁生:ああ、こっちだよ。何だい?
ウテナ:別に用があるわけじゃないんですけど....あれ?兄妹水入らずのところお邪魔しちゃったかなあ。
暁生:邪魔だなんて。僕たち三人は、もう家族みたいなものじゃないか。何も遠慮はいらないからね。

ウテナ:家族みたいなものか....。
アンシー:すいません。何か、お兄さまがおしつけがましいこと言っちゃって。
ウテナ:ううん。そんなことないよ。ボクは家族がいないから、嬉しかったよ。....ホントだよ。暁生さんって、何ていうか、包容力があるよね。
アンシー:お兄さまは....そうですね、確かに大人かもしれません。私の親代わりですから。
ウテナ:親か....ミッキーの言うように、お父さんとかお母さんは、いつも子供のこと思っているものなのかな?
アンシー:それは、遺伝子のせいでしょうか?
ウテナ:シビアなこと言うねえ。
アンシー:すいません....。
ウテナ:(笑い)あやまらなくてもいいよ。

樹璃:世界の果てから、また続けて手紙が来るようになったな。
幹:あれほど嫌がっていた西園寺先輩が決闘したのも、何か関係があるんでしょうか?
樹璃:冬芽の動きが気になる。
七実:お兄さまがどうしたって?
樹璃:天上ウテナを倒せ.....君たちデュエリストのために....か。
幹:気に入りませんね。君たちのために、とか言う大人は、たいてい信用できないもんです。
七実:それは世界の果てに対する不信任案ね。
幹:そう解釈してもらって結構です。自分勝手な大人に利用されるくらいなら、僕はもう決闘はしない。
樹璃:そう決めつけるのはまだ早い。世界の果てがどういう存在なのかは、依然として不明なままだ。
七実:そうよ、もしかしたら、あしながおじさんみたいな人かも知れないわよ。
樹璃:七実、早く代わってくれ....
七実:いや。

幹:うん、母さんからの手紙に書いてあったから....いや、僕も梢も、反対じゃないよ....それは、父さんの自由だよ....結婚式には出られそうもないけど、祝電くらいは打つから....え、誰と?いいよ.....新しいお母さんって、そういうのはいいよ....父さん?
某女(アンシーの声):いいです....いきなり母親だなんて、厚かましいでしょ。

七実:あら?
梢:あら。
七実:何してるの?ケガしたとか聞いたけど?
梢:野生生物は、傷の治りが早いのよ。
七実:まあいいけど。生徒会以外は、夜間の立ち入りは禁止のはずよ。
梢:人と待ち合わせしてるの。
七実:こんな時間に誰と?
梢:あしながおじさん。よかったら紹介しようか?
七実:....結構よ。
梢:(笑い)

(eyecatch)

冬芽:もうすぐ夜が明けるぜ。いつまでそこにいるつもりだい?
幹:学祭が近いから、指ならしです。
冬芽:何にいらだってるんだ?
幹:別に、苛立ってるなんて....。
冬芽:デュエリストをやめるとか言ってるらしいじゃないか。
幹:ええ。
冬芽:だが、君も一度はデュエリストの道を選んだ者だ。奪い取ることでしか手に入らないものがあることは、分かっているとは思うが。....行き詰まったか?
幹:最近....あなたの動きが怪しいと、樹璃さんが言ってましたよ。
冬芽:美しい音色だ.....でも、美しいだけでは、その美しさを維持することすらできない。....おや、もう壁に当たったか。
幹:何が言いたいんです?
冬芽:君に、会わせたい人がいるんだ。
幹:会わせたい人?
冬芽:ほら、聞こえてこないか?
幹:何がです?
冬芽:君の魂が本当はあきらめていなければ、世界の果てを駆けめぐる、この音が聞こえるはずだ.....。
幹:何を言ってるんですか?....!聞こえる、確かに聞こえる。何なんだ!
冬芽:さあ、我らとともに!誘おう、君が望む世界へ!!

幹:理事長....ですよね。
梢:そう、姫宮先輩のお兄さまよ。
幹:おまえは、こんなところで何してるんだ?
梢:もちろん、暁生さんとデートよ。

幹:ふうん、まあ好きにすればいい。それより、理事長、僕に何の用ですか?
梢:幹は、姫宮先輩が好きなんでしょ。
幹:お....おい!
梢:いいじゃない、照れなくても。彼女が大切なら、自分のものにしちゃいなさいよ。暁生さんが力になってくれるって。....すごいのよ、彼。
幹:おまえは姫宮さんのこと、嫌いなんじゃないのか?
梢:私は、幹の幸せを願ってるわ。
幹:何だよ急に。
梢:私はいつも自分の気持ちに素直なだけ。うそはつかないわ....信用できない?
幹:そんなことは....ないけど。
梢:暁生さんも幹のために言ってくれてるのよ。
幹:だって....大人じゃないか。
梢:だから?....まわりが全部汚れてたら、自分も汚れるしかないじゃない。自分も汚れて、欲しいものを手に入れるしかないのよ。
幹:欲しいものって?
(アンシー:ふふふ.....)
幹:この前、西園寺さんを決闘させたのは、あなたなんですね。冬芽さんも丸め込んで生徒会に干渉する....あなたは、いったい......!
暁生:世界の果てを見せてあげよう。君にもね。
幹:そうか、あなたが....。

梢:あん....もうちょっと静かに....。
幹:ごめん...曲がっちゃった?
梢:ううん、大丈夫。この位置で固定して
幹:うん。
ウテナ:やあおそろいで。巣箱を立てたの?戻ってくるかねえ、親鳥たち。.....どうしたの?
幹:今日の放課後、決闘広場で。

影絵少女A:かしらかしら、ご存知かしら?
影絵少女B:お客さん、そろそろ潮時じゃないかしら?
影絵少女A:ええい、こうなりゃ財布ごとだ。全部、黒。
影絵少女B:よろしいですね?.....おおっと残念、赤でしたね。
影絵少女A:うわああああっ!
影絵少女B:お客さん、ギャンブルはやったことないし、嫌いだっておっしゃってませんでしたか?
影絵少女A:試しに一回だけってすすめたのはあんただろ。....ちょっと待ってろ、今、貯金を全部おろしてくるから.....。
影絵少女B:カモだよな。

ウテナ:梢ちゃん....その姿は!
梢:幹....いいわね、はじめるわよ。
幹:うん。

アンシー:ウテナさま!.....気高き想いのバラ....お願い、示して!
アンシー&ウテナ:世界を、革命する力を!

ウテナ:君とは、もう友達になれたと思っていたのに。
幹:あなたの剣では、僕の剣に勝てませんね。今日こそ、バラの花嫁は僕のものに!....かなり、腕を上げましたね.....だけど!

幹:....え?姫宮さん?
梢:あなたとエンゲージすれば、何かすごい力が手にはいるんですって?すごい力って、どんなの?
幹:梢!何してるんだ?
梢:私にもその力を見せて。
幹:梢!
梢:よそ見してるとやられちゃうよ。

ウテナ:(叫ぶ)

ウテナ:子供の剣か.....ミッキーが決闘を仕掛けてきたのは、なぜだろう?
アンシー:さあ....
ウテナ:だって....ミッキーはもっと.....
アンシー:もっと、何です?

幹:何だよ?
梢:意気地なし。

(ending)
(preview)
ウテナ:ねえ姫宮、君は何か、人に言えない悩みって抱えてる?
アンシー:目玉焼き、だし巻き、温泉卵....。
ウテナ:人には言えないちょっと恥ずかしいことって、誰にもきっとあるよね。
アンシー:スクランブルエッグに、オムレツ....。
ウテナ:で、七実のやつ、いったい何を悩んでるんだろう?
アンシー:卵の殻を破らねば、オムレツは作れない。
ウテナ:次回、少女革命ウテナ、「七実の卵」
アンシー:絶対運命、黙示録。

Episode #27

(opening)

七実(少女):あ、あら....?何これ?
冬芽(男の子):どした、七実?
七実:あ?....ううん、何でもない。

七実:....夢?...あ!.....卵。もしかして.....私が?そ、そんな....まさか......
いやあああああああ!

タイトル:七実の卵

石蕗:えーっと....今日の3時間目の体育は、女子だけ保健体育に切り替わったそうです。それと、今日の昼食ですが、七実さんは何がいいですか?いつもの食堂だとワンパターンなので、今日は中庭の方に出てサンドイッチなんてどうでしょう?....
七実:いえ、落ち着くのよ七実!人間が、卵を産んじゃうなんて話は、聞いたことないわ。....そうよ、これは私を貶めようとする何者かの陰謀よ!
(生徒達:あー!七実さんったら、卵産んじゃったの?....信じられない!....七実さんったら、宇宙人みたいな子ね!....)
七実:いやああああああっ!

石蕗:どうしたんですか?七実さん!?
七実:いいいいえ、何でも....!!
ウテナ:ごめんごめん七実。思ったより、遠くまで飛んじゃって。
石蕗:ああ、おはようございます、天上さん。
ウテナ:おはよう。
七実:ち、ちょっと、気をつけなさいよ!...割れたらどうすんの割れたら!んもーう危ないったらありゃしないんだからねえもう!
ウテナ:割れたらって何が?...ねえ、何が割れるの?
七実:うっ.....まさかこいつが.....!?
(七実:ああっ!卵!わたくしの卵! ウテナ:おやおや、どうしたの七実、卵なんか抱えちゃってさ。 石蕗:いやだな七実さん、卵なんて抱えちゃって。 ウテナ:まさかそれ、君が産んだんじゃないだろうね? 石蕗:いやだな七実さん、卵なんか産んじゃって。 ウテナ:はっはっは、宇宙人だよ、それじゃ。 石蕗:いやだな七実さん、それって宇宙人ですよ! 七実:いやあああああああ!)
ウテナ:具合でも悪いの?
石蕗:いいえ。今朝はずっとこうなんです。七実さん、本当に大丈夫ですか?今日の七実さん、少し変ですよ。
ウテナ:うーん.....別に熱はないみたいだけど。あ、上がってきた!
七実:うるさいっ!あんたみたいなオトコオンナには分からないわよ!!
石蕗:ああっ...七実さん?
ウテナ:オトコオンナ....?

幹:うーん確かに不思議な卵だね。鳥類のものでも、ハ虫類のものでもない。しかも、今日産みたてのほやほやの、新鮮な卵だ。
七実:産みたてほやほや....!?
幹:こんな卵、どこで手に入れたの?
七実:そ、それは.....
(幹:えええっ!この卵は君が産んだのか?そんな....不可能だ.....人間にそんなことが.....!!そうだ、七実君は宇宙人だったのか!そうかそうか。あはははは! 七実:やめてえええええええ!)
七実:.....言えない.....いくらミッキーにでも、これだけは.....。
幹:どうしたの?
七実:!.....ねえミッキー?もしも.....もしもよ、その卵、ある女の子が産んだとしたら?
幹:女の子?
七実:そう、女の子。
幹:ふーん。おもしろいことを言うねえ。確かに哺乳類でも卵を産むやつはいるけどねえ。
七実:ええっ!いるの?
幹:ああ。あははは。だけど、女の子が卵を産んじゃうなんて話は、聞いたことがないけど.......あれ?七実君?
七実:......知らなかった.....この世に卵を産んじゃう人もいるなんて....ああマーベラス!

茎子:あら、七実様?
優子:どうしました、こんなところで。
愛子:顔色悪いですよ。
七実:まったくどうもこうもないわよ。今朝起きたらね.....!
(七実:でも、もしや今まで知らなかったのは私だけ?......実は私、今日卵産んじゃったの。優子:えー初卵ですって? 茎子:いやだー七実様ったら、今頃? 愛子:以外に遅れてるのね、七実様ったら。 together:遅れてる!遅れてる!テルテル坊主な七実様!七実様ってば宇宙人!....)
七実:まあいっか........いつか迎えに来ても私は決して帰らないわ.....。
茎子:七実様?
七実:い、いやあねえ。何でもないわ何でも。おほほほほ....

七実:許されない....許されないわ!私だけ知らないことがあるだなんて!....ちょっと!卵が割れたらどうするの!....!......うわー....よりによって樹璃にぶつかっちゃうだなんて....んもう、きっとこいつも小馬鹿にするんだわ。卵を今頃産んでる私のことを。
樹璃:七実、気をつけてくれ。玉に傷が付くところだった。
七実:玉?
樹璃:私の玉だ。
七実:玉......
樹璃:玉。
七実:で、でかい....
樹璃:持ってみるかい?
七実:お、重い.....こんなに大きくなるものなの?
樹璃:昔はそれほどでもなかったが、今じゃざっとこんなもんさ。
七実:む、昔って?
樹璃:七つの頃から。
七実:そ、そんな前から?
樹璃:うちにもまだまだたくさんある。
七実:た、たくさん?
樹璃:結構、気持ちいいよ。
七実:き、気持ちいい!?
樹璃:君もやってみるといいよ。それじゃ。
七実:樹璃って、やっぱり大人だわ.....
樹璃:....ストライクだ。

七実:卵、卵、私の卵....早く早く大きくなあれ!....悩むことなんてなかったんだわ。卵なんてだれでも産んでるんだから。....早く大きくおなり、私がママだからね。.....

(eyecatch)

七実:卵、卵、私の卵....早く早く大きくなあれ!
石蕗:七実さん?七実さん!?
七実:え、なあに?
石蕗:大丈夫ですか?
七実:大丈夫よ。スクスク育ってるわ。
石蕗:は?....七実さん、もし何か困ってることがあったら、相談して下さいね。僕は、七実さんのためだったら、何でもしますから。
七実:ほっほう何でも?
石蕗:え!?
七実:あらそう。じゃあ私が時速300kmで走れっていったら走るのね?私がマッハ5で飛べっていったら飛ぶのね?私が海底1万メートルに潜れっていったら潜るのね?
石蕗:あ.....あのーそれって.....
七実:できないじゃない、できないじゃない、できないじゃない!!!できもしないことを、軽々しく口にするんじゃないわよ!ふん。
石蕗:七実....さん?

ウテナ:七実の様子がおかしい?
石蕗:はい。.....何て言うか、このごろ七実さん、すごくいらいらしているみたいで。顔色もあんまりよくないし。僕、心配で......
ウテナ:ふーん。ひょっとして、マタニティーブルーだったりして。
アンシー:まるで、卵を産んだ後みたいですね。
石蕗:え!?卵?
アンシー:私のペットの七実も、最近卵を産んだ後にそうなるんです。
石蕗:まさか....
ウテナ:そうだよ。ニワトリと一緒にされたら、七実だって迷惑だよ。
アンシー:そうですか?....でも、父親って誰なんでしょう?
ウテナ:おいおい...。

七実:卵、卵、私の卵....早く早く大きくなあれ!卵、卵、私の卵....早く早く大きくなあれ!
冬芽:七実?
七実:あ、お兄さま!
冬芽:今朝はずいぶん、機嫌がいいね。
七実:七実は今、がんばっています。お兄さまと私の、輝かしい未来のために。
冬芽:未来の......ため?
七実:お兄さまは....男の子と女の子、どちらがいいですか?
冬芽:決まってるじゃないか。女の子だよ。
七実:よかった.....私もです。
冬芽:七実は、女の子がいいのか?
七実:はい!
冬芽:いいか、七実。神は男と女を造られた。なぜなら、それが一番いい組み合わせだからだ。たとえ精神的に満たされていても、神に背くようなまねは.....
七実:な、何を言ってるの、お兄さま?七実にはお兄さましかいません!
冬芽:今、女がいいと.....
七実:そうじゃなくって。
冬芽:じゃあ、何だ?
七実:だから、卵を産むような女の子って、どう....
冬芽:七実、なぜこうやって楽しく日々を過ごせるか、分かるか?
七実:え?
冬芽:それはお前が、卵を産むような女の子じゃないからだ。かわいそうなのは、その女の子に裏切られた家族の方だ。
七実:えええっ!!!.....

佐藤:カカカカカ.........
七実:ひどいわお兄さま。樹璃や茎子たちだって産んでるのに....何で私だけが.....。
田中:カカカカカ.....
七実:そうだわ、茎子たちは、卵が産まれちゃったらどうしてるのかしら?.....まさか.....!!
鈴木:カカカカカ.........じゅるじゅるじゅる......
七実:いやあああああああああ!

影絵少女A:さあて諸君!不可能は不可能だと思うから不可能なのだ。例えばこの卵。卵は立たないものだと思ってるだろう?しかーし、このように割り箸で支えてやれば....あ。
影絵少女B:はいはーい!もしかして底を割っちゃった方が早いのでは?
影絵少女A:君!それは違う!.....このように割り箸で支えてやれば....!!!
影絵少女:あああ!
影絵少女B:卵じゃなかったようです。
影絵少女s:うわ、ぎゃああああああ!(食べられる)

七実:ごめんね。私には、自分の卵を食べるなんて勇気はないわ......ここで、幸せに暮らしてね。

七実:お兄さまとの食事なんて久しぶりー!七実嬉しい!
冬芽:七実。なぜこんな風に楽しいひとときが過ごせるか分かるか?
七実:え?
冬芽:それはお前が、卵を産むような女の子じゃないからだ。
七実:そ、そうですわねお兄さま、その通りですわ。おほほほほ....

七実:これでよかったんだわ七実、これでよかったのよ....やっぱりダメ!やっぱりダメだわ!!

七実:!ない!....そ、そんな.....どこにいっちゃったの?.....!?何かしらこの臭い? ......!!!!ぎゃあああ!何てことを!
西園寺:何って、いい月夜なんでな。キャンプをしていた。
七実:何よ!何てことすんのよ!卵を食べちゃうなんて、どういうこと?卵よ卵!!
西園寺:卵は普通、食べるものだ。
七実:人でなし!人でなし人でなし人でなし人でなし.....人でなし!人でなし人でなし人でなし......人でなし!
西園寺:や、やめろ!
七実:わ、私の卵返して......返してよおおおお!
西園寺:卑しいにもほどがある。卵が食いたきゃそう頼めばよかろう。ここにいくらでもある。
七実:あ!よかった!!!無事だったのね......
西園寺:忠告してやるが、卵一つで大騒ぎするような者が、僕と知り合いだなんて、はなはだ恥ずかしい。今後は二度と....ふん。兄妹そろって品のないやつらだ。....!焦げてる!

七実:卵、卵、私の卵....早く早く大きくなあれ!....ごめんなさいね、もう決して手放したりしないから....。

アンシー:ウテナさまは、生まれ変わりを信じますか?
ウテナ:うーん、どうだろうね。
アンシー:象は寿命が来ると、群を離れて、人知れず死んでいくといいますよね。
ウテナ:もしかすると、自分の子供たちを悲しませたくなくて、誰にもいわずに一人で死んでいくのかもしれないね。
アンシー:親から子へと、永遠に受け継がれていく、心の橋渡し....
ウテナ:そうか....心が子孫へ残されていくっていうのも、一つの生まれ変わりとも言えるかな。....どうしてそんな話をするの?
アンシー:......

七実:!ええ?....これが.....これが、私の卵?....ごめんね、もう絶対捨てたりしないから....捨てたりしないから!....!....私の.....卵が.....夢? あ?.....いやあああああああああああ!!

ウテナ:そういえば、最近見かけないな。
アンシー:じきに戻りますよ。
ウテナ:それならいいけど。(bell ring)はーーい!ん?あ、チュチュ、お帰り.....
アンシー:.....

(ending)
(preview)
ウテナ:土谷瑠果。有栖川先輩をしのぐ剣の腕前。そんなすごい人が、フェンシング部に帰ってきた。
アンシー:気になるようですね、ウテナさま。
ウテナ:何か胸騒ぎがするんだ。
アンシー:枝織さんに近づき、有栖川先輩をもてあそぶなんて、ただ者じゃないですね。
ウテナ:え?....やはり、あの人も、デュエリストだったのか....次回、少女革命ウテナ、「闇に囁く」
アンシー:絶対運命、黙示録。


Epidode #28

(opening)

樹璃:ずっと言葉にできない想い....でも、私の心はいつも囁き続けている。そして、あなたも.....。

樹璃:次!.....次!
ウテナ:先輩やるなあ。これで8人目だ。
アンシー:お強いですねえ。
樹璃:次!....次!
幹:はい。
瑠果:アポなしで悪いが、次は僕の相手をしてもらおうか。....すまない。
幹:すごい.....樹璃先輩と互角だ....。
ウテナ:いや、先輩が、わずかに押されている。
瑠果:僕のいない間に、どれだけ成長しているかと思ったが....期待はずれだったな。
樹璃:やはりあなただったか、部長。
ウテナ:え?
幹:部長って...?
瑠果:おいおい、今の部長は君じゃないか。有栖川。

タイトル:闇に囁く

樹璃:瑠果が学園に戻ってきた。
七実:瑠果が?
樹璃:そう。フェンシング部部長、土谷瑠果。
幹:フェンシング部の部長は、樹璃さんではなかったんですか?
樹璃:私は、留守を預かっていただけだ。
幹:知らなかった....。
七実:でも、あいつが、どうして今になって...?
瑠果:ひどいじゃないか、七実君。それが病み上がりの先輩に言う言葉かい?
七実:瑠果先輩〜。
瑠果:長らく病気で休学していた僕が、やっと、復学を果たしたというのに。
七実:....全快、おめでとうございます。
瑠果:ありがとう。....世界の果ては、だいぶおかんむりのようだね。君たちがふがいないと、こぼしていた。
樹璃:あなたも選ばれていたのか。
幹:では、あなたが天上さんを?
瑠果:おいおい、僕は病み上がりだよ。
七実:では、どうするおつもりなんです?
瑠果:そうだな....久しぶりの学園だ。ま、僕はしばらく、気ままな学園生活を味あわせてもらうよ。
七実:ごちそうさま。

瑠果:いや、もっと脇を締めて...腰を入れて。
生徒達:きゃあ〜〜〜〜土谷先輩!!
瑠果:そうそう、だいぶよくなった。
生徒:やーだ離れて!私の(土谷先輩)ーーー!
生徒達:素敵よねー土谷さん。....もう学園中の話題独占って感じ!

枝織:!?......あ、あの.....すいません、私.....別に......
瑠果:そうか、君だったのか。
枝織:え?
瑠果:僕が休んでいる間、誰かが毎日、僕の剣を磨いていてくれていた。嬉しかったよ、君なんだろう?
枝織:....ええ。私、ただ先輩のために....それで毎日この剣を....
瑠果:ありがとう。君は、優しい人なんだね。
枝織:そんな.....私.....

生徒達:ちょっと、見た見たあの二人! 見た〜!ショック〜〜!! 枝織ったらやるわよね〜! 土谷さんを速攻でゲットしちゃうなんて。 普段は大人しそうな顔しちゃってさ〜! やる時はやるって感じ〜〜!

樹璃:話がある。あの場所で。

瑠果:嬉しいよ。君がこの場所を覚えていてくれて。....懐かしいな。....僕はここで、全ての技を君に伝えた。入部したときから、君の素質は誰よりも光り輝いていたよ。
樹璃:フェンシング部の部長はあなただ。部の運営は、あなたに任せよう。
瑠果:ほう。
樹璃:デュエリストとして、何を企んでいるのかも、私の知ったことではない。だが....
瑠果:だが?
樹璃:枝織には手を出すな!
瑠果:どうして?
樹璃:枝織は......枝織は、私の古い友人だ。
瑠果:なるほどね。話は分かった。だが君は何か、考え違いをしているようだ。
樹璃:何?
瑠果:言ったろ?僕は気ままに過ごさせてもらうと。学園で誰と恋愛を楽しもうが、僕の自由じゃないか。

ウテナ:土谷瑠果。有栖川先輩をしのぐ腕前、そんなすごい人が、フェンシング部に帰ってきた....。
アンシー:何か気になるようですね、ウテナさま?
ウテナ:なんだか胸騒ぎがする....。

瑠果:君の胸は、子犬のように弾んでいるね。
枝織:いやだ....。
瑠果:さあ行こうか。夜がいくら長いとはいっても、僕たちにはほんのつかの間でしかない。
枝織:ええ。
樹璃:あ!.....彼は知っている.....全て、知っているんだ....。

(eyecatch)

枝織:あら樹璃さん、何ですか、そんな顔をして。
樹璃:....枝織、彼とはつきあわない方がいい。
枝織:え?
樹璃:驚くのは当然だ。だが、私は君のことを心配して言っている。あの男を信用しては.....
枝織:樹璃さん。....あなた、最低ですね。
生徒達:枝織!何してんの? 早く帰ろうよ。
枝織:あ!今行く。
生徒:どうしたの?
枝織:ううん。別に。
生徒:有栖川先輩って、怖い人なんでしょ?
枝織:えー?本当?

枝織:土谷先輩ー!
冬芽:やあ。
枝織:あなたは....?
冬芽:驚かせて悪かったね。俺は土谷の伝言を伝えに来たんだ。君を素晴らしいところへ案内するから、ここで待っていて欲しいそうだ。
枝織:素晴らしい....所?
冬芽:ほら、聞こえないか?.....君の魂が本当はあきらめていなければ、世界の果てを駆け巡る、この音が聞こえるはずだ。
枝織:何を.....言ってるんですか?....何?何なんですか?
冬芽:さあ、我らとともに!誘おう、君が望む世界へ!!

瑠果:驚いたかい?
枝織:いいえ、全然。
瑠果:君なら、そう言うと思ってたよ。
枝織:私を、素晴らしいところへ連れていってくれるのね。
瑠果:君も大人になった。世界の全てを手に入れよう。僕と二人で。
枝織:世界の.....全て?
瑠果:そう、大いなる奇跡の力。
枝織:それが....私のものになるの?
瑠果:ああ。
枝織:素敵。

暁生:ふふふ。心地いい振動だろ?

ウテナ:いつもきれいだよね......いや、バラがね。
瑠果:天上ウテナ君。
ウテナ:あ?
瑠果:一度会っている。
ウテナ:ええ。有栖川先輩との試合、拝見しました。
瑠果:見事なバラだね。
ウテナ:!?
瑠果:....いい香りだ。
ウテナ:あなたもデュエリストか。
瑠果:今日の放課後、決闘広場で。

影絵少女A:釣れますか?
影絵少女B:釣れませんね。
影絵少女A:あ、来た来た....!
影絵少女B:しっかり、逃がしちゃダメよ!
影絵少女A:よし来い!
影絵少女B:あ?あら......こりゃ下駄じゃ。あ!こっちにもかかった!
影絵少女A:しっかり!今夜のおかずのためよ!
影絵少女B:ううーんえい!あれ?
影絵少女A:ヤカンじゃないの.....。
影絵少女B:あーそっちまた引いてるわよ!
影絵少女A:よっしゃあ今度は大物じゃ!
影絵少女B:タイヤ?
影絵少女A:かしら。
影絵少女B:とりゃーっ!
影絵少女A:それーっ!!
影絵少女B:どっせーっ!!
影絵少女A:うっ....

瑠果:樹璃との試合を見たのなら君にも分かったはずだ。剣のレベルでは僕の方がはるかに上だ。
ウテナ:勝負はやってみなければわかりませんよ!!
瑠果:ははは。その通り。君には未知数の力がある。僕では勝てないかもしれない。
ウテナ:え?

アンシー:気高き想いのバラよ....お願い、示して!
ウテナ:世界を、革命する力を!

瑠果:西園寺や冬芽だって、並の使い手じゃない。その彼らが勝てなかったんだ。僕だってどうなるか....
ウテナ:決行の時そんなことを言った人は初めてだな。
瑠果:そうかい。でもやるからには....勝つつもりでやる。さあ、君の力を見せてみろ!
ウテナ:強い....
瑠果:おや、こいつは案外楽にいけるかもしれないな。
ウテナ:何だと!....はっ!!
瑠果:おいおい、僕は病み上がりなんだ。もう少しお手柔らかに....頼むよ。....どうした、もう終わりか?....なるほど。
ウテナ:(叫ぶ)
枝織:きゃあああああああ!

枝織:ねえ、次は、勝てますよね?だって奇跡の力は私たちのものだもの。あんなやつらに....
瑠果:次はない。
枝織:え?
瑠果:何度やっても同じさ。負けたのは花嫁のせいだ。
枝織:そんな、ひどいわ!私がどれほどあなたのことを想ってきたか....そうよ!毎日あなたの剣を磨いて!....あなたのことだけを....
瑠果:あれはね、僕の剣じゃなかった。君の演技、おもしろかったよ。アドリブにしては上出来だった。

樹璃:言ったはずだ、枝織には手を出すなと。
瑠果:(笑い)選択したのは彼女自身だ。
樹璃:言うな!
瑠果:そう、誰よりもよく分かっているのは、君だ。
樹璃:瑠果!狙いは何だ?あなたは何を考えている?....瑠果!!

(ending)
(preview)
ウテナ:有栖川先輩が枝織さんのこと好きだって噂でもちきりだけど、それってどういうことか分かる?
アンシー:他人には分からないと思います。
ウテナ:え?
アンシー:好きってこと、それが何を意味するかは、人それぞれ違いますから。
ウテナ:いや、そういう一般論じゃなくて、この場合ボクの聞きたいことは....次回、少女革命ウテナ、「空より淡き瑠璃色の」
アンシー:絶対運命、黙示録。

Episode #29

(opening)

(枝織:奇跡を信じて....想いは届くと....。)

瑠果:あれはね、僕の剣じゃなかったんだよ。
枝織:え?
瑠果:君の演技おもしろかったよ。アドリブにしては上出来だった。

(枝織:奇跡を....信じて....想いは....)

枝織:先輩待って!お願いです、あなただけなんです。....私にはもう、あなたしかいないんです!!
瑠果:もう、話したくないんだ。
枝織:あなたがいなくなったら、この先どうやって.....だから、信じて下さい!!
瑠果:信じるって、何を?
枝織:何って....
瑠果:君の何を信じればいいの?
枝織:先輩のこと、誰よりも私、誰よりも.....私.....先輩!先輩!!!....(crying)

タイトル:空より淡き瑠璃色の

生徒達:今日も来てないわね。...あったり前でしょう!...そうよ、みんなに合わす顔があるわけないわ....学校中の噂だったもん、当然よ。....でもさ、瑠果先輩もひどいんじゃない?....そう?あの子が勝手に盛り上がってただけじゃない。....ああ、そういうとこある。....うんうん....あるある。.....ま、どっちもどっちってところじゃない?...そうよね....ああ、やだやだ....。

樹璃:今の呼吸、忘れるな。
生徒:はい、ありがとうございました!

樹璃:またお節介か?君の悪い癖だ。
ウテナ:先輩は心配じゃないんですか?枝織さんあんなに苦しんで。
樹璃:彼と彼女の問題だ。私は関係ない。関係ないから口を挟む気もないし、資格もない。
ウテナ:そんな言い方ないでしょう?友達があんな目にあってるのに、あなたは何にもしないんですか?....せめて話を聞いてあげるだけでも....先輩!
樹璃:同じことを二度言わせるな。

ウテナ:有栖川先輩、何だか、とっても無理してるみたいだったな....枝織さんが困ってるのに、自分は関係ないだなんて....ボクには分からないな。あれが、本当に先輩の本心なんだろうか。
アンシー:それもまた....樹璃さんの本心の一部ではないでしょうか?
ウテナ:本心の一部?何だか変な言い方だな。
アンシー:人は時として、自分でも思ってもみないことを言ったり、またしてしまったりするときがあります。
ウテナ:君も....そうなのか?
アンシー:ウテナさま.....私、本当は.....
ウテナ:何?
アンシー:いいえ。

瑠果(留守電):土谷です。留守にしております。メッセージをどうぞ。
枝織:いるんでしょ。私分かってるんです。話ぐらい聞いてくれたっていいじゃないですか。....(beep)

冬芽:口ほどにもなかったなあ。君も。
瑠果:ふふふ。そうだね。だがそれも予測の範囲だ。
冬芽:何だと?
瑠果:恐ろしい相手だよ、天上ウテナ。僕程度の才能では、やはりかなわない。だが僕は、何としても勝たなければならない事情があってね。
冬芽:それを見越しての策だというのか?
瑠果:奇跡なんてない。これが彼女の口癖さ。

枝織:樹璃さん。なんだあなたですか。何の用ですか?
樹璃:枝織....
枝織:あなたも私を笑いに来た。...いい気味だと思ってるんでしょう。
樹璃:そんなこと....
枝織:あなたってますます最低だわ!私が泣いてすがって助けてって言うとでも思った?お生憎さま。私はあなたの思い通りになんかならないわ。

生徒:ありがとうございました!

瑠果:本気で言ってるの?
樹璃:当たり前だ。
瑠果:驚いたな。この間は彼女に手を出すなと言っておきながら、今度はよりを戻せとは。
樹璃:彼女にとって、それが幸いなら。
瑠果:すまないが、君のその申し出は受け入れられない。
樹璃:瑠果....
瑠果:君の友情には感心させられるよ。だが彼女は、わがままで強引で自分勝手で、おまけに嘘つきときている。申し訳ないが、誰があんな女と...。
樹璃:き、貴様!....何様のつもりだ!
瑠果:君の指図は受けないよ。
樹璃:何の権利があって彼女を苦しめる!
瑠果:君の知ったことじゃない。
樹璃:なんて卑しいやつに成り下がったんだ!
瑠果:君こそどういう了見だ!他人事に口を出すとは。
樹璃:うおおおおお!
瑠果:そんなことよりどうだ、今度僕は、君とつきあおうかと考えているんだ。
樹璃:誰が貴様なんかと!
瑠果:本当はフェンシング部の部長である僕のことが、好きだったんだろう?
樹璃:ふざけるな!侮辱するにもほどがある!
瑠果:無理するなよ。
樹璃:誰が!うっ......いつの間に!や、やめろ....瑠果!....
(slap)
瑠果:気が変わった。君の言うとおりにするよ。彼女とよりを戻そう。....僕を憎くて憎くてたまらないだろう。
樹璃:待て。瑠果....私と決闘しろ。....もし私が負けたら、貴様の望み通り何でも聞いてやろう。だが、私が勝ったときは枝織から....
瑠果:分かっている。もう言うな。

(eyecatch)

瑠果:君は入部したときから、抜群の逸材だった。たとえ泥の中にあっても、その輝きが失われることはなかった。君の才能は、僕をはるかに上回る。
樹璃:買いかぶりだ。
瑠果:そうかな?君に会わせたい人がいるんだ。ほら、聞こえないか?君の魂が本当にあきらめていなければ、世界の果てを駆け巡る、この音が、聞こえるはずだ。
樹璃:な、何だこの音は?
瑠果:まかせたよ冬芽、君の台詞だ。
冬芽:さあ、我らとともに。誘おう、君が望む世界へ!
瑠果:さ、乗ろう。僕の言うことは何でも聞くんだ。

樹璃:私をどこへ連れていく気だ。
(枝織(留守電メッセージ):土谷先輩、私にはあなたしかいないの....土谷先輩、私にはあなたしかいないの....)
樹璃:彼女を傷つけることが、そんなに楽しいか。
瑠果:君の潜在能力を最大に発揮すれば、君は誰にも負けない。君の能力を引き出せるのはこの僕だ。君と僕が組めば、天上ウテナを倒せる。そして、奇跡の力が手に入る。
樹璃:枝織と私をここまで追い込んだのは、そのためか。
瑠果:奇跡が現れるには、犠牲が必要だ。
樹璃:卑怯な!そこまでして奇跡の力が欲しいのか!
瑠果:奇跡の力が欲しいのは、君だろう。
樹璃:枝織は貴様の道具じゃない!
瑠果:奇跡を信じて想いは届くと。これは君の言葉ではなかったか....。
樹璃:貴様は何か勘違いをしている。私は、私の想いなど届かなくてもいいのだ。もし奇跡の力を手に入れたとしても、私が望むのは、貴様から彼女を解放すること、それだけだ。これ以上好きにはさせん。そのためなら、貴様の口車にも乗ろう。
瑠果:これで、成立だ。
暁生:世界の果てを見せてあげよう。君たちに。

ウテナ:有栖川先輩.....あなたまで.....。
樹璃:放課後、決闘広場で。
ウテナ:先輩!
瑠果:今度はメインイベントだ、天上ウテナ君。

樹璃:やってくれ。

アンシー:気高き想いのバラよ...お願い、示して!
ウテナ:世界を革命する力を!

瑠果:秘めた想いか....
樹璃:うっ
瑠果:どんなに辛いものか。

瑠果:間をおくな、樹璃!

瑠果:樹璃、彼女は愚か者だ。自分の作った奇跡が、誰かの犠牲の上に成り立っていることに気づかないのだからな。だがそんなやつが、奇跡を手にする....理不尽だと思わないか、樹璃!!
ウテナ:(叫ぶ)
瑠果:樹璃!

ウテナ:?....どうして?
瑠果:樹璃、心配ない。....心配ない、樹璃......。

樹璃:心配ない、....か...。

七実:あら、また樹璃が部長代行?
幹:ええ。土谷先輩、ここのところ学園には来ていませんから。
七実:あらそうなの。せっかく復学したのに、出席日数足りなくなって退学になっても知らないから。
幹:あ、あの子、ケガしたみたいだ。
七実:ま、樹璃にまかせておけば心配ないでしょ。

生徒:すみません、地区予選も近いというのに。
樹璃:気にするな。ゆっくり、その足を治すことだけを考えろ。
生徒:本当にすみません。こんな時に、ご迷惑かけて。

影絵ナースA:ねえ知ってる?あの患者さん、昨日亡くなったのよね。
影絵ナースB:いい男だったのに、かわいそう。
影絵ナースA:退院したらまたフェンシングやりたいって言ってたのに。
影絵ナースB:あの人、自分の病気のこと知ってたみたい。なのに無理に退院して、学校に戻って。
影絵ナースA:きっとフェンシング部に好きな子でもいたんだわ。
影絵ナースB:そう言えばあの人、よく言ってたわ。愛する人に奇跡の力をあげたいって。あの人を解放してあげたいって。
影絵ナースA:何それ?どういうこと?
影円ナースB:さあ。

樹璃:お元気ですか。私は、今度あなたに会ったときに、是非訊ねてみたいことがあります。あなたは奇跡の力に、どんな想いを託していたのでしょうか。そしてその想いは、誰かに宛てたものだったのでしょうか。....願わくばその想いが、届きますように。......

(ending)
(preview)
アンシー:どうしたんですか、ウテナさま?
ウテナ:好きになっちゃいけない人って、やっぱりいるよね。
アンシー:さあ、私にはよく分かりません。でも、好きって気持ちは、自分でもどうしようもない部分があると思いますけど。
ウテナ:そうなのかな....そういえば、君にも、誰か好きな人いるんだっけ?
アンシー:ええ。私にもいますよ、私にも素敵な人が。
ウテナ:次回
、少女革命ウテナ、「裸足の少女」
アンシー:絶対運命、黙示録。


Episode #30

(opening)
達也:でさ、ファーストキスだって言ったのに、逃げられちゃったんだ。
若葉:ファーストキスってのが厚かましいわね。
達也:だってさ、やっぱ初めてだって言った方が印象良さそうじゃん。
若葉:あのね、そういうウソは、直感的に分かるのよ。かえって信用なくすパターンね。
ウテナ:ファーストキス、か.....もしかしたら、あれがそうだったのかな....。

タイトル:裸足の少女

暁生:うまく焼けてるといいけど...。
ウテナ:すごいや。暁生さんって、何でもできるんですね。
暁生:ほめるのは、食べてからの方がいいんじゃない?
ウテナ:だって、ケーキを焼ける男の人なんて、珍しいですよ。
(ドアベル)
ウテナ:はい?
若葉:どうも!篠原若葉です!
ウテナ:タイミングいいね....。

若葉:うわあ、このケーキ、暁生さんが作ったんですか?
暁生:どうぞ、味は保証できませんが。
若葉:すごい、暁生さんって、何でもできるんですね。
ウテナ:それはさっき言ったよ。
暁生:ほめるのは、食べてみてからにして下さい。
若葉:だって、ケーキを焼ける男の人なんて、珍しいですよ。
ウテナ:それもさっき言った。
若葉:なんか、水差すじゃん。
ウテナ:だから暁生さんには。もうフィアンセがいるんだってば。
若葉:あら、好きって気持ちに、そんなの関係ないわよ。
暁生:何の話ですか?
ウテナ:いえ.....
若葉:何でもありません。
暁生:少女たちの悪だくみってやつですか。
ウテナ:そんな....
若葉:ウテナ、あんまりかたいことばかり言ってると、
女教師:恋もできませんわよ!

女教師:もっと女の子らしくしなさい。あなたのために言ってるんです。男子の制服なんて着ていても、少しも格好良くはありませんよ。
ウテナ:でも、結構みんなに評判いいんだけどな、このスタイル。
女教師:みんなの言うことが何です!大事なのは、生活指導の私が決めるセンスです。
ウテナ:そんなこと言われてもなあ。
女教師:教頭先生からも、びしっと言ってやって下さい!
教頭:規則は守らなきゃいかんよ、君。やはり女の子はひらひらとスカートをはいてなきゃ....。
ウテナ:誰が決めたんだよ。
暁生:何事ですか?
教頭:こ、これは、理事長....
ウテナ:暁生さん...
女教師:暁生さん?
ウテナ:い、いやその.....
暁生:教頭先生
教頭:はい。
暁生:今夜の中等部教員の懇親会には、僕も参加させてもらいます。
女教師:まあ、まあ、まあ......ぜひ一度、理事長とは、ひざを交えてじっくりとお話しいと思っておりましたの。
教頭:あ、それで、あの、理事長、例のアムステルダムにある姉妹校の視察メンバーの件なんですが.....。
暁生:ああ、近いうちに選考委員から正式な通知があるかも知れませんね。
教頭:いや、そうですが、なにとぞひとつ、私の名前もよろしく.....。
暁生:心に留めておきましょう。それから、ちょっと彼女(ウテナ)に用がありますので、お借りしますよ。
女教師:素敵、理事長......あのルックスもファッションも.....。
暁生:ああ、それと、あまり規則をたてに、生徒を縛りすぎないように。あくまでも生徒の自主性を大切にする指導を、お願いしますよ。

ウテナ:あの.....
暁生:ん?
ウテナ:ボクに用事って、何ですか?
暁生:バカだな、そんなものないよ。.....僕も、君のそのりりしいスタイルのファンだからね。
ウテナ:そんな......
暁生:それに、あの口うるさい教師連中に囲まれながらも、自分の信念を曲げない君には、何か強さと気高さを感じたよ。
ウテナ:え......「理事長」が、そんなこと言って、いいんですか?
暁生:かまわないさ。だって、君は、妹の......いや、僕の大切な友人だからね。
ウテナ:そう.......なんですか.........。
暁生:行こう。
ウテナ:バカ、何考えてるんだ.......暁生さんには......。

ウテナ:あれ.....この車って、最近よく見かけますけど......。
暁生:今年の人気モデルだからね。気に入らない?
ウテナ:いえ......そういうんじゃなくって.......
若葉:ウーテナ!
ウテナ:若葉......
暁生:やあ、篠原さん。
若葉:こんにちわ。できれば篠原さんじゃなくて、若葉って呼んで下さいね.....(to ウテナ)なんだなんだ、こっそりツーショットなんて、お安くないぞ.......もしかしたら、これからデート?
ウテナ:そんなわけないだろ。たまたま一緒になっただけさ。
若葉:ホントか?
ウテナ:ホントさ。
若葉:ホントにホントか?
ウテナ:あたりまえだろ。
若葉:ねえ、暁生さん、だったら、これから一緒に、ドライブに行きませんか?
ウテナ:おいおい.....
若葉:今日ここでこうして会ったのも、きっと何かの縁ですし......。
ウテナ:最近、毎日遊びに来てるくせに。
若葉:お願いします!一生の思い出にしますから。
暁生:そうですね.....二時間くらいでよければ、おつきあいしますが。
若葉:やっりい!!
ウテナ:(ため息)押しの強いやつ。
若葉:ダメダメ、ウテナはいいの。
ウテナ:なんでさ?
若葉:だって、デートは二人きりでするもんです......ね、暁生さん。
ウテナ:.......あっそ、いってらっしゃい。
若葉:じゃね、バッハハーイ!
ウテナ:.......バッハハーイ......。

若葉:いい思い出になったわ.....。
ウテナ:あっそ。
若葉:海がきれいでね、風が気持ちよくてね......もう、最高のデートだった....。
ウテナ:はいはい....でも、分かってると思うけど、暁生さんには.....
若葉:婚約者がいるんでしょ。もう、人がせっかく気分だけでも盛り上がってんのに。
....ただのドライブじゃない。考え過ぎよ。
ウテナ:そうかなあ。
若葉:?....ハハーン、さては妬いてるなおヌシ?
ウテナ:そんなわけないだろ!
アンシー:おはようございます。
ウテナ:おはよう....姫宮。
アンシー:おはようございます、ウテナさま。

ウテナ:そんなわけない....ボクが好きなのは、王子様なのに.....。
アンシー:.......
ウテナ:この指輪をくれた王子様だけなのに、何でボクはこんなに......何で?何でだ....。何でボクは.....こんなに、ドキドキしてるんだ?

ウテナ:あ.....暁生....さん?
バスケ部某:天上!.......大丈夫か?
ウテナ:ああ.....大したことないよ。
バスケ部某:でもどうしたんだ?あんなミスするなんて、お前らしくないぜ?
ウテナ:ごめんごめん。
バスケ部某:気をつけてくれよ。
ウテナ:ああ.....確かに、どうかしてるな....ボクは。

ウテナ:あ、いたたた.....
アンシー:大丈夫ですか、ウテナさま?
ウテナ:ああ、ごめんね、面倒かけて。
アンシー:いいえ。それより保健室で冷やしましょ。
ウテナ:あのさ姫宮.....
アンシー:はい?
ウテナ:ボクは.....君に.....?暁生さん.....!
アンシー:お兄さま、ウテナさまが....。
暁生:どうしたんだい?.....

(eyecatch)

暁生:さあ、乗って。ちゃんと病院でみてもらった方がいい。
ウテナ:すいません....。
暁生:あとはよろしくな。
アンシー:はい。
ウテナ:姫宮も乗っていけばいいじゃん。
暁生:ダメダメ。
ウテナ:?
暁生:デートは二人きりでするもんです。そう君の友人に教えてもらいましたからね。違いますか?.....じゃあな、アンシー。
アンシー:はい、お兄さま。..............バッハハーイ......。

ウテナ:あの暁生さん、ホントすいませんでした。病院にまで付き添ってもらっちゃって。
暁生:遠慮しないで。僕たちはもう家族同然じゃないか。
ウテナ:はい....。

ウテナ:あの......
暁生:ん?
ウテナ:式は、来年の春でしたっけ?......素敵な人ですよね、香苗さんって......。
暁生:そうだね.....。さあ着いたよ。
ウテナ:ありがとうございました。あ?
暁生:痛む?
ウテナ:大丈夫です.....あっ....
暁生:今日は歩かない方がいいって、ドクターが言ってたね。
ウテナ:そ....そんな大丈夫、歩けますよ。あ?......暁生さんって、プレイボーイでしょ?
暁生:なぜ?
ウテナ:だって、女の子を喜ばせるの、得意そうだもん。
暁生:そう?
ウテナ:なんか、理事長らしくないっていうか....ちょっとイケナイ人みたい。
暁生:君だって、言いつけを守らず、男の子の制服を着てるじゃないか。僕たちは同類かもな。
ウテナ:ボクの格好は.....王子様だから.....。
暁生:王子様?
ウテナ:これは.....ボクが、昔好きだった、王子様に会いたくて.....それで......。
暁生:おぶってくより、抱いていった方がいい?
ウテナ:あ.......

影絵少女A:チャーラララララーララーララーララララララー....
影絵少女B:靴、靴、靴、靴、その靴、捨てなさい。
影絵少女A:なんで?あたしの、大事な赤い靴。
影絵少女B:それを履いてると、死ぬまで踊り続けなきゃならないのよ。
影絵少女A:デケデケデケデケ♪いけないと分かっていても、やってしまうことがあるのよ〜そういうあなただって、手に持ってるじゃない、私と同じ〜〜、赤い靴〜
影絵少女B:これは.....ただ持ってるだけよ。私は履いたりしないわ。
影絵少女A:♪履かないのに持っている〜、エライヤッチャエライヤッチャ持ってるのに履かない〜はかないのは、あんたの人生.....ウ!!

アンシー:ウテナさま?
ウテナ:え、何?
アンシー:お腹、すきませんか?....今日の夕食、ほとんど召し上がってなかったみたいですから....。
ウテナ:うん......ちょっと、食欲なくてさ。

ウテナ:若葉のやつがさ.....
アンシー:はい?
ウテナ:この前、若葉のやつが、恋にイケナイ恋はない、好きって気持ちはどうしようもないって言ってたけど.....でも.....好きになっちゃいけない人って、やっぱいるよね。
アンシー:私には、よくわかりません。.....でも、私も、若葉さんの言うように、好きっていう気持ちは、自分でもどうしようもない部分があると思いますけど.....。
ウテナ:そうなのかな......やっぱり。....そういえば、君にも、誰か好きな人がいるんだっけ?
アンシー:ええ、いますよ。私にも、王子様が。

冬芽:おやおや、天上ウテナですか.....このガラスの靴の持ち主は。
暁生:そう言えば、君は、彼女に惚れてるんだったな。
冬芽:そう......決闘に敗れたときはショックでしたね。いや、敗れたことがじゃなくって、俺の信念を揺るがす少女のいることがですけど。....あの時ばかりは、これまでの生き方を考えさせられましたよ。
暁生:君は見る目がある。あれはいい女になるよ。
冬芽:そうですね、理事長。

暁生:ウテナさん?
ウテナ:え?
暁生:どうしたんです?昨日もあまり食べてなかったみたいだけど、具合でも悪いんですか?
ウテナ:どうしたのって言われてもなあ....。
(ドアベル)
暁生:香苗さん.....めずらしいね、こんな時間に。
香苗:こんな時間でないと、つかまらないでしょ。
暁生:そうかな?
香苗:そうよ。
暁生:このところ忙しかったから。
香苗:星を見るのが?
アンシー:おはようございます、香苗さん。
香苗:おはよう、アンシーちゃん。まったく、いつになったらお姉さんって呼んでくれるのかしら......あら、あなたは、えっと、ウテナさん、だったわよね。
ウテナ:おはよう.....ございます。
暁生:朝食は?
香苗:結構よ。それより、母が来てるの。
暁生:お義母さんが?
鳳夫人:お久しぶりね、暁生さん。
暁生:お義母さん.....珍しいですね。
鳳夫人:少し、あなたにお話があるの。

暁生:どんなご用件ですか?つつがなく仕事はこなしているつもりですが....。もしかしたら、電話じゃ、話せないことですか?
鳳夫人:暁生さん.....最近、あなたは娘を.....香苗を避けていませんか?あなたがこの学園を仕切れるのも、娘と結婚すればこそ.....そして、婚約なんて、いつでも解消できることを忘れないようにね。
暁生:香苗さんにはやさしくしているけど?.....もし彗星を見つけたら、彼女の名前を付けようと思っているくらいです。....それに.....ほら、これが香苗さんの好きな香りです。僕はいつでも彼女が望む香水をつけ、そして、二人きりの時には.....。理事長のお加減は、いかがですか?
鳳夫人:あんな男のことは、どうでもいいわ。....あ....ああ....。あなただけよ、私の王子様は.....。

若葉:ねえねえ、ウテナ!暁生さんの婚約者、鳳香苗さん!ついに見ちゃったわよ。....香苗さんって、素敵な人よねえ。美人で頭良さそうでおまけにお嬢様で....確かに、こりゃちょっとかなわないって感じかな......。
ウテナ:ちがう.....ボクが好きなのは、王子様だぞ

(ending)
(preview)
ウテナ:姫宮は確かAB型だよね?うーん...つかみ所がなくなかなか本心を言わないタイプか.....
アンシー:そう言うウテナさまはB型でしたよね?B型は....自己中心的で思いこみが激しい。
ウテナ:....悪かったね。ところでどうして七実がボクたちの部屋に居候してるんだ?
アンシー:七実さんも、B型ですから。
ウテナ:確かに思いこみは激しそうだけど.....次回、少女革命ウテナ、「彼女の悲劇」。
アンシー:絶対運命、黙示録。

Episode #31

(opening)

ナレーション:あれは、昔々のお話です。あるところに、お父様とお母様を亡くし、深い悲しみにくれる、幼いお姫様がいました。そんなお姫様の前に、白馬に乗った、旅の王子様が現れます。りりしい姿、やさしい微笑み。王子様はお姫様を、バラの香りで包み込むと、そっと涙をぬぐってくれたのでした。
ディオス:「たった一人で、深い悲しみに耐える小さな君、その強さ、気高さを、どうか大人になっても失わないで。今日の思い出にこれを」
ウテナ:「私たち、また会えるわよね」
ディオス:「その指輪が、君を僕のところへ導くだろう」
ナレーション:王子様がくれた指輪は、やはり、engage ringだったのでしょうか。...それはいいとして、お姫様は、王子様にあこがれるあまり、自分も王子様になる決意をしてしまったのです。でもいいの?ホントにそれで??

タイトル:彼女の悲劇

(電話の音)
七実 :はい桐生です。.....兄なら今外出中ですわ。お急ぎでしたら携帯電話にかけてみてはいかが?....あらご存じないの、じゃあダメね。何なら私が伝えてあげてもよろしくってよ。ご用件は?....バカな女!私はあんたたちとは違うのよ。私とお兄さまは、兄妹なんだから。血がつながってるんだから。

(電話の音)
冬芽:もしもし。ああ君か。ああ。あ、いやそうじゃない(笑い)。俺があんな女とつきあうはずないだろ。ああ。携帯電話は、修理に出していたんだよ。本当だよ。(笑い)まさか。君から連絡が来るかも知れないのに、電話を切っているはずないだろう。君だけだよ。Baby。

七実:んまー意外ー。B型同士って相性最悪ですって。そんなの絶対嘘よね。うちのお父様もB、お母様もB、私もBの、B型一家。なのに相性が悪いなんて.....
冬芽:興味ないな。
七実:どちらへ?
冬芽:シャワー。一緒に入る?
七実:............................................................................................。
冬芽:冗談だ。

七実:昔は何もかも一緒だった.....食事も、ベッドも、お風呂も......でも今はお兄さまは、私のことなどかまってもくれない。兄妹って、こうして離れていくものなのかしら.....。

(電話の呼び出し音)
某少女:冬芽?今どこ?こっち女の子しかいなくって、つまんないのよ。ねえ、これからこない?.....どうしたの黙っちゃって?ははーん、さては隣に女の子がいるでしょう?
七実:いるわよ。
ある 少女:ち、ちょっと、あんた誰よ?
七実:あなた新しい番号教えてもらってないの?かわいそうに。捨てられたんじゃないの?

(電話の呼び出し音)
某少女:冬芽さん、どうして昨日来てくれなかったの?私、朝まで、ずっと待ってたのよ?せっかく作ったお料理だってだめになっちゃったし....ううん、そんなことどうでもいの。ねえ、私のこときらいなの?何か言ってよ。ねえお願い、あなたの声きかせて?
七実:バッカじゃないの。あなた捨てられたのよ。

茎子:B型同士って、絶対相性悪いよね。
優子:あんた何型?
茎子:B。
優子:当たってるわ、その占い。
茎子:....七実様、冬芽様の血液型は、何型でしたっけ?....七実様?
七実:占ってどうしようっての?
together:ひええええ.....
七実:お兄さまは私のもの。誰にも渡さない......誰にも。....ん?

冬芽:今夜どう?食事でも。
ウテナ:懲りないやつだな。ボクがそんなことするわけないだろう。
冬芽:女性を食事に誘わないのは失礼だ。
アンシー:イタリアのことわざですよね。
ウテナ:ええ?生徒会長ってラテン系なの?
冬芽:そう見えるかい?
ウテナ:うーん見えなくもないなあ。

七実:あんたのせいよ!
ウテナ:え?
七実:あんたのせいでお兄さまは私に冷たくなったのよ!
ウテナ:何の話だ?
七実:とぼけないで!
ウテナ:だから何が?
七実:お兄さまにちょっかい出すのは、やめて!!
ウテナ:ち、ちょっと待て、七実?
アンシー:あぶない、ウテナさま!
七実:あっ.......
together:おおおっ!
暁生:階段で悪ふざけはよくない。
七実:あ、あなたは.....
ウテナ:(ため息)暁生さん!

七実:理事長?
暁生:まだ代理ですよ。こんなところに住んじゃいますがね。理事長のお嬢さんと、婚約したんですよ。
七実:あ、ありがとうございます。
暁生:いえいえ、どういたしまして。ウテナさん?
ウテナ:あ、はい?
暁生:これ、そこの棚にしまっておいてくれるかな?
ウテナ:はい........。
七実:(咳払い)
ウテナ:....あ、あ、ごめんなさい、ボーっとしてて。
暁生:いやいや。
アンシー:はい、かき氷ですよ。はいお兄さま、アーン。
暁生:アーン。
七実:兄妹?
アンシー:はい。  
暁生:かけがえのない僕の妹です。
アンシー:はいお兄さま、アーン。
暁生:アーン。
アンシー:まあお兄さま、お口の中真っ青。
暁生:自分だって真っ赤だぞ。
アンシー:はいお兄さま、アーン。
暁生:アーン.....。

七実:いいわよねーえ。ああいうのって。
ウテナ:ホント、見せつけてくれるよ。
七実:理事長のことよ。
ウテナ:あ、うん。
七実:あんなに優しいお兄さまがいるなんて、姫宮アンシーにはもったいないわ。
ウテナ:兄妹にもったいないも何もないだろう。
七実:あーら、あんなにかっこいい人が兄妹だったら誰だってメロメロよ。姫宮アンシーだって.....
ウテナ:そんなの君だけだ。
七実:何ムキになってるの?あなた、理事長のこと好きでしょう?
ウテナ:なっ!....何言ってるんだ!
七実:あーらやっぱり。(笑い)なーんだ、そうだったの。
ウテナ:??
七実:お互いがんばりましょう。ルルルルル〜♪
ウテナ:どういう意味だよ?

愛子:えー本当?
茎子:本当よ。もう相性最高!
優子:ねえ、私は私は?
七実:(咳払い)
茎子:....あ、あのー七実様?冬芽様の血液型は、何でしたっけ?
七実:そんなこと知って、どうしようってのよ?
愛子:あ、いや、別に....
優子:罪のない相性占いですから。
茎子:な.....七実様は、何型でしたっけ?
七実:私はB型。うちはお父様もB型、お母様もB型のB型一家。やはりBはBeautifulのBかしらー?
愛子:では冬芽様も?
七実:いーえ。お兄さまだけは完璧主義のAよ。
茎子:?あ.....あの七実様、お父様の血液型は?
七実:だからBよ。
優子:お母様は?
七実:同じBよ。
優子:それで冬芽様は......
七実:だからAだって言ってるでしょう!
愛子:でも、B型の両親からは、A型の子供は産まれないんじゃ.....
茎子:もしかして七実様と冬芽様って、血がつながってないのでは.....。
七実:うるさいわね!こんなに賢くて人望が厚くて美しくて完璧な兄妹が、他にいて?血なんかつながってなくても.......あ!?
together:あ.....
七実:んなわけないでしょう!!......どうして.....どうして今まで気がつかなかったのかしら.....ない、ない.....やっぱりない!!....お兄さまが赤ちゃんの時の写真が一枚も.....。

七実:じゃあ、私と......私とお兄さまは......ホントの兄妹じゃない......兄妹じゃない.....。

(eyecatch)

(電話の呼び出し音)
某少女:冬芽.....来て.....私今ひとりぼっちなの.....お願い、あなたがいないと、私、眠れない......ねえ冬芽、聞いてるんでしょう?冬芽、お願い.....
七実:そんなはず、ないわよ.....。七実とお兄さまが、本当の兄妹じゃないなんて.....血がつながってないなんて......
(ノック音)
七実:あ....あ、はい?
冬芽:どうしたんだ?明かりもつけずないで。
七実:え?....ううん。いつの間にか、眠っちゃって....。
冬芽:そうか。ところで、俺の携帯電話を知らないか?昨日から探しているんだけど、見つからないんだ。
七実:し、知らないわ.....。
冬芽:大丈夫か?顔が赤いぞ。
七実:べ、別に......。
冬芽:熱は.....ない、みたいだな。
七実:や、やめて.....子供じゃないんだから。
冬芽:ごめんごめん。じゃ、お休みのキスを。
七実:え!?.......................................................................................。
冬芽:冗談だ。じゃ、お休み。

ウテナ:家出?
樹璃:昨日、七実が私の所に泊めてくれと訪ねてきた。
幹:おとといは僕のところです。
樹璃:何かあったんじゃないか?
ウテナ:何かって?
幹:七実君が冬芽先輩の下を離れるなんて、よほどのことです。
ウテナ:よほどねえ......。
樹璃&幹:で!
幹:.....どうぞ。
樹璃:あ、ああ。聞いていないか?
ウテナ:家出......
樹璃:のことだ。
幹:聞いてませんか?
ウテナ:家出......
幹:のことです!
ウテナ:家出......

七実:ねえ石蕗?
石蕗:はい?
七実:石蕗のところって、一人部屋よね?
石蕗:そうですけど....
七実:石蕗?
石蕗:はい。
七実:私、今日帰りたくないの。
石蕗:は、はい??
七実:今夜、泊めてもらえる?
石蕗:あ、....は、はい!......狭いところですけど....。
暁生:ナイスパット。....鳳学園校則第34条、中等部生徒は定められた寮以外での寝泊まりは、固く禁じる。ちょっと理事長室まで来てもらえるかな、桐生七実君。

暁生:今日からこの理事長館に移ることになった、桐生七実君だ。
七実:よ、よろしく。
暁生:よく知ってると思うが、仲良くしてやってくれ。
アンシー:よろしくお願いします。
ウテナ:よ、よろしく.....。
七実:ごめんなさい、わがままを言ってしまって。
暁生:いいんですよ。生徒一人一人が快適な学園生活を送れるようにするのが、私の役目ですから。
七実:お聞きにならないんですか?何があったか。
暁生:僕の本当の夢は、理事長館をハーレムにすることなんです。
七実:は?...............................
暁生:冗談ですよ。
七実:はあ。
暁生:何かあったら遠慮なくいって下さい。家族のようにね。
七実:....はい!

ウテナ:ハーレムでも作るつもりなのかなあ、暁生さん。七実まで預かるなんて。
アンシー:そうですね。兄は女の子には見境ありませんから。
ウテナ:え?........それ、本当?
アンシー:冗談ですよ。
ウテナ:そ、そうだよね!暁生さんがそんな人のはずないもんね!暁生さんには香苗さんっていう大切な人がいるんだし.....それに何より、君のお兄さんなんだし.......ボク、何か変なこと言ってる?
アンシー:はい........。

影絵ロボ:オサル逃げた、オサル逃げた、オサルどこだ、オサルどこだ..........
影絵少女A:カッコウ、カッコウ、フフフのフ......こうして、他人の巣にこっそり卵を産んで、育てさせるカッコウ。
影絵少女B:これを専門用語で託卵といいます。
影絵少女A:パカーン!生まれたカッコウ。
影絵少女B:でも、正体は、ばれないカッコウ!
影絵少女A:見て見てお母さん、変なアヒルがいるよ。
影絵少女B:やーい、醜いアヒルの子!.....うーむ.....こんなはずでは......チクショウ、見てろ!いつか立派な白鳥に!
ウテナ:ならないと思うよ?
影絵ロボ:オサル発見!オサル発見!オサル逃げる、オサル捕まえる!

together:ジャンケンポン!
アンシー:あら、負けちゃった。
七実:じゃあベッドは私がもらうわね。
ウテナ:居候なんだから少しは遠慮しろよな。
七実:自分だって居候じゃないの!
暁生:七実君、お客さんだよ。
冬芽:七実、迎えに来たよ。
七実:!..........帰って。
冬芽:七実!
七実:私、お兄さまとは帰れない。
冬芽:どうしたんだ七実?わざわざ、寮生活を始める理由なんてないだろう。
七実:ダメ.....
冬芽:俺たち、二人きりの兄妹じゃないか。互いに助け合って、生きて行くべきじゃないのか?.....さあ、一緒に帰ろう。
七実:私とお兄さまは、本当の兄妹じゃないわ!
冬芽:どこでそれを......
七実:ホントなんだ.....やっぱり。嘘じゃないかなって......冗談かなって.....思ってたけど......ひどいわよ。今更兄妹じゃないなんて......どうすればいいの?
冬芽:七実。
七実:お兄さまはお兄さまよ!今までのこと、無しになんてできないわよ.......私、好きなんだから........お兄さまのことが、好きなんだから!!!!!!
冬芽:七実.....。
七実:帰って.......お願い、帰って!!!

ウテナ:そうか、そんなことがあったんだ。ボクは一人っ子だから、何とも言えないけど。それはショックだよね........。
七実:いいのよもう。放っといて。
ウテナ:月並みだけど、元気出してよ。何かが変わった訳じゃないんだし。きっとこれからだって....
七実:放っといてって言ってるでしょう!!
ウテナ:どこ行くの?
七実:.....おトイレ。

七実:!.......なあんだびっくりした。あの.............!!!!!!!

七実:.......................................................................................................(shocked&crying)

(ending)
(preview)
ウテナ:七実のやつ、居候のくせに、君のベッドまで占領するなんて。
アンシー:いいえ。私はお兄さまの部屋で寝ますから、気にしないで下さい。
ウテナ:うん。まあ、七実のやつも可哀想だよね。悪い兄貴にだまされてることに、何で気づかないんだろう?。
アンシー:一度好意を持った相手のことは、なかなか疑えないものですよ。まさか自分をだまして利用しているなんて、ね。
ウテナ:次回、少女革命ウテナ、「踊る彼女たちの恋」
アンシー:絶対運命、黙示録。


Episode #32

(opening)

某少女:冬芽......今どこ?.....ねえ、私のこと嫌いなの?.......寂しいのよ私.....ねえ来てよ、冬芽.....お願い、あなたの声聞かせて?
ウテナ:う、うーーーーん...........
アンシー:おはようございます。
ウテナ:おはよう。
アンシー:まだ眠そうですね。
暁生:どれどれ?
ウテナ:あ!....お、おはようございます!
暁生:おはよう。
ウテナ:似合いますね、エプロン。
暁生:冷やかさないで欲しいなあ。これ運んで。
ウテナ:はい。
暁生:やあ、おはよう。
ウテナ:七実も働けよ。
アンシー:おはようございます。よく眠れましたか?
七実:...........。

タイトル:踊る彼女たちの恋

ウテナ:うん、おいしい。
暁生:それはよかった。そのジャムは、アンシーが育てたバラの実を、ブランデーと砂糖で煮込んで作ったんだよ。
ウテナ:へえ。暁生さんって料理上手なんだ。兄妹なのにえらい違いだなあ。
アンシー:どうもどうも。
ウテナ:ほめてないよ。
アンシー:あら。
暁生:(笑い)愉快だね二人とも。
ウテナ:おや、ボクもですか?
アンシー:七実さん。七実さんもいかがですか?おいしいですよ........!
ウテナ:七実?何するんだ。姫宮びっくりしてるじゃないか?
七実:私はこんなジャムいらない。
ウテナ:だからって乱暴なことしなくてもいいだろう。.....待てよ、待てったら!
七実:何よ?
ウテナ:暁生さんと姫宮に謝れ!
七実:あんたバカじゃないの?何にも知らないくせして!
ウテナ:何わけのわかんないこと言ってるんだ.......??
暁生:いろいろ悩みがあるんでしょう。兄妹のことで。
ウテナ:......ごめんなさい。
暁生:君が謝ることはない。
アンシー:......ホントにおいしいのにねえ。

幹:どう、新しい生活は?
七実:(ため息)どうもこうも.....。
幹:あれ、そうなのかい?
七実:最低よ。一秒もいたくないって感じ。
幹:贅沢だよ。理事長館なんて一般の生徒は入れないところだよ。
七実:あらそう。
幹:うらやましいよ。
七実:じゃ、代わってみる?
幹:え?
七実:私がミッキーの所に住んで、ミッキーが理事長館に入るの。そうすれば、あんたもあこがれの姫君と一つ屋根の下で暮らせるし。
幹:別に......僕はそういうつもりで......
七実:名案でしょう?
幹:い、いいの?.....七実君がそっちの方がよければ、僕はかまわないよ......ああ、でも梢が何て言うかなあ......それに理事長の許可は......
七実:冗談よ。
幹:え?
七実:あんたみたいなお人好し、あいつに頭からバリバリ食べられちゃうわよ。結局、私のいる所なんてどこにもないって感じ........。私の居場所って.........

(七実:私、好きなんだから.......お兄さまのことが、好きなんだから!!!!!!)
七実:バカみたい。今更どんな顔をして、お兄さまに会うって言うのよ.....。
(冬芽:オレたち、二人っきりの兄妹じゃないか。お互い助け合って、生きて行くべきじゃないのか?)
七実:あ.....!
茎子:何ですか?
冬芽:いや、何でもない。
茎子:誰かがのぞいてたの?
冬芽:誰もいないさ。それに人の目を気にすることなんてないだろう。
茎子:でも.....こんなところあなたの妹に見られたら....。私殺されちゃう。
冬芽:俺に妹なんていないぜ。
茎子:え!?だって......
冬芽:血はつながっていない。
茎子:驚いた。優しいお兄さまにしか見えなかった。
冬芽:あんなのお芝居さ。親に言われていたからね....「妹と思って大切にしてくれ」って。そうでもなけりゃ、俺が相手にするはずないだろ。あんな、ありきたりでつまらない女。
茎子:怖い人.....冷たいのね。
冬芽:だったらどうする?
茎子:素敵!七実のやついい気味だ。同情なんてしてやらない。
七実:!!!.....茎子!!

アンシー:あれ.......どうしたの??

(slap)
七実:あんただけは許さないわよ!誰に断ってお兄さまに近づいたのよ....!!覚悟はできてるんでしょうね?
茎子:ふん。
七実:どうしてなんですか?どうしてよりによって、こんな女と?....お兄さまが女の子とつき合うのは、仕方ありません....けど、こんな女は相手にしないで下さい。もっとお兄さまにふさわしい人がいるはずでしょう?
冬芽:自分が.....そうだとでも言いたいのか?
七実:そんな.....
(slap)
茎子:こんな女ってどういう意味よ?あんたと私のどこが違うっていうの?大体好きな人に触れるのに許可なんかいるもんか。....やっぱりあんた異常だわ。吐きそう。いやだわこんな空気。ねえ、もうどこか行きましょうよ。
冬芽:七実、お前にもそのうち分かるよ。
七実:待って下さい......さっきの話は冗談ですよね?.....私に優しくしてくれたのが全部嘘だったなんて......また私を、からかってるんですよね?......
(電話の音)
七実:同じになっちゃった.......私、お兄さまに群がる銀蠅みたいなあの女たちと.....もう、私とお兄さまをつなぐものは何もないのよ.......何も!!!!

アンシー:どうしよう..........

ウテナ:香苗さん、まだ帰らないのかな......もう8時だよ?そろそろご飯だよね?
アンシー:ええ。
ウテナ:.....あれ?君一人なの?
アンシー:はい。
ウテナ:そう。
アンシー:何ですか?
ウテナ:....うん。
アンシー:何か作りますか?
ウテナ:...ねえ、香苗さんも一緒に、食べていくのかなあ?
アンシー:さあ。
ウテナ:しょうがないなあ。星を見だすとキリがないからね、暁生さんは.....
アンシー:そうですね。
ウテナ:七実もお腹空いただろう?
七実:.....別に。
ウテナ:そう。
アンシー:今、かき氷作りますから。
ウテナ:うーん、それもいいんだけど......やっぱり、ボクちょっと聞いてくるよ。
アンシー:!...ああ、ダメ!!
ウテナ:??
アンシー:ダメですよ、ウテナさま。二人きりなのに、邪魔しちゃ悪いですよ。二人だけの時間を、楽しませてあげて下さい。.....ね?
ウテナ:....そうか....そうだね、ごめん....。姫宮は、お兄さん思いなんだね。
アンシー:どうもどうも。
七実:.....怖すぎる、この図。
アンシー:!あら私......どうもどうも。

(eyecatch)

ウテナ:眠れないの?
七実:あんたたち、毎晩毎晩こんな風に顔つき合わせて寝てるわけ?
ウテナ:うん。
七実:変わってるわよね。あんたってちょっとどっかズレてるっていうか、鈍いっていうか....。
ウテナ:何だよ、人のベッド占領しといて文句言うなよな。
七実:むしろ喜んでるんじゃない?二人仲良く寝る口実ができて。
ウテナ:あの兄妹は仲がいいからね。
七実:!.......やっぱり鈍いのね。道理であんなおぞましい兄妹と一緒に暮らせるわけだわ。
ウテナ:兄妹っていいよね.....いつでも気持ちが通じ合っているみたいで....七実と冬芽だって、今までの関係を見失わなければ......
七実:あいつらと一緒にしないで。あんたに何が分かるの。
ウテナ:.....ごめん。
(冬芽:あんなのお芝居さ。そうでもなけりゃ、俺が相手にするはずないだろ。あんな、ありきたりでつまらない女。)
(電話の音)
チュチュ:チュ〜。
ある 少女:もしもし、もしもし、あたしよあたし。もう寂しくって眠れないの。ねえあなたの声聞かせて〜?
七実:今何時だと思ってるんのよバカ!あんた誰なの?名前くらい言いなさいよ。
暁生:世界の果てだ。
七実:え?
暁生:桐生冬芽が待っている。

冬芽:やあ、七実。お帰り。
七実:あの.....お聞きしたいことがあって。
冬芽:何だい?
七実:お兄さまは、世界の果てをご存じ?
冬芽:それを聞いて、どうするんだい。
七実:私、今でもお兄さまのことが好き。七実のことを、お兄さまがどう思っていようと.....だけど、私たちもう元に戻れないことは、分かっています......。だから今日、転校届けを出しました。もうお兄さまとは、会わないつもり。だから最後に知りたいの。本当のお兄さまのことを。!......どうしてそれを?
瑠果:ほら、聞こえないか?おまえの魂が本当にあきらめていなければ、世界の果てを駆け巡る、この音が、聞こえるはずだ!(電話の音)........さあ、我らとともに。誘おう、君が望む世界へ!
暁生:もしもし。さあ、ドライブの時間だ。
七実:あなたが......

七実:この人、いったい何者なの?
冬芽:何者はないだろう?お前もよく知っている、鳳学園の理事長だ。
七実:そうじゃなくて....
冬芽:何が?
七実:普通じゃないわ、この人。
冬芽:どう、普通じゃないんだ?
七実:私、見たのよ。
冬芽:何を?
七実:それは.......言えない。あんな恐ろしい.......
暁生:フフフフフ....
七実:何がおかしいのよ!
暁生:君がその目で何を見ようと、それは君の世界のことでしかない。
七実:何ですって?
暁生:君が見ている世界、君が存在している世界、わずかな視界の中で、同じ道をさまよい続けるだけの、出口のない迷宮の世界.....本当に君が見るべきものは、そこにはない。
七実:何を言っているの?この人?.......あっ、イヤ、離して!!
冬芽:....いつもして欲しがってたじゃないか。
七実:違う....。
冬芽:どうせ兄妹じゃないんだ。
七実:そんなんじゃない!!!
冬芽:じゃあ、お前が望んでいるものは、何だ?
暁生:世界の果てを見せてあげよう。君に。

優子:茎子、何かいいことあったでしょう。
茎子:別に言うこともないけど。.....あら、七実じゃない。何か私たちに用かしら?でも今までとは違うのよ断っておくけど。あんたに従う理由なんてこれっぽっちもないんだから。ホントに損したわよ。あんたなんかにヘイコラしてご機嫌うかがって使いっ走りさせられて。思い出すだけではらわた煮えくり返っちゃうんだから。これからは、その分だけあんたにお返ししてもらうつもりなの。覚悟してちょうだい.......何なのよその目つきは!!

(slap)
ウテナ:姫宮!何をするんだ七実!
七実:私はその女とは違うの。
ウテナ:何を言ってるんだ?
七実:今日の放課後、決闘広場で。
ウテナ:何だって?バカを言うな!
七実:こいつがどうなってもいいって言うの?
ウテナ:あ......七実?

影絵少女A:えーーーい念力!どうですお客さん、種も仕掛けもございません!
影絵少女B:胡散臭ーい!そんなのトリックに決まってるわ!
影絵少女A:じゃあもう一度。念力ーー!
影絵少女B:そんなのペテンよ、インチキよ!
影絵少女A:弱ったなあ、じゃあいったいどんな仕掛けがあるっていうんです?
影絵少女B:知るわけないでしょインチキなんだもの!!
影絵少女A:スペシャル念力ーーー!
影絵少女B:インチキ、インチキ.....
影絵少女A:念力MAXパワー!!
影絵少女B:イーンチキー......(壊れる)あれ?

ウテナ:冬芽....七実をそそのかしたのは、お前だったのか?
冬芽:いや。ここに来たのは、七実自身の意志だ。
ウテナ:それでも兄貴か?
冬芽:俺と七実は兄妹じゃない。知ってるだろう?他人の行動には、むやみに干渉するべきじゃない。なあ七実?
七実:ええ。私は全てを超えたいの。決闘であんたに勝って、お兄さまも、今までの自分も、全てを.....

ウテナ:そうか........

アンシー:気高き想いのバラよ...お願い、示して!
ウテナ:世界を、革命する力を!

七実:やああああああああ!!!!....意味なんかない!お兄さまは、私が私であることの一部だった.....私は信じていたのに.....私とお兄さまの間には、確かな絆があると.......でも、何もなかった.....何もなかったのよ!!!!
ウテナ:そんなことが重要なのかい?形はどうあれ、想いがあれば.....
七実:あんたは信じていればいいわ.....その想いの結末を!!!!!!!
やあああああああああああああああ!!
ウテナ:(叫ぶ)

ウテナ:これで、気は済んだか?
七実:教えてよ......私に何があるの?......私もただの蠅にすぎないの?......そんなのはイヤ..........!!!!!!!!!!

暁生:七実君には本当のことを教えてやるのか。
冬芽:そうですね。
暁生:本当は血のつながった兄妹なんだろう?
冬芽:ええ。俺と七実は、二人そろって今の桐生家に引き取られたんです。まだ七実が赤ん坊の頃にね。
暁生:誤解は、早く解いてやれよ。
冬芽:でも、血のつながらない兄妹だと思われてた方が、ロマンチックですよね。
暁生:(笑い)悪い兄貴だ。

(ending)
(preview)
ウテナ:へえーきれいに咲いたね。さすが姫宮だ。バラを育てることにかけては、誰にも負けないね。
アンシー:ウテナさま、お願いがあるんですが。
ウテナ:何?
アンシー:このバラを、今夜お兄さまに届けてもらえませんか?
ウテナ:暁生さんに?.....いいけど?
アンシー:では.....お願いします。
ウテナ:次回、少女革命ウテナ、「夜を走る王子」
アンシー:絶対運命、黙示録。


Episode #33

(opening)

ナレーション:あれは、昔々のお話です。あるところに、お父様とお母様を亡くし、深い悲しみにくれる、幼いお姫様がいました。そんなお姫様の前に、白馬に乗った、旅の王子様が現れます。りりしい姿、やさしい微笑み。王子様はお姫様を、バラの香りで包み込むと、そっと涙をぬぐってくれたのでした。
ディオス:「たった一人で、深い悲しみに耐える小さな君、その強さ、気高さを、どうか大人になっても失わないで。今日の思い出にこれを」
ウテナ:「私たち、また会えるわよね」
ディオス:「その指輪が、君を僕のところへ導くだろう」
ナレーション:王子様がくれた指輪は、やはり、engage ringだったのでしょうか。...それはいいとして、お姫様は、王子様にあこがれるあまり、自分も王子様になる決意をしてしまったのです。でもいいの?ホントにそれで??

タイトル:夜を走る王子

(電話の呼び出し音)
アンシー:もしもし......ええ。星を見てました。.......本物の星は、見たくなかったんです。今夜のバラは、届きましたか?

ウテナ:今日はめちゃめちゃ楽しかったなあ......こんなに遊んだのは、どれくらいぶりだろう。乗りたいものにも、全部乗ったってかんじ......姫宮も、来ればよかったのに.....一人じゃ、こんなに楽しくないんだろうな.......言ったことあったっけ?ボクが、一人っ子だったってこと.......。

影絵少女A:かしらかしら、ご存知かしら?....今夜は星空がとってもきれいです。このラジオをお聞きのみなさんも、もしよかったら窓から空を見て下さい。美しい秋の星座が、またたいていますよ。
影絵少女B:今夜の二人は永遠さ!な〜んてことでクイズです。ジャカジャカジャーン!!
影絵少女A:永遠のものって何でしょう?
影絵少女B:それこそ永遠の謎ね。
影絵少女A:今日の最初の回答者の方は.......えーと、ペンネーム、「世界の果て」さんです。
影絵少女B:変わったお名前の方ですね。
影絵少女A:では、早速お電話してみましょう。
暁生:はい。
影絵少女A:こんばんは。「世界の果て」さんですか?
暁生:はい。
影絵少女B:今この番組をお聞きでしたか?
暁生:もちろん。
影絵少女B:なんか素敵な声の方ですねえ。
影絵少女A:お葉書ありがとうございます。「世界の果て」さんはどんなお仕事をなさってるんですか?
暁生:学校関係です。あと、ちょっとしたアルバイトもやってますが。
影絵少女B:学校関係の人がアルバイトって、いけないんじゃないんですか?
暁生:いやまあ、ばれないように、うまくやってますよ。
影絵少女A:ありがとうございます。では早速クイズの方に行きたいと思いまーす。
影絵少女:かしらかしら、ご存じかしら?
影絵少女A:三択です。次の三つのうち、永遠のものはどれでしょう?1、ダイヤモンド。2、美しい思い出。3、桃の缶詰。
暁生:それはやっぱり........すいません、キャッチホンです。
影絵少女A:えええっ!?そんな......オンエア中なのに......
暁生:俺だ。.....うん、うん、わかった.....すぐ行く。悪いね。仕事が入ったもんで。
影絵少女B:仕事って、どちらの?
暁生:アルバイト。

西園寺:何なんだ!
冬芽:さあ、我らとともに。誘おう、君が望む世界へ!
アンシー:ああっ.....
西園寺:バラの花嫁は僕のものだ。

冬芽:君は何が欲しい?何を目指している?何になりたい?
西園寺:そんなことを聞いてどうする。第一、僕は貴様のことは信用していない。
冬芽:おいおい、お前はオレのたった一人の友人じゃないか。
西園寺:友情なんて、この世界にはないさ。
冬芽:そうかな。
西園寺:そうだ!
ウテナ:何を見たって言うんだ?
西園寺:世界をだ!
冬芽:あそこに行けば、なにか永遠のもの....たとえば永遠の友情とかがあると信じてるからじゃないのか?.....永遠のものを見たいと言っていた女の子がいただろ?
西園寺:さあ、よく覚えていないな。
冬芽:あの夜、あの女の子を柩から救い出したのは........
暁生:暁の明星。暁生っていう僕の名前は、この星からついたんだ。
冬芽:あの女の子は、暁生さんに永遠のものを見せられて、救われたのさ。
ウテナ:本当に好きなら、姫宮の立場になって考えてみろよ!
西園寺:そう、....僕も昔は、僕なりにバラの花嫁の気持ちを考えていた。だから熱くもなった。でも今は分かる!バラの花嫁に意志なんてないんだってことがね。

アンシー:ウテナさま?
ウテナ:何?姫宮.....!

影絵少女A:挑戦者、惜しくも敗れ去りましたね!
影絵少女B:いやーチャンピオンの闘いぶり、素晴らしかったですねえ。
影絵少女A:これで、物まねキングは8週勝ち抜きですねー。
影絵少女B:あと4勝すれば、いよいよ、栄光のグランドチャンピオン物まねキングとの対決になるわけ......
ウテナ:うーん........あのチャンピオンすごいなあー。グランドチャンピオン物まねキングに、挑戦できるかなあ。よっと....挑戦できるといいなあ.......。

アンシー:あ、一人で大丈夫?
梢:ありがとう。でも、せっかくあなたが来てるんだもの....かわいい妹は、気を利かせて消えるわ。....ごゆっくり。....この手紙、あの人から?
幹:ああ。母親からです。
ウテナ:へえ。いいなあ、お母さんからの手紙か。ボクは両親がいないから、そういうの、うらやましいよ。
梢:親なんていらないわ。あたしたちは野生動物だもんね。
幹:悪く言うのは止せ。父さんも母さんも、いつも僕たちのことを心配してくれてるのに。
梢:やーね、ムキになっちゃって。
幹:うん、母さんからの手紙に書いてあったから....いや、僕も梢も、反対じゃないよ....それは、父さんの自由だよ....結婚式には出られそうもないけど、祝電くらいは打つから....え、誰と?いいよ.....新しいお母さんって、そういうのはいいよ....父さん?
某(アンシーの声):いいです....いきなり母親だなんて、厚かましいでしょ。

幹:自分勝手な大人に利用されるくらいなら、僕はもう決闘はしない。

ウテナ:ったくもう、うるさいったらありゃしない....あの先生、ミョウバンってあだ名ついてるんだよ.....なんでミョウバンなのかよく分からんけど。その前は、茶碗ってあだ名だったみたい。でその前は....あ、何だっけ?....何だっけ.......

(eyecatch)

ウテナ:あ!いっけない!!朝のパン出しっぱなしにしてきちゃった!....姫宮ちゃんと冷蔵庫に入れといてくれるかなあ。ビニール袋に入れないと、臭い移っちゃうんだよね。

梢:いいじゃない、照れなくても。彼女が大切なら、自分のものにしちゃいなよ。私は、幹の幸せを願ってるわ。
幹:何だよ急に。
梢:私はいつも自分の気持ちに素直なだけ。うそはつかないわ....まわりが全部汚れてたら、自分も汚れるしかないじゃない。自分も汚れて、欲しいものを手に入れるしかないのよ。

幹:姫宮さん?
梢:すごい力って、どんなの?
幹:梢!何してるんだ?
ウテナ:急に決闘を仕掛けてきたのは、なぜだろう?
アンシー:さあ。
幹:梢!
梢:よそ見してるとやられちゃうよ。
ウテナ:だって....ミッキーはもっと.....
アンシー:もっと、何です?
幹:何だよ?
梢:意気地なし。

(電話呼び出し音)
暁生:はい。
影絵少女A:こんばんは、「世界の果て」さんですか?
暁生:はい。
影絵少女B:やっとつながりましたね。
影絵少女A:あの、オンエア中のキャッチホンとか、いきなり電話を切ったりするの、困るんですけど.....。
暁生:悪いね。急用だったもんで。
影絵少女A:では、気を取り直して第二問に行きたいと思いまーす!
暁生:まだやるの?
影絵少女A:決まりですから。かしらかしら、
影絵少女:ご存知かしら〜!!
影絵少女A:三択です。次の3つのうち、奇跡はどれでしょう。1、エジソンの発明。2、王子様との出会い。3、シーラカンスの缶詰。
暁生:奇跡......そう、奇跡の力。

瑠果:僕のいない間に、どれだけ成長しているかと思ったが....期待はずれだったな。
樹璃:やはりあなただったか、部長。
瑠果:おいおい、今の部長は君じゃないか。有栖川。
樹璃:デュエリストとして、何を企んでいるのかも、私の知ったことではない。だが....
瑠果:だが?
樹璃:枝織には手を出すな!
瑠果:どうして?
樹璃:枝織は......枝織は、私の古い友人だ。
瑠果:なるほどね。話は分かった。だが君は何か、考え違いをしているようだな。
樹璃:何?
瑠果:言ったろ?僕は気ままに過ごさせてもらうと。学園で誰と恋愛を楽しもうが、僕の自由じゃないか。

枝織:!?......あ、あの.....すいません、私、あの.....別に......
瑠果:そうか、君だったのか。
枝織:え?
瑠果:僕が休んでいる間、誰かが毎日、僕の剣を磨いていてくれていた。嬉しかったよ、君なんだろう?
枝織:....ええ。私、ただ先輩のために....それで毎日この剣を....
瑠果:ありがとう。君は、優しい人なんだね。
枝織:そんな.....私.....

ウテナ:分量を間違えるってのは、よくあるよ。こないだなんて、マカロニの分量を間違えて、大きな鍋一杯になっちゃったことあったなあ。あと、味付けを間違えると悲惨なんだよね。調節していくと、量がどんどん増えていっちゃって、もう大変。3人分でいいのに10人分になっちゃったりして....取り返し、つかないっつうの?....まあ作り置きだと思えばいいんだけどさ。ハンバーグとか、お弁当用に。でもシチュー系は無理だな。あれってさ、よく本に書いてあるとおりにやるじゃん?で、その通りやってんのに、どう考えても味が違う!ってことあるよね。あれって、何なんだろう?.....あれ?逆転だ。

枝織:そんな、ひどいわ!私がどれほどあなたのことを想ってきたか....そうよ!毎日あなたの剣を磨いて!....あなたのことだけを....
瑠果:あれはね、僕の剣じゃなかった。君の演技、おもしろかったよ。アドリブにしては上出来だった。

ウテナ:?....どうして?先輩....
影絵ナースB:あの人、自分の病気のこと知ってたみたい。なのに無理に退院して、学校に戻って。
影絵ナースA:きっとフェンシング部に好きな子でもいたんだわ。
影絵ナースB:そう言えばあの人、よく言ってたわ。
瑠果:樹璃、心配ない。
影絵ナースB:愛する人に.....
瑠果:心配ないんだ、樹璃.......。
影絵ナースB:奇跡の力をあげたいって。あの人を解放してあげたいって。

暁生:奇跡というのは、毎日起こっているんだよ。みんなが気づかないだけでね。
影絵少女A:あのーウンチクはいいですから、早く答えを言って下さい。
暁生:答え?

ウテナ:あのさ.......今日は.....こんなに遅くまで遊んじゃって......帰ったら、すぐに、明日のお弁当の用意しなくちゃ。......えっと.....何がいいかな.....鮭が残ってたから、鮭と.......それから、アスパラゆでて......卵焼きは、さあっとやっちゃうとして.....いつもはほら、夕飯の残りでチャッチャッとやっちゃうからいいんだけど......姫宮と二人分あるし.....困ったな。......どうしよう........何も思い浮かばないや.......鮭とアスパラと、あと卵焼きと.....あと、どうしよう?.......どうすればいいかな?..........ねえ、何がいいかな?サンドイッチとか.......アスパラと鮭をマヨネーズであえて.......ゆで卵をつぶして.......分からないな、どうしよう?..........困ったな.....他に、何かなかったかな?.....思い出せないや......あれも、出しっぱなしだし.......大丈夫かな?....いつも、あれに入れて、冷蔵庫にあれ、しとくんだけど.....今日は........あっ!........あの......永遠って......何......ですか...........

(電話の呼び出し音)
暁生:アンシーかい?
アンシー:ええ。
暁生:そこで何をしていた?
アンシー:星を見てました。
暁生:今夜はきれいな星空だ。わざわざプラネタリウムで見ることもないさ。
アンシー:本物の星は、見たくなかったんです。今日のバラ(=ウテナ)は、届きましたか?
暁生:ああ届いたよ。ご苦労だった。

暁生:今夜の星は、美しかったね。
ウテナ:あんなことになるなんて、思わなかった.......今日は、バラを届けに来ただけだったのに......。

(ending)
(preview)
ウテナ:これが、全ての始まりなんだ。あの日、あの出会い。
アンシー:封印された光。
ウテナ:これは、王子様にもらったもの。そして、ボクはボクになったんだ。
アンシー:悲しみの王子。
ウテナ:これを見ると思い出すんだ。ボクは、気高さを忘れちゃいけないんだって。
アンシー:あなたは、誰なんですか?
ウテナ:次回、少女革命ウテナ、「薔薇の刻印」
アンシー:絶対運命、黙示録。


Part 4, 黙示録篇

Episode #34

(opening)

暁生:....この前、彗星を見つけたよ。新しい、まだ誰も知らない星だ。でも、誰にも教えない。名前も付けない。......不思議だよな。新しい星を発見すると、発見した自分のものになったような気がする。でも、星は星だ。誰のものでもない。.....誰のものでもないんだ.....まだ、俺を苦しめるのか?
アンシー:お休みなさい、お兄さま。
ウテナ:ボクは、王子様になるんだ..

タイトル:薔薇の刻印

ウテナ:いやあ、ボクはそういうのは、ちょっと.....
影絵少女A:ウテナさまに入部していただければ、きっとうちの演劇部も新しい世界が広がります。
影絵少女B:広がる広がる。ウテナさま目当ての入部希望者が増えるのは間違いない。
ウテナ:でも.....
影絵少女A:大丈夫、あたしたちの目に狂いはないです。
影絵少女B:ないですないです
ウテナ:でも、ボクは芝居なんてできないよ。演技力とか全然ないしさ。
影絵少女A:そんなの大した問題じゃないです。ウテナさまなら、もうステージの上に立ってるだけで、華がありますから。
影絵少女B:あるある、大女優の誕生あるよ。
影絵少女A:とにかく、明日の放課後、あたしたちの芝居を一度見に来て下さい。
影絵少女B:きっときっと、涙、涙の物語。

ウテナ:........劇団影絵カシラ「薔薇物語」.....
生徒:天上、来週の試合、助っ人よろしくな。
ウテナ:あ、ああ。
若葉:人気者はつらいねえ。で、選んだ?
ウテナ:あ.........うん........。
若葉:気に入ったやつには、印つけといてね。写真部の子に焼き増ししてもらうから。
ウテナ:姫宮の写ってるのが、ないね。
若葉:だってあの子、つきあい悪いじゃん。あんまりイベントとかにも参加しないし。......うちの学園に、演劇部なんてあったっけ?

暁生:星以外のものを撮影するのは、久しぶりだな......。でも、なぜ急に記念写真なんて?
ウテナ:うん.....なんとなく。.......暁生さんも、入って。
暁生:君は、思い出をとても大切にするんだね。
ウテナ:そういうわけでも、ないんだけど.........。
アンシー:.....だめよ、チュチュ!
暁生:その指輪も幼い頃の思い出なんだろう?
ウテナ:.....そうだ、明日の放課後、演劇部のやる芝居に招待されてるんです。三人で一緒に行きませんか?
アンシー:.....ごめんなさい、目、閉じちゃいました。

看板:「劇団影絵少女, "薔薇物語"」
暁生:演劇か....久しぶりだな。
アンシー:楽しみですね。
ウテナ:暁生さん、お芝居、お好きなんですか?
暁生:人生は全て、芝居みたいなもの。ただ、役者と観客の、二種類の人間がいるだけ。
ウテナ:それにしても、何で他にだれも来てないんだろ。ちょっと、早すぎたのかな.....
影絵少女C:号外!号外!号外!号外!.......ついに、ついに、ついに始まってしまった!封印された光、悲しみの王子、いまだ語られざる、それは薔薇物語.....気をつけなされ、気をつけなされ、今も世界のどこかにいるから、どうかあなたも気をつけなされ。
影絵少女A:かしらかしら、
影絵少女B:ご存じかしら?
影絵少女C:それはまだ、世界中の女の子が、お姫様だった頃のお話です。その頃、世界はまだ、完全な闇には包まれていませんでした。なぜなら、薔薇の王子様がいたから......(怪物)ガオガオガオー!.....(少女)助けて、魔物が追ってくるー!
影絵少女B:パカラン、パカラン、パカラン...魔物め、僕が退治してやる、えい!
影絵少女C:(怪物)ぐわあ....
影絵少女B:大丈夫ですか、お姫様
影絵少女C:(少女)ありがとう、薔薇の王子様.....では、お約束のチューを!(怪物)ガオガオガオー!....(少女)助けて、クリスマスイブなのに独りなの!
影絵少女B:パカラン、パカラン、パカラン....大丈夫、僕がフランス料理のレストランを予約しておきました。
影絵少女C:(怪物)ぐわあ....(少女)ありがとう、薔薇の王子様。.......では、お約束のチューを!....そう、世界中の女の子はお姫様でした。私たちは、いつも薔薇の王子様に守られていたから。世界は光に満ち輝いていたの。けれど....
影絵少女A:(老女)......もしもし、薔薇の王子様。
影絵少女B:(王子)どうしました、おばあさん。
影絵少女A:この世に、災いが降りかかろうとしています....この世界の光を盗み、大地を闇で覆い尽くそうとたくらむ者がいます。
影絵少女B:何者ですか、それは?
影絵少女A:魔女です。
影絵少女B:魔女?
影絵少女A:そう。あなたもご存じでしょ、空に浮かぶあの城を。あれが魔女の城。あの城に住む魔女が、今、世界の光をすべて盗もうとしているのです。
影絵少女B:世界の光とは、なんです?
影絵少女A:光をご存じないのですか?それは......永遠のもの、輝くもの、奇跡の力、世界を革命する力。
影絵少女B:ではボクが、その魔女をやっつけて、世界の光を守りましょう。

影絵少女C:こうして、王子は光を守るため、魔女退治のために城へと向かった。しかし.....
影絵少女A:(笑い)
影絵少女B:やや、あなたはさっきのおばあさん。
影絵少女A:バカめ、これはおまえをこの城に閉じこめるための罠なのだ。おまえこそが光!
影絵少女B:なぜこんなことをするんだ、魔女よ、お前は何者だ?
影絵少女A:まだ私の正体に気がつかないのか?
影絵少女B:ややや、お前は僕の、妹!
影絵少女A:そうよお兄さま、私よ。お兄さまは世界中の女の子を守る王子様。世界中の女の子をお姫様にする、薔薇の王子様。でも、私はあなたの妹。私だけは、あなたのお姫様になれないのよ、オホホホホ......
影絵少女B:そんなこと言われても......
影絵少女A:だから私は、魔女になったのさ。お姫様になれない女の子は、魔女になるしかないんだよ!
影絵少女C:そして魔女は王子を幽閉し、世界は完全に闇に閉ざされてしまったのです....この闇の世界を魔女は今も徘徊しています。気高き若者を見つけ、新たな生けにえとすべく....きっと魔女は光となる者が邪魔なのでしょう。闇を支配し続けるために....。気をつけなされ、気をつけなされ、今も世界のどこかにいるから。どうかあなたも、気をつけなされ....

(eyecatch)

西園寺:!冬芽....
冬芽:遅いぞ.....早く相手になってくれないか。
西園寺:珍しいじゃないか。
冬芽:気合いを入れてるのさ。近く「試合」があるもんでね。...ディオスの剣が出現しないまま、彼女が勝ち続けるのは、「あの人」にとって面白くないらしい。
西園寺:どうして、いつもあんな小娘に負けてしまうのかな....
冬芽:ただの小娘じゃないさ。彼女は幼い頃に、永遠を見せられた女の子だからな。
西園寺:彼女が...あの子なのか?

影絵少女A,B:カンパーイ!
影絵少女A:今日の舞台も最高だったわね。
影絵少女B:女優として生きる、この喜び。
影絵少女C:号外!号外!号外!....(王子)やや、おまえは僕の妹!....(妹)ああ....お兄さま......封印された光、悲しみの王子、「薔薇物語」は、絶賛上演中!
影絵少女A:芸はあるけど、あの子、ちょっと変わってるわよね。
影絵少女B:友達いないんじゃない?
影絵少女C:...あんたらに言われたくないわ。
影絵少女A:絶対友達いないわ。
影絵少女B:いないいない。

アンシー:おやすみなさい。
ウテナ:もう寝ちゃうの?.......今日どうでした?
暁生:学生らしい、芝居でしたね。
ウテナ:学生らしい??
暁生:もう一杯、いいでしょ?
ウテナ:あ、ええ.....どうも。
暁生:苦労かけるね。
ウテナ:え?
暁生:アンシーのことさ。
ウテナ:?
暁生:わかってる。あの子とずっと仲良くしてるのは、疲れるだろ。
ウテナ:そんなこと、ないですよ.....ボクの方こそ、姫宮がいてくれて、ずいぶん助かってるから。
暁生:そう?
ウテナ:姫宮はボクにとって、大切な友達だから......
暁生:君にとっての友達って、何?
ウテナ:それは....だから、大切な人のことでしょ........
暁生:じゃ、僕たちも友達同士かな?.......この指輪、いつもしてますね。
ウテナ:だって........これは、王子様にもらったものだから.........。
暁生:そういえばあの夜も外さなかった...
ウテナ:...もうダメ!
暁生:王子様への義理立て?
ウテナ:ボクは、たぶん、王子様に会いたいんだ.....
暁生:たぶん?
ウテナ:ただ、これを見ていると思い出すんです......ボクは、気高さを忘れちゃいけないんだって......ホントは、その時のこと、よく覚えてないんだ....
暁生:その時?......その時って.....?
ウテナ:よく、覚えていないんだ....

ディオス:こんなところで、何をしている?
ウテナ(kid)....なにも。.....ねえ、あなたが死神?
ディオス:違う。俺は死の使いではない。
ウテナ:ふうん......あなた、きれいね。.............あれは、誰?
ディオス:魔女。
ウテナ:魔女?
ディオス:薔薇の、花嫁。
ウテナ:バラノハナヨメ?
ディオス:死ねる者はいい。彼女は死ねない。.....ただ苦しみ続けるんだ。
ウテナ:どうして?
ディオス:世界中の女の子から、王子様を奪った罰さ。....いまだ語られざる、それは薔薇の物語.....

ディオス:アンシー........
アンシー:私はここにいるわ。
某:王子様、王子様、いるんでしょ?早く戦ってくれ!
某:うちの娘を救えるのはあんただけだ、うちの娘たちも、みんな待ってるんだ!早く出てきて戦ってくれ!王子様よ!戦ってくれよ!
アンシー:.....だめよ、動かないで。
ディオス:でも....助けを、求めてる.......僕は、いかなきゃ....
アンシー:もうやめて......もうこれ以上、戦わないで.......あなたが死んじゃう.......。
某:王子様!王子様!....おまえは?
アンシー:ディオスは、もういないわ。彼は私だけのものだから。二度とあなたがたの手の届かない場所に、封印しました。
某:魔女め!!
アンシー:ああ........!

ディオス:愛する王子様を守るために、自分が犠牲になったんだ。.....かわいそうに、本当に王子様を愛していたのは、世界中で彼女だけなのに.......しかも、君の愛した王子は、もはや君の知る王子ではなく、結局「世界の果て」になってしまった.....
ウテナ:こんな....あああ!
そして、君の苦しみだけが残った....悲しい物語だ。
ウテナ:ねえ、助けてあげて......かわいそうよ。助けてあげてよ!助けてあげて......
ディオス:彼女は、もう救われることはないんだ。彼女を救うことができるのは、彼女の信じることができる王子様だけなんだ.......
ウテナ:あなたは、王子様でしょ?
ディオス:僕では彼女の王子様にはなれない。
ウテナ:どうして?
ディオス:君はやさしい子だね。ありがとう、泣いてくれて。でも、もはや俺にもどうしようもない......
ウテナ:........じゃあ、私が王子様になる...私があの人の王子様になって、助ける!!
ディオス:もし君が大きくなっても、本当にその気高さを失わなければ、彼女は永遠の苦しみから救われるかも知れないね......でもきっと、君は今夜のことを、すべて忘れてしまう。仮に覚えていたとしても、君は女の子だ。やがては女性になってしまう.....
ウテナ:なる.......私はきっと、王子様になる!絶対!!
ディオス:では、その指輪が、いつか君をここに導くだろう。

ウテナ:なんだか、なつかしい風景の夢を見たような気がするんだけど......思い出せないな.......君は、眠れないの?
アンシー:あなたの寝顔を見てたの。.....あなたは、誰?

(ending)
(preview)
ウテナ:冬芽のやつが、ボクをむりやり乗馬に連れ出してさ...
アンシー:お馬さんって、かわいいですよね。
ウテナ:でも相乗りしてると、つい調子に乗って落馬しそうになったんだよ。
アンシー:まあ怖い。
ウテナ:間一髪で、白馬に乗った暁生さんに助けられたんだけど...でも、冬芽のやつ、いったいどういうつもりで今更ボクに近づくんだ?次回、少女革命ウテナ、「冬のころ、芽ばえた愛」
アンシー:絶対運命、黙示録。


Episode #35

(opening)
ナレーション:あれは、昔々のお話です。あるところに、お父様とお母様を亡くし、深い悲しみにくれる、幼いお姫様がいました。そんなお姫様の前に、白馬に乗った、旅の王子様が現れます。
ウテナ:あれは、誰?
ディオス:魔女。
ウテナ:魔女?
ディオス:薔薇の、花嫁。
ウテナ:バラノハナヨメ?
ディオス:愛する王子様を守るために、自分が犠牲になったんだ。.....かわいそうに、本当に王子様を愛していたのは、世界中で彼女だけなのに.......しかも、君の愛した王子は、もはや君の知る王子ではなく、結局「世界の果て」になってしまった.....
ウテナ:助けてあげてよ!助けてあげて......
ディオス:君はやさしい子だね。ありがとう、泣いてくれて。でも、彼女を救うことができるのは、彼女の信じる王子様だけなんだ.......僕はもう、彼女の王子様にはなれない。
ウテナ:........じゃあ、私が王子様になる!
ディオス:もし君が大きくなっても、本当にその気高さを失わなければ、彼女は永遠の苦しみから救われるかも知れないね......でもきっと、君は今夜のことを、すべて忘れてしまう。仮に覚えていたとしても、君は女の子だ。やがては女性になってしまう.....
ウテナ:なる.......私はきっと、王子様になる!絶対!!
ディオス:その指輪が、いつか君をここに導くだろう。

タイトル:冬のころ、芽ばえた愛

暁生:いよいよ次の決闘で、世界を革命する者が決まる。
冬芽:ええ。そういうことですね。
暁生:それは天上ウテナか、それとも君かな?

ウテナ:なる、私はきっと、王子様になるわ!
アンシー:どうかなさいましたか?
ウテナ:姫宮、ボクは.....
アンシー:はい?
ウテナ:いや、何でもないんだ。
アンシー:お顔の色が、優れないようですが....
ウテナ:こめん、ちょっと変なんだ。どうしても思い出せないことがあってね。まるで、明け方の夢のように....
アンシー:まあ、夢の話ですか?
ウテナ:夢?
アンシー:違うんですか?
ウテナ:そうかもね。...なんだかよく分からないけど、誰かと、大切なことを約束したような気がするんだ。ねえ姫宮、顔を、見せて......もしかしたら、ボクは、君と....
暁生:やっぱりここだったね。
ウテナ:暁生さん。何かご用ですか?
暁生:いや、君が近頃、元気がないって聞いたものだから...気晴らしに散歩でもお誘いしようかと思ってね。
ウテナ:ええっ...ボクを?
暁生:迷惑だったかな?
ウテナ:いえ....そんなことないです
暁生:そう...ああ、ウテナさんをお借りしてもいいかい、アンシー?
アンシー:はい、お兄さま。
暁生:ではウテナさん、参りましょうか。
ウテナ:いいかい、姫宮?
アンシー:ええ。
ウテナ:じゃあ....ちょっとだけ。
アンシー:いってらっしゃい。....フフ。

暁生:ありがとうウテナさん、いつも妹と仲良くしてくれて。
ウテナ:そんなあ。だってボクたちは友達ですから。
暁生:友達、か....その想いがもしも永遠ならば...
ウテナ:え?
暁生:君がいつまでもアンシーと仲良しでいてくれるといいとおもってね。
ウテナ:もちろんですよ。
暁生:ヒナゲシは南ヨーロッパの原産で、虞美人草とも言うんだ。昔項羽に愛された虞美人が葬られた後に生えてきた、という伝説があるんでねえ。そのせいか、花言葉は....どうかしたかい?
ウテナ:あ、いえ.....暁生さんって、星だけかと思ったら、植物にも詳しいんですね。
暁生:いや...詳しいってほどじゃないさ。
ウテナ:ヒナゲシの花言葉って、何ですか?
暁生:ヒナゲシの花言葉はねえ....(フェイドアウト)

冬芽:どういうつもりなんですか?
暁生:何がだい?
冬芽:天上ウテナと、いい感じだったんじゃないですか?
暁生:ほう。気になるのかい、彼女のことが?
冬芽:そりゃ...気になりますよ。
暁生:どんな風に気になるんだい?
冬芽:大事な決闘相手ですからね...少し揺さぶってやるつもりでした。
暁生:そうか...それならちょうどいい。一つ頼まれてくれないか?
冬芽:何です?
暁生:彼女にプレゼントを届けておいて欲しいんだ....ものは何でもいい。君が適当に選んでくれ。
冬芽:いいんですか?自分で選ばなくて。
暁生:かまわないさ....プレイボーイでならした君だ。プレゼントの選択はお手の物だろ。
冬芽:以外と、彼女を知らないんですね...そんなんじゃ、彼女はなびきませんよ。実は俺も以前、ドレスをプレゼントしたんですが、贈り物では、心を動かされる子じゃなかった。
暁生:(笑い)忘れたのかい?彼女は名前も知らない男から贈られた古びた指輪を、宝物にしている女の子だ。
冬芽:そうでしたね。あれが彼女を縛ってるんだった...
暁生:ま、いいさ...好きにしたまえ。君のやり方を見せてもらおう。だが、プレゼントの方も忘れずに頼むよ....僕からだと言ってね。
冬芽:ゲーム、ですね。
暁生:そういうことだ。フフ。

冬芽:天上君
ウテナ:おお。...生徒会長。
冬芽:すぐにそんな顔をしないで欲しいな。嫌われたものだね。
若葉:当たり前でしょう?
ウテナ:なんかボクに用ですか?
冬芽:理事長から頼まれてね。
ウテナ:暁生さんに?...
若葉:うわー素敵!
ウテナ:暁生さんが、これをボクに?
冬芽:ああ。
若葉:やったねウテナ!
ウテナ:...だけどもらっていいのかな...こんなの。
若葉:え?
ウテナ:それに、ボクには似合わないよ....
若葉:何言ってんのよー!そんなことないって。ちょっと、つけてみたら?
ウテナ:だめだよ、よせよ....
若葉:ううん、だめじゃないってば。ほら!かっこいいよ。
ウテナ:いやあ、ボクが言いたいのはそんなことじゃなくってね....
若葉:...照れてんの?羨ましすぎるぞコノコノコノ!
ウテナ:いたいよ!やめろよ....
冬芽:天上君....少し、俺につきあってくれないか?君に、相談したいことがあるんだ。
ウテナ:あの...ボクに?相手を、間違えてない?
冬芽:すまない...君に、聞いて欲しいことがあるんだ。頼むよ、天上君。
若葉:だめよ、気を許しちゃダメ。またウテナにひどいことするかもしれないわ。
ウテナ:だけど...
若葉:んもう!人がいいんだから!いい、二人っきりで暗い所とか言っちゃダメよ。
ウテナ:何だよ、それ....

ウテナ:相談があるんじゃなかったのか?
冬芽:せかすなよ。君と話をしたいって言うのは本当さ。
ウテナ:おい!無茶するなよ!
冬芽:ハハハハ...天上君、スポーツ万能の君も、乗馬の経験はなかったようだね。
ウテナ:当たり前だろ!乗馬なんて、やってるやつの方が珍しいよ!
冬芽:そうかい...だが、君が執着する王子様ってやつには、馬はつきものなんじゃないかな?
ウテナ何が言いたいんだ?
さあ....
ウテナ:バカ!よせったら!..........あっ!
暁生:今のはちょっと、危なかったね。
ウテナ:...暁生さん....

(eyecatch)

暁生:それにしてもよかった....僕はいつも、このコースを走ることにしてるんですよ。

某女生徒:あの....あの、これ、読んでもらえませんか?私...桐生先輩にずっとあこがれてて...あの....それで...私、何て言うか....
冬芽:ありがとう、君のひたむきさ、素敵だな。
某女生徒:あ....
冬芽:プレイボーイの生徒会長、桐生冬芽か....プレイボーイとは古いな。

西園寺:貴様か...
冬芽:稽古を頼む。
西園寺:何かあったな?
冬芽:何も。
西園寺:嘘をつけ。貴様の剣からは、あの自信が消えている。
冬芽:へえ、かっこいいじゃないか、西園寺。そんなことまで、君に分かるのかい?
西園寺:分かるさ。あれほど傲慢で尊大で、野心に満ちた自信だったからな。
冬芽:おいおい、ひどい言われようじゃないか。
西園寺:それが貴様という男だ。フェミニストを自称しても、本気で人を愛したことなどなく、人は利用するものとしか思っていない。それが貴様の強さだった。だが、今のその剣で、彼女に勝てるのか?
冬芽:しゃべりすぎだろ。隙ができるぜ。

影絵少女A:カシラカシラ、ご存じかしら、お嬢さん。
影絵少女B:あら、何かしら?
影絵少女A:おいらはクールなマドロス、ナイスガイ、天性のカサノバ、稀代のプレイボーイの釣り師だ。
影絵少女B:まあ、素敵!...しびれる!煮て、焼いて、さばいて、私を刺身にして...
影絵少女A:ふふん、魚はみんなこう。おいらに利用されるために魚はいる。自慢じゃないが、釣れなかった魚は一匹もいない。
影絵少女B:あらそうですかあ?
影絵少女A:この世の魚はすべて、おいらの思うがままさ。お、また引いてるぜ....う、何だ?この手応え?...思うとおりにならない....未知の魚なのか?...こんなのは初めてだ...お前はいったい?
影絵少女B:しーっ、恋ですよ。
影絵少女A:恋? 恋(鯉)が海にいるなんて....!?
影絵少女:カシラカシラ、ご存じかしら?

チュチュ:チュー
(暁生:大丈夫だよ.....ほら。
ウテナ:ええ。
暁生:体は大きいけど、大人しいんだよ。
ウテナ:出来過ぎてるよな....白馬に乗った王子様なんて...
暁生:臆病な動物だからねえ。うまくコミュニケーションして、信頼関係を深めていくんだ。
ウテナ:人と同じですね。
暁生:こいつも君のことが好きになった、って言ってるよ。
ウテナ:え.....?)
アンシー:ウテナさま、ウテナさま、風邪ひきますよ。...ウテナさま.......

暁生:ゲームは僕の勝ちだったね。
冬芽:いや、引き分けです。やはり、彼女はプレゼントを喜びませんでしたよ。思った通りだった。
暁生:とまどってるのさ、彼女は。あるいは君の選んだものがよくなかったか....
冬芽:プレゼントの選択にミスはありませんよ。それにとてもよく似合っていた。
暁生:それはぜひ見てみたいなあ。彼女は魅力的な王女さまになるはずだからねえ。王子ではなく、王女にね。君もそう思うだろ?
冬芽:さあ、どうでしょうね。
暁生:楽しみだよ、次の決闘が。世界を革命する王女か...でも僕はまた祈ってるよ、君の勝利をね...

少女(ウテナ):生きてるなんて、何か気持ち悪いよね。
男の子:そう?
少女:うん。気持ち悪いよ。どうせ死んじゃうのに、どうしてみんな生きてるんだろう。何で今日までそのことに気づかなかったんだろう。永遠のものなんて、あるわけないのにね。
男の子:永遠のもの?
少女:だから、もういいの。私は、もうこの柩から出ないの。

西園寺:あの子が天上ウテナだったとは...柩の中にいた、あの女の子が...
冬芽:今も彼女は一人きりで柩の中にいる。彼女を救うためにも、俺は彼女に勝つ。
西園寺:もしや貴様、本気で天上ウテナのこと....
冬芽:さあ、どうだろうか....俺にもよく分からない。
西園寺:俺たちはこれまで何通も手紙を受け取ってきた。「世界の果て」からの手紙をな。そして指示通りに決闘を繰り返してきた。
冬芽:ああ。だが俺にとっては、これが最後の手紙となるだろう。
西園寺:ふん。もう茶番の必要はない。手紙などなくてもいい。貴様はあいつの手のものなのだから、やつの命令を直接聞けばいいだけだ。貴様は本当にそれでいいのか?貴様はどうしてそこまで理事長に仕えるのだ?
冬芽:あの人はかつて、あの子を救った。
西園寺:そうだったな。
冬芽:俺もあの人のようになりたいんだ。あの人のような、力が欲しい。
西園寺:それはどうかな。
冬芽:何?
西園寺:確かに理事長はあの時、あの子を救ったかも知れない。だがあの子は、今も柩の中にいる。いや、彼女だけじゃない。俺たちも柩の中にいるんだ。

ウテナ:あははは、こら、ダメだよチュチュ、これはキャラメルじゃないんだってば....分かった分かった、じゃ中身を見せるからさ。
アンシー:(ハミング).......
ウテナ:ほら、どうだいチュチュ、これはこうやって耳に付けるものなんだよ。...ねえ?
アンシー:どうなさいました?
ウテナ:何でもないよ.....何か今、とても大切なことを思い出しかけたような.....何だ?

(ending)
(preview)
ウテナ:ボクがこの鳳学園に来たのは、王子様に会うためだった。
アンシー:その王子様には会えそうですか?
ウテナ:王子様のような人、王子様かも知れない人、王子様であってほしい人、でも王子様っていうのはさ....桐生冬芽が、また決闘を挑んできた。ボクは闘わなきゃ。
アンシー:決闘より恐ろしいものを、あなたはご存じですか?
ウテナ:次回、少女革命ウテナ、「そして夜の扉が開く」
アンシー:絶対運命、黙示録。


Episode #36

(opening)
少女:お願い、この柩を、開けないで.....
西園寺:あの子が天上ウテナだったとは...柩の中にいた、あの女の子が...
冬芽:今も彼女は一人きりで柩の中にいる。彼女を救うためにも、俺は彼女に勝つ。
西園寺:確かに理事長はあの時、あの子を救ったかも知れない。だがあの子は、今も柩の中にいる。いや、彼女だけじゃない。俺たちも柩の中にいるんだ。

タイトル:「そして夜の扉が開く」

暁生:どうです?馴れればなかなか気持ちのよいものでしょう?
ウテナ:...はい、どきどきしました、とっても。
暁生:そう、よかった。
ウテナ:ずいぶん久しぶりなんです。こんな風に自然の中で、ゆっくりするなんて。まるで、夢の中にいるみたいで....とても、楽しかった。
暁生:きれいだ、その姿は....さながら森の中の王女さまといったところかな。
ウテナ:あ....暁生さんがそういうこと言うと、嘘っぽくないね....
暁生:ほんとだよ。

冬芽:お帰りなさい。
暁生:ああ。

樹璃:なぜかな?私には今、彼女が女の子に見える。
幹:天上先輩は女性に決まってるじゃないですか。
樹璃:分かっている。しかし....
幹:実は、僕にもそう見えます。
樹璃:そうか。
幹:でも、素敵なことじゃないですか?
樹璃:本当にそう思うか?....何かが変わっていく。いや、何かじゃない。何もかもが、学園の全てが変わっていくようだ。
幹:学園の全てが...?それじゃまるで....
樹璃:革命、かい?
幹:ええ。
樹璃:そう、革命の日は、もうそこまで迫っているんだ。でも何だろう、このささくれてイヤな空気は。

冬芽:どうだい、心地いい振動だろ?
西園寺:あまりぞっとしないな。
冬芽:そうかい?
西園寺:悪い趣味だ。感心しない。
冬芽:俺の運転する車じゃ、イヤかい?
西園寺:イヤなのは支配されることだ。誰かに自分の心の底深く。
冬芽:君は昔から、敵意が隠せない男だったなあ。
かまうもんか。どうするつもりだ?貴様はこのまま、天上ウテナと闘うのか?世界の果ての意のままに。

暁生:きれいだったよ...。
冬芽:彼女、ですか?
暁生:そうさ。無邪気で可憐で、この上ない王女さまさ。僕の大事なね。はははは...

冬芽:...分かっている。
西園寺:俺たちは、柩の中からはい上がるのだ。「世界の果て」によって用意された、柩の中から!
冬芽:答えは出す。今夜。
西園寺:今夜?
冬芽:...西園寺、立っていると危ないぞ。
西園寺:...ああ。

ウテナ:もう、しょうがないな....風邪ひくよ。......姫宮また、暁生さんの所かな....ねえチュチュ、姫宮がこうしてお兄さんに会いに行ってる間、キミはいつも独りでお留守番していたのかい?

(ドアベルが鳴る)
ウテナ:あ...生徒会長?
冬芽:大事な用がある。つきあってくれないか?
ウテナ:冗談だろう?何でボクがこんな時間に。
冬芽:「世界の果て」について話がしたいといったら....
ウテナ:....よし。

ウテナ:夜の決闘広場なんて、初めてだなあ。
冬芽:怖いかい?
ウテナ:そんなことないよ...ただ、ちょっといつもと、感じが違ってるから。
冬芽:どんな感じ?ロマンチック?
ウテナ:...はは、まさか。
冬芽:このまま二人で、天国まで昇って行けたら幸せだなあ。
お、おい....あんまり近づくなよ。
冬芽:これは失礼。

ウテナ:へえ。なんかワクワクするなあ。子供の頃、夜の公園に行ったみたいでさ。ここで、あんたとも決闘したんだよな。
冬芽:そうだな。
ウテナ:ずいぶん星が多いな。あ....何だ?
冬芽:...きれいだ。君のような、美しい人と巡り会えたなんて、俺は幸せ者だ。
ウテナ:またはじまった。そんなことはいいから、早く用件を話せよ。
冬芽:君は、理事長を愛してるのか?
ウテナ:!?そんなこと...そんなことあるもんか....暁生さんには、婚約者がいるんだぞ。
冬芽:そうか....
ウテナ:何でそんなことを聞くんだ?世界の果てについての話じゃなかったのか?
冬芽:「世界の果て」か....今の俺には及ばぬものだ。君もいずれは、それが何かを知ることになる。その前に、話しておきたいんだ。
ウテナ:何を?
冬芽:俺は、君の王子様にはなれないだろうか?俺の王女は君しかいない。
ウテナ:またそんな...
冬芽:本当だよ。俺は、君が好きだ。心から、君を愛しいと思っている。君の気高さ、美しさに引かれる者は多いだろう。もし俺が君にふさわしくないとしても、どうかこの一瞬だけは、俺と一緒にいてほしい。それだけでいいんだ。....この夜、こうして君と二人でいた時の思い出が、俺の中に刻み込めれば、それでいい。ただそれだけを俺に許してくれないか。
ウテナ:わかった....
冬芽:ありがとう。

(eyecatch)

(冬芽:俺は君の、王子様になれないだろうか?)
ウテナ:そういえば、初めて会った頃思ったっけな...生徒会長が、王子様かも知れないなんて。

西園寺:どうだ、答えとやらは出たか?
冬芽:ああ。ゆうべはっきりとな。
西園寺:ほう。では聞かせてもらおうか。
冬芽:やはり彼女が、俺にとって大切な人だということがはっきりした。
西園寺:それでどうする?
冬芽:俺はもう一度闘う!そして、勝たねばならない。彼女を救うには、やはりそれしかない。彼女は次の決闘に勝てば....
西園寺:世界を革命する力を手に入れる。だがそうなると彼女は...
冬芽:「世界の果て」の手におちるだろう。
西園寺:さあ、行くか。

アンシー:ウテナさま、
ウテナ:ん?
アンシー:ゆうべはどちらへ?
ウテナ:う、うん....ちょっとね。

冬芽:やあ。われわれも、ご一緒させてもらっていいかな?
ウテナ:....何だって?
冬芽:もう一度言おう。俺と決闘して欲しい。
ウテナ:何を考えてるんだ、あんたは?
冬芽:君は、薔薇の花嫁を守り抜くのではなかったのか?
ウテナ:ああ。姫宮には誰にも手出しはさせない。
冬芽:約束しよう。この決闘で君が勝てば、生徒会の者はもう決して薔薇の花嫁を狙いはしない。しかし、もし俺が勝ったら、君は俺の女になれ!
ウテナ:見損なったよ!あんたが、そんな言い方するなんて。
冬芽:依存はないな。
ウテナ:ああ。

影絵少女A:パカラン、パカラン....やあやあやあ、遠からん者は音に聞け、近くば寄って目にも見よ。我こそは白馬の王子なり。
影絵少女B:わあ、白馬の王子様?この長いなたてがみ、立派な前足、何て素敵...!
影絵少女A:こらこら、それは白馬の王子様じゃなくて、王子様の白馬。白馬の王子様は俺の方だ。
影絵少女B:でも、だったら「人間の王子様」じゃないの?
影絵少女A:う....人間だけど、白馬の王子様と呼ばれておる。
影絵少女B:とにかくあなたも王子様なのね!素敵素敵!えー素敵。
影絵少女A:おまえ、王子様なら馬でもいいのか?
影絵少女B:馬(ま)ーね。

冬芽:この闘いで、世界を革命する者が決まる。
ウテナ:そんなことはどうでもいい!それより、ボクが勝てば姫宮に手を出さないっていう約束、確かだろうな?
冬芽:ああ。

ウテナ:世界を革命する力を!

ウテナ:ゆうべ、ここであなたと会ったばかりなのに!
冬芽:闘いにおいて、私情は禁物だよ。天上君!

冬芽:天上!俺がお前を守ってやる。
ウテナ:あなたとここで決闘するのは、何回目だっけ?
冬芽:三度目だ。
ウテナ:...不思議だな。もう何度も闘っている気がする。

アンシー:ウテナさま....ウテナさま!
ウテナ:姫宮...姫宮!
アンシー:ウテナさまあー!
ウテナ:ねえ、姫宮、信じてよ、君は必ず、ボクが守ってみせるから。
アンシー:本当に?
ウテナ:ボクが信じられない?

冬芽:うおおおおおおお!
ウテナ:いやあああああああ!

ウテナ:行こう。暁生さんが待ってる。
冬芽:待ちたまえ。これで君は、世界を革命する者となった。だが、「世界の果て」にも、薔薇の花嫁にも、心を許してはならない。それが、俺に言える最後の言葉だ。
ウテナ:まだそんなことを...さよなら、先輩。
西園寺:冬芽....
冬芽:うん。
西園寺:終わったのかな、僕たち。
冬芽:いや、終わるのは、最期まで見届けてからだ。

アンシー:今日はお疲れになったでしょう。どうかゆっくり休んで下さい。
ウテナ:ああ。よかったね姫宮。もう、君を狙うやつは誰もいないよ。
アンシー:ええ。
ウテナ:...暁生さん...
アンシー:.....
ウテナ:....あ、いけない、ちゃんとベッドに入らなきゃ。...あ、姫宮?

ウテナ:いたいた、....!?

(ending)
(preview)
ウテナ:そして、そこで君と再会できるだろう。君の王子より。
アンシー:ウテナさま、「世界の果て」から手紙が届いたんですね。
ウテナ:ねえ姫宮、やっぱりボクは、どうしても君を許すことができないよ。
アンシー:ウテナさま、ご存じでしたか?私がずっと、あなたを軽蔑してたってことを。
ウテナ:次回、少女革命ウテナ、「世界を革命する者」
アンシー:絶対運命、黙示録。


Episode 37

(opening)

ウテナ:「私はきっと、王子様になるわ!」
(ディオス:もし君が、大きくなっても、本当にその気高さを失わなければ、その指輪が...)
ウテナ:その指輪が、再び僕のところへ導くだろう...

タイトル:「世界を革命する者」

暁生:よく眠れなかったの?
ウテナ:え?
暁生:そんな顔をしているよ。何か悩み事でも?
ウテナ:ちょっとね....でもあんまり、人には相談できるようなことじゃないんです。人に言えない事って、誰にでもあるでしょう?
暁生:そう。...そう言えば今日はしてないね、指輪。
ウテナ:もし...時間がとれるなら....
暁生:うん?
ウテナ:今日の放課後でも、時間がとれるなら....ボクとつき合ってもらえませんか?
アンシー:(to チュチュ)ごめんなさい、これはあなたので、あたしのじゃなかったわね。
暁生:それは、デートのお誘いですよね?
ウテナ:もちろん。
暁生:じゃあ五時半に、家の前で待ってます。

ウテナ:いやー、暁生さんみたいなかっこいい人とデートできるなんて、女の子冥利につきるなあ。
アンシー:ヒューヒュー。

冬芽:届いたのか?
西園寺:ああ。さっき世界の果てから手紙が来た。ふん。別れの手紙だな。
冬芽:今頃、彼女のもとにも手紙が届いているだろう。俺たちとは違う手紙が。....だが彼女は、革命には興味がないだろう。
西園寺:では、ディオスの力は封印されたまま、革命は起こらないというのか?
冬芽:さあな。「世界の果て」の本当の目的は、俺にも分からない。
西園寺:ところで、天上ウテナは知っているのかな?世界の果ての正体を。
冬芽:...お前と自転車に乗るのは、久しぶりだなあ。
西園寺:...ああ、どれくらいぶりだろう。

アンシー:ヒューヒュー。

ウテナ:楽しかった。今日はどうもありがとう。
暁生:やっぱり指輪はしてないんだね。なぜ?
ウテナ:あの指輪、ボクには似合わないかなって思って。
暁生:その服は、とてもよく似合ってるよ。よかったら、その服に似合う指輪を、僕が贈ろうか?
ウテナ:...姫宮、もう寝ちゃったかな?
暁生:今夜の君は...
ウテナ:何です?
暁生:今夜の君は、何だかとっても女の子だな。
ウテナ:だって、ボクは女の子だもん。
暁生:うん。
ウテナ:北斗七星....そう言えば、今日は星の話しませんね。
暁生:本当のことを言おうか。実は星なんか、全然興味ないんだ。

アンシー:お帰りなさい、ウテナさま。
ウテナ:何だ、起きてたのか。....怒ってる?
アンシー:何をですか?
ウテナ:そう言うと思った。ちょっと意地悪だったかな....今夜のボクはとっても女の子らしいんだって。暁生さんが言ってた。女の子らしいって、どういうことなのかな....
アンシー:女の子は、女の子は結局みんな、薔薇の花嫁みたいなものですから。....「世界の果て」から、手紙は届きましたか?
ウテナ:うん。
アンシー:あの城に行けば、王子様に会えますよ。
ウテナ:君と出会ってから、ずいぶんいろんなことがあったね。ほんと、いろいろあった。

冬芽:でも、これでさよならですか?
西園寺:わざわざ手紙を送るところが、最後まであんたらしいよ。
冬芽:それで、彼女をどうするつもりなんです?
暁生:どうするって、何を?
冬芽:天上ウテナが、薔薇の門をくぐるとは思えない。
西園寺:彼女にはその理由もない。
暁生:そうかい?
冬芽:彼女は、世界を革命する者になりたかったんじゃない。だが、今の彼女の心はあなたにある。王子様より、現実の男であるあなたを選んだ。
暁生:選ぶのは彼女だ。そしてまだ、選んではいない。

アンシー:お兄さまも、ウテナさまのことが好きみたいですね。...ウテナさま、私たち、今の関係が、ずっと続くといいですよね。

ウテナ:...先輩、ミッキー....

(eyecatch)

ウテナ:珍しいですね、二人そろって。また決闘の申し込みですか?
幹:「世界の果て」から、手紙が来たんです。
樹璃:君が世界を革命する者に決まった、って。
ウテナ:それで?
幹:それで。あなたがどうするのか知りたいと思って。
ウテナ:「世界を革命する力」か...なんかすごいな。でもボクの生き方は所詮、王子様ごっこなんですよね。
樹璃:結局私たちは、誰も君に勝てなかった。
幹:おっと....
樹璃:考えてみれば、生徒会執行部のメンバーなのに、自分のことばかり考えていた。そして情けないけど、やっぱり今はまだ、自分のことで精一杯さ。
ウテナ:枝織さんの...ことですか?
樹璃:どうしてかな...どうして自分の気持ちは自由にならないのかな....君はアンシーをどうするんだ?
ウテナ:え?
樹璃:好きなんだろ?
ウテナ:それは...先輩の好きとは違いますよ。ボクのは純粋に...いや、先輩の想いも純粋だろうけど....でもボクはもう.....姫宮のことを.....姫宮のこと...七実!?
七実:バカじゃないの?まだだまされてることに気がつかないの?
樹璃:久しぶりじゃないか、その制服。
幹:それは、生徒会執行部を辞めるという意味ですか?
七実:あったり前でしょう?もうあんなことやってらんないわよ。ばかばかしい。あんたも理事長や姫宮アンシーと関わるのはいい加減にしておくことね。
ウテナ:ご忠告どうも。
七実:わたくしは真面目に言ってるのよ!あんたはお節介すぎるのよ。バカなのよ!
ウテナ:君だってお節介でボクに忠告してくれてるんだろう?
七実:ふん!あんたと話してると、調子狂うのよ。
ウテナ:ボクは思いこみの激しいB型だからね
七実:あたしもよ。

幹:ねえ、天上先輩。
ウテナ:何?
幹:僕、何か最近、天上先輩のことがすごく気になるんです。
樹璃:おっと、告白か!?
ウテナ:ミッキーは、姫宮のことが好きなんだろ?
幹:乗り換えちゃだめですか?
ウテナ:考えとくよ。
樹璃:私にも君の写真をくれないか?
ウテナ:どうするんです?
樹璃:新しく買ったペンダントに、入れようかと思って。
幹:参ったなあ...強力なライバルの出現だ。
together:(笑い)
七実:バッカじゃないの....。

影絵少女:カシラカシラ、ご存じかしら〜!
影絵少女A:あなたとはこれでお別れかも。私決めたの、やっぱ私の進む道は女優しかないって!....3、2、1、チュー!
影絵少女B:てな具合に映画に出演して、ドッカーンとブレイクしてみたり、派手なスキャンダルで、雑誌の話題になったり....
影絵少女A:やっちゃったんですね?
影絵少女B:いえ、私はやってません。舐めただけです。....舐めた?つまり、そういうなめた人生をあなたは歩みたいのね。
影絵少女A:その通り....チュー!
影絵少女B:机の上に、書類があったわ...明日、オーディション受けに行くんでしょ。
影絵少女A:でも、こんな学生演劇部の部員が、いきなり映画のオーディションなんて、笑っちゃうわよね。
影絵少女B:あたしは笑わないわ。
影絵少女A:ほんと?私たちって、友達じゃん、....チュー!
影絵少女C:号外!号外!号外!やあ君、そろそろ行こうか。
影絵少女A:はい、審査員のおじさま。
影絵少女B:審査員のおじさま?
影絵少女A:明日のオーディションの審査員よ....さあおじさま、お食事につれてってえ。
影絵少女C:よしよし、君の言うことなら、パパはなんでも、聞いちゃうぞ。
影絵少女B:パパ?
影絵少女A:ちなみに、オーディションで合格するのは一人だけって、ご存じかしら?
影絵少女:カシラカシラ、ご存じかしら〜!

アンシー:あううううう...
暁生:苦しいか、アンシー。だがお前を苦しめているのは俺じゃない。世界だ。

ウテナ:姫宮は、将来、どうするつもりなの?
アンシー:将来?
ウテナ:いつかここを卒業した後さ。何かやりたいこととかは?
アンシー:私は....薔薇を育てることくらいしか....
ウテナ:じゃ、花屋さんにでもなるか。
アンシー:それもいいですね。.....ねえ、ウテナさま。
ウテナ:ん?
アンシー:カンタレラって、ご存じですか?
ウテナ:カンタレラ?何それ?
アンシー:昔、イタリアのボルジア家が使っていた、猛毒の名前です。
ウテナ:ふーん。
アンシー:....いかがですか、そのクッキー?.....それ、私が焼いたんです。
ウテナ:...偶然だね、その紅茶も毒入りなんだ。
アンシー:そうですか....とてもおいしいですよ、この紅茶。
ウテナ:このクッキーもね。
アンシー:ウテナさま...ウテナさまの、十年後は?
ウテナ:ボクもわかんないな...でも....
アンシー:でも?
ウテナ:十年後に.....ボクたちは、またこうして一緒にお茶飲んだりできればいいよね。
アンシー:ええ、ほんとにそう思います。
ウテナ:それって、なんかいいよね。....きっと十年後にも、一緒に笑ってお茶を飲もう。約束だ。
アンシー:ええ.....きっと。

ウテナ:逃げるのか!
アンシー:もうダメです!ごめんなさい!....もういいですから!!
ウテナ:逃げるのか! 十年後に、笑って、お茶を飲むんじゃなかったのか?
アンシー:ごめんなさい...ウテナさま.....ごめんなさい!

冬芽:行くとは思わなかったよ。....そんなに、王子様に会いたいのか?
ウテナ:それだけじゃないさ。
西園寺:では、何のためだ?
冬芽:姫宮か?....本当に友達がいると思ってるやつは、バカだよ。
ウテナ:知らなかったのか?ボクは、バカなんだよ。

アンシー:時は満ちた。薔薇の門をくぐるとき、城への道が開け、「世界を革命する力」が手に入る。そしてそこで、君と再会できるだろう。君の王子より。....ウテナさま、まだ、引き返せますよ。
ウテナ:行こう。

(ending)
(preview)
ウテナ:いよいよ最後の決闘、革命という名の決闘が始まるんだね。
アンシー:ごめんなさい、ウテナさま。
ウテナ:君が誤ることはないよ。これは、ボクが自分で選んだことなんだから。
アンシー:でも、ウテナさまはまだご存じないんです。この世の中のホントのことを。この世界の本当の恐ろしさを。
ウテナ:次回、少女革命ウテナ、「世界の果て」
アンシー:絶対運命、黙示録。


Episode #38

(opening)

タイトル:「世界の果て」

ウテナ:ここは....王子様。
暁生:そう、王子様さ。
ウテナ:やはり、あなたが「世界の果て」だったんですね。結局、全てのことの元凶は、あなただったんだ。
暁生:とっくに気づいてたんだろ?だが、俺は、君の王子様さ。君は、俺に会うためにここまでやってきたんだ。
ウテナ:あなたの目的を聞きたい。
暁生:目的?
ウテナ:みんなを決闘させてる、その目的を。この学園で行われていることに、いったいどんな意味があるのか。
暁生:勇ましいね....君は最近、どんな夢を見る? 俺はいつも、城の夢を見るんだ。
ウテナ:城?
暁生:そう。王子様とお姫様が、いつまでもいつまでも、幸せに暮らす城さ。王子様は俺、そして、お姫様は君だ。
ウテナ:姫宮!
暁生:あわてることはない。アンシーならそこにいる。.....その指輪が、いつか再び、君をここへ導くだろう、か......ほんとによく、その気高い心を失わずにがんばったね。俺の目に狂いはなかった。きれいだ。気高い心を持って、ここに到達した君こそが、俺の、本当の姫君だ。これからの君に、剣は似合わない。この剣は、俺が預かる.....そして、今日からは俺が君を守る。
ウテナ:それで...どうなるの?
暁生:幸せになるのさ。永遠を手に入れ、俺と永久に愛し合う。そしてお姫様は、王子様と、いつまでもいつまでも、お城の中で暮らすんだ。...どうした?
ウテナ:お城の中で...二人が幸せに暮らして....そして、姫宮はどうなるの?
暁生:彼女は薔薇の花嫁だ。ずうっとね。

ウテナ:逃げるのか!
アンシー:もういいですから。
ウテナ:逃げるのか!十年後に....笑って....一緒にお茶を飲むんじゃなかったのか?
アンシー:ごめんなさい....ウテナさま....ごめんなさい!

アンシー:私は、薔薇の花嫁だから...心のない人形だから...体はどんなにさいなまれても、心なんて、痛くならないと思ってたのに....ごめんなさい、ウテナさま...私の苦しみは、薔薇の花嫁としての、当然の罰です。でも、ウテナさままで苦しめて....あなたは、ただ巻き込まれただけなのに。私は、それを知っていたのに.....あなたの無邪気さを、利用してた。あなたのやさしさに、私はつけ込んでた。ごめんなさい、ウテナさま。私は卑怯なんです。ずるい女なんです。ずっとあなたを裏切ってました。私は....
ウテナ:違う。ボクは、君の痛みに気づかなかった....君の苦しみに気づかなかった。それなのに、ボクはずうっと、君を守る王子様気取りでいたんだ。ほんとは、君を守ってやっているつもりで、いい気になっていたんだ。...そして、君と暁生さんとの事を知った時は....ボクは、君に、裏切られたとさえ思ったんだ.....君が、こんなに苦しんでたのに....何でも助け合おうって、ボクは言ったくせに。卑怯なのはボクだ。ずるいのはボクだ。裏切ってたのは、ボクの方なんだ....
アンシー:もういいですから、この学園から、離れて下さい。そして、全てを忘れて下さい。
ウテナ:そんなこと、できるわけないじゃないか。

ウテナ:そうだ、そんなこと、できるわけないじゃないか。
暁生:何をする! 女の子が剣を振り回すものじゃない。
ウテナ:ボクは、あなたから姫宮を解放する。
暁生:本当にに、勇ましいね。まさか、本当にここまで来るとはねえ。
ウテナ:何のことだ?
暁生:だが、かつての俺の言葉通り、歳月を経て、君はもう、ただ王子様を目指す純粋な魂ではなくなっているはずだ。ドレスに剣は似合わない。
暁生:君を見てると、昔の俺を思い出す。だが、だからこそ、君に彼女は救えない。所詮、王子様とか永遠のある城なんてまやかしなんだ。今君に、現実を見せてやろう。
ウテナ:現実?
暁生:世界の果てさ。

(eyecatch)

ウテナ:ここは、あなたの部屋じゃないか。
暁生:素晴らしいプラネタリウムだろ?永遠のものや、奇跡の力が存在していて欲しいという青臭い願望を持つ者に、この装置は、おとぎ話の幻を見せてくれるんだ。だが、この部屋よりも高い所なんてないんだ。この部屋こそが、鳳学園の...そして、世界の頂点さ。
ウテナ:この部屋は嫌いだ。
暁生:年若い君には、この部屋の価値が分からないかもしれないね。だから現実のこの理事長室より、空に浮かぶ幻の城などを追いかけるんだ。
ウテナ:そんなことじゃない。この部屋は、あなたと姫宮がいつも...
暁生:いつも?....なんだ、あんなことを怒ってるのか。俺はそんなにいけないことをしてるかな? 仮にそうだとしても、君も俺と同類の人間だろう。
ウテナ:何のことだ?
暁生:君も忘れてはいないだろう。ごらん、二人の思い出を。フィアンセのいる俺を、拒まなかった。それは罪じゃないのか?
ウテナ:卑怯だよ、こんなの。
暁生:卑怯?真実の自分から目を背けて、他人を責めるのは卑怯じゃないのか?自分だけが清らかで、正しいつもりでいるのは、卑怯じゃないのか?
ウテナ:そうじゃない!ボクは、姫宮のことを....
暁生:そう。君はアンシーのことさえ分かろうとしていなかった。結局君は、君自身のことを考えるので精一杯だった。かわいいねえ、君はいい女さ。女の子でいるべきなんだ。かつて君は現実に抗えない、無力な自分に打ちひしがれていた。目の前にある残酷な現実になすすべもなく、自ら世界と決別しようとしていた。そんな君を闇の中から救い出したのは、この俺だ。君は俺によって、もう一度世界と向き合う力を得たはずだ。その時俺は、君にとって王子様になった。だが、あの時も今も、俺は同じだ。アンシーもまた、あの時も今も薔薇の花嫁であり、そして魔女であるように。君もそうだ。あの時も今も、君は女の子さ。剣を持って闘う必要はない。気高く美しい、いいお姫様になれるんだよ。さあ、俺にその剣を、渡してくれないか。
ウテナ:あなたは、この剣をどうするつもりなんだ?
暁生:世界を革命するのさ。
ウテナ:あなたは、彼女のお兄さんじゃないのか?彼女を放っておくつもりなのか?あ....
暁生:バカな生き物だ。王子様など最初から、世界のどこにもいないのに。
ウテナ:あなたは、さっき自分のことを、王子様だと言ってたじゃないか。
暁生:それが何かわかるか?ディオスの、王子様の墓だ。彼女が魔女と呼ばれたとき、ディオスもまた、王子様ではなくなった。王子様としての俺は存在しない。
ウテナ:やはり、あなたとは闘うしかないようだな。
暁生:アンシーのためにか?...彼女は、愛する者を守るために、俺のために、身を挺する女神だと思っていたよ。俺も、かつてはね。あるいは、本当に、そうだったのかもしれない。でも今は魔女さ。そして、彼女自身、魔女であることを楽しんでいる。
ウテナ:あんたが彼女を、魔女にしてるんだ!
暁生:違う、俺たちは愛し合ってるんだ。彼女はもう、こんなふうにしか幸せになれないのさ。

冬芽:卵の殻を破らねば、雛鳥は生まれずに死んでいく。
幹:我らが雛だ
樹璃:卵は世界だ。
七実:世界の殻を破らねば、我らは生まれずに死んでいく。
西園寺:世界の殻を破壊せよ。
together:世界を革命するために!

幹:始まりましたね。
樹璃:ああ。
七実:天上ウテナね。
西園寺:そうだ。
七実:結局、このゲームの勝利者はどうなるのですか?
冬芽:それは誰にも分からない。ただ、彼女にとっての最後の試練、革命という名の決闘が、今始まるんだ。

暁生:....俺はデュエリストではない。俺が闘う以上、これは決闘ゲームの遊びじゃないぞ。
ウテナ:遊びで決闘した事なんて、一度もないさ。
暁生:いや、君はまだ、遊びの決闘しか知らない。だが、今剣を引かねば、この場で、現実の闘いの恐ろしさを知ることになるだろう。
ウテナ:あなたには負けない!
暁生:君のような子供に、俺の理想は理解できない。君の知らない理想のために、薔薇の花嫁はいるのだ。
ウテナ:こんな部屋でみんなを操って....なにが理想だ、下らない。
暁生:子供に、この部屋の価値はわからない。

ウテナ:この部屋の価値が何だ!姫宮を苦しめ続けているだけじゃないか!
暁生:彼女は自らの意志で、薔薇の花嫁でいるんだ、君が干渉する必要はない。
アンシー:私は薔薇の花嫁、今日から私は、あなたの花です。....ごめんなさい、ウテナさま....ごめんなさい!
ウテナ:ボクは、あなたから姫宮を解放する者になる!
暁生:何を言ってるか、分かっているのか?
ウテナ:分かっているさ! ボクが王子様になるってことだろ。...?...!!どうして?....姫宮....どうして.....!?

(ending)
(preview)
影絵少女C:号外!号外!
影絵少女B:ううやられた....!後ろからいきなり...
影絵少女A:だってニセ王子様じゃ本当の王子様になれないわ!
影絵少女B:おお!とその時、奇跡の力でボクは本当の王子様に!
影絵少女C:どうせアニメでしょ、それって。
影絵少女:少女少女革命ウテナ、最終回、「いつか一緒に輝いて」
     カシラカシラ、ご存じかしら〜!
影絵少女C:はいはい。絶対運命黙示録。


Episode #39

(opening)

タイトル:「いつか一緒に輝いて」

ウテナ:どうして?.....どうして?
アンシー:あなたは、私が好きだった頃のディオスに似ている。でも、あなたは私の王子様にはなれない。女の子だから。
ウテナ:姫....姫宮...
暁生:言ったはずだ。これはゲームではないと。

西園寺:革命という名の、決闘か。
冬芽:まだ、外すな。彼女は俺たちデュエリストの代表として、決闘広場に向かったんだ。すべての決着がつくまで、俺たちはデュエリストでいるべきだ。
七実:私はもうはずしちゃったわ。こんなこと、早く忘れた方がいいのよ。
幹:忘れてしまえるものかな?
樹璃:そう言えば、あの少年の名前、忘れてしまったな....。
幹:あの少年?
樹璃:昔、私の姉さんがまだ幼い頃、川で溺れそうになったことがあってね、その時、姉さんを助けようとして、川に飛び込んだ少年がいたんだ。
七実:それで?
樹璃:姉さんは、運良く、近くにいた大人の人に助けられたんだけど、姉さんを助けようと川に飛び込んだその少年の方は、流されてしまったんだ。
七実:その子、死んじゃったの?
樹璃:その少年の名前を、姉さんはすぐに忘れてしまって、冷たい人だなと思ったんだけど、今思い返そうとしてみたら、私も、いつの間にか忘れてしまっている。
七実:ねえ....ねえ、どうして今、そんな話を?


暁生:アンシー、剣を。
暁生:どうした?何をためらっている?
アンシー:私は...
暁生:後悔しているのか?....結局、お前の友達を不幸な目に遭わせてしまったな。そう、すべては俺のせいだ。こんな俺のことは、嫌いになったか?...俺が、かつてのように王子様をめざしていたら、誰も苦しまなかったのかな。お前の傷も、苦しみも、いつもこの身に感じている。
アンシー:あなたは、世界の全てを知った上で、この道を選んだ方です。
暁生:俺はお前を全て知った上で、愛している。
アンシー:はい、お兄さま。
暁生:アンシー、剣を。それでいいんだ。いい子だね、アンシー。

暁生:薔薇の門....「世界を革命する力」を封印した扉...うん?...来たな。アンシー!
ウテナ:姫....宮.....だめだよ、姫....
アンシー:おせっかいな勇者様...友達の気分だけは、少しだけ味わえました。さようなら。
ウテナ:だめだよ、姫....宮....
暁生:人の憎悪に光る百万本の剣か....この王子の剣を見て色めき立っている。
群集:魔女だ!....魔女だ!
ウテナ:姫宮!....姫宮!

暁生:王子様の身代わりになって剣を受ける。それが、薔薇の花嫁の定めだ。すべては、アンシーが自ら望んだこと。
ウテナ:姫宮....姫宮!うう....姫宮、姫宮、姫宮ああ!!!
暁生:今こそ、封印を破るとき。新しい世界の扉が開くとき。ハッ!
ウテナ:ううっ...暁生さん...姫宮を...助けてあげて...暁生さん...姫宮を....助けて....
ディオス:動かない方がいい。後で手当してあげるから...やさしい子だね...泣いているのかい?あそこに、薔薇の形の門がある。あの扉には、永遠の、輝く、奇跡の力がある。あの力があればなんでもできる。君には無理だ。君は女の子じゃないか。それに力がない。力があれば何でもできる。彼女を運命から解放することもできる。だが力をどう使うかは....
暁生:俺が決める事さ。
そう情けない顔をするなよ。今までがんばったんだから、そう自分を責めなくていいよ。薔薇の刻印を大切にしてくれてたんだね。ご褒美にキスしてあげよう。これは、慰めだよ。
ウテナ:うううううううううう...

(eyecatch)

暁生:この剣でも、またダメか。いったい、いつになれば、ディオスの力を取り戻せるんだ....まあいい、薔薇の花嫁は、俺のものだ。いつかは....!?よく立ち上がれたな。まさか...本当にこの扉を、開けるつもりなのか?よせ、もう王子の剣が折れてしまったよ。もう封印は....封印は解けない。君には無理だ。俺に敗れた....
ウテナ:うっ...
暁生:いいだろう、好きにするといい。
気の済むようにすればいい。
ウテナ:姫宮!姫宮あああ!ううう...

暁生:好きにすればいい。扉が、君を殺すだろう。
ウテナ:くう....あっ!....くうう...
暁生:確かに、昔の俺に似てるな。かつては俺もそうだった。ひたむきさに価値があり、それが世界を変える唯一の術だとね。だが、ひたむきさだけでは何も変わらない。力がなければ、所詮誰かに依存した生き方しかできないのさ。世界を変える力を得るため、俺は十分リスクを支払ってきた。それが世界というものだ。
ウテナ:黙れ!姫宮....君は知らないんだ。一緒にいることで、ボクがどんなに幸せだったか.....
暁生:ん?...何だ?剣が....!?あれは?
ウテナ:う、ううううう...
暁生:やめろおお!開けるな!どうなるか、わかっているのか....やめろ!
ウテナ:うう....
暁生:やめろ!うああああああああああああああっ....
ウテナ:姫宮....姫宮?
アンシー:あなたは、誰?
ウテナ:君を、助けに来たんだ。
アンシー:でも、あなたは...
ウテナ:君に会うため、ボクはここまで来たんだ。だから、君とボクの出会う、この世界を恐れないで...
ウテナ:姫宮...姫宮!姫宮!....やっと、会えた...
アンシー:....ウテナさま!ウテナさま!
ウテナ:姫宮!手を!
アンシー:だめ....早く逃げて!剣が...
ウテナ:.手を!さあ、姫宮!
アンシー:違うの!早く逃げないと!
ウテナ:姫宮!はやく....手を!
アンシー:お願い...
ウテナ:はやく....はやく、手を!!!!......いつか....いつか....一緒に....
アンシー:あああ!
ウテナ:やっぱり...ボクは王子様に...なれないんだ...ごめん、姫宮.....王子様ごっこになっちゃって....ごめんね....

若葉:いないのかなウテナ?一緒に宿題やろうと思ったのに。

生徒B:あんた、卒業したら、どうするの?
生徒C:もちろん、高等部に行くわよ。
生徒B:あ、いや、そうじゃなくて、将来よ。
生徒C:んー別に決めてないけど。
生徒A:あたしはやっぱ、女優かな。
生徒B:あんた、ホントになれると思ってんの?
生徒A:ほほほほほ
生徒B:マジでなろうとか思ってるわけだよね。
生徒A:ま、十年後の同窓会を楽しみにしててよ。
生徒B:ほーい。
生徒C:そういうあんたはどうなのよ?
生徒B:何が?
生徒A:だから、将来よ。
生徒B:うふ、やっぱ、玉の輿かな。
生徒C:出た
生徒A:出た
生徒B:何よ。結局、いい男を捕まえるのが女の器ってやつじゃないの。
生徒C:いってくれるわよね。
生徒A:こいつ、最近、本命ができたのよ。ちょっと前まで、ウテナ様ウテナ様って、騒いでたくせに。
生徒B:何よ、何か文句あんの?
生徒C:ねえ、ウテナ様って誰だっけ?
生徒A:え、知らないの?ほら、いたじゃない、いつも男装してた子でさ、よく先生に叱られてた....
生徒C:ああ、思い出した、あの人か....うん、いたいた。でもあの人、先月か先々月に、大けがして入院したんじゃなかったっけ?
生徒B:え、入院なの?なんか、恋人だか、友達だかに裏切られて、転校したって聞いたけど?
生徒A:あたしは、理事長と問題起こして退学になったとか聞いたけど。ま、どうでもいいけどね。

幹:今のタイミング、いいね?
石蕗:はい。
幹:来学期から、僕の仕事を補佐してもらうから。

冬芽:専攻科目を増やしたんだって?
西園寺:遊びで遅れた分を取り戻すのさ。
冬芽:遊びね。
七実:お茶が入ったわ。
西園寺:ありがとう。
冬芽:すぐ行く。

樹璃:次!
枝織:はい!

若葉:いい天気よねえ。
生徒:わーかーばー!大親友の私への誕生日プレゼントは、もう用意したかね?

暁生:あれから、まだいくらも過ぎてないのに、みんな彼女のことは、すっかり忘れているようだね。やはり彼女には、革命は起こせなかった。消えてしまった彼女は、この世界ではただの落ちこぼれだったんだ。薔薇の刻印の掟は、一からやり直しだ。よろしく頼むよ、アンシー。
アンシー:あなたには、何が起こったかもわからないんですね。もういいんです。あなたは、この居心地のいい柩の中で、いつまでも王子様ごっこしていて下さい。でも、私は行かなきゃ。
暁生:行く?どこへ?
アンシー:あの人は消えてなんかいない。あなたの世界からいなくなっただけ。
暁生:...何を言ってるんだ?ちょ、ちょっと待て、アンシー、アンシー!
アンシー:さよなら。

アンシー:今度は、私が行くから。どこにいても、必ず見つけるから。待っててね、ウテナ!

ウテナ:ねえ、困ったことがあったら、何でもボクに相談してよ。ボクは、君と友達になりたいんだ。そして、いつか一緒に....
アンシー:いつか....一緒に?

「いつか一緒に輝いて」

From STAFF:この薔薇があなたに届きますように。